「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」と診断されたあなたは、きっと不安な気持ちでいっぱいでしょう。毎日使う医療機器や生活習慣の見直し…治療に積極的になれない方もいるかもしれません。
確かに睡眠時無呼吸症候群の治療には、ご自身である程度の努力が必要です。しかし、治療を続けることで、仕事で本来の力を発揮できるようになったり、他の病気のリスクを減らせる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群の治療は、日々の生活を改善するだけでなく、未来の健康を守るための投資と言えるでしょう。専門の医師と相談しながら、あなたに最適な治療法を見つけていきましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は治療すれば治るもの?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、高血圧や糖尿病のように、残念ながら完治する病気ではありません。
しかし、適切な治療を続けることで、これらの病気と同様に症状をコントロールし、健康的な生活を送ることができます。治療によって、無呼吸やいびきの回数を減らし、日中の眠気などの症状を改善できる可能性があります。
例えば、SASの治療でよく用いられるCPAP(シーパップ)という機械は、鼻にマスクを装着して空気を送り込み、気道を広げて呼吸を楽にする効果があります。例えるならば、空気の力でへこんだ風船を膨らませるように、狭くなった気道を広げてくれるのです。適切に使用することで、無呼吸の状態を改善し、睡眠の質を高めることができます。
しかし、SASは生活習慣と密接に関係しているため、治療と並行して、生活習慣の改善に取り組むことが重要です。肥満の人は体重を減らす、飲酒や喫煙を控える、寝る前の食事を避ける、など、規則正しい生活を心がけることで、SASの症状を改善し、再発を予防することができます。
また、最近の研究では、GLP-1受容体作動薬という糖尿病の治療薬が、SASの症状改善にも効果があることが示唆されています。この薬は、食欲を抑制し、体重を減らす効果があるため、肥満を伴うSASの患者さんにとって新たな治療選択肢となる可能性があります。
SASの治療は、病気と上手に付き合っていくための第一歩です。専門医の指導のもと、自分に合った治療法を見つけ、健康な生活を目指しましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されたら、治療を開始することが大切です。
CPAP(シーパップ)療法
CPAP療法は、SASの治療のまさに”王様”と言えるほど、一般的な治療法です。イメージとしては、就寝時に鼻に装着したマスクが、まるで”空気のスプリント”のように、気道を広げて無呼吸を防いでくれます。
CPAP療法は、重症のSASにも効果を発揮し、多くの場合、症状の改善や消失に繋がります。
マウスピース(口腔内装置)療法
マウスピース療法は、就寝時に装着するマウスピースが、下あごを少し前に出すことで気道を広げ、無呼吸を予防する治療法です。例えるなら、”アゴを優しく支える小さな添え木”のようなものです。
CPAP療法に比べて、比較的小さく、携帯にも便利なので、旅行や出張が多い方にもおすすめです。
手術による治療
SASの手術療法には、鼻やのどの気道を広げる手術や、あごの位置を矯正する手術など、様々な方法があります。これは、言わば、”気道のリフォーム”とでも言うべき治療法です。
手術療法は、CPAP療法やマウスピース療法で効果が得られない場合や、鼻中隔彎曲症や扁桃肥大など、生まれつき気道が狭いなどの問題が原因でSASを発症している場合に検討されます。
生活習慣の改善
SASの治療には、生活習慣の改善も重要です。肥満はSASのリスクを高める大きな要因の一つです。
具体的には、次のようなことに気をつけましょう。
- 減量: 肥満は、まるで気道に”脂肪の枕”を乗せているような状態です。体重を減らすことで、気道が広くなり、呼吸が楽になります。
- 禁煙: タバコは、気道を狭くするだけでなく、炎症を起こしやすくするため、SASのリスクを高めます。禁煙は、気道への”悪影響を取り除く”という意味で、非常に重要です。
- 飲酒: アルコールは、筋肉を弛緩させるため、気道が狭くなりやすくなります。飲酒は、”気道を休ませる”ためにも、控えめにしましょう。
- 睡眠薬: 睡眠薬の中には、気道の筋肉を弛緩させるものがあり、SASの症状を悪化させる可能性があります。睡眠薬を服用している場合は、医師に相談しましょう。
- 睡眠姿勢: 仰向けで寝ると、舌根が気道を塞ぎやすくなるため、横向きで寝るようにしましょう。横向きで寝ることは、”気道を確保するための寝姿勢”と言えるでしょう。
