CPAPで鼻づまりがつらい時の原因と対策|口呼吸への注意点も解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に広く用いられるCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)ですが、使用者の多くが「鼻づまり」に悩まされています。

CPAP装置から送られる空気により鼻が乾燥したり刺激を受けたりすることで、鼻粘膜が炎症を起こして鼻づまり(鼻閉)や鼻水が生じる場合があります[1][2]

実際、CPAP利用者の30~50%に何らかの鼻の症状(鼻づまり、鼻水、乾燥感など)が見られ、その症状が原因でCPAP治療を中断してしまうケースも少なくありません[3]

本記事では、CPAP使用時に鼻づまりが起こる原因とその放置によるリスク、さらに鼻づまりへの具体的な対策について、エビデンスに基づき解説します。

また、鼻づまりによる口呼吸の問題点や、改善しない場合の他の治療法、オンライン診療の活用についても紹介します。

CPAP治療中の鼻づまりにお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

 

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CPAP使用時に鼻づまりが起こる原因

 

CPAP使用中に鼻づまりが生じる主な原因として、以下のような要因が考えられます。

送気による鼻の乾燥

CPAPマスクから常に送り込まれる空気によって、鼻の粘膜が乾燥しやすくなります。

鼻粘膜が乾燥すると、本来の加湿・加温機能が低下し、防御反応として粘膜が腫れて鼻づまりを起こすことがあります。

医学研究でも、CPAPの送気で鼻粘膜の水分が奪われると炎症が生じ、鼻づまりや鼻水などの症状を引き起こす一因になることが報告されています[1][2]

特に加湿器を使用していない場合、冷たく乾いた空気が直接鼻腔に当たるため、粘膜の乾燥と刺激が強まりがちです。

乾燥による不快感から、CPAP使用中にくしゃみや鼻水が出る人もいます。

空気の圧力による粘膜の刺激

CPAPは気道を空気圧で広げる装置ですが、その陽圧は鼻の内部にもかかっています。

高い圧力の空気が持続的に流入することで、鼻粘膜に物理的な刺激が加わり、充血やむくみを引き起こす可能性があります。

CPAP治療開始直後に一時的に鼻づまりを感じる患者さんもおり、これは鼻が過敏に反応して粘膜が腫れているためと考えられます。

実際、短時間のCPAP使用でも鼻粘膜の炎症性物質が増加しうるとの報告もあり[4][5]、空気圧そのものが鼻の組織にストレスを与えることが示唆されています。

ただし、こうした反応は個人差が大きく、徐々に鼻が慣れて症状が軽減するケースもあります。

アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎など持病の影響

元々アレルギー性鼻炎慢性副鼻腔炎など鼻の持病がある場合、CPAP使用で鼻づまりが悪化しやすくなります。

アレルギー性鼻炎の患者さんは粘膜が敏感なため、CPAPからの空気(湿度や温度の変化、圧力)が非アレルゲン性の刺激となって鼻づまりを誘発することがあります[6][7]

実際の研究でも、CPAP使用によって主観的な鼻づまり症状は平均的に改善する傾向があるものの、アレルギー性鼻炎を持つ人では改善が少なく、むしろ悪化する場合があることが示されています[8][9]

このように、アレルギー体質の方はCPAPの影響を受けやすく、持病の治療が不十分だと鼻づまりが生じやすいのです。

また、慢性副鼻腔炎や鼻中隔弯曲、鼻ポリープなど鼻通りを妨げる疾患がある場合も、CPAPの空気が十分に通らず鼻閉感を感じることがあります。

マスクの装着不良やサイズの問題

CPAPマスクのフィットが悪い場合も、鼻づまりの原因となり得ます。

マスクが鼻に合っていないと空気漏れが生じ、必要な圧力が十分鼻腔内に伝わらなくなります。

その結果、空気流のムラが鼻粘膜を刺激したり、口から空気が漏れて鼻が十分に換気されず詰まった感じがすることがあります。

特に鼻孔に差し込む「鼻ピロー型」のマスクでは、サイズが合わないと鼻の入り口が圧迫されて通気が悪くなる場合があります。

また、マスクをきつく締めすぎると鼻周囲の血行が悪くなり、粘膜がうっ血して鼻づまりを感じることもあります。

このように、マスク選びや装着の仕方次第で鼻への負担が変わるため、適切なサイズ・密閉度のマスクを使用することが重要です。

鼻づまりを放置するとどうなる?

 

CPAP使用中の鼻づまりを「仕方ない」と放置すると、CPAP治療の効果が十分に得られなくなる恐れがあります。

具体的には次のような悪影響が考えられます。

CPAPを外してしまい治療効果が下がる

鼻が詰まったままでは息苦しく感じてしまい、夜中に思わずCPAPマスクを外してしまう患者さんも少なくありません。

鼻づまりによる不快感でCPAPを継続できないと、一晩のうちでCPAP未装着の時間が増えてしまいます。

その結果、睡眠中の無呼吸・低呼吸(止まった呼吸)が防げなくなり、CPAP治療本来の効果が発揮されません。

ある研究では、鼻症状のある患者はCPAPの使用時間が短くなる傾向が示されており、特に鼻水(鼻漏)が多い人で顕著にCPAP継続時間が減少しました[10][11]

鼻づまりはCPAP治療の大敵であり、放置すると「せっかく始めたCPAPを続けられない」という事態にもなりかねません[12][13]

熟睡できず眠気・疲労が残る

鼻づまりでCPAPの気道確保が不十分になると、睡眠中に再び無呼吸や低呼吸が起こり、脳が何度も覚醒しかけて睡眠が中断されます。

その結果、熟睡感が得られず、朝起きたときに疲労感や日中の強い眠気が残ってしまいます。

CPAPを使用しているのに効果が実感できない場合、鼻づまりによる治療不十分が原因の一つとして疑われます。

また、鼻づまりで口呼吸になると喉の乾燥やいびきの再発も起こりやすく、睡眠の質が低下します。

十分睡眠がとれない状態が続くと、日中の注意力低下や作業能率の低下につながり、生活の質(QOL)も悪影響を受けます。

CPAP本来の目的である「質の高い睡眠による日中症状の改善」が得られなくなるため、鼻づまりは軽視できません。

無呼吸症候群のリスク(高血圧・心疾患)が再び高まる

SAS(睡眠時無呼吸症候群)を治療せずに放置すると、高血圧や心疾患、脳卒中、糖尿病など様々な合併症リスクが高まることが知られています。

そのためCPAP治療で無呼吸状態をしっかり是正することが大切ですが、鼻づまりによってCPAPの治療効果が低下すると、これら合併症リスクが再上昇してしまう可能性があります。

実際、重症のSAS患者では、CPAP非使用の場合に心血管イベントの発生率が有意に高かったとの報告があります[14][15]

CPAP使用中でも、鼻づまりで十分な時間・圧力の使用ができないと、治療しないのと同じ状態に近づいてしまう懸念があります。

特に就寝後の前半に鼻づまりでマスクを外す習慣がつくと、一晩のうち長時間CPAP無しで過ごすことになり、睡眠中の低酸素状態や血圧上昇が繰り返されます。

その結果、高血圧のコントロール不良や心臓への負担増大につながりかねません。

健康維持のためにも、鼻づまりを放置してCPAP効果が損なわれる事態は避けるべきです。

 

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鼻づまりによる口呼吸に注意

 

鼻が詰まっていると、人は無意識のうちに口で呼吸するようになります。

CPAP使用中に鼻づまりがあると、この口呼吸が治療効果や快適性の面で新たな問題を引き起こします。

以下では、鼻づまり時の口呼吸のデメリットと対策について解説します。

鼻づまりがあると口呼吸になりやすい

本来、人は鼻で呼吸することで空気を加湿・加温し、ホコリなどをろ過しています。

しかし、鼻づまりで鼻から十分な空気を取り込めないと、反射的に口が開いて空気を吸う口呼吸になってしまいます。

特に睡眠中は意識的に鼻呼吸へ戻すことが難しく、鼻づまりがあるとそのまま朝まで口呼吸になるケースが多いです。

CPAP治療でも、鼻マスクや鼻ピロー型マスクを使用している場合、鼻が詰まると自然に口が開いてしまい、送られた空気が鼻からではなく口から漏れてしまいます。

このように鼻づまり→口呼吸への移行はごく自然な体の反応ですが、CPAP療法中には対策が必要です。

口呼吸によるデメリット(のどの乾燥・いびき悪化・治療効果低下)

口呼吸になると、まずのどの乾燥が顕著になります。

CPAPの空気が鼻ではなく口へ流れると、加湿されないまま気道に入り口腔や咽頭を乾かしてしまいます。

その結果、朝起きたときに喉がカラカラに渇いたり痛みを感じたりします。

また、口呼吸は舌根が喉の奥に落ち込みやすく、いびきの悪化につながることがあります。

せっかくCPAPで気道を確保しても、口からの空気漏れで十分な陽圧が保てないと、いびきや無呼吸が再発してしまうのです[12][13]

さらに、口呼吸による空気漏れはCPAP治療の効果を著しく低下させます。空気が漏れることで気道内圧が下がり、無呼吸の予防が不十分になります。

そのため、口呼吸が習慣化するとCPAPを装着していても実質的に治療できていない状態になりかねません。

実際、睡眠中に口呼吸の多い患者はCPAPの継続利用率が低下するとの研究報告もあります[16][17]

このように、鼻づまりによる口呼吸はCPAP治療の障害となるため、対策が必要です。

防ぐ方法(フルフェイスマスク・チンストラップなど)

鼻づまり時の口呼吸対策として、いくつかの方法があります。

まず有効なのはフルフェイスマスクへの変更です。

フルフェイスマスク(鼻口両用マスク)なら鼻と口の両方を覆うため、鼻が詰まって口呼吸になっても空気が漏れず、CPAPの圧力が維持されます。

特に慢性的に鼻づまりがある方や、アレルギーの時期だけ鼻が詰まりやすい方には、CPAPフルフェイスマスクの使用が推奨されます。

一方、現在の鼻マスクを続けたい場合はチンストラップ(顎ベルト)の併用が有効です。

チンストラップは顎が開かないよう支えるバンドで、睡眠中に口がポカンと開くのを防ぎます。

これにより強制的に鼻呼吸が促され、空気漏れを減らすことができます[18]

その他、マウスピースタイプの簡易な口閉じテープを利用する人もいますが、鼻づまりが強いときのテープ使用は危険です。

鼻で全く息ができないのに口も塞いでしまうと窒息のリスクがあるため、口閉じテープを使う際は鼻呼吸が確保できている場合に限りましょう(テープ使用は医師と相談の上で)。

このような補助グッズを活用し、できる限りCPAP中も鼻呼吸を維持できるよう工夫することが大切です。

CPAPによる鼻づまりの対策方法

 

では、実際にCPAP鼻づまり対策としてどのような方法があるか、具体的に見ていきましょう。

以下の対策を組み合わせることで、多くの場合鼻づまり症状の改善が期待できます。

加湿機能を使う/加湿器を併用する

CPAP装置に内蔵された加湿機能を積極的に利用しましょう。

加湿器一体型のCPAPであれば、水タンクに清潔な水を入れて適切な湿度設定にします。

加湿によって送気が潤うと、鼻粘膜の乾燥が防げるため鼻づまりや鼻の不快感が軽減します[19][2]

実際、ランダム化試験でも加温加湿器を使用した場合に鼻づまり症状が減少し、鼻の抵抗値や炎症マーカーが改善したことが報告されています[19][2]

さらに、加湿ありCPAPでは使用時間(コンプライアンス)が有意に延びたとのデータもあります[20][21]

もしお使いのCPAPに加湿機能が無い場合でも、寝室に別置きの加湿器を設置して室内の湿度を50~60%程度に保つと良いでしょう。

冬場の乾燥する時期は特に念入りな加湿が重要です。適切な加湿は鼻の乾燥と炎症を防ぎ、CPAP治療の快適性と効果を向上させてくれます[22][23]

鼻腔スプレー(生理食塩水など)の活用

市販の生理食塩水スプレー(生理食塩水=0.9%食塩水)を使用することで、鼻の通りを良くする手助けができます。

就寝前に生理食塩水スプレーで鼻腔内を洗浄・潤滑すると、粘膜表面の乾燥やほこりを除去でき、CPAP装着中の鼻づまり予防に有効です。

塩分濃度が体液に近いため刺激が少なく、毎晩使っても安全です。

また、アレルギー性鼻炎がある方や鼻粘膜の炎症が強い方には、医師の処方でステロイド点鼻薬を併用する方法もあります。

ステロイド点鼻薬(フルチカゾンなど)は鼻粘膜の炎症や腫れを抑える効果が高く、継続使用で鼻づまりが改善すればCPAPの継続利用もしやすくなります。

実際、OSA患者を対象とした無作為比較試験では、ステロイド点鼻薬を併用した群でCPAPの平均使用時間が有意に延長し、90日後の鼻づまりや鼻水症状も顕著に減少しました[24][25]

このように薬剤の力を借りることで、CPAPによる鼻づまりをコントロールできる場合があります。

ただし、点鼻薬は即効性がないものも多いため、医師の指示通り継続して使用することが大切です。

また、一時的に市販の鼻づまり解消スプレー(血管収縮薬入り)を使う手もありますが、長期連用はかえって症状を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。

基本は生理食塩水やステロイド噴霧など、習慣性のない安全なものを選びましょう。

マスクの種類やサイズを変更する

前述のように、マスクのフィット不良が鼻づまりに関与する場合は、思い切ってマスクの種類・サイズを見直すことも検討してください。

例えば鼻だけを覆うタイプで鼻孔部に違和感がある場合は、鼻全体を覆うクッションタイプのマスクに変更すると圧迫感が減り鼻腔が確保されることがあります。

逆に、鼻孔に差し込む鼻ピロー型でフィットするサイズが見つかれば、鼻内部への送気がスムーズになるケースもあります。

重要なのは自分の鼻の形や大きさに合ったマスクを選ぶことです。

また、慢性的な鼻づまりがある方は先述のフルフェイスマスク(口と鼻を両方覆うタイプ)への変更も選択肢です。

フルフェイスなら口呼吸でも治療効果が維持できるため、鼻の通りに左右されにくくなります。

実際の臨床でも、鼻づまりで鼻マスクが使いにくい患者さんがフルフェイスに変えて快適に継続できたという例は多く報告されています(※フルフェイスは圧が逃げにくいぶん、目元に空気が漏れると眼の乾燥につながるため、きちんと密着させましょう)。

加えて、マスク装着時のストラップ調整も見直してください。

きつすぎず緩すぎず、寝返りを打ってもずれにくい適切な強さで装着することがポイントです。

適合するマスクに変更するだけで鼻づまりが改善する例もあるため、遠慮せず担当医や業者に相談しましょう。

圧設定を医師に調整してもらう

CPAPの送気圧そのものが高すぎて鼻に負担となっている場合、圧力設定の見直しが有効なことがあります。

特にCPAP開始直後で最適圧がまだ定まっていない場合は、主治医に相談して一時的に圧力を下げてもらう、もしくはオートCPAP(自動調節式)のモードに変更してもらうといった対応が考えられます。

オートCPAPであれば必要最低限の圧力で運転されるため、鼻への過度な刺激が緩和される可能性があります。

また、呼気圧低減(EPR機能付きなら呼気時の抵抗感が減り、鼻への逆圧ストレスが軽減します。

こうした機能を適切に使うことで、鼻粘膜の刺激を抑えつつ無呼吸を予防できます。

ただし、自己判断で圧力を変えるのは避けてください。圧が低すぎると無呼吸が十分防げず危険です。

必ず医師の指示のもと、鼻症状と無呼吸のバランスを考慮した最適な圧設定を模索しましょう。

定期的な睡眠検査やCPAPデータの解析を通じて、治療効果を維持しつつ鼻づまりが最小になる圧力を調整してもらうことが理想です。

寝室環境(湿度・温度)の改善

意外に見落とされがちですが、睡眠時の部屋の環境も鼻づまりに影響を与えます。

空気が乾燥した部屋や、ほこり・花粉が多い環境では鼻粘膜が刺激されやすく、CPAPをつけていても鼻づまりが生じやすくなります。

そこで、就寝前に寝室の湿度をチェックし、必要に応じて加湿器で調整しましょう。湿度50%前後を保つと鼻粘膜が安定しやすいと言われます。

また、室温も適切に保つことが重要です。

冬場に部屋が寒すぎると空気が乾燥し鼻に刺激となるため、適度な暖房で18~22℃程度の快適な温度を維持してください。

さらに、寝室の清掃や寝具の洗濯も鼻づまり対策になります。

ダニやハウスダスト、花粉などのアレルゲンが蓄積しないよう、こまめに掃除機をかけ、シーツや枕カバーを清潔に保ちましょう。

空気清浄機の利用も効果的です。

こうした環境整備により、CPAP装着時の鼻粘膜への刺激を減らし、鼻通りを良好に維持できる可能性があります。

薬や機械以外の基本的な対策ですが、積み重ねることで鼻づまり軽減に寄与します。

 

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鼻づまりが改善しないときはどうする?

 

上記の対策を講じてもなおCPAP使用時の鼻づまりが強く、「どうしてもつらい」という場合は、以下のさらなる対応策を検討します。

耳鼻咽喉科での診察(鼻炎・副鼻腔炎の治療)

まずは専門医である耳鼻咽喉科を受診し、鼻の状態を詳しく調べてもらいましょう。

アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎が隠れていないか、鼻中隔の弯曲やポリープなど物理的な閉塞がないかをチェックすることが重要です。

もし何らかの鼻疾患が見つかれば、その治療を行うことでCPAP使用時の鼻づまりも改善する可能性があります。

たとえばアレルギー性鼻炎であれば、抗ヒスタミン薬の内服やステロイド点鼻による積極的なアレルギー治療が必要です。

また慢性副鼻腔炎の場合、抗生剤の投与や副鼻腔洗浄、場合によっては内視鏡下副鼻腔手術で鼻通りを改善する選択肢もあります。

鼻中隔弯曲が強い場合は鼻中隔矯正術で空気の通り道を広げられますし、下鼻甲介(鼻の粘膜ヒダ)の肥大があれば粘膜を縮小する処置(焼灼術など)も検討されます。

特にレーザー治療は下鼻甲介肥大の改善に用いられることがあり、鼻づまり軽減に有効です(レーザーによる粘膜焼灼で腫れた組織を小さくします)。

ある研究では、鼻閉の外科的治療(鼻中隔や下甲介の手術)を行ったSAS患者全員でCPAPの使用耐容度とコンプライアンスが向上したと報告されています[26][27]

このように、根本的な鼻の問題を治すことで、CPAP治療を快適に継続できるようになるケースも多いのです。

鼻づまりに悩んだら遠慮なく耳鼻科医に相談しましょう。

CPAP以外の治療(マウスピース・手術)も選択肢

どうしてもCPAPがうまくいかない場合、CPAP以外の治療法に目を向けることも必要です。

中等症までのSASであれば、歯科装具を用いたマウスピース治療(口腔内装置療法)が有効な場合があります。

マウスピース(下顎前方移動装置)は就寝時に下あごを前方に固定することで喉の気道を拡げ、無呼吸の頻度を減らします。

CPAPほど無呼吸を完全には抑制できないこともありますが、患者さんの使用継続率が高いとの報告もあり[28][29]、CPAPが耐えられない方には現実的な代替手段となります。

実際、専門学会のガイドラインでも「CPAPに不耐容な成人患者には口腔内装置を処方することを検討せよ」と勧告されています[30][31]

一方、重症SASや解剖学的異常がある場合は外科手術も選択肢です。

代表的なものに、軟口蓋や扁桃を切除・縮小して上気道を拡げる手術(いびき・無呼吸手術)があり、これにより無呼吸の改善が期待できます。

また、肥満によるSASには減量手術(胃縮小術など)が効果を示す場合もあります。

最近では舌下神経刺激装置(Inspire療法)といった新しい治療も登場しています。

重要なのは、CPAP以外にも治療法が存在するということです。

それぞれメリット・デメリットがありますが、医師と相談しながら自分に合った治療を選ぶことができます。

ただし、口腔内装置や手術は適応に条件があるため、全員に有効とは限らない点は念頭に置いてください。

自己判断で治療を中止せず必ず医師に相談

鼻づまりがつらいからといって、自己判断でCPAP治療を中断してしまうのは絶対に避けましょう。

前述の通り、未治療のSASは放置すると様々な健康リスクを高めます。

CPAPを勝手にやめて無呼吸を放置すれば、また日中の眠気や高血圧・心疾患リスクがぶり返してしまいます。

どうしてもCPAPが辛い場合は、勝手に止めるのではなく必ず担当医に相談してください。

医師はこれまで述べたような対策(加湿設定の変更、点鼻薬処方、マスク変更、圧力調整など)を総合的に検討し、可能な限りCPAPを継続できる方策を一緒に探ってくれます。

