日本内科学会の研究結果によると、BMI25以上の肥満気味の方では、そうでない方に比べて、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症率が有意に高いというデータも出ています。

 

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の予防と対策に効果的な食事について、具体的な方法や、減量に効果的な食べ物を紹介します。

 

毎日の食事を見直すことで、睡眠時無呼吸症候群のリスクを減らし、ぐっすり眠れる体を目指しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満になると発症しやすい

皆さんは、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という病気を知っていますか?

 

簡単に言うと、寝ている間に呼吸が止まってしまう病気です。 実はこれ、決して他人事ではありません。特に肥満の方は要注意です。

 

さらに、睡眠時無呼吸症候群は、一度発症してしまうと、さらに肥満を悪化させてしまう可能性があります。

 

睡眠時無呼吸症候群になると、体内で食欲をコントロールするホルモンのバランスが乱れ、食欲が増進したり、満腹感が得にくくなったりすることがあります。

 

その結果、さらに食べ過ぎてしまい、肥満が悪循環となってしまうのです。

 

ご自身の生活習慣を振り返り、睡眠時無呼吸症候群のリスクについて、今一度真剣に考えてみましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策・予防をするなら食事(食べ物)を意識して肥満を解消しよう

 

「最近、体重が増えてきた」「食事の内容に偏りがあるかも…」と感じたら、それは黄色信号です。

 

また「私は太ってないから大丈夫」と思っていませんか?

確かに、肥満は睡眠時無呼吸症候群のリスク因子の一つですが、痩せている方でも安心はできません。

 

例えば、普段からラーメンやコンビニ弁当ばかり食べていませんか?

これらの食事は、一見手軽で便利ですが、栄養バランスが偏りやすく、塩分や脂質が多くなりがちです。

 

このような食生活を続けていると、知らず知らずのうちに他の生活習慣病を引き起こし、結果として睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めてしまう可能性があります。

 

睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療を行えば改善する病気です。しかし、発症してしまうと、治療だけでなく、食生活の見直しなど、生活習慣全体を改善する必要がある場合もあります。

 

毎日の食事を見直し、健康的な食生活を送り、睡眠時無呼吸症候群を予防しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策・予防の食事(食べ物)の取り方

 

適正カロリーを意識する

適正カロリーとは、私たちが健康的に生活するために必要なエネルギー量のことです。

この適正カロリーをオーバーしてしまうと、肥満のリスクが高まり、睡眠時無呼吸症候群の発症に繋がりやすくなってしまいます。

 

では、適正カロリーはどのように決めれば良いのでしょうか?

 

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、年齢や性別、身体活動レベルによって異なります。

 

例えば、30歳代の男性会社員で、身体活動レベルが「ふつう」の場合、1日に必要なエネルギー量は2,650kcalとされています。

 

デスクワーク中心で運動習慣がない方は、この「ふつう」を参考にすると良いでしょう。

 

しかし実際には、毎日2,650kcalものエネルギーを消費している方は少ないのではないでしょうか?

 

ついつい食べ過ぎてしまう人は、お菓子やジュースなどの間食を控えてみましょう。また、ご飯やパンなどの炭水化物を少し減らしてみるのも効果的です。

 

適正カロリーを意識した食事を心がけることで、肥満を予防し、睡眠時無呼吸症候群のリスクを減らすことができます。

 

栄養バランスを意識する

栄養バランスの取れた食事は、健康な体を維持するために欠かせません。

特に、睡眠時無呼吸症候群の予防には、以下の栄養素を積極的に摂ることが重要です。

 

栄養素 働き 多く含まれる食品
たんぱく質 筋肉や血液を作る材料になる 肉、魚、卵、大豆製品
ビタミンB群 糖質や脂質の代謝を助ける 豚肉、レバー、うなぎ、牛乳
ビタミンC ストレスへの抵抗力を高める イチゴ、レモン、ピーマン、ブロッコリー
全身の細胞に酸素を運ぶ働きをする レバー、ひじき、小松菜
食物繊維 腸内環境を整え、便秘を予防する 野菜、きのこ、海藻、こんにゃく

 

これらの栄養素をバランス良く摂るためには、主食・主菜・副菜を揃えた食事を心がけましょう。

 

例えば、ご飯、焼き魚、野菜炒め、味噌汁といった献立は、栄養バランスがバッチリです。 しかし、毎日このような理想的な食事を作るのは難しいと感じる方もいるかもしれません。

 

