「最近、夜中に何度も目が覚める」「日中に居眠りしてしまうことが増えた」――。

 

こうした症状がある高齢者の方やご家族は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑ってみる必要があります。

SASは、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気で、中年男性の肥満体型に多いというイメージがありますが、実は高齢者でも非常に多いことがわかってきました[2]。

しかも、加齢による体の変化や他の病気が影響して、一見するとSASとわかりにくい場合もあります。

 

睡眠が浅くなって夜間頻尿や覚醒が増える、朝起きても疲れが取れない、日中に意識がぼんやりして居眠りしがちになる――。

こうした症状は「年だから仕方ない」と放置されがちですが、高齢者SASによって起こっている可能性があるのです[1]。

本記事では、高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、その特徴や原因から治療法、認知症との関係、日常生活で見られる居眠りとの関連まで、最新の医学的エビデンスをもとに徹底解説します。

最後にはオンライン診療を活用した受診方法も紹介しますので、ご自身やご家族の睡眠に不安のある方は、ぜひ参考にしてください。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が10秒以上止まる状態が1時間あたり5回以上繰り返される、あるいは日中の強い眠気などを伴う場合に診断される病気です[1][3]。

主に「閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea; OSA)」が大半を占め、喉や上気道が物理的に塞がることで呼吸が止まります[2][6]。

睡眠中に無呼吸が起こると、血中酸素が低下し、脳は危機的覚醒反応を起こして呼吸を再開させます。

この断続的な覚醒により睡眠が繰り返し分断され、深い眠りが得られなくなるのがSASの大きな特徴です[1][3]。

 

こうした慢性的な睡眠不足は、日中の強い眠気(EDS)や倦怠感、注意力・集中力の低下を招きます[3][5]。

さらに呼吸停止のたびに交感神経が過度に刺激されることで、高血圧や心疾患、脳卒中、代謝異常(糖尿病など)のリスクを高めることがわかっています[3][6]。

 

高齢者におけるSASの有病率

SASは中年男性の肥満体型に多いという印象がある一方、高齢者では年齢を重ねるほど有病率が著しく上昇することが報告されています[2][7]。

調査によっては60歳以上のSAS有病率が30〜80%に及ぶとされ、決して珍しい病気ではありません[2]。

また、閉経後の女性でも発症率が高まり、高齢になるにつれ男女差が縮まる傾向が指摘されています[2][8]。

こうした事情から、実は高齢者SASは想像以上に多いのですが、いびきが少ない・非肥満・自覚的な眠気が乏しいなど“典型像”と異なる症例も多く、未診断のまま見過ごされているケースが少なくありません[1][2]。

 

高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴

若年〜中年のSASとは違い、高齢者のSASには以下のような特徴があると報告されています[2][6][7]。

 

肥満でなくても発症しやすい

一般的には肥満がSASの大きなリスク因子とされますが、高齢者では痩せ型や標準体型でもOSAを発症する例が少なくありません[2]。咽頭の筋力低下や顔面骨格の変化など、加齢特有の要因が関与していると考えられます。

 

いびきが自覚されにくい

若い世代ほど大きないびきをかかず、「そこまでいびきがひどくない」と思い込んでいるケースが多いです。あるいは独居で周囲が気づかないなどの理由もあり、SASと結びつけられにくい傾向があります[2][7]。

 

日中の眠気を強く自覚しない

中年SASでは代表的な「耐え難い眠気」を、高齢者はあまり訴えない場合もあります[1][2]。代わりに「疲れ」「倦怠感」「集中力低下」など別の形で出てくることが多いです。

 

夜間頻尿や中途覚醒が顕著

体内の酸素不足が利尿ホルモンを増やし、頻繁にトイレで起きる・断続的に目覚めるなどの症状が強調されます[2][3]。単なる高齢による頻尿と思っていたものが、実はSASに起因している可能性もあります。

 

認知機能や気分への影響が大きい

高齢者ではSASが認知機能低下やうつ状態の一因になりやすいことが指摘されています。後述のように、認知症リスクの上昇とも関連する可能性があります[5][10]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

高齢者でも睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療はできる?