それでも難しければ他の治療への切り替えも含めて提案してくれるでしょう。

実際、医療機関の規模によっては看護師や臨床工学技士によるCPAPフォローアップ外来を設け、使用上の悩み相談に応じているところもあります。

一人で抱え込まず、医療者のサポートを仰ぎましょう。

大事なのは治療をやめないことです。

SASは完治が難しい慢性疾患ですが、治療を続ければリスクをコントロールできます。

鼻づまりは決して理由になりませんので、「合わないからもういいや」と諦めず、改善策を模索してください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

最後に、まだ診断は受けていないものの「自分も睡眠時無呼吸症候群かもしれない」と感じている方へのアドバイスです。

SASが疑われる場合は、早めに医療機関で検査・診断を受けることが重要です。

いびきが大きい、睡眠中の無呼吸を指摘された、日中の強い眠気がある、高血圧や肥満を指摘されている――このような方はSASの可能性があります。

SASは非常にありふれた病気で、成人の数%~十数%に及ぶとも言われますが、その8090%は未診断のまま放置されているとの推計もあります[32][33]

未治療のSASは放っておいても自然に治ることは少なく、上述したような重大な合併症につながるリスクもあります。

しかし「忙しくて病院に行けない」「睡眠検査に抵抗がある」という方も多いでしょう。そこで活用したいのがオンライン診療です。

現在では、初診からオンラインで相談に乗ってくれる睡眠専門医療機関も増えてきています。

オンライン診療であれば、自宅にいながらビデオ通話等で医師の問診を受けられ、必要な検査機器(自宅でできる簡易睡眠検査キットなど)を郵送してもらうことも可能です。

結果に応じて適切な治療(CPAPやマウスピース治療など)を提案してもらえます。

特にコロナ禍以降、遠隔でのSASスクリーニングや治療開始が柔軟に行われるようになってきました。

「ひょっとして…」と思ったら、まずはオンライン診療で専門医に相談(リンク先)してみましょう。早期発見・治療により、快適な睡眠と健康を取り戻すことができます。

※本記事は、最新の研究知見に基づき執筆していますが、実際の医療判断は主治医とよく相談して行ってください。症状や対応策には個人差があります。不明点があれば遠慮なく専門医にお問い合わせください。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] [2] [19] Nasal inflammation in sleep apnoea patients using CPAP and effect of heated humidification – PubMed

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20595158/

[3] [6] [7] [8] [9] Association of Allergic Rhinitis With Change in Nasal Congestion in New Continuous Positive Airway Pressure Users | Allergy and Clinical Immunology | JAMA Otolaryngology–Head & Neck Surgery | JAMA Network

https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/fullarticle/2764149

[4] Continuous Positive Airway Pressure (CPAP) Induces Early Nasal …

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2225550/

[5] Dose response of continuous positive airway pressure on nasal …

https://publications.ersnet.org/content/erj/40/5/1180

[10] [11] Life | Special Issue : Obstructive Sleep Apnea Syndrome: History, Current Status, Perspectives

https://www.mdpi.com/journal/life/special_issues/Sleep_Syndrome

[12] [13]  A sleep clinician’s guide to runny noses: evaluation and management of chronic rhinosinusitis to improve sleep apnea care in adults – PMC

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10394352/

[14] Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep …

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15781100/

[15] Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep …

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140673605711417/abstract

[16] [17] Mouth Breathing Compromises Adherence to Nasal Continuous Positive Airway Pressure Therapy – CHEST

https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(15)31303-9/abstract

[18] Mouth closing device (chinstrap) reduces mouth leak during nasal …

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1389945703002521

[20] [21] [22] [23] Effects of humidification on nasal symptoms and compliance in sleep apnea patients using continuous positive airway pressure – PubMed

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10453869/

[24] [25] Effects of intranasal steroids on continuous positive airway pressure compliance among patients with obstructive sleep apnea – PubMed

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33104981/

[26] [27] Surgical correction of nasal obstruction in obstructive sleep apnea improves CPAP outcomes and compliance – PubMed

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35083644/

[28] [29] Evidence Brief: Oral Appliances for Sleep-Related Breathing Disorders

https://www.ada.org/-/media/project/ada-organization/ada/ada-org/files/resources/research/ada_sci_oralappl_srbd_brief_final_15.pdf

[30] [31] Oral Appliance Therapy for Obstructive Sleep Apnea: Clinical Benefits and Limitations

https://sleepmedres.org/journal/view.php?doi=10.17241/smr.2023.01921

[32] [33] Prevalence of undiagnosed obstructive sleep apnea among adult surgical patients in an academic medical center – PubMed

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19186102/

 

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CPAPがすごいと言われる理由|睡眠改善から健康効果まで紹介

 

いびきや日中の強い眠気に悩んでいませんか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として知られるCPAP(シーパップ)療法は、「睡眠の質が劇的に向上する」「健康面でもメリットが大きい」と評判です。

実際、適切にCPAPを使えば夜間の無呼吸や低酸素状態が改善し、翌日の目覚めが変わるほど効果を実感できる人も多くいます。

この記事では、CPAPがなぜ“すごい”と言われるのか、その仕組みから医学的な効果、快適に続けるコツまでを分かりやすく紹介します。【1】

睡眠の悩みを抱える方や「CPAPは効果ないのでは?」と感じている方も、ぜひ参考にしてください。

 

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そもそもCPAPとは?

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure、持続陽圧呼吸療法)とは、主に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な治療法です【1】。

就寝時に専用の小型装置とマスクを装着し、空気に一定の圧力をかけて鼻や口から気道に送り込むことで、狭くなった喉の通り道を広げて気道の閉塞を防ぐ仕組みになっています【1】【2】。

この持続的な空気圧のおかげで、睡眠中に繰り返される「いびき」や「無呼吸」を防ぎ、眠りを深くする効果があります。

実際、中等症以上の閉塞型SAS患者さんの多くで有効とされ、現在もっとも標準的で効果的な治療法と位置付けられています【1】。

SASに対する第一選択の治療法

中等度~重度の睡眠時無呼吸症候群ではCPAP療法が第一選択になります【1】。

マウスピースや外科手術など他の治療法もありますが、CPAPは適応となる患者さんには世界的に推奨される標準治療です。

マスクから空気を送り込み気道を確保

寝ている間、鼻や口に装着したマスクを通じて持続的に空気を送り込みます。

その空気圧で喉や気道が押し広げられ、軟らかい組織の沈下や閉塞を防ぎます【1】【2】。

いびき・無呼吸を防いで熟睡をサポート

CPAPの使用中は、空気圧が喉を支えるため睡眠中のいびきがほとんど消失し、呼吸停止も起こりにくくなります【2】。

その結果、夜通し十分な酸素が確保され脳と体がしっかり休めるため、浅い眠りから深い眠りへと睡眠の質が改善します。

 

※要するに、CPAPとは「寝ている間に空気の力で喉の通り道を広げ、呼吸の途切れない深い睡眠を実現する治療器具」です。

次章からは、そんなCPAP療法を使うことで得られるメリットを具体的に見ていきましょう。

CPAPが「すごい」と言われる理由

CPAP療法には、患者さんの感じる効果から健康上のメリットまで様々な「すごい!」ポイントがあります。その主な理由を順番に紹介します。

熟睡できるようになり日中の眠気が激減

CPAPを使うと夜間の無呼吸による頻繁な覚醒がなくなり、朝までぐっすり眠れるようになります。

その結果、日中の強い眠気(過度の眠気)や倦怠感が大幅に改善することが多く報告されています【2】。

実際、大規模臨床試験でもCPAP治療群はプラセボ群に比べて日中の眠気スコアが有意に改善し、患者さん本人も「睡眠が深くなった」と感じるケースが多いのです【2】。

十分な睡眠により頭がすっきり冴えることで、「毎日寝不足だったのが嘘のよう」と熟睡効果を実感する人もいます。

集中力やパフォーマンスが改善

熟睡できるようになることで仕事や日常生活での集中力・注意力が向上します。

例えば、睡眠時無呼吸の患者さんは運転中の交通事故リスクが健常者の2.5倍にも達しますが、CPAPを適切に使用するとその事故発生率が約70%も低減したとの研究報告があります【3】。

これはCPAPで日中の眠気や反応速度が改善し、認知機能・判断力が回復するためと考えられます【3】。

このように、CPAP治療によって「仕事中に居眠りしなくなった」「趣味や運動に集中できるようになった」など生活のパフォーマンスが全般的に底上げされる効果が期待できます。

高血圧・心疾患など合併症リスクを減らす

SASを放置すると高血圧や不整脈、心筋梗塞・脳卒中などの重大な合併症リスクが高まることが知られています【4】【5】。

しかしCPAP治療によって睡眠中の低酸素状態や血圧の乱高下が改善され、これらリスクを大きく低減できる可能性があります。

事実、CPAPの使用で収縮期血圧が平均23 mmHg、拡張期血圧が15 mmHg程度低下するとする分析研究があり【5】、わずかな降圧でも脳卒中や心臓病の発症リスクを有意に下げる意義ある改善です【5】。

さらに、CPAPを続けた患者では心血管イベント(心筋梗塞や心不全など)や心臓突然死の発生率が有意に減少し、生存率が向上したとの報告もあります【4】。

このようにCPAPは高血圧や心疾患、糖尿病といった生活習慣病の予防・改善効果まで期待できる「すごい」治療なのです。

使用したその日から効果を実感する人も多い

「治療効果はすぐに現れる」と言われるほど、CPAPは開始初日から劇的な変化を感じるケースがあります【6】。

個人差はありますが、中には「初めてCPAPを使った翌朝、何年ぶりかで熟睡できたと感じた」という声もあります。

実際の研究でも、CPAP初夜の翌朝には健康状態や気分が有意に向上したと報告されています【6】。

一部では「シーパップを使っても効果ないのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし適切に装着・使用すれば、多くの患者さんが初日から「朝の爽快感」や「日中の眠気の軽減」といった効果を実感しています【6】。

この即効性の高さも、CPAP療法が評価される大きな理由でしょう。

 

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医学的に見ても「すごい」CPAPの効果

患者さん本人の体感だけでなく、医学的な指標やデータから見てもCPAPの効果は明白です。

ここではCPAP治療による客観的な改善ポイントを挙げます。

AHI(無呼吸低呼吸指数)の大幅改善

AHIとは一時間あたりの無呼吸・低呼吸(呼吸が止まる/浅くなる)回数を示す指標で、重症度の評価に使われます。

CPAPを装着すると、このAHIが劇的に減少します。例えばある大型試験では、治療前は平均29回/時だったAHIがCPAP使用後には3.7/時まで低下しました【2】。

これは正常(5未満)レベルにまで呼吸障害が解消されたことを意味します。

また別の調査でも、6時間以上/夜のCPAP使用でAHIが正常範囲に戻ったという報告があります【6】。

要するに、CPAPは睡眠中の呼吸イベントをほぼ完全に抑え込み、質の高い連続した睡眠を可能にするのです。

血圧や心拍の安定化

CPAP治療は夜間の血圧変動や心拍リズムを安定化させます。

無呼吸による酸素低下や覚醒反応は交感神経を過剰に刺激し、夜間にも血圧が急上昇したり不整脈を誘発したりします。

CPAPで呼吸が安定すると、睡眠中本来あるべき血圧低下パターンが回復し、夜間高血圧や頻脈が改善します【4】【5】。

平均的な血圧降下幅は小さいものの、治療抵抗性高血圧の患者ではCPAPで大幅な降圧効果が出ることも報告されています【5】。

さらにCPAPの継続使用により、睡眠中の致死性不整脈や突然死のリスクも低減しうると期待されています(実際、無呼吸患者で高い夜間急死リスクが、CPAP使用者では健常者並みまで低下したとの示唆もあります)。

このようにCPAPは心血管系への負担を和らげ、循環器の合併症予防につながる点で医学的価値が高いといえます。

QOL(生活の質)が向上

CPAP治療によって生活の質(QOL)が客観的にも改善します。

睡眠の質向上に伴い、エネルギーレベルや認知機能、気分などを評価する各種質問票のスコアが向上することが臨床試験で示されています【2】【6】。

例えば、ある研究ではCPAP導入後に身体的・精神的健康指標が有意に上昇し、抑うつ傾向や不安感も軽減しました【6】。

NEJM掲載の大規模試験でも、CPAP群で健康関連QOLのスコアがプラセボ群より明らかに改善しています【2】。

患者さんの主観だけでなく、医師の問診や検査によっても「気分が安定し活動的になった」「日常生活動作がスムーズになった」といったプラスの変化が確認できるのです。

こうしたQOLの向上こそ、CPAP療法が患者さんにもたらす最大の恩恵であり、「人生が変わった」と表現する人もいるほどです。

CPAPを続けるための工夫

CPAP療法は効果が大きい反面、「毎晩マスク装着が煩わしい」「慣れるまで苦しい」といった声もあります。

しかし工夫次第で快適さを向上させ、長期継続しやすくできます。

以下にCPAPを無理なく続けるためのポイントを紹介します。

自分に合ったマスクの種類を選ぶ

CPAPのマスクには鼻マスク(鼻のみ覆うタイプ)、フルフェイスマスク(鼻と口を覆うタイプ)、ピロータイプ(鼻孔に差し込むタイプ)など複数の種類があります。

それぞれフィット感や向き不向きが異なるため、鼻詰まりしやすい人はフルフェイス、口呼吸が少ない人は鼻マスクといったように自分に合うタイプを医師や業者と相談して選びましょう。

マスクのフィッティングを正しく行えば空気漏れも防げます。合わない場合は遠慮なく別の種類を試すことも大切です。

装着感が向上すれば、「CPAPは苦しい」という印象も和らぎ治療の継続につながります。

加湿器を使って乾燥対策

「CPAPをつけると喉や鼻が乾く」「鼻づまりが起きる」という場合は、加温加湿器の併用がおすすめです。

CPAP装置に接続できる加湿ユニットや、部屋に加湿器を置いて適度な湿度を保つことで、送られてくる空気が潤い、鼻や喉の粘膜の乾燥・刺激を防げます【7】。

特に冬場や乾燥した環境では加湿なしではつらいので、症状がある場合は主治医に相談して専用の加湿器を導入してもらいましょう【7】。

適切な湿度管理により、鼻痛・のどの渇き・鼻血などの副作用が軽減し、快適に続けやすくなります。

圧設定を医師に相談して調整

CPAPの空気圧が合っていないと、「圧が強すぎて息苦しい」「お腹に空気が入って張る」などの不快感につながります。

そうした場合は我慢せず、圧力設定を主治医に相談して調整してもらいましょう

多くの装置には、就寝直後は低めの圧で開始し徐々に目標圧まで上げる「ランプ機能」や、呼気時だけ圧を下げる機能も備わっています【8】。

これらを活用すれば圧迫感が和らぎ、睡眠への影響も軽減します。

また体重の増減や体調変化で適正圧が変わる場合もありますので、定期受診時に状況を伝えて最適な圧に再設定してもらうことも重要です【8】。

CPAP治療は患者さんそれぞれに合った細かな調整が肝心ですので、不快な点は医療者と相談しながら解決しましょう。

 

以上のような工夫により、CPAP療法の快適性と持続率は大幅に向上します。

「面倒くさい」「合わない」と感じて途中でやめてしまっては効果が得られません。

逆に言えば、工夫次第でCPAPは長期間にわたりあなたの睡眠と健康を支えてくれるのです。

困ったことがあれば一人で抱え込まず医療機関に相談してください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

もし「ひょっとして自分は睡眠時無呼吸症候群かも?」と思い当たる場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。

近年は遠隔で相談・診察ができるオンライン診療も普及しており、忙しい方でも自宅から気軽に受診可能です。

森下駅前クリニックのオンラインSAS外来では問診や簡易検査の案内をリモートで行い、必要に応じて適切な治療につなげています

 

睡眠時無呼吸症候群は放置すると様々な合併症リスクを高めますが、CPAP療法という心強い治療法で改善・予防が期待できます。

いびきや極度の眠気などの症状がある方は、ぜひ一度オンライン診療を活用して専門医に相談してみましょう。

早期発見・治療によって、質の高い睡眠と健康的な生活を取り戻す第一歩を踏み出せるはずです。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

  1.   日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020. (症状が強い症例、および中等症~重症例ではCPAP治療が第一選択となり行うことが強く推奨されている)【1】
  2.   McEvoy RD, et al. CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med. 2016;375(10):919-931. CPAP群でAHI293.7に低下し、日中の眠気と健康関連QOLが有意に改善)【2】
  3.   Karimi M, et al. Sleep apnea-related risk of motor vehicle accidents is reduced by CPAP: Swedish Traffic Accident Registry data. Sleep. 2015;38(3):341-349. CPAP 4時間使用者で交通事故リスクが約70%減少)【3】
  4.   Yang D, et al. Effects of CPAP on cardiac events and metabolic components in OSA with coronary artery disease: a meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2023;19(12):2015-2025. CPAPで主要心血管イベントリスクが有意に低下し、4時間以上の使用で効果顕著)【4】
  5.   Haentjens P, et al. Impact of CPAP on Blood Pressure in Patients with OSA: a Meta-analysis of Randomized Trials. Arch Intern Med. 2007;167(8):757-764. CPAPにより24時間平均血圧が約1.7 mmHg下降。小幅でも脳卒中・心疾患リスク低減に寄与)【5】
  6.   Iacono Isidoro S, et al. Immediate effect of CPAP titration on perceived health-related quality of life in OSA. BMC Pulm Med. 2016;16:172. CPAP導入直後の翌朝からPGWBISF-12尺度が有意改善し、主観的健康感が向上)【6】
  7.   フクダ電子 CPAPサポートQ&A「Q2. 鼻づまり・乾燥への対策」2021. (室内湿度調整や加温加湿器の使用で鼻・喉の乾燥症状を改善)【7】
  8.   フクダ電子 CPAPサポートQ&A「Q4-6. 圧に関するトラブル対処」2021. (ランプ機能や呼気圧低減機能の活用、医師による圧再調整で不快感を軽減)【8】

 

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CPAPを使っている有名スポーツ選手は?アスリート・スポーツ選手の事例を紹介

 

近年、スポーツ選手の中にも睡眠時無呼吸症候群(SASに悩む人が増えており、その治療法としてCPAP(シーパップ)療法が注目されています。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に繰り返し呼吸が止まってしまう睡眠障害で、いびきや日中の強い眠気などの症状を引き起こします[1][2]

実は多くの有名アスリートもこの症状に苦しみ、CPAPによって克服しています。

本記事では、スポーツ選手がCPAPを使用している事例を紹介し、なぜアスリートにCPAPが必要とされるのか、その効果について解説します。

 

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CPAPとは?スポーツ選手も使う治療法

CPAPとは「Continuous Positive Airway Pressure(持続陽圧呼吸療法)」の略で、就寝時に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防ぐ治療法です[3]

SASの標準的な治療方法であり、中等度以上の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合にはCPAP療法が第一選択として推奨されます[4]

マスクから圧力のある空気を送り続け喉の閉塞を防ぐことで、いびきや無呼吸を解消します。その結果、深い睡眠が確保できるため「意味がない」どころか質の高い睡眠を得られ、日中の眠気や疲労感の改善につながります[5]

このCPAP装置は一般患者だけでなく多くのトップアスリートにも利用されており、遠征先にも携帯して使用する選手もいます。

CPAPを使っているスポーツ選手(事例紹介)

スポーツ界でも実際にCPAPを活用してSASを克服した例が多数あります。以下に有名アスリートの事例を紹介します。

豊ノ島(元大相撲力士)

元関取の豊ノ島さんは、自身が睡眠時無呼吸症候群であることを公表し、治療のためCPAP装置を愛用しています。

本人のInstagramでは「CPAPのおかげで上質な睡眠が取れます!ありがとうCPAP」とコメントし、海外遠征にも欠かせない必需品だと述べました[6]

