睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる疾患であり、日常生活に深刻な影響を及ぼします。

 

実際、中等度以上のSASは成人男性の約20%にみられるとの報告もあり[1]、決して珍しい病気ではありません。

 

放置すると高血圧や心疾患など重大な健康リスクを伴うほか、集中力低下による交通事故の原因になることも指摘されています[1][2]。

 

本記事では、SASの基本知識から特徴的な症状、診断方法、そして治療法まで、最新の医学的エビデンスをもとに解説します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の基本知識

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)

定義とメカニズム

閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea; OSA)は、睡眠中に上気道(主に咽頭)が物理的に閉塞することで呼吸が停止または低下する状態です。

睡眠時には筋肉の緊張が低下し、舌や軟口蓋などが喉の気道を塞ぎやすくなります[1]。

気道が完全にふさがると「無呼吸」、部分的な狭窄で呼吸が浅くなる状態は「低呼吸」と呼ばれ、いずれも10秒以上続く場合が問題になります[1][3]。

 

主な原因・危険因子

OSAでは肥満が最も重要な危険因子とされており、首回りや舌への脂肪沈着で気道が狭くなることが大きな要因です[1]。

また、下顎の後退や扁桃肥大、アデノイド肥大などの解剖学的要因もリスクを高めます[1]。

一般的に男性に多く、加齢とともに発症リスクは上昇し、就寝前の飲酒や喫煙といった生活習慣も症状の悪化に関与します[1][4]。

一部の研究では、飲酒習慣をもつ人はOSAのリスクが約25%増加するとの報告もあります[5]。

 

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)

定義とメカニズム

中枢性睡眠時無呼吸(Central Sleep Apnea; CSA)は、脳の呼吸中枢からの信号異常によって睡眠中の呼吸運動自体が停止する状態を指します。

気道の閉塞が原因ではなく、呼吸の“指令”が一時的に途絶えるため、OSAのようないびきは通常みられません[3][6]。

脳幹部の呼吸調節が乱れると、無呼吸と過呼吸が交互に現れる「チェーンストークス呼吸(Cheyne-Stokes呼吸)」を呈することがあります[6]。

 

主な原因

CSAは心不全や脳卒中後の患者に多くみられ、特にチェーンストークス呼吸が特徴的です[3][6]。

また、ALSや筋ジストロフィーといった神経変性疾患、頚髄損傷など中枢神経に影響を及ぼす病態でも生じる可能性が指摘されています[6]。

そのほか、慢性腎不全やオピオイド系鎮痛薬の使用もCSAを誘発する要因となり得ます[6]。

実際の患者数はOSAよりも少ないものの、心不全や神経疾患の合併では見逃せない病態です[1][3]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の主な特徴

睡眠中のいびきや呼吸停止

SASの典型的な症状として、大きないびきが挙げられます。

OSAの多くでは激しいいびきを伴い、家族やパートナーが「呼吸が止まっている」と気づくことで発覚するケースが少なくありません[1][2]。

 

本人には自覚がないため、周囲の指摘は重要な診断のきっかけとなります。睡眠中に「無呼吸」や「低呼吸」がくり返し起こり、その頻度(無呼吸低呼吸指数:AHI)が病気の重症度を左右します[1][3]。

1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸が確認される場合にはSASの疑いがあるとされ、中等症以上では20~30回以上を数えるケースもあります[1]。

 

起床時の口渇や頭痛

朝起きたとき、口の渇きや頭痛を感じるのもSASの重要なサインです。睡眠中の口呼吸や低酸素状態によって喉の粘膜が乾燥しやすく、血管拡張により頭痛が起こることがあります[2]。

 

一見すると風邪や寝不足とも思われがちですが、いびきや日中の眠気など他の症状と併せて考えると、SASの可能性が高まります。

 