そのような場合は、コンビニやスーパーのお弁当を選ぶ際に、栄養バランスの表示を確認したり、主食・主菜・副菜が揃っているものを選んだりするなど、工夫してみましょう。

 

塩分控えめにする

塩分の摂り過ぎは、高血圧のリスクを高めるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量の目標値は、男性で8g未満、女性で7g未満です。

 

外食が多い方は、ラーメンのスープを全部飲んでしまうと、一食で1日の目標摂取量を超えてしまうことさえあります。

 

塩分を控えるためには、以下のポイントを意識してみましょう。

  • 加工食品の食べ過ぎに注意する(ハム、ソーセージ、かまぼこなど)
  • 外食が多い場合は、麺類のスープを全部飲まないようにする
  • 調味料は、計量スプーンを使って量るようにする
  • 香辛料やハーブ、柑橘類などを活用して、薄味でも美味しく食べられるように工夫する

 

糖分を控える

糖分の摂り過ぎは、肥満の原因となるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める可能性も示唆されています。

 

糖分を多く含む清涼飲料水やお菓子などを過剰に摂取すると、血糖値が急上昇し、インスリンというホルモンが大量に分泌されます。 インスリンには、脂肪を蓄積する働きがあるため、肥満に繋がってしまうのです。

 

また、糖分の摂り過ぎは、体内での炎症反応を促進し、睡眠時無呼吸症候群の症状悪化に繋がると考えられています。 糖分を控えるためには、甘い飲み物やお菓子を控えることはもちろん、果物や乳製品などにも糖分が含まれていることを意識することが大切です。

 

サラダや汁物から食べ始める

食事の際は、「何を食べるか」だけでなく、「食べる順番」も意識してみましょう。

 

食物繊維豊富なサラダや、温かい汁物を最初に食べることで、血糖値の上昇を緩やかにし、肥満予防に繋がります。

 

食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにする働きがあるため、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。

 

また、汁物は胃にゆっくりと流れ込むため、満腹感を得やすく、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。

 

咀嚼回数を多くする

よく噛んで食べることは、消化を助けるだけでなく、満腹感を得やすくなるため、食べ過ぎ防止にも効果的です。

 

よく噛むことで、食べ物が細かく砕かれ、消化酵素が働きやすくなるため、胃腸への負担を軽減することができます。

 

また、よく噛むと唾液の分泌が促進され、消化を助けるだけでなく、口臭や虫歯予防にも効果が期待できます。

 

一口30回を目安によく噛んで食べるように心がけましょう。

 

飲酒の頻度を抑える

アルコールの過剰摂取は、睡眠の質を低下させるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させる可能性があります。

 

アルコールには、筋肉を弛緩させる作用があり、気道を狭くしてしまうことがあります。 特に、寝る前にアルコールを摂取すると、睡眠中に呼吸が浅くなり、睡眠時無呼吸症候群の症状が悪化しやすくなります。

 

飲酒は、適量を守り、寝る直前の飲酒は避けましょう。

 

特に睡眠時無呼吸症候群を発症した方は、断酒を心がけるのがおすすめです。

 

肥満を解消!減量に効果的な食べ物

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防や対策には、毎日の食事内容の見直しも重要です。

というのも、食生活の乱れは肥満に繋がりやすく、肥満は睡眠時無呼吸症候群のリスクを上げてしまうからです。

 

「最近、体重が増えてきた」「お腹周りが気になる」と感じている方は、ぜひ今日からご紹介する食べ物を積極的に食事に取り入れてみましょう。

 

野菜

野菜は、低カロリーで栄養価が高く、食物繊維が豊富なので、たくさん食べても安心です。食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにする働きがあるため、食後の血糖値の急上昇を抑え、肥満予防に役立ちます。

 

例えば、ブロッコリーやほうれん草、キャベツ、ピーマンなど、色々な種類を食べるように心がけましょう。色の濃い野菜には、ビタミンやミネラルが豊富なので、積極的に食べることをおすすめします。

 

キノコ

キノコ類も、低カロリーで食物繊維やビタミンが豊富です。食物繊維が多いキノコ類は、噛みごたえがあり、満腹感を得やすいため、食べ過ぎ防止にも効果的です。

 

いろいろな料理に使えるので、毎日の食事に取り入れやすい食材です。定番のしいたけやしめじ、えのきの他に、マイタケやエリンギもおすすめです。

 