CPAPを使用し始めてから睡眠の質が向上し、日中の活力が戻ったといいます。

政所 仁(キックボクサー)

キックボクシング選手の政所仁さんも重度の睡眠時無呼吸症候群に悩まされてきました。

検査で「1時間に40」も呼吸が止まっていることが判明し、2025年に入ってCPAP療法を開始しています[7]

政所選手は「今日からCPAPデビュー。ちゃんと眠れたら明日から50倍強くなる」と冗談交じりに語り[7]、十分な睡眠による競技力向上に期待を示しました。

新庄 剛志(プロ野球監督)

プロ野球・日本ハムファイターズの新庄剛志監督も、自身が昨年SASを発症したことを明かしています。

睡眠中に最長で約2分40秒も無呼吸状態になる重症例で、「現在、睡眠時無呼吸症候群を治療するためシーパップを装着して就寝している」と公表しました[8]

CPAP使用後は朝の疲労感が軽減し、本調子を取り戻せたといいます。

村田 毅(ラグビー元日本代表)

ラグビー日本代表として活躍した村田毅選手も、現役時代からひどいいびきとSASに悩まされていました。

医療機関を受診しCPAPマスクを着用して眠るようにしたところ、長年取れなかった熟睡ができるようになりパフォーマンスの向上を実感[9]

実際、CPAP導入からわずか2ヶ月後に日本代表へ再招集されるなど、競技人生にも良い変化をもたらしました[9]

村田選手は「それまでの自分は標高5000mの山の上で寝ているようなものだと言われた」と振り返り、CPAPで人生が大きく変わったと語っています。

斉藤 立(柔道選手)

柔道男子100キロ超級の斉藤立選手(パリ五輪代表)は、中学1年生の頃からCPAPを使用していると明かしています[10]

合宿にCPAP機器を持参しないと眠れないほどの無呼吸症で、「自分は無呼吸症候群なのでパリにはCPAPを持って行きます」とテレビ番組で公言しました[10]

幼い頃からの治療により睡眠の質を確保し、大舞台でも万全のコンディションを維持しています。

 

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なぜスポーツ選手にCPAPが必要なのか

では、なぜ特にスポーツ選手にCPAPによる治療が必要とされるのでしょうか。その理由として、以下の点が挙げられます。

大柄な体格ゆえのSASリスク

体格の大きなアスリートほど気道が狭くなり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しやすい傾向があります。

実際、北米NFL選手では3人に1人がSASとの研究報告や[11]、大相撲力士でも約半数に睡眠中の異常が認められたとの調査があります[12]

また、筋肉質で首周りが太いラグビー選手や格闘家、ボディビルダー、野球選手などもリスクが高いとされます[13]

無呼吸による日中の眠気・集中力低下は競技に不利

SASを放置すると、睡眠中に十分な休息が得られないため日中に強い眠気や集中力の低下を招きます[14]

慢性的な睡眠不足による眠気は会議中の居眠りや居眠り運転など重大事故の原因にもなり、本来の力を発揮できなくなることが指摘されています[2]

スポーツでも同様に、試合や練習中に集中力が欠ければ致命的です。

CPAP治療によって眠気が解消されれば、競技中にパフォーマンスを100%発揮できるようになるでしょう。

睡眠改善がパフォーマンス維持・向上につながる

質の高い睡眠は筋肉の回復やメンタル面の安定にも直結します。

CPAPで無呼吸が改善されると、日中の集中力の持続運動能力の向上、ケガからの回復促進など様々なメリットが期待できます[15]

実際にCPAP使用後「体調が万全になり成績が向上した」という選手もおり、睡眠の質の重要性が改めて認識されています。

CPAP治療は一般の方にも効果がある?

CPAPはアスリートだけでなく、一般の睡眠時無呼吸症候群の患者にも非常に有効な治療法です。以下のように、多くのメリットがあります。

一般の患者にも推奨される標準治療

睡眠時無呼吸症候群が中等症以上と診断された場合、アスリートに限らず誰でもCPAP療法が第一選択として推奨されます[4]

日本でも多くの患者さんが保険適用でこの治療を受けており、その効果が広く実証されています。

健康リスクの予防にも効果的

CPAPで無呼吸を治療することで、SASに伴って増加する高血圧や心疾患、脳卒中など重大な健康リスクを抑えることができます[14]

質の高い睡眠を確保することで、慢性的な酸欠状態やストレスによる生活習慣病(メタボリックシンドローム)のリスクも低減します。

日中の眠気を解消して生活の質が向上

夜間しっかり眠れるようになると日中の強い眠気や倦怠感が改善され、仕事や家事で本来の力を発揮できるようになります[5]

集中力が増し気分も前向きになるため、CPAP治療により「人生が変わった」と感じる患者さんも少なくありません。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

スポーツ選手に限らず、「いびきがひどい」「十分寝ても疲れが取れない」といった症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群を疑ってみることが大切です。

SASを放置すると日常生活や健康に大きなデメリットを及ぼす可能性があるため、早めに専門医に相談しましょう[16]

近年はオンライン診療で自宅から気軽に相談・検査を受けることも可能です。忙しい方や遠方の方でも、スマホやPCを通じて睡眠の専門医にアドバイスを受けられます。

眠っている間の無呼吸が気になる方は、ぜひオンライン診療をご利用ください。

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

豊ノ島さんInstagram投稿[6]; 政所仁選手のX投稿(日刊スポーツ)[7]; 新庄監督の告白(東スポWEB)[8]; 村田毅選手の体験談(TORCHイベント)[9]; 斉藤立選手の発言(スポニチ)[10]; 一般社団法人SAS患者会[17][18]; 厚労省資料(TBS)[14]; 医療機関サイト(KKR札幌)[2][4][5][16].

[1] [2] [4] [5] [16] 睡眠時無呼吸症候群に関するQ&A|睡眠時無呼吸症候群|専門(特殊)外来のご案内|外来のご案内|KKR札幌医療センター KKR Sapporo Medical Center

https://smc.kkr.or.jp/outpatient/apnea_02.html

[3] [7] 〖RISE〗政所仁、重度の睡眠時無呼吸症候群だった CPAP機器を使って眠る写真アップ – 格闘技 : 日刊スポーツ

https://www.nikkansports.com/battle/news/202506250000237.html

[6] [14] 〖 元大相撲力士・豊ノ島 〗 睡眠時無呼吸症候群を公表 「CPAPのおかげで上質な睡眠」 海外遠征にも必携の装置 | TBS NEWS DIG (1ページ)

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2104021?display=1

[8] 〖1ページ目〗〖日本ハム〗新庄監督が〝持病〟を告白 昨年発症「これ異常…。怖くなった」 | 東スポWEB

https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/254308?page=1

[9] イベントレポート|オンラインイベント『TORCH Live Meeting vol.1』開催![後編] | TORCH

https://torch-sports.jp/article/torch-live-meeting-vol1-2ndday

[10] 柔道・斉藤立 「誰かが俺を殺そうとしてる」合宿中に起きた出来事 「人間不信になった」 – スポニチ Sponichi Annex スポーツ

https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2024/06/08/kiji/20240608s00006000725000c.html

[11] [12] [13] [15] [17] [18] スポーツ選手にも多い睡眠時無呼吸症候群 | 一般社団法人 睡眠時無呼吸症候群に打ち克つための患者の会

https://mukokyu.org/sports/

 

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CPAPをやめたい…自己判断は危険?考えられるリスクと安全な代替法

 

CPAP(シーパップ、持続陽圧呼吸療法)は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の標準的な治療法です。

しかし、長期間の使用において「CPAPをやめたい」と感じる患者さんも少なくありません。

マスクの不快感や副作用、治療の手間などから途中で自己判断で中止したくなることもあるでしょう。

ただし、CPAPを自己判断で中断することは危険です。本記事では、CPAP治療をやめたくなる理由、その際に懸念されるリスク、安全な対処法や他の治療法について、最新エビデンスを交えながらわかりやすく解説します。

最後に、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合に当院のオンライン診療を活用する方法もご紹介します。

 

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なぜ「CPAPやめたい」と感じるのか

 

CPAP治療には大きな効果がありますが、一方で日々使用する中で様々な不満や負担を感じることがあります。

その結果、治療継続が難しくなり「やめたい」と感じる主な理由には以下のようなものがあります。

 

マスクの装着が不快で眠れない

鼻や口に装着するCPAPマスクに圧迫感を覚え、異物感で眠りにくいことがあります。

特に慣れないうちはマスクが邪魔に感じてしまい、不眠の原因になることもあります。

また、閉所恐怖感からマスク着用自体に強い抵抗を示す患者さんもいます。

このような装着感の不快さはCPAP治療中止の大きな原因の一つです。

実際、CPAP導入初日から使用を拒否してしまう患者さんは全体の8~15%にのぼり、治療開始1年以内に半数近くが継続できなくなるとの報告もあります【1】。

 

空気の圧が強くて苦しい

CPAPは気道に陽圧を送り続けるため、設定圧が高いと「息が押し込まれる」ような違和感や苦しさを感じることがあります。

特に重症のSASでは高めの圧力が必要な場合があり、その圧力に慣れるまでは眠りにくさを感じることがあります。

呼気時に空気を吐き出しにくいと感じたり、お腹に空気が溜まって張ってしまう(空気嚥下症状)ケースもあります。

このような圧迫感から、「CPAPを使うと余計に眠れない」と感じてやめたくなることがあります。

 

鼻づまり・乾燥・肌荒れなどの副作用

CPAPから送られる空気によって鼻や喉が乾燥したり、鼻詰まりが悪化することがあります。

またマスク内から空気が漏れて目や肌に当たると、目の乾燥や顔の肌荒れの原因にもなります。

マスクや頭部固定バンドの圧迫による皮膚の発赤・圧痕ができることもあります。こうした副作用がつらい場合、CPAP治療への意欲が低下してしまいます。

加湿器の併用などで緩和できる場合もありますが、それでも症状が続くと「もうやめたい」と感じる一因になります。

 

器具の手入れや持ち運びが面倒

CPAP装置の日々の手入れ(マスクやホースの洗浄・乾燥など)や、出張・旅行時の持ち運びを負担に感じる患者さんもいます。

CPAP機器は決して小さくはないため、外泊の度に持って行くのは手間ですし、人前で使用することへの抵抗感(周囲の目が気になる、不恰好に感じるなど)もストレスになります。

こうした煩雑さから「生活の質が下がる」と考え、治療中断を考えてしまうことがあります。

 

効果を感じられないときの不安

CPAPを使用していても、すぐには症状の劇的な改善を実感できない場合もあります。

本来CPAPは使用初日からいびきや日中の眠気が改善する即効性が期待できますが、人によっては効果実感に時間がかかったり、そもそも重度の眠気症状がなかったケースでは「あまり変わらない」と感じてしまうことがあります。

また、CPAPで無呼吸自体は防げていても疲労感が抜けない場合、「本当に意味があるのか?」と不安になることもあります。

効果への疑問や期待外れ感からモチベーションが下がり、中止したくなることがあります。

 

治療期間が長い

睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療は根本的な治療(完治療法)ではなく、症状を抑える対症療法です。

そのため、基本的には一生涯にわたって毎晩続ける必要があるとされています【2】。

この「治療のゴールが見えにくい」点に不安や負担を感じ、「いつまで続くのか」「ずっとこの生活は嫌だ」と思ってしまう患者さんもいます。

特に症状が軽減してくると「もう治ったのでは?」と自己判断し、中断を考えてしまうケースもあります。

しかし、多くの場合、CPAPをやめてしまうと症状が再燃してしまうため注意が必要です。

 

以上のように、CPAPをやめたくなる理由は多岐にわたります。

事実、CPAP治療の長期継続率は決して高くなく、治療開始から1年以上しっかり使用を続けている患者さんは半数程度と報告されています【1】。

しかし、こうした問題点には解決策もあります。

次章で述べる対策を試みることで、CPAPの不快感を減らし治療を継続できる可能性があります。

また、どうしてもCPAPが合わない場合には他の治療法への切り替えも検討できます。大切なのは、勝手に中止せずに主治医と相談しながら対策を講じることです。

 

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CPAPをやめるとどうなる?

 

「もうCPAPをやめたい」と思って自己判断で治療を中断してしまうと、睡眠時無呼吸そのものは治っていないため様々な悪影響が再び現れるリスクがあります。

CPAPを中止した場合に起こり得る代表的な事柄を見てみましょう。

 

無呼吸症候群の症状が再発する可能性

CPAPによって空気の通り道(上気道)が保たれている間は無呼吸や低呼吸が防がれています。

しかしCPAPをやめてしまえば、再び睡眠中に気道が塞がり無呼吸状態が繰り返されるようになります。

CPAP中止後わずか数日で、無呼吸低呼吸指数(AHI)が元の重症レベルまで急速に悪化したとの報告があります【3】。

つまり、治療により抑えられていたいびきや無呼吸発作、断続的な覚醒といった症状がすぐに戻ってきてしまう恐れがあります。

また、それに伴い日中の強い眠気や倦怠感といった症状も再発することが確認されています【3】。

CPAPでせっかく改善した睡眠の質が低下し、再び熟睡感のない状態に逆戻りしてしまう可能性が高いのです。

 

高血圧・心筋梗塞・脳卒中などリスク増加

睡眠時無呼吸症候群を未治療のまま放置すると、高血圧や心血管疾患・脳血管疾患のリスクが高まることが知られています【2】。

無呼吸による低酸素と覚醒反応のたびに交感神経が過剰に働き、慢性的な高血圧を招いたり、血管内皮機能が損なわれ動脈硬化が進行すると考えられています【2】。

実際に、重症SAS患者を10年間追跡した海外研究では、CPAP非使用の群で心筋梗塞や脳卒中による死亡リスクが有意に高かったとの報告があります【4】。

CPAP治療中はこれらリスクが抑えられていたとしても、中止すれば再び高リスク状態にさらされます。

またCPAP中断からわずか2週間で、朝の血圧が平均で8mmHg程度上昇したとの研究結果もあり【3】、短期間でも血圧・心拍数など心血管系への負担が増大することが示唆されています。

CPAPを勝手にやめることは、将来的な高血圧や心筋梗塞、脳卒中の発症リスクを再び上昇させてしまう点に十分な注意が必要です。

 

日中の眠気・集中力低下が戻る恐れ

SASによる睡眠の質低下は、日中の強い眠気や集中力の低下を引き起こし、仕事中のミスや居眠り運転など重大な影響を及ぼします。

CPAP治療により多くの患者さんで日中の眠気は改善します。

しかしCPAP中止後は、また夜間に何度も無呼吸で目覚める断片的な睡眠に戻ってしまうため、日中の眠気が再発し活動能力が低下する可能性があります【3】。

特に長距離運転をする方は居眠り事故のリスクが高まりますし、仕事中の注意力低下はご自身のみならず他者の安全にも関わります。

CPAPを中断したことで「最近また日中に強い眠気が出てきた」「集中力が続かずミスが増えた」と感じる場合、無呼吸症状が戻ってきている可能性が高く危険です。

 

このように、CPAPをやめてしまうと睡眠時無呼吸症候群による様々な悪影響が再び顕在化する恐れがあります。

症状の再燃だけでなく、放置することで高血圧や心臓病・脳卒中など命に関わる合併症リスクも高まります【2】【4】。

一方で、適切にCPAP治療を継続できればこれらのリスクを抑制できる可能性があります。

最近発表されたメタ分析(複数の臨床試験データを統合した解析)では、CPAPを毎日4時間以上しっかり使用できている患者では、心筋梗塞や脳卒中など重大な心血管イベントの再発リスクが有意に低下したことが示されています【5】。

このことからも、自己判断でCPAPを中止せず、できる限り治療を継続・継守することが健康長期予後のために重要であるといえます【5】。

 

CPAPをやめたいときの解決策

 

どうしても「CPAPを続けるのがつらい、やめたい」と感じた場合でも、すぐに治療を中止するのではなく、まずは主治医に相談して対策を考えることが大切です。

CPAP治療の不快感や副作用にはいくつか解決策・工夫があります。

 

マスク装着方法の工夫

マスクが合わずに不快な場合は、自分に合ったタイプのマスクに変更することで改善する可能性があります。

CPAPマスクには、鼻だけ覆う「鼻マスク(ネーザルタイプ)」、鼻孔に差し込む「ピロータイプ」、口と鼻を両方覆う「フルフェイスタイプ」など様々な種類があります。

例えば口呼吸が強い方にはフルフェイス型が合いますし、閉所感が苦手な方には鼻孔に差し込む小型のピロータイプが向いている場合があります。

また、マスクと顔の隙間から空気漏れがあると乾燥や目の刺激になりますので、サイズの合ったマスクを選びフィッティングを調整することも重要です。

就寝時の違和感を減らす工夫としては、頭のベルト位置を調整したり、額当てパッドやマスククッションを柔らかい素材に変える方法もあります。

これらの装着工夫によって、マスクの不快感が軽減すれば治療継続が楽になるでしょう。

 

加湿器の併用

空気による鼻や喉の乾燥、鼻づまりにはCPAP装置の加温加湿器を利用することが有効です。

加湿機能付きのCPAPなら、送気に湿度と温かさを加えることで気道粘膜の乾燥を防ぎ、鼻閉や喉の違和感を軽減できます。

もしお使いのCPAPに加湿オプションがなければ、外付けの加湿器ユニットを追加することもできます。

特に冬場や乾燥した環境で症状が強い場合、適切な湿度設定を行うことでかなり改善するケースもあります。

また、鼻づまりがひどい時には就寝前に点鼻薬(鼻炎スプレー)を使ったり、鼻腔を洗浄するといった対策も有効です。

鼻呼吸を確保する工夫をすることでCPAPの使用感が向上し、「苦しい」「つらい」という思いが和らぐでしょう。

 

圧力設定の見直し

「空気の圧が苦しい」という場合には、CPAP装置の圧力設定を再評価してもらうことも大切です。

睡眠検査時に決めた最適圧力が、体調や体重変化によって過剰になっている可能性もあります。

必要最低限の圧力で無呼吸を防げるよう設定を調整すれば、不必要に高い圧による不快感を減らせます。

また最近ではオートCPAP(自動調節式CPAP)といって、一晩の中で必要に応じて圧力を自動調整してくれる機種もあります。

オートCPAPなら無呼吸が起きている時だけ圧を上げ、それ以外の安定している時は低めの圧で維持してくれるため、平均的な負担が減ります。

機種変更や圧の再設定については自己判断できませんので、必ず担当医に相談してください。

適切な圧力に再チューニングすることで、「圧が強すぎて苦しい」という問題が解決する可能性があります。

 

医師に相談して調整・サポートを受ける

CPAPをやめたくなるほどお困りの場合、まず主治医にその旨を率直に伝えましょう

医師側も患者さんがどんなことでつらさを感じているかを知ることが改善策検討の第一歩です。

マスクの種類変更や圧力設定調整は前述の通りですが、他にも使用方法の再指導によって改善するケースもあります。

例えば寝る前の装着手順を見直したり、就寝前リラックス法のアドバイス、CPAP装着時の姿勢の工夫(横向きで枕を調整する等)も有用です。

CPAP機器の定期メンテナンス(フィルターやホースの交換状況など)も確認してもらいましょう。

また、CPAP治療経験の長い患者さんのサポートグループや当院のような遠隔モニタリングシステムの活用も、継続を後押ししてくれます【1】。

医師や専門スタッフに相談すれば、様々な角度から解決策を提案してもらえます。一人で悩まず、遠慮なく相談することが大切です。

 

一時的な中断も自己判断せず必ず医師と相談

旅行や入院などで「数日だけCPAPを中断したい」と思うこともあるでしょう。

短期間であっても自己判断でCPAPを止めるのは避け、必ず事前に医師に相談してください。

中断期間中の代替策(例えば旅行中だけ使える簡易の携帯用CPAPや、どうしても使えない場合の注意点など)についてアドバイスを受けられます。

特にCPAPを付けずに寝るときは体位に気を付ける(極力横向きで寝る)など最低限の対策が必要です。

また、一度中断するとそのままやめてしまいたくなる心理も働きますので、医師と「いつから再開するか」を決めておくことも重要です。

CPAP中断はリスクを伴うため、自己判断で「今夜はサボろう」とせず、計画的に対応しましょう。

 

以上のように、CPAP治療を続ける上での工夫やサポート体制は色々あります。

大切なのは、「つらい→やめる」ではなく「つらい→相談・対策」という姿勢です。

医療者と二人三脚で問題点を一つずつ解決していけば、CPAPとうまく付き合える可能性があります。

それでもどうしても難しい場合、次の章で述べるようなCPAP以外の治療法を検討する選択肢もあります。

 

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CPAP以外の治療方法はある?