これらの生活習慣の改善は、SASの治療だけでなく、健康的な生活を送る上でも重要です。SASと診断された方は、医師の指導のもと、生活習慣の改善にも取り組んでいきましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治療することで治まるリスク
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、単なる「いびきがひどい」だけの問題ではありません。まるで、心臓という名のポンプに、何度も電源を入れたり切ったりするような負担をかけている状態といえます。
SASを放置すると、心臓は酸素不足に陥り、心筋梗塞や不整脈のリスクが高まります。これは、高血圧や糖尿病のリスクを高めることにもつながります。
例えるなら、SASは体の中で静かに時限爆弾のように潜んでいるようなものです。自覚症状が少ないため、多くの人は自分がSASだと気づいていません。
しかし、治療によってこの時限爆弾のスイッチを切ることができます。治療により、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを抑制できるという研究結果も出ています。
ある研究では、治療を受けた重症SAS患者さんは、治療を受けていない重症SAS患者さんに比べて、心血管イベントの発症率が減少したという結果が出ています。
これは、心臓への負担を軽減することで、心臓病のリスクを減らすことができるということです。
さらに、治療によって日中の眠気や集中力低下も改善されるため、交通事故のリスクを減らすことにもつながります。
SASは決して軽視できない病気です。しかし、適切な治療を受けることで、これらのリスクを減らし、健康的な生活を取り戻すことが期待できます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療はまずオンライン診療へ
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれないけど、治療って大がかりなのかな…」「仕事が忙しくて、なかなか病院に行く時間がない…」 そんな風に感じていませんか?
実は、SASの治療は、まずオンライン診療からスタートすることも可能です。近年、スマートフォンやパソコンを使って自宅から気軽に医師に相談できるオンライン診療が普及しつつあります。
例えば、次のような患者さんにとって、オンライン診療は大きなメリットがあります。
- 会社員Aさんの場合: 忙しい毎日で、病院に行く時間がなかなか取れないAさん。オンライン診療であれば、通勤時間や休憩時間などを利用して、診察を受けることができます。
- 子育て中のBさんの場合: 幼いお子さんがいるBさんにとって、病院までの移動や待ち時間は大きな負担です。オンライン診療であれば、自宅で落ち着いて診察を受けることができます。
オンライン診療では、SASの症状や治療法についての説明はもちろん、検査の予約や治療開始後の経過観察、治療に関する疑問点の相談なども行えます。
もちろん、オンライン診療だけで全てが完結するわけではありません。症状によっては、対面での診察が必要になる場合もあります。
しかし、オンライン診療をうまく活用することで、時間や場所の制約を減らし、よりスムーズに治療を進めることが期待できます。まずは気軽にオンライン診療を利用して、SASの治療について相談してみましょう。
これは、あくまでも対面診療を補完するものであり、症状によっては対面での診察が必要になる場合があります。しかし、オンライン診療をうまく活用することで、時間や場所の制約を減らし、よりスムーズに治療を進めることができます。まずは、気軽にオンライン診療を利用して、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療について相談してみましょう。
LP:https://www.morishitaekimae.com/lp/
予約ページ(対面):https://medicalpass.jp/hospitals/morishita
保険証送付ページ:https://morishitaekimae.com/send/
参考文献
- Malhotra A, Bednarik J, Chakladar S, Dunn JP, Weaver T, Grunstein R, Fietze I, Redline S, Azarbarzin A, Sands SA, Schwab RJ and Bunck MC. Tirzepatide for the treatment of obstructive sleep apnea: Rationale, design, and sample baseline characteristics of the SURMOUNT -OSA phase 3 trial.. Contemporary clinical trials 141, no. (2024): 107516.
- ClinicalTrials.gov, NCT05412004.