魚介類

魚介類は、脂質が少なく、良質なタンパク質をたくさん含んでいます。高タンパク質の食事は、代謝アップに繋がり、太りにくい体作りをサポートします。

 

特におすすめなのは、鮭やサバ、いわしなどの青魚です。これらの魚には、DHAやEPAといった体に良い脂肪酸も豊富に含まれています。DHAやEPAは、中性脂肪を減らし、血液をサラサラにする効果も期待できます。

 

豆腐

豆腐は、植物性タンパク質が豊富で低カロリーな点が魅力です。豆腐に含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンのバランスを整える働きがあるため、更年期障害の症状緩和にも効果が期待できます。

 

冷奴や味噌汁、炒め物など、いろいろな料理に活用できます。

 

わかめ

わかめは、ミネラルや食物繊維が豊富で、低カロリーな海藻です。わかめに含まれる水溶性食物繊維は、腸内環境を整える効果があり、便秘の解消にも役立ちます。

 

味噌汁に入れたり、サラダにトッピングしたりするなど、手軽に食事に取り入れられます。

 

ヨーグルトは、腸内環境を整える働きがあり、便秘解消にも効果が期待できます。腸内環境が整うと、免疫力が高まり、風邪などの感染症を予防する効果も期待できます。

 

無糖のものを選べば、カロリーを抑えられます。

 

鶏肉

鶏肉は、皮を取り除けば、高タンパク質で低脂肪な食材になります。特に、ささみは脂肪が少なく、ダイエットに最適です。

 

鶏肉に豊富なビタミンB群は、疲労回復効果も期待できます。

 

オートミール

オートミールは、食物繊維が豊富で、腹持ちが良く、ダイエットに効果的な食材です。オートミールは、白米やパンなどの他の穀物と比べて、GI値が低いため、血糖値の上昇が穏やかです。

 

朝食に置き換えたり、ヨーグルトに混ぜたりするのもおすすめです。

 

これらの食べ物をバランスよく食べることで、健康的に減量することができます。過度な食事制限ではなく、体に良いものをしっかり食べて、睡眠時無呼吸症候群の予防と対策を目指しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「最近、寝ている時に息が止まっていると家族に言われた…」「日中、強烈な眠気に襲われる…」 そんな経験はありませんか? もしかしたら、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかもしれません。

 

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まり、身体が酸素不足に陥ってしまう病気です。自覚症状が少ないため、周囲の人に指摘されて初めて気づく方も少なくありません。

 

「ちょっと息が止まるくらい…」と安易に考えていませんか? 実は睡眠時無呼吸症候群は、放っておくと、高血圧や心臓病、脳卒中などの深刻な病気を引き起こすリスクを高める危険な病気です。

 

特に、睡眠中に低酸素の状態が長く続く「低酸素負荷」が高い人ほど、心臓や血管への負担が大きくなり、動脈硬化が進行しやすくなるという研究結果も報告されています。

 

睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が非常に重要です。

 

「もしかして…? 」と感じたら、一人で悩まず、まずは専門医に相談してみましょう。

 

最近は、病院に行かなくても、スマートフォンやパソコンを使って、自宅で診察を受けられるオンライン診療もあります。

 

ただ症状によっては、直接病院を受診する必要がある場合もあります。心配な方は、まずは、オンライン診療に対応している医療機関に問い合わせてみましょう。

 

 

オンライン診療の予約はこちら

 

LP:https://www.morishitaekimae.com/lp/

オンライン診療予約ページ:https://patient.digikar-smart.jp/institutions/74866a5f-ec9c-4593-bb51-7c0b6d4226de/reserve?mid=8f0e77b6-e56c-4e41-b684-16221abe6d5e

予約ページ(対面):https://medicalpass.jp/hospitals/morishita

保険証送付ページ:https://morishitaekimae.com/send/

 

 

参考文献

  1. Pinilla L, Esmaeili N, Labarca G, Martinez-Garcia MÁ, Torres G, Gracia-Lavedan E, Mínguez O, Martínez D, Abad J, Masdeu MJ, Mediano O, Muñoz C, Cabriada V, Duran-Cantolla J, Mayos M, Coloma R, Montserrat JM, de la Peña M, Hu WH, Messineo L, Sehhati M, Wellman A, Redline S, Sands S, Barbé F, Sánchez-de-la-Torre M, Azarbarzin A. Hypoxic burden to guide CPAP treatment allocation in patients with obstructive sleep apnoea: a post hoc study of the ISAACC trial. The European respiratory journal 62, no. 6 (2023).

 

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