 

「どうしてもCPAPは合わない」「別の治療法でなんとかならないか」と感じる方もいるでしょう。睡眠時無呼吸症候群の治療法はCPAP以外にもいくつか存在します。

患者さんの症状の程度や原因によっては、別の方法で症状改善が期待できるケースもあります。それぞれの治療法の特徴を見てみましょう。

 

マウスピース治療(口腔内装置)

軽症~中等症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対しては、マウスピース(下顎前方器具)による治療が選択肢になります。

この装置は就寝時に歯にはめて下顎を前方に固定し、喉の気道を広げて無呼吸を軽減するものです。

CPAPと異なり機械や電源が不要で小型かつ持ち運びが容易な点が利点です。

旅行先でも使いやすく、装着中もCPAPマスクより違和感が少ないため生活への負担が小さい治療法です【2】。

一方で、重症(AHI30以上)では効果不十分なことが多く、あくまで軽症~中等症向けです。

また、歯科での型取りが必要であり、歯が20本以上残存している方でないと作製できません。

副作用として顎関節の痛みや歯の動き(噛み合わせ変化)が生じる可能性もあります。

効果の程度については個人差がありますが、いびきや日中の眠気に関してはCPAPと同程度に改善したとの報告もあり【6】、CPAPがどうしても合わない中等症程度の患者さんには有力な代替治療となります【6】。

保険適用で作製でき、費用は自己負担3割でおよそ1〜1.5万円程度(一回きり)です。

ただしマウスピース自体は数年ごとに作り直しが必要になることがあります。

当院でも診断後に適応があれば歯科口腔外科に紹介し、マウスピース治療への移行をサポートしています。

 

外科的手術による治療

睡眠時無呼吸の原因が扁桃肥大や鼻中隔の湾曲など局所的な気道狭窄にある場合、それらを取り除く外科的手術によって根本的な改善が期待できることがあります。

例えば扁桃腺が極度に大きいお子さんのOSAでは扁桃摘出手術で治癒するケースがありますし、鼻詰まりが重度の方では鼻中隔矯正や鼻腔拡大の手術で症状軽減が見込めます。

成人のOSAに対する代表的な手術は、のどの軟口蓋や扁桃周囲を切除・縫縮する口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)や、下顎を前方に移動させる顎骨手術(顎矯正手術)などがあります【2】。

手術の最大のメリットは、成功すれば毎晩の機械装着なしで眠れるようになる(根治が期待できる)点です。

ただしデメリットとして、全身麻酔下での手術リスクや術後の痛み・入院が必要になること、体への負担が大きいことが挙げられます。

また必ずしも手術でOSAが完治するとは限らず、術後に再発して結局CPAPに戻るケースもあります。

費用は手術の種類によりますが、保険適用3割負担で入院費込みで約5~30万円程度が目安です。

根本治療として魅力的ではありますが、誰もが受けられるわけではなく、適応となるのは「明らかな狭窄の原因がある場合」や「CPAPやマウスピースがどうしても困難な場合」などに限られます【2】。

当院でも耳鼻咽喉科専門医と連携し、必要と判断される場合は手術可能な医療機関にご紹介しています。

 

体重管理・生活習慣の改善: 肥満がある方のSASでは、減量による症状改善が非常に重要かつ有効です【2】。

首周りや咽頭周囲の脂肪が減ることで気道が広がり、無呼吸の頻度が大幅に減少することが期待できます。

実際、体重を約10kg減らすことで無呼吸低呼吸指数(AHI)が平均で約20%以上改善したとの研究報告もあります【7】。

特に軽症~中等症の方では、適切なダイエットでSASが完治または大幅に軽減し、CPAPが不要になるケースもあります【7】。

減量以外にも、睡眠時無呼吸症候群の悪化因子となる飲酒や喫煙の控制、十分な睡眠時間の確保、鼻炎の治療など生活習慣の見直しは、症状緩和と健康増進に欠かせません【2】。

生活習慣の改善は薬や機器に頼らない根本的アプローチであり、高血圧や糖尿病など合併症のリスクもまとめて下げられる点で大きなメリットがあります【2】。

ただし効果が出るまでに時間がかかり、継続的な努力が必要というデメリットもあります。

中等症以上のSASでは生活習慣改善「だけ」では不十分なことも多いため、CPAPなど他の治療と並行して行うのが現実的です。

それでも、減量に成功すればCPAPを卒業できる可能性もありますので、根気強く取り組む価値は大いにあります。

 

横向き寝などの体位療法

睡眠時無呼吸は仰向けで寝たときに特に悪化しやすい傾向があります。重力で舌や顎が喉の奥に落ち込み、気道を塞ぎやすいためです。

横向きで寝る(側臥位)習慣をつけるだけでも、仰向け時の無呼吸が軽減する場合があります。

これを利用した体位療法として、寝るときに専用の体位矯正用具(背中に着けるポジショントレーナーやリュックのような枕)を装着し、無意識に仰向けにならないよう工夫する方法があります。

市販の抱き枕や、リュックにタオルを詰めて背負って寝るといった簡易な方法で代用する人もいます。

体位療法は軽症の体位依存性SAS(仰向け時のみ無呼吸が多いタイプ)に有効ですが、重症の方や体位に関係なく無呼吸が出る方には効果が限定的です。

あくまで補助的な位置づけにはなりますが、「できるだけ横向きで寝る」「枕や寝具を工夫して気道を確保しやすい姿勢を保つ」ことはCPAP利用者でも質の良い睡眠に繋がります。

いびき対策として横向き寝は昔から推奨されており、簡単に実践できるので試してみる価値はあるでしょう。

 

以上、CPAP以外にも患者さんの状態に応じた治療法の選択肢はいくつか存在します。

ただし、睡眠時無呼吸症候群の重症度や原因によって適した治療法は異なります。

CPAPは依然として中等症~重症SASに対する第一選択(特に効果が高く保険適用で継続しやすい)なので、安易に代替療法に飛びつくのではなく、医師と十分に相談して決めることが大切です【2】。

例えば軽症SASであれば初めからマウスピースという選択もあり得ますし、肥満が強い方には減量プログラムが優先される場合もあります。

当院では、患者さん一人ひとりのSASのタイプやライフスタイルに合わせて最適な治療法を提案しています。

 

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よくある質問(FAQ)

 

CPAPは一生続けないといけないの?

A. 現在、CPAP療法は対症療法であり、使っている間は無呼吸を抑えられますが根本的に病気を治すものではありません。

そのため、基本的には睡眠時無呼吸の原因が解消されない限り治療を続ける必要があります

多くの方にとっては「一生涯の治療」となり得ます【2】。

例えば、肥満が主な原因であれば大幅な減量でCPAPを中止できるケースもありますし、扁桃肥大が原因であれば手術で治る可能性もあります。

しかし、そうした根本治療ができない場合や効果が不十分な場合、CPAPを続けることが健康維持に不可欠です。

症状が安定していてもCPAPをやめてしまうと再発するリスクが高いため、主治医の判断なしに勝手に中止しないことが重要です。

将来的に新しい治療法が登場したり、患者さん自身の状態が変化すればCPAPから別の治療に切り替えられる可能性もありますので、定期検診で相談しながら治療方針を決めていきましょう。

 

体重が減ればCPAPをやめられる?

A. 体重を減らすことはSAS改善に非常に有効です。

特に肥満が原因で無呼吸が起きている方では、減量によって喉周りの脂肪が減少し、気道が広がって症状が軽くなります。

実際、約10%の体重減少で無呼吸指数(AHI)が20%以上改善したとの研究もあり【7】、ある程度以上の減量が成功すればCPAPなしでも眠れるようになる可能性があります【7】。

ただし、何kg減れば必ず不要になるという明確な基準はありません。個人差がありますし、もともとの重症度によっても違います。

例えば重症SASの方が少し痩せただけではまだCPAPが必要な場合も多いです。

一方、中等症の方が大幅減量で軽症レベルに改善した場合には、マウスピースへの変更や経過観察への移行が可能になることもあります。

減量はSAS治療の重要な柱ですので、ぜひ主治医や専門家の指導のもと取り組んでください。

その上でCPAP継続の是非は担当医と相談し、睡眠検査で無呼吸の改善を確認してから判断するようにしましょう。

無理なダイエットは禁物ですが、適切な減量はSASのみならず他の生活習慣病も改善するため、一石二鳥です。

 

マウスピースに切り替えても効果はある?

A. 軽症~中等症のSASであればマウスピース(口腔内装置)は有効な治療法です【6】。

CPAPほど無呼吸を完全には抑えられないものの、多くの患者さんでいびきや日中の眠気などの症状が改善します【6】。

実際、科学的な比較試験でも症状面においてはCPAPとマウスピースで大きな差がなかったという結果が報告されています【6】。

ただし、重症の方ではマウスピースだけでは無呼吸を十分に抑えきれないことが多いため効果が不十分です。

そのため重症SASではまずCPAPが推奨されます。

一方で「CPAPはどうしても無理だった」という中等症くらいの方には、マウスピースへの切り替えで症状が安定するケースも少なくありません。

マウスピース治療の鍵は適切なフィッティングと定期調整です。

歯科で作成後も噛み合わせや効果のチェックを受け、必要に応じて調整してもらうことが大切です。

上手く合えばCPAPに匹敵する満足度を得られる患者さんもいます。「CPAPは嫌だけどマウスピースなら毎晩使える」という方もいますので、適応があれば主治医に相談してみると良いでしょう。

 

CPAPをやめると寿命は縮む?

A. 睡眠時無呼吸症候群そのものが高血圧・心筋梗塞・脳卒中・糖尿病など様々な生活習慣病のリスク因子であり、放置すれば健康寿命を縮める可能性があることは確かです【2】。

実際、無呼吸を治療せず放置した人は治療した人に比べて長期的な心血管イベント(心臓発作や脳卒中など)の発生率や死亡率が高かったとの報告があります【4】。

一方で、CPAP治療を継続することでそれらのリスクをある程度抑制できる可能性が示唆されています【5】。

したがって、重症のSASを治療せずにいることは結果的に寿命を縮める方向に働きかねないと言えます。

CPAPを「やめる=無呼吸を再び放置する」ことになるため、特に心臓や脳血管への負担が大きくなり、将来的な大病や突然死のリスクを高めてしまうでしょう。

ただし寿命は個人差が大きく、他の健康要因も影響しますので、CPAPをやめたから必ず何歳短くなるというような単純なものではありません。

それでも統計的には未治療のSAS患者の方が有意に死亡率が高いことが分かっています【4】。

健康で長生きするためにも、適切な治療を続けることが望ましいでしょう。

 

医師に「やめたい」と相談してもいい?

A. もちろんです。遠慮せずに相談してください。

CPAPを処方された患者さんでも、「正直つらい」「できればやめたい」と感じることは珍しくありません。

医師としても患者さんが何に困っているのか知りたいと思っています。

「やめたい」と感じる理由を率直に伝えることが、次の解決策を見つける第一歩です。

例えば「マスクが合わず眠れない」「圧が苦しい」「効果が感じられない」など具体的な悩みを話してもらえれば、それぞれに対処法を提案できます。

前述したようなマスク変更や設定調整、他の治療への切り替えを検討することもあります。

相談したからといって頭ごなしに叱られたり無理強いされることはありませんので安心してください。

医師の目標も患者さんが無呼吸のリスクなく快適に生活できることです。そのために、CPAPにこだわらず一緒に最善の方法を考えてくれるはずです。

「やめたいなんて言ったら怒られるかも…」と我慢する必要は全くありません。

感じている不満や不安を伝えることで、治療の質を一緒に高めていきましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

「いびきが酷いと言われた」「日中の眠気が強くて心配」「もしかして睡眠時無呼吸症候群かも…?」と感じたら、まずは専門医による評価を受けることをおすすめします。

森下駅前クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診察・検査をオンライン診療で受けることが可能です。

来院の手間を省き、ご自宅からビデオ通話等で医師の問診を受けられます。

症状に応じて、自宅でできる簡易検査キットの手配や、必要に応じた精密検査のご案内もオンラインで行っています。

診断後、CPAP治療が必要となった場合も、当院ではオンラインでの継続フォローアップが可能です。

忙しくて通院が難しい方や、遠方にお住まいの方でも安心して治療を続けられる体制を整えています。

SASは放置すると様々なリスクがありますが、早期に適切な治療を始めれば日常生活の質は大きく向上します。

「SASかも?」と思ったら一人で悩まずに、ぜひ当院のオンライン診療をご活用ください。

専門医が丁寧にお話を伺い、あなたに最適な検査・治療プランをご提案いたします。眠りの質を改善し、健康な日々を取り戻すお手伝いをさせていただきます。

 

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お問い合わせ・ご相談もお気軽にどうぞ。あなたの健やかな眠りを、私たちがサポートいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

  1. Rotenberg BW, Murariu D, Pang KP. Trends in CPAP adherence over twenty years of data collection: A flattened curve. J Otolaryngol Head Neck Surg. 2016;45:43.
  2. 日本呼吸器学会 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020. 南江堂, 2020年.
  3. Köhler M, Stoewhas AC, Ayers L, et al. Effects of CPAP therapy withdrawal in patients with OSA: a randomized controlled trial. Am J Respir Crit Care Med. 2011;184(10):1192-1199.
  4. Marin JM, Carrizo SJ, Vicente E, Agusti AG. Long-term cardiovascular outcomes in men with OSA-hypopnea with or without treatment with CPAP. Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.
  5. Sánchez-de-la-Torre M, et al. Adherence to CPAP treatment and the risk of recurrent cardiovascular events: a meta-analysis. JAMA. 2023;330(13):1255-1265.
  6. Lim J, Lasserson TJ, Fleetham J, Wright J. Oral appliances for obstructive sleep apnoea. Cochrane Database Syst Rev. 2006;(1):CD004435.
  7. Peppard PE, Young T, Palta M, Dempsey J, Skatrud JB. Longitudinal study of moderate weight change and sleep-disordered breathing. JAMA. 2000;284(23):3015-3021.

 

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「CPAPで痩せる」は本当か?睡眠時無呼吸症候群(SAS)と肥満の関係を徹底解説

CPAPで痩せるって本当?

 

CPAPはダイエット器具ではない

結論から言えば、CPAP(シーパップ)治療自体は直接的に体脂肪を減らす「ダイエット器具」ではありません。

CPAPは睡眠中の気道を陽圧で広げて無呼吸を防ぐ医療機器であり、その主目的は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状改善です。

CPAPを装着することでカロリーが消費されるわけでも、脂肪が燃焼するわけでもありません。

したがって、CPAPを付けただけで急激に体重が減るという即効性のある減量効果は期待できません。

実際の臨床研究でも、CPAP治療そのものが直接体重減少をもたらすという明確な証拠はありません。

ただし「CPAPを始めたら痩せた」という声があるのも事実であり、それはCPAPが間接的に体重管理に良い影響を与える可能性があるためです【1】。

以下では、その間接的なメカニズムについて詳しく解説します。

 

睡眠の質改善が体重管理にプラスに働く理由

CPAP治療によって睡眠の質が大きく向上すると、結果的に体重管理にプラスに働くことが分かっています【1】。

睡眠不足や睡眠の質の低下は、食欲や代謝を司るホルモンバランスを乱し、太りやすい体質を招くからです。

具体的には、睡眠不足になると食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少し、逆に食欲を増進するホルモン「グレリン」が増加します。

その結果、十分に眠れていないとき人は必要以上に空腹を感じやすくなり、つい過食や高カロリーな食品への欲求が高まってしまいます【2】。

実際、慢性的な睡眠不足は肥満リスクの上昇と関連していることが多数の研究で報告されています。

また、睡眠の質が低いと日中の倦怠感や集中力低下を招き、身体活動量が減ってしまう傾向があります。

疲れて動けないために運動量が落ち、結果として消費エネルギーが減って体重が増加しやすくなるのです。

CPAP治療で睡眠の質が改善されれば、これらの悪循環が断ち切られます。

深く質の良い睡眠が取れるようになると、レプチン・グレリンの分泌バランスが正常化して過剰な食欲が抑えられ【3】、さらに日中にシャキッと目覚めることで「体を動かそう」という意欲も自然と湧きやすくなります。

その結果、「痩せやすい生活リズム」を取り戻すことができるのです。

つまりCPAPはダイエット器具ではないものの、睡眠状態を改善することで食欲や活動量に良い変化をもたらし、間接的に体重コントロールをサポートする役割が期待できるのです【1】。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と肥満の深い関係

 

肥満が無呼吸を悪化させるメカニズム

肥満と睡眠時無呼吸症候群(SAS)は互いに深く関係しています。

まず「太っていること」それ自体がSASの最大のリスク要因です【1】。

実際、SAS患者の多く(報告にもよりますが約60~90%)は過体重または肥満であることが知られています【2】。

肥満により首や喉周りに脂肪がつくと、睡眠中に気道(空気の通り道)が物理的に圧迫されて狭くなります【2】。

イメージとしては、柔らかいホース(気道)の周囲に脂肪という重りが付いてホースが押し潰され、空気の通り道が細くなるような状態です。

また、肥満でお腹周りに脂肪が蓄積すると横隔膜が押し上げられ肺が十分に広がりにくくなり、結果として気道の内径を広げる力(肺の引っ張り)が弱まるため、喉の気道がさらに塞がりやすくなります【2】。

このように体脂肪の過剰は解剖学的・生理学的にSASを悪化させる方向に作用します。

現に、体重が増えるとSASの程度(無呼吸の頻度)が悪化し、反対に減量すると改善することが長期研究で示されています。

例えば米国の研究では、体重が10%増加すると無呼吸低呼吸指数(AHI)が約32%悪化し、逆に体重を10%減らすとAHIが約26%改善したとの報告があります【4】。

AHI(無呼吸低呼吸指数)は1時間あたりの無呼吸・低呼吸の発生回数を示す指標で、この数値が高いほど重症です。

肥満によりAHIが悪化するのは、上述したように首周りの脂肪付着や肺機能低下で気道閉塞が起きやすくなるためです。

実際、肥満度を表すBMI(体格指数)が高い人ほどSASを発症しやすく、BMIの上昇に伴いSAS有病率やAHIも上昇する相関関係が認められます【2】【4】。

つまり肥満はSASを招き悪化させる最大の原因なのです。

 

無呼吸による睡眠不足が太りやすい体を作る

逆に、SASによって引き起こされる睡眠不足や低酸素状態そのものも、肥満を助長する方向に働きます。

何度も呼吸が止まるSAS患者は深い睡眠が阻害されて常に睡眠不足の状態にあり、これがホルモンバランスの乱れを招きます。

先述した通り、睡眠不足は食欲増進ホルモンのグレリン増加と、食欲抑制ホルモンのレプチン減少を引き起こします【2】。

その結果、SASの患者さんは満腹感を感じにくく 頻繁にお腹が空いてしまう傾向があります。

さらにSASでは夜間低酸素によるストレスで交感神経が慢性的に亢進し、コルチゾールなどストレスホルモンが分泌されやすくなります。

コルチゾールには血糖値を上げ脂肪を溜め込みやすくする作用があるため、SASは代謝機能の面でも肥満を悪化させる可能性があります。

また日中の強い眠気や倦怠感のせいで運動量が減り、エネルギー消費が低下してしまうことも太りやすさに拍車をかけます【2】。

このように、「肥満が無呼吸を招き、無呼吸がさらに肥満を招く」という悪循環が成立してしまうのです。

事実、SAS患者は同じBMIの健常者に比べても体重増加しやすいとの報告もあります【2】。

以上より、睡眠時無呼吸症候群と肥満は互いに負の影響を及ぼし合う密接な関係にあります。

この悪循環を断ち切るためには、SASの適切な治療と体重管理の両面からアプローチすることが重要です。

 

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CPAP治療で期待できる体質改善効果

 