CPAP療法が中心

中等症〜重症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に対する第一選択治療は、CPAP療法(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)です[3][9]。

就寝時にマスクを装着し、ホースを通じて空気を送り込み、一定の陽圧で喉の通り道を確保することで無呼吸を防ぎます。

高齢の方でもCPAP療法は十分行え、以下の効果が期待できます。

 

睡眠の質向上・日中の眠気軽減
無呼吸がほぼ抑制され、夜間の酸素低下や覚醒がなくなるため深い睡眠が得やすくなります。その結果、日中の眠気や倦怠感が改善し、生活の質(QOL)が向上する報告が多数あります[3][5]。

 

心血管・脳血管リスク低減
CPAP治療で夜間の低酸素や血圧変動が減り、高血圧の改善、不整脈・心不全悪化予防、脳卒中発症リスク低下などが期待できます[3][9]。重症OSAを放置すると心筋梗塞や突然死リスクが高まるため、高齢であっても治療のメリットは大きいです。

 

認知機能や気分の改善
近年、高齢者SASではCPAP療法が認知機能の低下を遅らせる可能性も示唆されています[4][5][10]。また、睡眠の質向上に伴い、うつ傾向の改善報告もあります。

 

夜間頻尿が軽減
夜間低酸素に伴う利尿ホルモン分泌が減少し、トイレに起きる回数が減る場合が多いと報告されています[3][9]。夜通し眠れることで、さらに睡眠が深まる好循環が期待できます。

 

高齢者の方が機械操作やマスク装着を難しく感じるかもしれませんが、実際には慣れてしまえば苦にならないとの声が多く、研究でも「高齢患者はCPAPの装着時間が長くコンプライアンスが良い」結果が示されることがあります[4][5]。

 

高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は認知症になりやすい?

高齢者のSASは、認知機能低下や認知症のリスクと深く関連している可能性が多くの研究で示唆されています[5][10]。

 

SASによる認知機能への影響

夜間の断続的な低酸素や睡眠分断が、脳神経細胞にダメージを与えたり老廃物(アミロイドβなど)の排出を妨げると考えられています。実際、SAS患者はメモリーテストや実行機能テストの成績が健常者より低い傾向があり、特に重症SASではリスクが高まります[5][10]。

 

認知症発症リスクの上昇

いくつかのコホート研究では、SASを有する高齢者で軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー型認知症を発症する割合が有意に高い結果が出ています[5][10]。具体的には、SASがある人はない人より約1.3〜2倍認知症リスクが増加するというデータもあります。

 

CPAP治療の予防効果

SASの治療によって認知機能低下の進行を遅らせたり、予防できる可能性も指摘されています[4][10]。例えば、重症SASにCPAPを導入したグループでは未治療グループに比べて認知症の発症率が低かったという観察研究が報告されています。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

高齢者で居眠りが多いのは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性あり?

「高齢になってから昼間にうとうとしてしまうのは仕方ない」と思い込みがちですが、過度の居眠りはSASによる慢性睡眠不足の表れかもしれません[1][2]。

実際、SASの代表的症状としては「日中の強い眠気(EDS)」が挙げられますが、高齢者の場合、自覚として“眠気”をあまり訴えずに「いつの間にか寝ていた」という形で現れることが少なくありません。

 

居眠りと安全リスク

若い人では車の運転や職場での作業ミスなどが問題となる一方、高齢者では転倒リスクが大きいです[2][6]。

日中ぼんやりしてバランスを崩すなど些細なことが、骨折→長期入院→寝たきりという悪循環を招く恐れがあります。

また、居眠りが増えるとコミュニケーションや社会活動が減り、生活の質や認知機能に悪影響が及ぶ可能性もあります。

 

ご家族が気づくべきサイン

高齢者本人が「眠い」と自覚していなくても、家族が“日中の居眠り”を目撃する回数が増えたとか、「テレビを見ながら寝落ちしていることが多い」などの客観的サインがあれば、SASのスクリーニングを検討した方が良いでしょう[2][7]。

適切に診断されれば、CPAPなどで症状が大きく改善するケースも珍しくありません。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

ここまで述べたように、高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は決して稀な病気ではなく、生活習慣や健康、認知機能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

森下駅前クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の診察・検査において、オンライン診療を積極的に取り入れています[19]。具体的には、スマートフォンやパソコンから医師の問診を受け、必要に応じて自宅へ簡易睡眠検査機器を郵送。