日中の強い眠気や集中力の低下

頻繁な無呼吸による睡眠分断によって夜間に十分な休息が得られないため、日中の強い眠気集中力の低下が顕著になります[2][7]。

仕事中にボーッとしたり、運転中の居眠りなどは、本人はもちろん周囲にも大きなリスクをもたらします。

特に居眠り運転は重大事故の原因となり、社会的にも大きな問題です[1]。こうした症状が当てはまる場合は、早めに専門医への相談が望まれます。

どれだけ寝ても疲れが取れない

「たくさん寝たはずなのに疲れが抜けない」「熟睡感がない」といった訴えがある場合も、SASの疑いがあります。

夜間に繰り返される無呼吸が深い睡眠を妨げ、非回復性の睡眠に陥ることが原因です[1]。

重症のOSAでは、持続的な低酸素が筋肉や臓器に負荷をかけ、起床時から強い倦怠感やだるさを引き起こすことが知られています[1][2]。

 

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放置すると危険!合併症や健康への影響

合併症のリスク(高血圧、心不全、糖尿病、脳卒中など)

SASを放置すると、高血圧や心不全、糖尿病、脳卒中といった重篤な合併症リスクが高まることが明らかになっています[1][3][8]。

 

  • 高血圧:OSAは二次性高血圧の主要な原因の一つであり、とくに治療抵抗性高血圧や夜間〜早朝に血圧が高いタイプでOSAの合併が疑われます[1]。CPAP治療で血圧が下がる例も報告されており、早期の介入が大切です。
  • 心不全:重症のSASは心臓へ大きな負荷をかけ、心不全の発症・悪化と双方向で影響し合います[3][8]。OSA患者では不整脈の頻度が高い点にも注意が必要です。
  • 糖尿病(2型):OSAはインスリン抵抗性を高め、2型糖尿病のリスクを上昇させる可能性が指摘されています。肥満や生活習慣と切り離しても、OSAそのものが独立した危険因子になり得るという研究結果もあります[1][9]。
  • 脳卒中:OSAによる動脈硬化の進行や血圧変動は脳梗塞・脳出血のリスクにも直結します[2][7]。一度脳卒中を起こした患者がOSAを合併している場合、再発や予後悪化の可能性が高まるため、早期発見と治療が重要です[7]。

 

さらに、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)、認知機能障害、うつ病などとの関連も報告されており[1][7]、健康長寿のためにSASの放置は禁物と言えます。

 

日常生活や仕事のパフォーマンス低下

SASは日中の強い眠気や注意力散漫により、仕事や家事、学業の能率を大きく下げるだけでなく、本人の安全および周囲の安全にも影響を及ぼします[1]。

致死的な交通事故の15~33%に居眠り運転が関与しているとのデータもあり、OSA患者の場合は特に事故のリスクが高いことが分かっています[1][2]。

また、いびきや睡眠不足がパートナーの眠りを妨げ、家庭内ストレスの原因になるなど、社会生活全般に悪影響を及ぼす点も見逃せません。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療

生活習慣の改善

軽症のSASではまず、生活習慣の見直しが推奨されます。

最も大切なのは減量で、肥満傾向のOSA患者は体重を落とすだけで無呼吸発作が大幅に改善する場合があります[1][8]。

 

また、飲酒は睡眠中の筋弛緩を助長するため節酒や休肝日の設定が推奨されます。

禁煙は上気道の炎症軽減に役立ちます。

仰向けではなく横向きで寝るなどの体位工夫も、いびきや無呼吸を軽減させる可能性があります[1][8]。

あわせて、規則的な睡眠習慣と寝室環境の整備といった“睡眠衛生”の改善も基本的な対策です[1][3]。

 

経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)

中等度〜重度のOSAに対する第一選択治療が、CPAP(シーパップ)療法です。

就寝時に鼻や口を覆うマスクを装着して空気を送り込み、気道に陽圧をかけることで閉塞を防ぎます[1][8]。

多くの患者で、いびきや日中の眠気が劇的に改善し、高血圧のコントロールにも寄与するなど、心血管リスクの軽減が期待できます[1][9]。

日本ではAHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数)が20以上のOSA患者に保険適用が認められており、有効かつ実績のある治療法です[1]。