熟睡による食欲ホルモン(レプチン・グレリン)の正常化

CPAP治療により毎晩ぐっすり眠れるようになると、乱れていたホルモンバランスが正常化し始めます。

先に触れたレプチンとグレリンの例では、CPAP導入後わずか数日でグレリン値(空腹ホルモン)が有意に低下し、食欲の過剰な亢進が抑えられることが研究で示されています【3】。

ドイツの研究では、中等症以上のSAS患者でCPAP治療を開始したところ、2日後には血中グレリン濃度が健常者とほぼ同等まで低下したとの報告があります【3】。

一方、レプチン(満腹ホルモン)についてはCPAP開始直後には大きな変化がなくとも、8週間ほど治療を継続すると有意に低下する(=正常化する)ことが確認されました【3】。

肥満のSAS患者では治療前にレプチン値が異常に高い(※レプチン抵抗性の可能性)ケースがありますが、CPAP療法によりこれが減少することはホルモン環境の改善を意味します。

つまり、CPAPでしっかり熟睡できるようになると、「空腹を感じやすい・満腹感を得にくい」という太りやすいホルモン状態が是正され、適正な食欲に戻っていくことが期待できます。

この効果は特に夜間の間食や過食の抑制に役立つでしょう。

実際、CPAPを使い始めてから「夜中に起きて間食する習慣が無くなった」「甘い物への異常な欲求がおさまった」という声も聞かれます。

以上のように、CPAP治療は睡眠の質を高めることでレプチン・グレリンなど食欲調整ホルモンの分泌リズムを正常化し、結果として過度な摂食を防ぐ効果が期待できるのです【3】。

 

日中の活動量増加による消費カロリーUP

CPAP治療により睡眠中の無呼吸が解消すると、朝の目覚めが劇的に改善し日中の眠気や倦怠感も軽減します。

十分な睡眠でエネルギーが回復すると、「体を動かそう」「外出しよう」という意欲がわいてくるものです。

実際、CPAP導入後に日中の活動量(歩数や運動量)が自然と増えたという報告は少なくありません。

睡眠不足だった頃には休日はほとんど家から出ずに過ごしていた方が、CPAP治療後は「趣味のスポーツを再開できた」「積極的に散歩や運動を楽しめるようになった」といったエピソードもあります。

このように活動量の増加は消費エネルギーの増加につながります。

何もしなくても基礎的に消費されるエネルギー(基礎代謝)に加え、日常生活や運動で消費されるエネルギー量が増えれば、当然ながら体重は減りやすくなる方向に向かいます。

さらにCPAPでいびきや無呼吸が改善すると、睡眠中の体へのストレス負荷が減るため筋肉の疲労回復も促進され、慢性的な筋力低下が改善する可能性もあります。

筋力がつけば基礎代謝も向上します。

このように、CPAP治療は間接的に日中の身体活動を活発化し、「消費カロリーが増える体質」への改善を後押しします。

ただし後述するように、CPAP治療開始直後はむしろ基礎代謝が一時的に低下するケースも報告されています【4】。

治療前は睡眠中の無呼吸に対抗するため体が奮闘してエネルギーを消耗していたのが、CPAP導入によって睡眠が安定する分エネルギー消費が減るためと考えられます【4】。

この現象自体は身体が効率良く休めている証拠でもあるのですが、その分「以前と同じ食事量だと太りやすくなる」可能性がある点には注意が必要です【4】。

いずれにせよ、CPAP治療によって日中活動がしやすくなる恩恵を活かし、意識的に運動習慣を取り入れることが体重管理には重要となります。

 

代謝機能の改善

CPAP治療は睡眠中の低酸素状態を是正することで、全身の代謝機能にも良い影響を与えます。

SASでは夜間低酸素や睡眠分断によってインスリン抵抗性(血糖を下げるホルモンの効きづらさ)が生じやすく、糖代謝が悪化しているケースが多いことが知られています。

またコレステロールや中性脂肪など脂質代謝も乱れ、高血圧・メタボリックシンドロームの一因ともなります。

CPAPで正常な睡眠と十分な酸素供給が保たれるようになると、こうした代謝異常が改善する可能性があります。

実際、CPAP治療により高血圧が改善したり血糖コントロールが向上したとの研究もあります。

ある研究では、CPAP治療を3か月間行った肥満のSAS患者で、血中アディポネクチン(脂肪細胞由来の善玉ホルモン)の増加やインスリン抵抗性指標の改善が認められたと報告されています【4】。

これはCPAPによって脂肪肝や慢性炎症が軽減し、体内の代謝環境が良くなったことを示唆します。

代謝機能が改善すれば太りにくく痩せやすい身体に近づくため、長期的な体重管理に追い風となります。

ただし、CPAP治療のみで劇的な代謝改善・減量効果が得られるわけではない点は押さえておきましょう。

CPAPはあくまで土台を整える治療です。

例えば同じ食事制限や運動をするにしても、CPAPで睡眠と体調が整った状態の方が効果が出やすくなります。

代謝が上がりホルモン環境が正常化していれば、減量のための生活習慣改善もスムーズに軌道に乗るでしょう。

したがって、CPAP治療は肥満体質の改善にとって重要な助っ人ではありますが、それ単体で脂肪を燃やす魔法ではないことを理解する必要があります。

 

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実際に「CPAPで痩せた」体験談・報告はある?

 

CPAP治療を始めた患者さんの中には、「CPAPのおかげで体重が減った!」と感じている方もいます。

しかしながら、その体験談の背景には様々な要因があることに注意が必要です。

まず、CPAP導入後に体重が減少したケースでは、多くの場合同時に生活習慣の改善にも取り組んでいることが挙げられます。

例えば、CPAPで日中元気になったのをきっかけにウォーキングや運動を始めた、夜の間食をやめてみた、といった努力が並行しているのです。

CPAP治療が良質な睡眠をもたらしたことで本人の健康意識が高まり、ダイエットに本腰を入れられた結果、減量に成功したというケースも多いでしょう。

つまり「CPAPで痩せた」というより「CPAPがきっかけで生活改善が進み、その結果痩せた」というのが実情と考えられます。

実際、医学的な研究でもCPAP単独療法では体重に大きな変化は生じにくく、食事療法や運動療法を組み合わせた場合に初めて有意な減量効果が現れると報告されています【4】。

一方で稀に、CPAP治療だけで数kg程度体重が落ちたという報告もあります。

これは、慢性的な睡眠不足状態が解消されたことで体内の水分バランスが整いむくみが取れた、筋力が回復して基礎代謝が上がった等の間接的効果が考えられます。

またネット上の口コミでは、「CPAPを一晩使っただけで食欲が適正化し、その後大幅減量に成功した」という極端な成功談も見られます。

しかしこうした劇的なケースは非常に個人差が大きく、万人に当てはまるものではありません。

むしろ科学的データでは、CPAPを始めたことで体重が増えてしまうケースも一定数報告されています【4】。

前述のとおり、CPAPで基礎代謝がやや低下することや、治療に安心して食事量が増えてしまうことが原因と考えられます。

要するに「CPAPで痩せる」かどうかは人によって様々であり、過度な期待は禁物です。

重要なのは、CPAP治療は減量を直接もたらす魔法ではないものの、減量しやすい身体と生活習慣を手に入れるための土台になってくれるという点です【1】。

実際に海外の研究では、CPAPで無呼吸をしっかり管理したSAS患者は、未治療の患者に比べて減量プログラムの成功率が高くなる傾向が示唆されています【2】。

CPAPで睡眠と体調を整えつつ取り組めば、減量の効果も出やすく維持しやすいというわけです。

 

痩せるために大切なのはCPAP+生活習慣の改善

 

バランスの良い食事と運動の必要性

SASの治療にCPAPは非常に有効ですが、「痩せる」という観点では生活習慣の改善が不可欠です。

肥満がSASの主な原因である以上、根本対策として体重を適正範囲に落とすことが重要だからです。

実際、日本呼吸器学会のガイドラインでも、肥満を伴うSAS患者には減量(食事療法・運動療法)を第一に推奨しています【5】。

具体的には、摂取カロリーを適切に抑えたバランスの良い食事と、定期的な有酸素運動を生活に取り入れることが基本となります。

食事面では、野菜やタンパク質を中心に据え、脂質・糖質の過剰摂取を控えることが重要です。

一方、運動面では、ウォーキングやジョギング、水泳など無理なく続けられる有酸素運動を週に数回行うことが推奨されます。

これに筋力トレーニングを適度に組み合わせると基礎代謝向上にも役立ちます。

CPAPで睡眠の質が改善すれば、こうした食事管理や運動も従来より取り組みやすくなるはずです。

夜更かしや睡眠不足が解消されることで規則正しい食事リズムが作りやすくなり、日中も体を動かす元気が出てくるからです。

「CPAPを使っているから自動的に痩せるだろう」と油断して高カロリーな生活を続けていては、かえって前述のように太りやすくなってしまう可能性もあります【4】。

そうならないためにも、食事と運動の改善なくして減量なしという基本を忘れないようにしましょう。

CPAPはあくまで肥満解消を手助けする存在であり、最終的に体重を落とす主役は患者さん自身の生活習慣です。

 

CPAPは“痩せやすい体質づくり”のサポート

改めて強調しますが、CPAP治療そのものは脂肪を燃焼させる効果があるわけではありません。

しかし、CPAPでしっかり熟睡できるようになると体質が改善し、「痩せやすい体」へと近づくことは間違いありません【1】【3】。

言い換えれば、CPAPはダイエットの土台となる健康な体調・睡眠リズムを提供してくれるツールです。

睡眠の質が向上すれば食欲が適正化し、活動意欲も湧き、代謝も改善します。これは減量のための下地として非常に有利な状態です。

実際、CPAP治療を継続しながら地道なダイエットを行った患者さんでは、AHI(無呼吸指数)の劇的な改善が報告されています【4】。

あるケースでは、CPAPと管理栄養士の指導による食事療法を並行して半年で体重を15kg減らし、AHIが重症域から軽症まで改善した例もあります。

このように、CPAPは単体で体重を落とす魔法の器具ではないものの、「質の良い睡眠」という痩せるために欠かせない要素を提供してくれる点で、減量成功の重要なサポーターなのです。

特に長年SASで眠れていなかった方にとって、CPAPはまず健康の土台を整える意味があります。

土台が整えば、あとは本人の努力次第で着実に減量という成果に結びついていくでしょう。

 

医師に相談しながら取り組むことが重要

CPAP治療中の体重管理やダイエットは、ぜひ主治医や専門家に相談しながら進めてください。

自己流の過度な食事制限や無理な運動は、かえって健康を損ねたりCPAP治療の継続を難しくしてしまう恐れがあります。

例えば急激な断食ダイエットで体調を崩せば、CPAPの装着も苦痛に感じてしまうかもしれません。

適切な減量ペース(一般には月に体重の5%以内など)や栄養バランスは、医師や管理栄養士の指導を仰ぐのが安心です。

また、CPAPを使っていく中で体重が変化した場合、機器の気圧設定の見直しが必要になることもあります。

体重減少によって気道の閉塞状況が改善すれば、将来的にCPAPの圧を下げたり最終的にはCPAP卒業(離脱)が可能になるケースもありますので、そうした節目も含めて定期受診時に相談すると良いでしょう【4】。

逆にCPAP治療中に体重が増えてしまった場合は、無呼吸が悪化していないかを医師に確認してもらい、必要なら設定圧の調整や追加の生活指導を受けることが大切です。

いずれにしても、CPAP治療と減量は二人三脚です。

一人で悩まず医療者のサポートを受けながら取り組むことで、安全かつ効果的に「痩せやすい健康な身体」を手に入れていきましょう。

 

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よくある質問(FAQ)

 

Q1. CPAPは長生きに役立ちますか?

A. はい、睡眠時無呼吸症候群の適切な治療であるCPAPは、結果的に健康寿命を延ばすことに寄与すると考えられます。

SASを放置すると高血圧や心臓病、脳卒中など命に関わる合併症リスクが高まることが分かっています。

しかしCPAP治療で無呼吸や低酸素状態を改善すれば、これら合併症の発症リスクを大幅に減らすことができます。

例えば、重症SAS患者を追跡した研究では、CPAP非使用の人は使用している人に比べ心血管イベントや死亡率が有意に高かったとの報告があります。

あるデータでは未治療の重症SAS患者は同年代の健常者より死亡率が2.6倍にも上るとされますが【6】、CPAP治療にしっかり取り組めばそうしたリスクを健常者と同等レベルまで低減できると期待されています。

実際、CPAPを毎日使用しているSAS患者は、日中の眠気や集中力低下が改善するため交通事故などの危険も減り、血圧コントロールも良好になります。

これらの積み重ねが「長生き」につながると言えるでしょう。

ただしCPAPは薬のように直接寿命を延ばす効果があるのではなく、あくまでSASによる健康悪化要因を取り除くことで結果的に寿命へプラスに働くという位置づけです。

 

Q2. いびきは体重が何キロ以上だと起こりますか?

A. いびきの有無を判断する明確な「体重○kg以上」という基準はありません。

体重そのものより肥満度(BMI)や首周りの太さがいびき・無呼吸との関連指標になります。

一般にBMI25以上の肥満体型ではいびきをかきやすくなりますが、個人差が大きく、一概に何kg以上なら必ずいびきをかくとは言えません。

例えば身長170cmの方なら体重72kg程度でBMI25となりますが、この体重を超えたら即いびき発生というわけではありません。

骨格や筋肉量、脂肪の付き方にも左右されます。ただし統計的には太って首回りに脂肪が付くほど気道が狭くなりいびきのリスクは高まるのは事実です【2】。

目安として、男性では首周径が40cm以上、女性では35cm以上だと睡眠時無呼吸のリスクが高いとされています。

体重よりもBMIや首囲に着目して管理し、肥満傾向にある場合はいびき対策・無呼吸予防のためにも減量を心がけると良いでしょう。

 

Q3. CPAP治療中に体重が減るとAHIは下がりますか?

A. はい、一般的に体重が減少すればAHI(無呼吸低呼吸指数)は改善する傾向があります【4】。

AHIは睡眠時無呼吸症候群の重症度を示す指標で、この値が低いほど症状が軽いことを意味します。

肥満は無呼吸の主要因の一つですから、減量により気道周囲の脂肪が減って喉の通りが良くなれば、無呼吸エピソードの頻度(AHI)は下がります。

実際、前述の研究でも10%の減量でAHIが約26%低下したと報告されています【4】。

したがって、CPAP治療中でも体重が落ちれば機械が検知するAHIも徐々に低下していく可能性が高いです。

特にCPAPの圧設定が固定式の場合、減量により以前より低い圧でも無呼吸が出にくくなることがあります。

ただし、AHIの改善幅は減量量や元の肥満度によります。

大幅な減量で劇的にAHIが改善する例もあれば、軽度の減量ではあまり変化しない例もあります。

また骨格など他の要因で無呼吸が起きている場合、痩せてもAHIがゼロにならないこともあります。

それでも減量はAHI改善にほぼ確実に寄与するため、CPAP使用者にとっても適正体重への減量は大切です。

主治医と相談しつつ体重変化とAHI傾向を見守り、必要に応じてCPAPの圧調整も行ってもらいましょう。

 

Q4. 無呼吸症候群は痩せたら治りますか?

A. 肥満が原因の場合は、痩せることで大幅に改善し「治った」と言える状態になる可能性があります。

実際、軽症~中等症のSAS患者で減量により無呼吸が完全になくなった例も報告されています。

特にBMIが高い肥満タイプの方では、適正体重まで減量することで気道の狭窄要因が取り除かれ、睡眠中の無呼吸発生がゼロに近づくことがあります。

ただし、「痩せれば必ず治る」とは言い切れません。

SASには肥満以外にも顎の骨格や扁桃肥大、舌の大きさ、鼻づまりなど様々な原因が関与します。

痩せてもこれら解剖学的要因が強い場合、無呼吸が残存することがあります。

例えば顎が小さい(下顎後退)タイプの方や、扁桃腺が極端に大きい方では、標準体重になっても一定の無呼吸が続く可能性があります。

そのため、減量はSAS改善の有力な手段ではありますが、痩せた後も症状が残るかどうかはケースバイケースです。

一度「治った」と思っても再度太ってしまえば無呼吸が再発する可能性もあります。

ですので、痩せた後もしばらくは睡眠検査で無呼吸の有無を確認し、医師の判断で治療を終了するのが望ましいです。

完全に治癒したかどうかは専門的な評価が必要ですが、少なくとも肥満を解消することはSAS克服への近道であるのは間違いありません【4】【5】。

 

Q5. CPAPは1日何時間つければいいですか?

A. 就寝中はできるだけ長時間、毎日使用することが理想的です。

基本的には*眠っている間はずっとCPAPをつける」とお考えください。

具体的な時間で言えば、人によりますが普通は6~8時間程度の睡眠に相当します。

CPAP治療の効果を十分得るには、毎晩4時間以上の使用が一つの目安とも言われています【6】。

実際、保険診療上でもCPAPの継続利用条件として「装着4時間/日以上」が基準になっています。

ただし4時間はあくまで最低ラインであり、それより長く使えば使うほど無呼吸の抑制効果は高まります。

途中で外して残りの睡眠をCPAPなしで過ごすと、その間に無呼吸が発生してしまい治療効果が半減します。

したがって、夜寝入ってから朝起きるまでフルにCPAPを装着するのがベストです。

どうしても中途覚醒時に外してしまう癖がある方は、再入眠時に忘れず付け直すようにしましょう。

またお昼寝をする場合も、30分以上寝るならCPAPを使用することが望ましいです。

CPAPは習慣化すれば違和感なく朝まで付けていられるようになりますので、「何時間まで」というより「寝ている限り常に」使うよう心がけてください。

 

Q6. CPAPを使っている芸人は誰ですか?

A. 日本でも睡眠時無呼吸症候群を公表しCPAPを使用しているお笑い芸人の方が増えています。

最近話題になったのは、テレビ朝日の人気番組『アメトーーク!』のネット配信企画で取り上げられた「シーパップ芸人」という回です【6】。

そこではタイムマシーン3号・関太さんサバンナ・高橋茂雄さん鬼越トマホーク・金ちゃんさんマユリカ・中谷翔平さん空気階段・鈴木もぐらさんチャンス大城さんといった芸人の方々が、自身のCPAP体験について語っています。

皆さん睡眠時無呼吸症候群と診断され、実際にCPAPを愛用していることで知られます。

また、お笑いトリオ「安田大サーカス」のクロちゃんもテレビ番組でCPAP使用シーンが映り話題になりました。

他にも公言していないだけでCPAPユーザーのお笑い芸人や有名人は多数いると考えられます。

芸能人が「CPAPを付けたら人生が変わった」とテレビで語ることで、一般の方も治療に前向きになるきっかけになりますね。

実際にCPAPを使っている芸人さんたちは、「朝の目覚めがスッキリ」「仕事中の居眠りがなくなった」などメリットを口々に語っており、治療の大切さを発信してくれています。

 

Q7. CPAPは体調を改善しますか?

A. はい、CPAP治療は睡眠の質を飛躍的に改善するため、総合的な体調を向上させる効果があります。

まず、CPAPを付けて眠ると睡眠中の低酸素や頻繁な覚醒がなくなるので、翌朝の疲労感や頭痛が軽減しスッキリ目覚められるようになります。

日中の強い眠気や集中力低下も改善し、仕事や勉強のパフォーマンスが向上したとの報告が多くあります。

さらに、CPAP治療を継続すると高血圧や糖尿病の管理がしやすくなる場合があります。

無呼吸による夜間の血圧上昇や交感神経亢進が抑えられるため、特に早朝高血圧が改善したり、降圧薬の効きが良くなるケースもあります。

また血中の酸素不足が解消されることで心臓や脳への負担が減り、長期的には心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中)の予防につながると期待されています。

代謝面でも、CPAPによりインスリン抵抗性やコレステロール値の改善が報告されており、肥満やメタボリックシンドロームの是正に役立つ可能性があります【4】。

精神面では、熟睡できるようになることでうつ症状やイライラ感が軽減し、気分が前向きになったという患者さんもいます。

このように、CPAPは単にいびきや無呼吸を無くすだけでなく、全身のコンディションを底上げして生活の質(QOL)を高めてくれる治療と言えます。

ただし効果を実感するには正しく継続使用することが大前提です。

使用初期に違和感があっても工夫を凝らしながら毎晩使い続ければ、多くの方が「体調が見違えるほど良くなった」と感じることでしょう。

 

Q8. CPAPは体重が増える?

