睡眠時無呼吸症候群は、高血圧のリスク要因の一つとされています。どのように関係しているのか、その治療法はどのようなものがあるか本記事で解説します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧になる?関係性は?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が停止する状態や、呼吸が浅くなる病気です。この病気は、いびきや昼間の眠気、朝の頭痛などの症状が現れることで知られています。しかし、SASは高血圧とも関連していることがあります。
SASと高血圧の関係については、研究が進んでおり、睡眠時無呼吸が高血圧の原因や進行を促進する可能性があることが示唆されています。
睡眠時無呼吸が長期間にわたって続くと、交感神経の活動が亢進し、血圧が上昇すると考えられています。さらに、睡眠時無呼吸によって低酸素状態が起こることで、血圧制御機構が乱れ、高血圧を引き起こす可能性があります。
また、治療抵抗性高血圧と呼ばれる高血圧の一部の患者さんには、睡眠時無呼吸が原因であることも考えられています。睡眠時無呼吸が適切に治療されない場合、従来の高血圧治療法が効果を発揮しにくくなることがあります。
治療抵抗性高血圧の場合には、睡眠時無呼吸症候群の治療に取り組むことが重要です。しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療は個別の症例によって異なるため、患者さんごとに最適な治療方法を選択する必要があります。
無呼吸になると血圧が上がる理由
無呼吸が起きると、体内の酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇します。これにより、交感神経が刺激されて血圧が上昇します。また、無呼吸が繰り返されることにより、睡眠中のストレス反応が増加し、副腎皮質ホルモンの分泌が促進されます。この副腎皮質ホルモンは血圧を上げる作用があり、高血圧の原因となる場合があります。
さらに、睡眠時無呼吸症候群は夜間の低酸素状態や交感神経の活性化により、血管内皮機能(血管の内側の細胞)が損なわれることもあります。血管内皮機能の低下は、血管の収縮能力や血栓形成のリスクを高め、高血圧の進行や血管障害を引き起こす可能性があります。
高血圧と睡眠時無呼吸症候群の関係は相互に関連しています。高血圧の人には、睡眠時無呼吸症候群の割合が高いとされており、逆に睡眠時無呼吸症候群のある人は、高血圧のリスクが高くなることが報告されています。
睡眠時無呼吸症候群による高血圧がもたらすリスク
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に一時的に呼吸が止まる症状です。これによって、十分な酸素が身体に供給されず、いくつかの健康リスクが引き起こされる可能性があります。特に、高血圧が睡眠時無呼吸症候群によって引き起こされるリスクの一つとされています。
睡眠時無呼吸症候群の治療を受けない場合、酸素不足により血圧が上昇することがあります。この状態が継続すると、高血圧が発症する可能性が高くなります。また、睡眠時無呼吸症候群により血液中の酸素レベルが低下し、血管内皮(血管の内側の細胞)の機能の低下を引き起こすこともあります。これにより、血管が硬くなり、高血圧の発症や進行を促すことが考えられています。
さらに、睡眠時無呼吸症候群による高血圧は治療抵抗性高血圧の原因となることもあります。治療抵抗性高血圧とは、通常の治療法で血圧が適正にコントロールできない状態を指します。睡眠時無呼吸症候群が原因で高血圧が発症している場合、高血圧の治療に加えて睡眠時無呼吸症候群の治療も行うことが重要です。
睡眠時無呼吸症候群による高血圧患者の特徴
研究によると、SASを患っている人の約50%は高血圧を有しているとされています。SASの症状であるいびきや一時的な呼吸停止が起こることで、睡眠中の血液循環に異常が生じ、血圧が上昇する可能性があります。また、SASによる低酸素状態が長期間続くことで、血管が収縮し血圧が上昇することも考えられます。
さらに、SASを患っている人は、交感神経の活動が亢進している場合があります。この交感神経の亢進によって、血圧が上昇して高血圧となるリスクが高まるといわれています。
SASを患っていて高血圧と診断される人には、以下のような特徴が見られることがあります。
- BMI(体格指数)の高い人:SASは肥満と関連していることが多く、BMIの高い人ほど高血圧リスクが高いとされています。
- 高齢者:加齢によって筋力が低下するため、気道の狭窄が進みやすくなります。そのため、高齢者はSASと高血圧の関連性が強いとされています。
- 飲酒や喫煙の習慣がある人:飲酒や喫煙の習慣はSASのリスクを高める要因とされています。これにより、SASを患っている人が高血圧となるリスクも高まる可能性があります。
- 家族歴:SASや高血圧は家族間での遺伝的な要素が関与していることがあります。家族にSASや高血圧を有している人がいる場合、自身もそのリスクが高くなる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群による高血圧の治療方法
SASに関連する高血圧の治療には、以下のような方法があります。
CPAP療法(持続性陽圧呼吸療法)
CPAP療法は、呼吸器内に陽圧をかけて空気を供給し、気道の閉塞を防ぐ治療法です。この治療法は、睡眠時無呼吸症候群の主要な治療法の一つです。CPAP装置を装着することで、気道を開いた状態を維持することができます。
薬による治療
高血圧に一般的に用いられる降圧薬を使用します。ですが、前述したとおり治療抵抗性の場合複数の薬剤を使用する必要があり、この場合かかりりつけ医との相談が望ましいといえます。
生活習慣の改善
睡眠時無呼吸症候群の症状を改善するためには、以下のような生活習慣の改善が重要です。
- 体重管理: 肥満はSASの原因とされているため、体重の管理が重要です。適切な食事制限や運動によって体重を減らすことが推奨されます。
- 禁煙: 喫煙はSASの症状を悪化させる要因となります。禁煙することで症状の改善が期待できます。
- 寝具や睡眠環境の改善: 快適な寝具や静かな環境にすることで、より質の高い睡眠を得ることができます。
睡眠時無呼吸症候群は高血圧のリスク要因とされており、適切な治療が重要です。早期の診断と治療により、高血圧の進行や合併症のリスクを軽減することができます。患者自身も生活習慣の改善に取り組み、治療の効果を高めることが大切です。医師と共に適切な治療計画を立て、健康な生活を送ることを目指しましょう。
睡眠時無呼吸症候群による高血圧が不安な方は、簡単なオンライン診療へ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に一時的に呼吸が止まることが特徴的な疾患です。
高血圧は、心臓や血管に負担をかけるため、重大な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関連性を理解し、適切な対策や治療を行うことが重要です。
総じて、睡眠時無呼吸症候群は高血圧に関連することが多く、その関係性を理解し、適切な診断と治療を受けることが大切です。もし睡眠時無呼吸症候群の症状や高血圧に不安を抱えている方は、オンライン診療を利用して専門医のアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
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