 

マウスピース治療(口腔内装置)

軽症〜中等症OSAや、CPAPに抵抗がある場合などでは、マウスピースによる治療が選択肢となります[1][8]。

下顎を前方へ固定する装置を就寝時に装着し、喉の気道を確保する方法で、歯科にて個別に製作します。

CPAPほどの効果は期待できないものの、いびきの軽減や眠気の改善に有効な場合があります[1]。

 

外科的治療

扁桃肥大や鼻中隔湾曲など解剖学的な原因が明確な場合には、手術による根治的治療が検討されることがあります。

口蓋扁桃やアデノイドの切除、軟口蓋の一部を切除するUPPP手術、重度肥満に対する減量手術などが代表例です[1][8]。

侵襲が大きいため慎重な判断が必要ですが、適切な症例では長期的な改善が期待されます。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

SASは放置すれば様々なリスクを招くため、少しでも疑いがあるなら早めの検査・治療が望まれます。

しかし、「忙しくて通院できない」「検査入院が大変そう」と受診をためらう方も少なくありません。

そうした場合にはオンライン診療を活用して、早期に相談や検査を受けることがおすすめです。

森下駅前クリニックでは、スマートフォンやパソコンを通じて医師の診察が受けられるため、地理的・時間的負担を大幅に軽減できます[10]。

 

オンライン診療では、初診から自宅で行う簡易検査の指導、検査結果の説明、そして治療方針の提案まで、一連の流れを遠隔で完結させることも可能です[10]。

CPAP療法が必要な場合は機器の送付から使い方の指導までオンラインでサポートするため、クリニックに足を運ぶ機会を最低限に抑えられます[10]。

また、定期的なフォローアップ診察や機器調整もオンライン中心で行えるため、仕事や家庭の事情で忙しい方でも治療を継続しやすくなるでしょう。

 

「最近、いびきがひどい」「起床時の頭痛や日中の眠気が気になる」など思い当たる症状がある方は、放置せず専門医に相談してください。

オンライン診療を含めた多様な受診手段を活用すれば、早期発見と早期治療がスムーズに進められます。

SASに対する適切なケアを行うことで、合併症リスクを下げ、日々の疲れや眠気から解放される可能性があります。

まずはお気軽に、森下駅前クリニックのオンライン診療(https://morishitaekimae.com/online/)をご利用ください。

 

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引用文献

[1] 日本呼吸器学会. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020.
[2] Mayo Clinic. “Obstructive sleep apnea – Symptoms and causes.”
[3] Jehan S, et al. “Obstructive sleep apnea and stroke.” Sleep Med Disord. 2018;2(5):120-125.
[4] Zhang L, Samet J. “Cigarette Smoking and Sleep Disturbance.” Nicotine Tob Res. 2022;24(11):1697-1706.
[5] Peppard PE, et al. “The impact of alcohol upon breathing during sleep.” Chest. 2007;131(3): 780-791.
[6] Rana AM, Sankari AG. “Central Sleep Apnea.” StatPearls [Internet]. StatPearls Publishing; 2023.
[7] Durgan DJ, Bryan RM. “Cerebrovascular Consequences of Obstructive Sleep Apnea.” J Am Heart Assoc. 2012;1(4):e000091.
[8] Epstein LJ, et al. “Clinical Guideline for the Evaluation, Management and Long-term Care of Obstructive Sleep Apnea in Adults.” J Clin Sleep Med. 2009;5(3):263-276.
[9] Tasali E, et al. “Obstructive sleep apnea and type 2 diabetes.” Chest. 2008;133(2):496-506.
[10] 森下駅前クリニック公式サイト. 「CPAP専門外来|睡眠時無呼吸症候群のオンライン診療は森下駅前クリニックへ!」https://morishitaekimae.com/online/

 

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