A. 場合によってはCPAP治療開始後に体重が増加しやすくなる人もいます【4】。

前述した通り、CPAP導入によって睡眠中の基礎代謝が低下するケースがあり(治療前は無呼吸に抗うためエネルギーを消耗していたのが治療後は楽になるため)、その分エネルギー収支がプラスに傾きやすくなるためです【4】。

特に食生活が従来通りだと、余剰エネルギー分だけ徐々に体重が増えてしまうことがあります。

また、CPAPで体調が良くなった安心感からつい食べ過ぎてしまい、結果として太ってしまうケースもあります。

実際、京都大学の研究ではCPAP治療を3か月継続したSAS患者のうち、多くで基礎代謝が5%程度低下し、総摂取カロリーが増加する傾向が示されました【4】。

その結果、食生活を改善できなかった群では体重が増加した人が多かったのに対し、食生活を見直した群では体重増加が防がれていたという報告があります【4】。

このことから、CPAP治療中に体重が増えるかどうかは本人の生活習慣次第と言えます。

決して「CPAPそのものが太る原因」ではありませんが、治療による環境変化に合わせて摂取カロリーや運動量を調整しないと太りやすくなる可能性があるのです。

したがって、CPAPを始めたら今まで以上に食習慣・運動習慣に気を配り、体重管理に努めることが大切です。

そうすればCPAPの恩恵をフルに活かしつつ、体重増加を防ぐどころか減量へと繋げていくことも十分可能です。

 

Q9. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は痩せたらどうなる?

A. 肥満が原因であるタイプの睡眠時無呼吸症候群であれば、痩せることで症状が大幅に改善する可能性があります。

実際、肥満度(BMI)を適正範囲まで下げることができれば、無呼吸の回数が劇的に減ってCPAPなどの治療が不要になるケースもあります【4】。

特に軽症~中等症のSAS患者では、減量のみで正常範囲までAHIが改善し「完治」に近い状態になる例もあります。

ただし、痩せても全員が必ずしも無呼吸症候群を卒業できるわけではありません。

例えば骨格的な問題(下顎の小ささ、鼻中隔のゆがみ等)や扁桃肥大などがある場合、標準体重になっても一定の無呼吸が残存することがあります。

そのため減量後も睡眠検査で無呼吸の程度を確認し、必要ならCPAPやマウスピース等の治療を継続することになります。

重要なのは、痩せることでSASが確実に良くなる方向に向かうという点です。

治らないまでも重症度が下がれば合併症リスクも減りますし、治療機器の依存度も下げられる可能性があります。

実際、SAS治療のガイドラインでも肥満患者への減量指導は標準治療の一つです【5】。

痩せることはSASそのものだけでなく、高血圧・糖尿病など関連する健康問題もまとめて改善するチャンスです。

したがって、SASと診断された方で肥満がある場合は、CPAP等で症状を抑えつつ計画的な減量に取り組むことを強くおすすめします。

それによって将来的に「痩せたらSASも治った」と言える状態を目指せるでしょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

「いびきが酷い」「日中の眠気が強い」など、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある方は、ぜひ一度医療機関での評価を受けてください。

当院森下駅前クリニックでは、忙しい方でも受診しやすいオンライン診療に対応しており、自宅にいながら専門医によるSASの相談・診察を受けることが可能です。

オンライン診療では問診や簡易検査の手配、結果説明から治療方針の提案まで、対面と同等のサポートを行っています。

自宅で行える簡易睡眠検査キットをお送りし、結果に応じて必要な治療(CPAPの導入など)までスムーズにご案内できます。

SASは放置すると生活の質を低下させるだけでなく、将来的な重大疾患のリスクともなる病気です。「もしかして……?」と思った今が早期対応のチャンスです。

オンライン診療のご予約は24時間可能ですので、少しでも心当たりのある方はお気軽に当院までご相談ください。

睡眠時無呼吸症候群の専門的な診療を通じて、皆さまの快適な睡眠と健康増進を全力でサポートいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

引用文献

[1] National Heart, Lung, and Blood Institute. “Sleep Apnea – Causes and Risk Factors.”(アメリカ国立心肺血液研究所, 2025年更新)

[2] Sleep Foundation. “How Weight Affects Sleep Apnea.” (Updated July 15, 2025)

[3] Harsch IA, et al. “Leptin and ghrelin levels in patients with obstructive sleep apnoea: effect of CPAP treatment.” Eur Respir J. 2003;22(2):251-7.

[4] Tachikawa R, et al. “Changes in energy metabolism after continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnea.” Am J Respir Crit Care Med. 2016;194(6):729-738.

[5] 日本呼吸器学会 『睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020』 公益社団法人日本呼吸器学会, 2020年.

[6] Yahooニュース 「『アメトーークCLUB』“シーパップ芸人”睡眠時の無呼吸に悩む芸人たちが魅力を語る」(2025年7月13日)

 

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CPAPの使い方ガイド:基本の仕組みから快適利用のポイントまで

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療として広く使われるCPAP(シーパップ)ですが、初めて使う際には「正しい使い方は?」「違和感なく続けるには?」と不安に思う方も多いでしょう。

CPAPは適切に使用すれば、就寝中の無呼吸を防いで睡眠の質を大きく改善できる効果的な治療法です[1]

本記事では、CPAPの基本的な仕組みから装着・操作方法、日々のお手入れ、快適に使い続けるコツやトラブル対策まで、医師の視点で詳しく解説します。

 

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CPAPとは?基本の仕組みと役割

 

CPAPとは「Continuous Positive Airway Pressure」の略称で、日本語では「経鼻的持続陽圧呼吸療法」と呼ばれます。

主に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に用いられる方法で、就寝時に専用のマスクを鼻や口に装着し、小型の送風機(CPAP装置)で気道に絶えず空気を送り込みます[2]

これにより喉や気道に陽圧がかかって閉塞を防ぎ、寝ている間の呼吸をスムーズに維持します[3]

結果として、一晩に何度も呼吸が止まるSASの症状を防ぎ、いびきの減少や日中の強い眠気の改善が期待できます[1]

 

CPAP治療の役割は、睡眠中の低酸素状態や睡眠の分断を防ぐことで、患者さんの健康リスクを軽減することにあります。

また、長期的に継続することで高血圧や心疾患リスクの軽減にも役立つことが報告されています[1]

CPAPは自宅で毎晩使用できるため通院負担が少なく、「いびきを止めて熟睡し日中の生活の質を向上させる」という重要な役割を果たします。

 

CPAPの基本的な使い方

 

ここからは、実際にCPAPを使用する際の基本的な操作手順について説明します。自宅で一人で扱う際に迷わないよう、使用前の準備からマスク装着、スイッチの入れ方・就寝時の注意点まで順を追って見ていきましょう。

 

使用前の準備

CPAPを使用する前に、毎晩以下のポイントを確認しましょう[4]

電源と装置の確認

CPAP本体がコンセントに正しく接続され電源が入る状態か確認します。また装置のディスプレイにエラー表示がないかもチェックします[4]

マスクとホースの接続

マスクとホースが正しく接続されているか確認します。ホースにねじれや折れ曲がりがないよう整え、空気の通り道を確保します。

マスクの密閉確認

マスクを顔に当てがった際に、鼻や口周辺から空気漏れがないか事前に確認します[5]。装着前にマスククッションに亀裂や劣化がないかも点検しましょう。

加湿器の水の準備

CPAPに加湿器が付属している場合、水タンクに指示された量の水を入れてセットします[6](水は毎日入れ替えましょう)。乾燥防止のため就寝前に十分な水が入っていることを確認してください。

圧力設定の確認

処方された設定圧または自動調整モードが正しく作動する状態か確認します[7]。通常は医師が設定した圧力値になっていますので、自分で変更せず指示通りの設定で使いましょう。

 

以上の準備を行うことで、就寝時にスムーズにCPAPを開始できます。万一装置に異常ランプやアラートが出ている場合は、無理に使わず取扱説明書を確認するか医療機関へ連絡してください[8]

 

マスクの装着方法

CPAP治療ではマスクの正しい装着が極めて重要です。

マスク装着が不十分だと空気漏れが生じて十分な陽圧がかからないだけでなく、装着感の不快さから眠りを妨げる原因にもなります[9]

以下にマスク装着時のポイントを示します。

 

フィッティングの基本

マスクは鼻や口に当てた際、周囲に隙間ができないよう位置を整えます[9]

ストラップ(ベルト)は左右均等に引き締め、きつすぎず緩すぎずを心がけます(指1本が入る程度の余裕が目安です[10])。

強く締めすぎると皮膚が圧迫され痛みや跡の原因となり、緩すぎると空気漏れの原因になります[11][12]

 

装着後のチェック

マスクとストラップを装着したら、鏡の前で位置を確認し、鼻や口の周囲から空気が漏れていないか手で感じてみます。

実際にCPAPの送気を開始した際にマスクがわずかに膨らみ顔にフィットするくらいの締め具合が理想です[13]

寝る姿勢(仰向けや横向き)でも一度頭を動かしてみて、マスクがずれないか確かめましょう[14]

 

口呼吸への対策

ネーザルタイプ(鼻マスク)の場合、口を開けてしまうと空気が口から漏れてしまいます。

基本は鼻呼吸を意識しますが、それでも就寝中に口が開いてしまう方は、顎を支えるチンストラップや口閉じテープを使用して口呼吸を防ぐ方法も有効です[15]

鼻づまりがある場合や口呼吸の癖が強い場合には、初めから鼻と口を覆うフルフェイスタイプのマスクを検討しましょう[16][17]

 

正しい装着さえできれば、CPAPの効果は最大限発揮されます。マスク装着に違和感があるときは我慢せず、サイズ違いのマスクやクッションパッドの交換なども検討してください[18]。フィット感について不安があれば早めに医療機関に相談しましょう。

 

スイッチの入れ方と就寝時の注意点

CPAP装置の作動開始は、多くの機器で非常にシンプルです。まずコンセントに確実につながっているのを確認し、マスクを装着します。

最近のCPAP装置には「自動オン機能」が備わっており、マスクを付けて呼吸をし始めると自動で送風がスタートするものが多いです[19]

自動で開始しないタイプでは、本体の電源ボタンを押すだけで送気が開始します[19]

停止もボタン操作(または自動オフ機能でマスクを外すと停止)で簡単に行えます。

 

就寝時の注意点として、CPAPを開始してからすぐに寝付けるよう、いくつか環境や習慣面で工夫しましょう。

 

寝る前の慣らし

最初はマスクからの空気圧や機械音に違和感を覚えることがあります[20]

眠る直前にいきなり装着するのではなく、布団に入る少し前からマスクを付けて数分リラックスしてみてください[21]

本を読んだり音楽を聴いたりしながらマスク越しの呼吸に慣れる時間を作ると、スムーズに入眠しやすくなります。

 

寝室環境の調整

部屋の温度や湿度を快適に保つことも重要です。室温は季節に応じて適切な範囲(例:夏25~28℃、冬16~19℃)、湿度は50~60%程度が快適とされます[22]

エアコンや加湿器を活用して快適な寝室環境を整えましょう[23]

乾燥が気になる場合はCPAPの加湿器設定を調整したり、就寝前に鼻腔に保湿スプレーを使用するのも効果的です[24]

 

ホース取り回しの工夫

就寝中にホースが引っ張られてマスクがずれるのを防ぐため、ホースの取り回しにも配慮します。

枕元でホースが身体に絡まないよう、ベッドヘッド付近にフックを付けてホースを上から垂らす方法や、ホースに緩くタオルを巻いて固定し動きを抑える工夫も有効です[25]

自分が寝返りを打ってもホースに引っ張られないレイアウトを探してみましょう。

 

リラックスして呼吸

「マスクを付けると息苦しいのでは」と緊張すると余計に眠れなくなってしまいます。

寝付く前にゆっくりと深呼吸を繰り返し、全身の力を抜くことを意識してください[26]

CPAPからの空気と自分の呼吸がぶつかる感覚がありますが、口を閉じて鼻からゆっくり息を吸い、鼻からゆっくり吐くことを繰り返すと次第に慣れてきます[27]

どうしても入眠しづらい時は一度マスクを外して気分を落ち着け、再度装着してみるのも一つの方法です。

 

初めのうちは違和感があっても、数週間ほどでマスクや空気圧にも慣れてくる方がほとんどです[28]。快適な睡眠環境とリラックスを心がけて、CPAPとともに質の良い睡眠を目指しましょう。

 

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CPAPを快適に使うためのポイント

 

CPAP治療は継続することが何より大切ですが、長く続けるためには「できるだけ快適に使う工夫」を知っておくことが有用です。ここでは、CPAP使用中によくあるお悩みに対する対策や、快適性を高めるポイントを紹介します。

 

マスクが外れるときの工夫

「朝起きたらマスクが外れていた」という経験がある方も少なくありません。睡眠中にマスクが外れてしまう主な原因と対策は次のとおりです。

 

マスクのサイズ・種類の見直し

マスクが顔に合っていないと、隙間から空気が漏れたり締め付けによる痛みで無意識に外してしまうことがあります[29]

現在使用中のマスクでどうしてもズレや漏れが生じる場合、サイズ違いや別タイプ(鼻マスク→フルフェイス等)のマスクを試す価値があります[30]

特に横向き寝が多い方や寝相が激しい方は、寝具との当たり具合も考慮して自分に合った形状のマスクを検討しましょう[31]

医師やCPAP担当者に相談すれば、フィッティングのアドバイスや他のマスクの提案を受けられます。

 

ストラップの調整

就寝中にマスクが外れる一因として、ストラップ(ヘッドギア)の緩み・きつすぎも挙げられます[11]

就寝前に鏡を見ながらストラップを適度な強さに再調整し、空気漏れがなく痛みも出ないフィットを確保しましょう[17]

夜中に外れてしまう場合、朝起きた時点でストラップが緩んでいないか確認し、必要に応じて締め直す習慣をつけると良いでしょう。

 

ホース配置の工夫

ホースの引っ張りでマスクがずれる場合、前述したようにホースの配置を工夫してみてください[31]

例えばベッド上方にホースを通すか、身体の下に入らないよう固定してみるだけでも、ホースに引っ張られてマスクが外れるリスクが減ります。

 

消耗部品の交換

マスクのクッション部分はシリコンなどでできており、使い続けると劣化してフィット感が損なわれます[30]

経年劣化で硬化したクッションでは空気漏れが発生しやすくなるため、定期的な交換が必要です。

クッションやストラップを交換して新しい状態にすると、驚くほど密着度が改善することがあります。

加えて、マスクと肌の間に装着する専用ライナー(布シート)を使用するとフィット感と快適性が増す場合もあります[32][33]

 

息苦しさや違和感を和らげる方法

CPAP使用当初は「息をするとき常に空気が送られてきて苦しい」「マスクや空気圧に違和感がある」と感じる場合があります。息苦しさや圧迫感を和らげるための対策は以下のとおりです。

 

鼻呼吸と呼気補助

CPAP使用時は口より鼻でゆっくり呼吸することを意識しましょう。

口を閉じ、ゆっくり鼻から吸って鼻から吐くリズムに集中すると、送気とのぶつかりも軽減されます[27]

また機種によっては呼気時に圧力を下げる機能を備えたものがあります[34](「呼気圧減圧機能」などと呼ばれます)。

息苦しさが強い場合はこの機能が有効な場合もあるため、使用機種の設定を確認してみましょう。

 

ランプ(RAMP)機能の活用

就寝直後から高い圧力だと違和感で眠りにくい場合、ランプ機能(時間をかけて徐々に圧力を上げていく機能)をオンにしてみてください[35]

設定時間をかけて目標圧力に達するまで送気圧を低めに抑えてくれるため、入眠時の負担が軽減します。

CPAP装置によって設定方法が異なるので取扱説明書を参照しましょう。

 

マスクフィッティングの見直し

マスクの装着感が悪いと「当たって痛い」「圧迫感が気になる」といった不快感につながります[36]

前述のとおり、マスクは締め付けすぎず緩すぎず装着することが大切です。

全ての空気漏れをゼロにしようと必要以上に締め付けるとかえって不快感や皮膚の痛みの原因になります[37]

多少のリークは許容しつつ快適性とのバランスを取ることも重要です。

また、マスク自体に不具合(破損や変形)がないか確認し、消耗している部品は交換してください[33]

 

医師への相談

どうしても違和感や息苦しさが強い場合、自己判断で無理に使い続けず主治医に相談しましょう[38]

もしかすると圧力設定の見直しが必要な場合や、別の種類のマスクに変更することで改善する場合があります。

治療効果を損ねずに快適性を高めるため、専門家の意見を仰いで調整してもらうことも継続のコツです。

 

肌トラブルや乾燥対策

CPAPの使用に伴う代表的なお悩みとして、「マスクが当たる部分の肌荒れ」や「鼻・喉の乾燥」があります。それぞれの対策を確認しましょう。

 

肌トラブルの対策

マスクが当たる鼻や顔の部分に赤み・かゆみが出る場合、まずマスクの衛生状態を見直しましょう。マスクは毎日皮脂や汗が付着するため、放置すると雑菌が繁殖して肌トラブルの原因になります[39]

後述する手順で毎日洗浄し清潔を保つことが大切です[40]

また、マスクの締め付けが強すぎると圧迫による痕や炎症につながります。締め具合を適正化し、それでも改善しない場合はマスククッションと肌の間に専用のシリコンパッドやガーゼを挟んでみてください。

クッションの劣化で肌当たりが悪くなっている場合は新品への交換で改善することも多いです[30]

どうしても肌に合わない素材の場合、布製マスクなど別素材のものを試すのも一法です。

 

鼻や喉の乾燥対策

CPAPの送る空気は室内の空気を取り込んでいるため、特に冬場など空気が乾燥していると鼻粘膜が乾いて痛くなったり、喉がカラカラに渇く場合があります[41]

この対策として有効なのが、CPAP装置の加湿器の適切な利用です。加湿器に十分な水を入れ、湿度設定を高めに調整すると、送り出す空気に適度な湿り気を与えられ鼻や喉の乾燥が和らぎます[42]

あわせて寝室自体の湿度を50~60%程度に保つよう加湿器や濡れタオルの利用も効果的です[22][43]

それでも乾燥する際は、就寝前に生理食塩水の点鼻スプレーで鼻腔を潤しておく、鼻にワセリンを塗るといった処置も試みてください[44]

口呼吸が原因で口や喉が乾く場合は、前述のチンストラップや口テープで口呼吸を防止すると改善するケースがあります[45]

鼻づまりなどで口呼吸にならざるを得ない場合は、無理に鼻呼吸にこだわらずフルフェイス型のマスクに変更する方が乾燥対策には有効です[46]

 

鼻づまりへの対応

SASの患者さんは慢性的な鼻炎を抱えていることも多く、CPAP装着時に鼻づまりが強くなることがあります[46]

上記の加湿や鼻腔スプレーに加え、就寝前にぬるま湯で鼻うがいをして鼻腔を清潔に保つ、入浴時に蒸気をしっかり吸い込んで鼻の通りを良くする、といった対策も有効です[44]

アレルギー性鼻炎がある方は寝室を清潔に保ち、必要に応じて抗アレルギー薬の使用も検討しましょう。

どうしても鼻が詰まってCPAPが辛い時は無理せず一旦マスクを外し、鼻炎治療を優先してください[47](この場合も自己判断で長期間中断せず、医師に相談の上で対処しましょう)。

 

以上の工夫により、多くの方はCPAPの不快感を軽減して治療を継続できるようになります。快適に使うポイントは「無理をせず、小さな問題も放置しないこと」です。不具合や不快な点は遠慮なく医療者に伝え、解決策を一緒に見つけていきましょう。

 

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毎日のお手入れ・メンテナンス方法

 

CPAP装置を清潔に保つことは、安全で快適な治療を続ける上で欠かせません。

マスクやホースは毎晩使用するため皮脂や埃が溜まりやすく、そのままでは雑菌繁殖による感染リスクや装置故障の原因にもなりえます[48]

以下に、日々のお手入れ方法とメンテナンスの目安をまとめます。

 

マスク・ホースの洗浄手順

マスクとホースは定期的に洗浄し、清潔さを保ちましょう。基本的な洗浄のポイントは次のとおりです[49]