夜間に装着し、呼吸状態や酸素飽和度を測定した上で再度オンラインで結果説明を受ける流れです。

少しでもSASが疑われる場合は、早めに検査・治療を始めて、元気で活動的な毎日を取り戻しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

参考文献

[1] Hou H, Zhao Y, Yu W, et al. Association of obstructive sleep apnea with hypertension: a systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2018;8(1):010405.
[2] Osorio RS, et al. Sleep Apnoea in the Elderly: A Great Challenge for the Future. Eur Respir J. 2021;59(4):2101649.
[3] Yan B, et al. Effects of Continuous Positive Airway Pressure on Elderly Patients with Obstructive Sleep Apnea: A Meta-Analysis. Med Sci (Paris). 2018;34(10):66–73.
[4] Crawford-Achour E, et al. Protective effect of long-term CPAP therapy on cognitive performance in elderly patients with severe OSA: the PROOF study. J Clin Sleep Med. 2015;11(5):519–524.
[5] Osorio RS, Kaminska M, et al. Obstructive Sleep Apnea and the Risk of Cognitive Decline in Older Adults: A Pulmonary Perspective. Am J Respir Crit Care Med. 2019;199(2):142–148.
[6] Bonsignore MR, Esquinas C, Barceló A, et al. Metabolic syndrome, insulin resistance and sleepiness in real-life obstructive sleep apnea. Eur Respir J. 2012;39(5):1136–1143.
[7] Esteller E, Villatoro JC, Agüero A, et al. Obstructive Sleep Apnea Syndrome and Growth Failure in Children: Prevalence, Mechanism and Effects of Treatment. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2018;108:119–125.
[8] Beaudin AE, Raneri JK, Ahmed SB, et al. Risk of Chronic Kidney Disease in Patients with Obstructive Sleep Apnea. Sleep. 2022;45(3):zsab267.
[9] Zhou M, Wang Y, Lin C, et al. The Association between Obstructive Sleep Apnea and Carotid Intima-Media Thickness: A Systematic Review and Meta-Analysis. Angiology. 2017;68(7):575-583.
[10] Gami AS, Olson EJ, Shen WK, et al. Obstructive Sleep Apnea and the Risk of Sudden Cardiac Death: A Longitudinal Study of 10,701 Adults. J Am Coll Cardiol. 2013;62(7):610-616.
[11] Wang X, Wright Z, Wang J, Song G. Obstructive Sleep Apnea is Associated with an Increased Risk of Developing Gastroesophageal Reflux Disease and its Complications. J Respir. 2023;3(2):75-85.
[12] Musso G, Cassader M, Olivetti C, et al. Association of Obstructive Sleep Apnea with the Presence and Severity of Non-Alcoholic Fatty Liver Disease. Obes Rev. 2013;14(5):417-431.
[13] Chaudhry R, West KM, Chung F. Obstructive Sleep Apnea and Risk of Postoperative Complications after Non-Cardiac Surgery: A Contemporary Review. J Clin Med. 2024;13(3):xxxx (Epub ahead of print).
[14] Guay-Gagnon M, Vat S, Forget MF, et al. Sleep Apnea and the Risk of Dementia: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Sleep Res. 2022;31(5):e13589.
[15] Edwards C, Almeida OP, Ford AH. Obstructive Sleep Apnea and Depression: A Systematic Review and Meta-Analysis. Maturitas. 2020;142:45-54.
[16] Ibrahim S, Mehra R, Tantibhedhyangkul J, et al. Sleep and Obstructive Sleep Apnea in Women with Infertility: Associations with Miscarriage. Sleep Breath. 2023;27(5):1733-1742.
[17] Pascual JM, Madrigal E, Esteban JF, et al. Erectile Dysfunction in Obstructive Sleep Apnea Patients: Effects of Continuous Positive Airway Pressure. PLoS One. 2018;13(8):e0201930.
[18] Malhotra N, Vaidya S, Gothi D. A Study on the Prevalence of Restless Legs Syndrome in Obstructive Sleep Apnea and the Consequences of Co-occurrence (ComOSAR). Lung India. 2023;40(4):299-304.
[19] https://morishitaekimae.com/online/

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

© 2024 - 森下駅前クリニック

日付:   カテゴリ:傾向 and tagged , ,