 

マスク(クッション部)

毎日使用後に外し、中性洗剤を溶かしたぬるま湯で優しく手洗いします[50]

ファンデーションなど汚れが付着しやすい部分は念入りに洗い、洗剤成分が残らないようしっかりすすいでください。

その後、清潔なタオルで水気を拭き取り、陰干しで完全に乾燥させます。毎日洗うことでクッション部分の密着性も保たれ、肌トラブル予防にもなります。

 

ヘッドギア(ストラップ)

皮脂や汗が染み込むヘッドギアは週に1回程度、マスクと同様に中性洗剤で手洗いしましょう[50]

洗ったあとは直射日光を避けて陰干しし、しっかり乾燥させてください。洗濯機や乾燥機の使用は生地を傷める可能性があるため避けます。

 

ホース(チューブ)

ホース内部には水滴や埃が溜まりやすく、放っておくとカビの温床になる恐れがあります[51]

週に1回程度はホースを本体から外し、中性洗剤を入れたぬるま湯でホース内部をゆすぐように洗浄します[50]

細長いブラシがあれば中まで軽く擦ると効果的です。洗浄後はホースを吊るすようにして水切りし、内部まで完全に乾燥させましょう[52]

濡れたまま接続すると雑菌繁殖や機械故障の原因になります。

 

加湿器タンクの管理方法

CPAP装置に付属の加湿器タンク(チャンバー)は、水を張って空気を加湿する重要なパーツです。加湿器の水は毎日入れ替え、タンクも定期的に洗浄しましょう[53]

 

毎日の水交換

就寝前に必ず新しい水を入れます。

水道水で構いませんが、ミネラル分が多いと水垢が付きやすいため気になる場合は浄水や精製水を使っても良いでしょう。

翌朝使用後の残り水は捨て、タンク内を空にして乾燥させます。常に新鮮な水を使うことで衛生を保てます。

 

1回程度の洗浄

タンク本体は週に1度、中性洗剤で優しく洗います[50]

蓋やゴムパッキンが外せる場合は取り外し、隅々まで洗浄してください。

洗剤を十分に洗い流したら水気を拭き、風通しの良い場所で乾かします。

水垢が付いている場合はクエン酸を溶かしたお湯にしばらく浸けてから洗うと落としやすいです。

 

管理のポイント

タンクにひび割れが生じたり変形が見られる場合、気密性が損なわれて故障の原因になります。

消耗品としてメーカー推奨の頻度で交換するようにしましょう。

また長期間使わない場合でも、水を入れっぱなしにせず必ず空にして乾燥保管してください。

 

清掃の頻度の目安

CPAP各部位の清掃頻度は上記のとおりですが、まとめると以下が目安となります[50]

マスク(クッション部)

毎日洗浄(手洗いしてよく乾燥)[50]

ヘッドギア(バンド部)

週1回程度洗浄(手洗い・陰干し)[50]

ホース(チューブ)

週1回程度洗浄(内部を洗剤でゆすぎ洗い・吊るして乾燥)[50]

加湿器タンク

水は毎日交換。タンク本体は週1回程度洗浄[54]

フィルター

機種にもよりますが、再利用可能なフィルターは週1回程度取り外してホコリを落とし、水洗い可能なら洗います[54]

使い捨てタイプは1〜2ヶ月ごとなどメーカー推奨頻度で交換しましょう。

 

清掃の際は必ず装置の電源を切り、部品を丁寧に取り扱ってください。きれいに保つことで装置の寿命も延び、何より清潔な空気で快適に治療を続けることができます。

 

CPAP使用でよくあるトラブルと解決方法

 

CPAPを使用する中で直面しやすいトラブルと、その対処法を整理しました。困ったときは自己流で対処しようとせず、以下の解決策を試すか、必要に応じて医療機関に相談してください。

 

空気漏れが気になる場合

症状

マスク装着時に「シューッ」という空気漏れの音がする、目や顔に空気が当たって乾燥する、といった場合。CPAPの空気がマスク周囲から漏れている状態です。

 

原因と対策

空気漏れは主にマスクのフィット不良が原因です[55]

 

マスクのサイズ・種類不適合

マスクが顔に合っていないと隙間ができ漏れます[55]

自分の顔に合うサイズ・形状のマスクに変更することが根本解決につながります[56]

医療機関でフィッティングを相談し、必要なら別サイズや他のタイプのマスクを試しましょう。

 

クッションの劣化

マスクのクッション部分が古く硬化すると密着しづらくなります[55]

交換できる機種であれば早めに新品クッションに取り替えてください。

 

ストラップの締め具合

前述のように、緩すぎると漏れ、きつすぎても逆効果です[11]

適切なテンションで装着し、定期的に状態をチェックしましょう[57]

特に寝返りでずれた場合は、その都度締め直すなど調整してみてください。

 

睡眠時の姿勢

横向き寝でマスクが押される、寝相でホースが引っ張られるなどで漏れが生じることもあります[31]

ホースの取り回しを工夫したり、マスクズレ防止用のクッションを活用するなどして、なるべくマスクに負荷がかからない姿勢を保ちましょう。

 

空気漏れ自体は多少なら治療効果に大きな支障はありませんが、音が気になったり目が乾く場合は対処が必要です。適切に対処すれば解決できることが多いので、根気強くフィッティングを追求しましょう。

 

鼻づまりや乾燥の対策

症状

CPAP使用中に鼻が詰まって苦しい、鼻や喉が乾燥して痛い、という状態。

 

原因

CPAPの送気による乾燥や、もともとの鼻炎・乾燥環境が原因です[41]。また鼻づまりがあると口呼吸になりやすく、口や喉の乾燥も悪化します。

 

対策

前述の「乾燥対策」「鼻づまりへの対応」と重なりますが、改めて主な対策をまとめます。

 

加湿器の活用

CPAPの加湿器を使用し、湿度設定を高めにします[42]

乾燥する季節は部屋にも加湿器を置き、就寝中の湿度を50%程度に維持すると効果的です[22]

 

鼻腔のケア

就寝前に生理食塩水の点鼻薬や鼻うがいで鼻腔を潤し、通りを良くしておきましょう[44]

特にアレルギー性鼻炎のある方は鼻粘膜のコンディションを整えることがCPAP使用感向上につながります。

鼻を温めると血行が良くなり通りが改善するため、蒸しタオルを鼻に当てるのも有効です[58]

 

マスクの工夫

鼻づまりがひどい場合は、無理に鼻呼吸をしようとせずフルフェイスマスクに変更し口呼吸できるようにする方法もあります[46]

あるいは一時的に口テープをやめ、口から空気を取り入れられる状態にしても良いでしょう。

いずれにせよ、鼻の通りが改善するまでは加湿を十分にして乾燥を和らげつつ様子を見てください。

 

医師への相談

アレルギー性鼻炎や風邪で鼻が詰まっている場合、根本的には鼻の治療を優先すべきこともあります[47]

鼻炎の治療薬を使用したり、場合によってはCPAPの一時中断も検討します(自己判断で中断せず必ず医師の指示を仰いでください[47])。

鼻の問題が解消すればCPAPも快適に再開できます。

 

機械音が気になる場合

症状

CPAP装置の作動音やマスクから漏れる音が気になって眠れない。

 

原因

CPAP本体のモーター音、空気が通る音、あるいは空気漏れ音などが考えられます。

最近の装置そのものは静音性が高く、動作音はかなり小さく抑えられています[59]

それでも気になる場合は、以下の対策を試しましょう。

 

空気漏れの解消

前述のとおり、マスクからの空気漏れがあると「シュー」という音が発生します[60]

まずはマスク装着を調整し、空気漏れ音を減らすことが先決です。

 

装置の設置場所

CPAP本体を頭から離れた場所に置くだけでも音の感じ方が違います。

床に直置きすると振動音が響くことがあるため、本体はしっかり安定した場所に置きましょう。

低反発マットの上に置くと振動音の吸収に役立ちます。

 

就寝環境への工夫

耳栓やホワイトノイズ(一定の環境音を流す装置)を利用して、CPAPの音を意識しないようにする工夫もあります。

どうしても音が気になる繊細な方は試してみてください。

 

より静かな機種の検討

現在レンタルで古い機種を使っている場合、最新の静音モデルへの変更を相談するのも手です。

最近のCPAPは非常に静かで、使用者の半数以上は数週間で音に慣れて気にならなくなったという報告もあります[59]

時間経過で慣れる可能性も高いので、過度に心配しすぎずまずは数週間様子を見てみることも大切です。

 

以上のような対策で多くの音の問題は改善できます。それでも眠れないほど気になる場合は医師に相談し、必要なら装置の点検や交換を検討しましょう。

 

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CPAPの使い方に関するよくある質問(FAQ)

 

最後に、CPAPの使い方や治療中によく寄せられる質問とその回答をQ&A形式でまとめます。

 

CPAPで熟睡できないのはなぜですか?

A. CPAP導入直後はマスクや空気の違和感で夜中に目が覚めてしまい、熟睡しづらいことがあります[61][28]

これは身体が新しい環境に慣れていないためで、個人差はありますが慣れるまで数週間〜数ヶ月かかる場合もあります[28]

また、マスクの不快感(圧迫感や漏れ音)、鼻や喉の乾燥といった問題が睡眠を妨げている可能性もあります。

対策としては上記で述べたようにマスクフィッティングや加湿調整、ランプ機能の活用などで快適性を上げ、徐々に装着時間を延ばしてみてください。

焦らず継続することで、多くの方は次第に熟睡できるようになります。

 

CPAPは口を開けて呼吸しても使えますか?

A. 基本的には鼻呼吸で使用することが推奨されています。

口を開けてしまうと鼻マスクの場合は空気が口から漏れて治療効果が減少し、口や喉の乾燥もひどくなります[62]

どうしても口が開いてしまう方は、口元まで覆うフルフェイスタイプのマスクに変更すれば口呼吸でも治療が可能です[46]

また、顎を支えるバンド(チンストラップ)を併用して強制的に口を閉じる工夫もあります[45]

現在鼻マスクをお使いで口呼吸になってしまう方は、まずはチンストラップ等で対策し、それでも難しい場合は主治医に相談してマスク変更を検討してください。

 

CPAP1晩に何時間装着すればいいですか?

A. 理想的には就寝から起床まで一晩中装着することが望ましいです。

CPAP療法の効果を十分得るには、「少なくとも1晩に4時間以上を週5日以上使う」ことが目安とされています[63]

4時間というのは治療の最低ラインで、それ未満だと十分な効果が得られない恐れがあります[64]

可能な限り寝ている間はずっと付けていただき、途中で外してしまった場合も気付いたらまた付け直すようにしましょう。

深い眠りの時間帯に外してしまうと効果が半減してしまうので[65]、「寝ている間はずっとCPAP」が基本と思ってください。

 

CPAPを夜中に外してしまうのはなぜですか?

A. 就寝中に無意識のうちにCPAPのマスクを外してしまう方もいます。

主な原因としては以下が考えられます。

 

マスクの不快感

マスクが顔に合っておらず空気漏れや痛みがあると、眠っている間に無意識に「煩わしいもの」として外してしまうことがあります[29]

対策は自分に合ったマスクに変更し、正しいフィッティングを行うことです[66]

 

設定圧が高すぎる

CPAPの空気圧そのものが苦しく感じて外してしまうケースです[67]

特に初心者の方は、息を吐く時に圧がかかることで「息苦しい」と感じやすいです[67]

この場合、ランプ機能や呼気圧低減機能を使ってみたり、医師に相談して圧力設定を調整してもらうといった対応が考えられます。

 

口や鼻の乾燥・閉塞

口や喉がカラカラに乾いたり、鼻づまりで苦しくて目が覚めて外してしまうことも多いです[68]

乾燥や鼻づまりへの対策(加湿器の使用、鼻腔ケアなど)を行い、症状を和らげましょう。

 

心理的ストレス

慣れないマスクや装置に対する無意識のストレスで外してしまう場合もあります。

眠る前のリラックスや、日中に短時間マスク装着の練習をするなどで徐々に順応できます[69]

 

これらの対策を講じても改善しない場合は、主治医に状況を説明してください。必要に応じて機器や設定の見直しをしてもらえます。

 

CPAPがどうしても合わない人はどうすればいいですか?

A. 一部の方はどうしてもCPAPに適応できない(マスクを付けて眠れない、長時間使えない)場合があります。

そのような場合でもすぐに諦めず、以下の手段を検討してください。

 

マスクや圧力設定の再調整

CPAPが「合わない」と感じる原因の多くはマスク不適合や設定圧による不快感です。

まずは医師や技師に相談して、よりフィットするマスクへの変更[18]や圧力設定の微調整を行い、快適性の向上を図りましょう。

マスクには鼻マスク・フルフェイスマスク・ピロータイプなど様々あり、サイズも豊富です[70]

ご自身に合うものが見つかれば格段に負担が減る可能性があります。

 

併用療法・代替療法

どうしてもCPAPそのものが難しい場合、マウスピース療法(口腔内装置)という選択肢もあります[71]

寝るときにマウスピース状の装置をはめて下顎を前方に出し、気道の閉塞を防ぐ方法です[72]

軽症〜中等症のSASであれば効果が見込まれるため、専門医に相談してみてください。

そのほか、体位療法(横向き寝の工夫)や減量、鼻炎の治療など、SASを改善する生活習慣の見直しも有効です[73][74]

 

耳鼻科的治療や手術

稀なケースですが、重度の鼻中隔湾曲症や扁桃肥大などがある場合、それらを治療・手術することで呼吸が通りやすくなり、CPAPに頼らずに済む可能性もあります。

睡眠専門医や耳鼻咽喉科医と相談し、総合的にベストな治療法を検討しましょう。

 

いずれにせよ、「CPAPが合わない=治療を諦める」ではありません。主治医とよく話し合い、最適な方策を見つけてください。

 

CPAP使用中に苦しくなるのはなぜですか?

A. CPAP使用中に「息苦しい」「圧迫感で苦しい」と感じる場合、主な原因は空気の圧力に対する生体の慣れです。

特に治療開始直後は、一定の圧力で空気が送り込まれるため息を吐きにくく感じ、「呼吸が苦しい」となることがあります[67]

また、鼻づまりがあると吸気も吐くのも辛く感じるでしょう。対策は先述の「息苦しさを和らげる方法」を参照してください。

ランプ機能で徐々に圧を上げる、呼気減圧機能を使う、鼻閉を改善する、といった方法で多くの場合は軽減します。

それでも耐え難い苦しさを感じる場合は圧力設定が適切でない可能性がありますので、遠慮なく医師に相談しましょう[38]

自己判断で装置を外してしまう前に、設定変更などで快適さを追求することが大切です。

 

CPAPの圧力は自動で調節できますか?

A. はい、一部のCPAP装置には自動調節機能(APAP機能)があります。

通常の「固定圧CPAP」は設定された一定圧を送り続けますが、自動CPAP(APAP: Auto-Adjusting Positive Airway Pressure)は患者さんの呼吸状態に合わせてリアルタイムに圧力を自動調整します[75]

例えば、睡眠中に無呼吸が出現しそうになると圧力を上げ、安定しているときは圧力を下げる、といった制御が行われます[76]

自動CPAPを用いることで、必要最低限の圧力で無呼吸を防げるため平均圧が下がり、快適性が高まる利点があります[77]

ただし、どんな機器でも自動というわけではなく、医師が処方時に機種を選択します。

手持ちのCPAPが自動調節対応か不明な場合は、取扱説明書を見るか主治医に確認してみてください。

 

CPAPの圧の正常値はいくつですか?

A. CPAP治療で設定される圧力(陽圧値)は患者さんによって異なり、一概に「正常値」があるわけではありません。

適切な圧力値は睡眠検査(CPAPの圧検査や簡易モニター)で決定され、無呼吸や低呼吸を防げる最小限の圧力が処方されます。

一般的な治療圧はだいたい5~15 cmH2O程度の範囲に収まりますが、軽症の方では6cmH2O前後、重症の方では15cmH2O以上が必要になることもあります。

つまり人によって適正圧は異なるため、自分に処方された圧力が適正であればそれが「その人にとっての正常値」と言えます。

逆に言えば、自己判断で圧力を変更するのは非常に危険です[78]

必ず医師の指示通りの圧力で使用し、不都合があれば医師に相談して調整してもらいましょう。

 

CPAPで息苦しいと感じるときの対策はありますか?

A. はい、息苦しさを感じるときは前述の工夫を試してみてください。

具体的にはランプ機能でゆっくり圧力を上げるようにしたり[35]、呼気時減圧機能を使って息を吐きやすくする、鼻呼吸を意識してゆっくり深呼吸する[27]などです。

それでも改善しない場合は圧力設定そのものが適切でない可能性もありますので、我慢せず医師に相談しましょう[38]

適正な圧力であれば、本来CPAPで息苦しくなることは徐々に無くなっていくはずです。

また、どうしても慣れない最初の頃は日中にマスクを付けて呼吸練習をするなど、時間をかけて順応する工夫も有効です[69]

 

CPAP使用中のAHIはいくつが目安ですか?

A. AHI(無呼吸低呼吸指数)とは1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数で、SASの重症度や治療効果を示す指標です。

CPAP治療中はAHI5未満に維持することが目標とされています[79]

正常な人のAHIも5未満ですので、CPAPでしっかり無呼吸が抑制できていればAHIは5未満に下がります[80]

AHIが5未満なら「治療は十分効果を発揮している」と言えます。

ただし、CPAPのメーカー簡易計測によるAHI表示は目安であり、多少の誤差もありえます。

明らかにAHIが高いまま(例えば10以上)であれば治療効果が不十分か設定の見直しが必要な可能性がありますので、医師に報告してください。

 

CPAPで鼻が詰まった時はどうしたらいいですか?

A. CPAP使用中に鼻づまりを感じたら、まず加湿レベルを上げてみることをお勧めします[42]

湿度を高めると鼻粘膜が潤い、通りが良くなることがあります。それでもダメな場合は、一度マスクを外して鼻をかみ、必要なら点鼻薬(市販の鼻詰まりスプレーなど)を使って鼻腔を広げましょう[44]

就寝前であれば蒸気吸入や鼻うがいで鼻の通りを良くしてから再度装着すると楽になる場合があります[44]

慢性的な鼻づまりがある方は、耳鼻科で根本治療を受けるのも一策です。

なお風邪などで一時的に鼻詰まりがひどい場合、無理にCPAPを続けず医師の指示のもとで一時中断することもあります[47]

その際も自己判断で止めるのではなく、必ず主治医に相談して指示を仰いでください。鼻が通ったらまたCPAPを再開し、治療を続けましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

「いびきがひどい」「夜間に呼吸が止まっていると指摘された」「日中の強い眠気に悩んでいる」といった方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります[81]

放置すると高血圧や心疾患のリスクにもつながるため、心当たりがあれば早めに医療機関で検査・治療を受けることが大切です。

 

森下駅前クリニックでは、忙しくて通院が難しい方や遠方の方でも受診できるようオンライン診療を実施しています[81][82]

スマートフォン一つで自宅にいながら医師の診察を受けられ、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査キットの送付やCPAP機器の自宅配送も行っております[83]

オンラインで診断から治療開始まで完結し、公的医療保険も適用されますので経済的負担も通常診療と変わりません[84]

 

もしSASが疑われる方は、ぜひ当院のオンライン診療をご活用ください。

24時間いつでも予約可能で[85]、対面診療と同等の診察・サポートを受けられます。

ご自宅で安心して検査・治療を始めましょう。詳しくは当院ホームページの「オンライン診療」の案内ページをご覧いただき、気軽にお問い合わせください。

SASの適切な治療で、いびきのない快適な睡眠と健康な毎日を取り戻しましょう。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

引用文献

[1] [2] [3] [16] [70] [71] [72] 睡眠時無呼吸症候群のCPAP(シーパップ)治療とは? | 森下駅前クリニック

https://morishitaekimae.com/006-2/

[4] [5] [6] [7] [8] [9] [14] [19] [20] [21] [23] [24] [25] [26] [30] [31] [39] [42] [44] [45] [46] [51] [55] [56] [57] [58] [62] [73] [74] 睡眠時無呼吸症候群患者のためのCPAP機器の使い方と注意点 – 神戸きしだクリニック(神戸市中央区)

https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/sleep-apnea-syndrome/sas-cpap-usage-caution/

[10] [13] [15] [22] [27] [28] [34] [36] [37] [38] [41] [43] [61] 快適なCPAP治療へのポイント | CPAP Support | フクダ電子

https://www.fukuda.co.jp/cpap_support/point/

[11] [12] [17] [29] [32] [33] [63] [64] [66] [67] [68] CPAPを途中で外してしまう方へ|原因と解決策を専門医が徹底解説 | 森下駅前クリニック

https://morishitaekimae.com/080/

[18] [35] [40] [47] [48] [49] [50] [52] [53] [54] [59] [60] [69] [75] [76] [77] [78] CPAPの適切な圧力設定とは?正しい使い方と調整のポイント – 神戸きしだクリニック(神戸市中央区)

https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/sleep-apnea-syndrome/sas-cpap-pressure-setting-guide/

[65] CPAPの効果はいつから実感?効果が出るまでの期間と「効果ない …

https://morishitaekimae.com/078/

[79] CPAPとAHIの関係性|治療による無呼吸指数の変化と目標値 – 神戸きしだクリニック(神戸市中央区)

https://kobe-kishida-clinic.com/respiratory-system/sleep-apnea-syndrome/sas-cpap-ahi-relationship-treatment-goals/

[80] CPAPレポートの見方を解説!レポートで分かる睡眠時無呼吸症候群 …

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[81] [82] [83] [84] [85] オンライン診療とは | 森下駅前クリニック

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CPAPを途中で外してしまう方へ|原因と解決策を専門医が徹底解説

 

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CPAPを途中で外すとどうなる?

CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に非常に有効ですが、途中でマスクを外せばその間は気道への陽圧送気が途絶えてしまいます【1】。

すると睡眠中の無呼吸・低呼吸が再発し、低酸素状態や睡眠の分断を招いてしまいます【1】。

その結果、日中の眠気や集中力低下といった症状が十分に改善されなかったり、長期的な高血圧・心血管疾患などのリスクが依然として残る恐れがあります【1】。

一般的にCPAP療法の「使用順守(コンプライアンス)」は、少なくとも1晩に4時間以上の使用を週5日以上続けることと定義され【1】、その程度の使用で治療効果が現れるとされています。

逆に言えば、それ未満の使用では効果が不十分となり得ます。実際、CPAPを処方された患者の約半数は毎晩4時間未満しか使用しておらず、1〜2晩でも使用時間が不足すると無呼吸症状がすぐに戻ってしまうことが報告されています【1】。

治療効果を十分得るためにも、CPAPは可能な限り一晩を通して装着し続けることが重要です。

 

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CPAPを途中で外してしまう代表的な7つの原因と対策

 

原因①:マスクが合っていない

マスクのサイズや形が顔に合っていないと、隙間からの空気漏れや締め付けによる痛みなどの問題が生じ、眠っている間に無意識にマスクを外してしまう一因となります【2】。

特にマスクが緩すぎれば効果的な密閉が得られず、空気漏れによる騒音や目の乾燥、治療効果の低下につながります【2】。

逆に強く締めすぎている場合は皮膚への圧迫で痛みや圧痕が生じ、不快感から外してしまいやすくなります【2】。

 

対策

自分に合ったマスクを選び、正しいフィッティングを行うことが重要です。

CPAP用のマスクには鼻を覆う「鼻マスク」、鼻孔に差し込む「ピローマスク」、鼻と口を覆う「フルフェイスマスク」などがあり、ご自身の顔の形や呼吸の仕方に適したタイプを検討しましょう。

現在のマスクが合わないと感じる場合は、主治医や担当者に相談して別のサイズ・形状のマスクを試してみてください【2】。

装着時は鏡で確認しながらストラップの締め具合を調整し、空気が漏れず痛みが出ない適度なフィットを確保します【2】。

またマスククッション(パッド)の劣化やズレも密閉不良の原因となるため、定期的に交換するか、肌に当たる部分に専用ライナーを挟んでフィット性と快適性を高める工夫も有効です【2】。

 

原因②:設定圧が苦しい

CPAP装置の陽圧が自身にとって高すぎる場合、吸気時の風圧や呼気時の抵抗感が苦しく感じられ、ストレスからマスクを外してしまう原因になります【2】。

特に初心者では、一定の高い圧力で息を吐くことに慣れず「息苦しい」と感じてしまいがちです【2】。

圧力が合わないままでは睡眠の質も損なわれ、継続使用が難しくなってしまいます。

 

対策

圧設定が適切でないと感じる場合は、自己判断で装置を停止したりせず必ず医師に相談して調整してもらいましょう【2】。

専門医は睡眠検査のデータやCPAP装置の記録をもとに、現在の圧力が適正かを評価し、必要に応じて再設定を行います。

多くのCPAP装置には「ランプ機能(RAMP)」が備わっており、就寝直後は低めの圧力から徐々に設定圧まで上昇させることが可能です【2】。

この機能を活用すれば寝入りばなに感じる圧迫感を和らげられます。さらに、呼気時のみ圧を下げる「呼気圧減弱機能(EPRやC-Flexなど)」をオンにすることで、吐く息のしやすさが改善し違和感が軽減します【2】。

それでも圧への耐性がどうしてもつかない場合、一時的に日中にマスクを装着して起きている間に呼吸の練習をする、あるいは医師と相談して吸気と呼気の圧を別々に設定できるBiPAP装置への切り替えを検討することもあります【2】。

 

原因③:口や喉の乾燥

CPAP使用中に口腔内や喉が乾燥することも、途中でマスクを外してしまう大きな要因です【2】。

口や喉の粘膜がカラカラになると違和感で眠りが妨げられ、無意識にマスクを外してしまうケースがあります【2】。

特に鼻マスク使用で就寝中に口が開いてしまうと、気道への圧が口から漏れて乾燥を招くだけでなく、CPAP本来の治療効果も減弱してしまいます【2】。

 

対策

乾燥感が強い場合はCPAP装置に付属の加温加湿器を適切に利用して送気に潤いを与えましょう【2】。

湿度設定を調整し、季節や室内環境に合わせて十分な加湿を行うことで、鼻や喉の乾燥・鼻詰まり症状を軽減できます【2】。

また睡眠中に口呼吸をしてしまうことが乾燥の原因であれば、医師に相談の上で口元に医療用テープを貼ったり顎下にバンド(チンストラップ)を装着したりして、強制的に口が開かないようにする方法も有効です【2】。

それでも乾燥が気になる場合は、就寝前に十分な水分補給をする、室内に加湿器を設置して湿度を保つといった環境調整も併せて行うと良いでしょう。

 

原因④:鼻詰まり

鼻づまりがある場合もCPAPの使用継続が困難になります。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、風邪などで鼻粘膜が腫れていたり、CPAPの送気による鼻の乾燥・刺激で鼻が詰まってくると、鼻から十分に息が吸えず苦しくなってマスクを外してしまうことがあります【2】。

特に鼻マスクを使用している場合、鼻閉が強いと鼻呼吸ができず口呼吸に切り替わってしまうため、CPAPの圧が逃げてしまい治療効果も落ちてしまいます。

 

対策

鼻づまりを軽減することがCPAP継続の鍵となります。まず前述のように加湿器を使って乾燥を防ぐことは有効です【2】。

加えて、アレルギーや副鼻腔炎がある方はその治療を積極的に行いましょう。就寝前に点鼻用のステロイドスプレーや粘膜収縮剤(※これらは医師の指示のもとで短期間使用)を用いて鼻通りを良くする方法があります【4】。

生理食塩水で鼻腔を洗浄する鼻うがいも、鼻粘膜の湿潤と鼻詰まりの改善に役立ちます【2】。

それでも鼻閉が強く鼻マスクでは対応できない場合、口と鼻を両方覆うフルフェイスマスクに変更することで、鼻が詰まっていても口から呼吸を継続できるようになります【2】。

 

原因⑤:無意識の寝返りや体の動き

睡眠中の体位変換や無意識の動きもCPAPマスク脱落の一因です。寝返りが多かったり寝相が悪い方の場合、動いた拍子にマスクがずれたり、チューブが引っ張られてマスクが外れてしまうことがあります【2】。

また深い眠りの中で手が顔に当たってマスクを触り、そのまま外してしまうケースもあります。

 

対策

マスクが寝ている間に外れないよう工夫しましょう。まずマスクのヘッドギア(バンド)を正しく調整し、きつすぎず緩すぎず、動いてもずれにくい適切なフィットを確保します【2】。

装着後に仰向け・横向きなど自分の寝姿勢で実際に体を動かし、マスクが安定しているか確認してください【2】。

それでも外れてしまう場合は、よりフィット感の高い別種類のマスク(動きに強いデザインのもの等)を検討すると良いでしょう【2】。

またチューブが寝具に絡まったり引っ張られたりしないよう、ホースをベッドの上方に固定するホルダーを使ったりCPAP用の特殊な枕を利用したりして、寝返りを打ってもチューブにテンションがかからない工夫も有効です【2】。

 

原因⑥:閉所恐怖症・マスクへの圧迫感

CPAPマスクを顔につけること自体への心理的抵抗や恐怖感も、マスクを外してしまう原因になります。

閉所恐怖症傾向のある方や、顔の一部が覆われることに強い不安を覚える方は、マスク装着によって「息苦しい」「閉じ込められた」ようなパニックに陥ることがあります【2】。

その結果、無意識あるいは半覚醒状態でマスクを取り外してしまうことがあります。

 

対策

少しずつマスクへの抵抗感を和らげていくことが大切です。日中のリラックスした時間帯にあえてマスクを装着し、読書やテレビ視聴などをしながら「マスクに慣れる練習」をしてみましょう【2】。

最初は数分から始め、徐々に装着時間を延ばしていくことで、装着への恐怖心が薄れていきます【2】。

それでも息苦しさを感じる場合は、現在フルフェイスタイプをお使いなら、鼻のみ覆うマスクや鼻孔に差し込むピロータイプに変更することで視界が開け圧迫感の軽減につながることがあります【2】。

どうしても不安が強い方は、就寝前に腹式呼吸や瞑想などで心身を落ち着かせる習慣を取り入れるほか、必要に応じて医師に相談して心理的サポートを受けることも検討してください。

 

原因⑦:飲酒

就寝前の飲酒はCPAPマスクを途中で外してしまう誘因となり得ます。アルコールには中枢神経を抑制し筋肉を弛緩させる作用があり、寝酒をすると睡眠中に咽頭周囲の筋肉が緩んで気道が塞がりやすくなります【3】。

また無呼吸が起こっても脳が覚醒して呼吸を再開する反応が鈍くなるため、普段より長時間の無呼吸・低呼吸が生じて低酸素状態が悪化します【3】。

さらにアルコールによる血管拡張で鼻粘膜が充血し、鼻づまりが生じていびきや無呼吸を一層誘発することも知られています【3】。

こうした影響で、飲酒後はたとえCPAPを使用していても十分な効果が得られにくく、睡眠も浅く断片的になるため、結果的にマスクを途中で外してしまいやすくなります。

実際に「お酒を飲んだ日は朝起きるとマスクが外れていた」という経験をされる方も少なくありません。

 

対策

睡眠前のアルコールはできるだけ控えることが賢明です。特に就寝直前の深酒は睡眠の質を低下させ無呼吸発作も増悪させるため、専門家も就寝前少なくとも3時間は禁酒することを推奨しています【3】【4】。

どうしてもお酒を飲む場合でも適量に留め、寝る直前は避けるようにしましょう。

アルコールを控えるだけでも睡眠の質が向上し無呼吸も改善するため、CPAP療法の効果維持に大きく寄与します【4】。

習慣的に飲酒されている方はこの機会に生活習慣を見直し、必要であれば医師に相談の上で節酒・禁酒に取り組むことをおすすめします。

 

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それでもCPAPを外してしまう場合は医師に相談を

 

ここまでの対策を試しても「どうしても夜中にCPAPを外してしまう」という場合は、自己判断で治療を中断せず、必ず専門の医師に相談してください【2】。

医師には「いつ頃からどのような状況でマスクを外してしまうのか」「これまで試した対策とその効果」「現在使用しているマスクの種類や装置設定」「体重変動や睡眠環境の変化」などを詳しく伝えましょう【2】。

CPAP装置には使用時間や残存無呼吸指数(AHI)、マスクフィット状況といったデータが記録されています。それらも共有すれば客観的な視点から原因分析の手がかりになります【2】。

 

主治医は必要に応じて追加の睡眠検査を行ったり、治療設定を見直したりして、より個別化された対応策を提案してくれます【2】。

例えばマスクの種類変更、圧設定の再調整、加湿方法の見直し、アレルギー治療の強化、睡眠薬の減量など、患者さん一人ひとりの状況に合わせた対策が可能です【2】。

それでもCPAPがどうしても合わない場合、医師と相談の上でマウスピース型の口腔内装置や外科的手術などCPAP以外の治療法を検討する選択肢もあります【2】。

大切なのは諦めずに治療を続けることであり、専門医と二人三脚で快適にCPAP療法を継続できる方法を探していきましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は適切に治療しないと、日中の強い眠気による仕事中・運転中の事故リスクや、高血圧・心不全・脳卒中などの合併症リスクが高まる疾患です。

いびきが酷い、就寝中の無呼吸を指摘された、朝の頭痛や日中の倦怠感が強いといった症状に心当たりがある場合は、早めに医療機関での評価を受けましょう。

 

当院(森下駅前クリニック)では睡眠時無呼吸症候群に対するオンライン診療を実施しています。

遠方の方や多忙で来院が難しい方でも、ご自宅からビデオ通話を通じて専門医の診察を受けられます。

オンライン診療では症状の問診や必要な検査キットの手配、治療方針の説明まで行いますので、SASが疑われる方やCPAP治療について相談したい方はぜひお気軽にご利用ください。

適切な治療介入によって、質の高い睡眠と健康な生活を取り戻しましょう。

 

オンライン診療のご予約はこちら

お問い合わせ・ご相談もお気軽にどうぞ。あなたの健やかな眠りを、私たちがサポートいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Sleep Foundation, What is CPAP Compliance? (Updated July 9, 2025)
[2] SleepApnea.org, Troubleshooting CPAP Problems (Eric Suni 著、2025年6月10日更新)
[3] SleepApnea.org, Alcohol and Sleep Apnea (Eric Suni 著、2023年9月19日更新)
[4] Mayo Clinic, Obstructive sleep apnea – Diagnosis and treatment (Updated July 14, 2023)

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CPAPは人工呼吸器と違うの?その役割と安全性を専門医が徹底解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として知られるCPAP(シーパップ)ですが、「人工呼吸器(生命維持装置)と同じものなの?」「安全なのだろうか?」と不安に思う方も多いでしょう。

本記事では、専門医がCPAPと人工呼吸器の違いを分かりやすく解説し、CPAP治療の安全性や、逆に治療しない場合のリスクについてエビデンスに基づき徹底解説します。

さらに、CPAPに関するよくある疑問にもQ&A形式でお答えします。

 

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CPAPと人工呼吸器(生命維持装置)の違い

 

CPAPと一般的な「人工呼吸器」はともに呼吸をサポートする医療機器ですが、その目的や役割は大きく異なります[3]。

簡単に言えば、CPAPは睡眠中に空気の通り道(気道)が塞がらないように支えるための装置で、主に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんに対して夜間に使用します。

一方、人工呼吸器(生命維持装置)は患者さん自身の呼吸が極めて弱いか止まってしまっている場合に、呼吸そのものを機械が代行・補助して生命を維持するために使われる装置です[3]。

人工呼吸器は重篤な呼吸不全に陥った患者や手術中の麻酔下などで用いられ、気管挿管や気管切開を伴うこともあります。

 

具体的な違いを挙げると、CPAPは鼻や口にマスクを装着し常に一定の陽圧(空気圧)を気道に送り込みます。これにより睡眠中も喉や気道が開いた状態に保たれ、無呼吸や低呼吸を防ぐ仕組みです。

一方で人工呼吸器は、患者さんの肺に酸素を送り込み二酸化炭素を排出する呼吸動作自体を助ける/代行する機能を持ち、患者さんの呼吸回数や吸入量を機械がコントロールできます[3]。

つまり、CPAPは患者自身の自発呼吸が前提で「空気の通り道を支える」装置であり、人工呼吸器は自発呼吸が困難な人の「呼吸そのものを維持する」装置なのです。

実際、睡眠時無呼吸症候群の治療に使われる家庭用CPAP装置は、集中治療室などで使われる高度な生命維持装置としての人工呼吸器とは明確に区別されます[3]。

CPAPはマスクを介して空気圧をかける非侵襲的な療法であり、気管挿管などの侵襲を伴わない点も人工呼吸器との大きな違いです。

 

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CPAP治療の安全性と、治療をしないことの本当のリスク

 

CPAPは世界中で行われている安全な治療法です

CPAP療法は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に対する第一選択の標準治療であり、世界中で広く行われています[2]。

日本でも1998年に健康保険適用となって以来、多くの患者さんがCPAPによって症状の改善を実感しています[2]。

CPAP装置は卓上に置ける小型の機械で、基本的には空気を送り出すポンプとホース、マスクで構成されており、薬剤を使わず空気圧だけで治療できるのが特徴です。

そのため副作用は比較的少なく、適切に使用すれば安全性の高い治療と言えます。実際にCPAP治療によって睡眠中の低酸素状態が解消し、日中の眠気や倦怠感の改善、高血圧の是正など多くの有用性が報告されています。

重症のSAS患者さんを対象とした研究でも、CPAPを行った群は行わなかった群に比べて明らかに長生きできたとの結果が示されるなど、CPAP療法の有効性・安全性は数多くの研究で証明されています[2]。

現在では中等度~重度のSAS患者さんにはCPAPが世界的に標準治療として推奨されており、毎晩世界中の患者さんがCPAP装置を使用して安眠を取り戻しています

マスク装着による違和感や、鼻・喉の乾燥など多少の副作用はありますが、こうした問題も加湿器の併用やマスクの工夫で改善できます。

総じて、CPAPは適切な指導のもとで使用すれば長期にわたり安全に継続できる治療法です。

 

本当に怖いのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置することです

CPAPそのもののリスクよりも、治療せずにSASを放置することの方が遥かに危険です。

睡眠時無呼吸症候群は単なる「いびき」や「寝不足」の問題ではなく、放置すれば全身に様々な悪影響を及ぼします。

例えば、睡眠中の無呼吸により慢性的な低酸素状態と睡眠の分断が起こると、交感神経が過剰に刺激されて高血圧、心拍数の増加、不整脈など心血管系への負担が生じます。

その結果、心筋梗塞や脳卒中、心不全など致命的な合併症のリスクが高まります。また、夜間の低酸素は糖尿病やメタボリックシンドロームの悪化要因ともなり得ます。

さらに、睡眠の質の極度の低下から日中の強い眠気が生じ、居眠り運転による交通事故など重大な事故の危険性も指摘されています。

ある18年間の追跡研究では、重症の睡眠時無呼吸症候群の人は、症状がない人に比べて全死亡リスクがおよそ3倍にも達し、適切に治療しなかった場合はそのリスクがさらに高まったことが示されています[1]。

特にCPAP等による治療を受けなかった重症患者では、心血管死亡リスクが治療例の約2倍から5倍近くに跳ね上がったとの報告もあり、CPAP治療が命を守る可能性を示唆しています[1]。

このように、本当に怖いのはCPAP装置ではなく、睡眠時無呼吸症候群そのものを放置することなのです。

適切な治療を受けず無呼吸状態が続けば、知らず知らずのうちに健康寿命を縮め、突然死のリスクすら高めかねません。

SASは早期発見・早期治療が何より重要な疾患であり、少しでも疑わしい症状があれば放置せず専門医に相談することが大切です。

 

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CPAPと「人工呼吸器」に関するよくある質問(Q&A)

 

CPAPを使うと、医療費控除の対象になりますか?

A. はい、CPAP治療にかかった費用は条件を満たせば医療費控除の対象になります。

CPAP療法は医師の管理下で行う継続的な治療であり、健康保険適用であれば毎月の自己負担金(装置のレンタル料や診察費等)は医療上必要な費用として確定申告時に医療費控除の対象となります[4]。

年間の医療費自己負担額が一定額(通常10万円)を超える場合、確定申告を行うことで所得税の還付や住民税の軽減が受けられます。

ただし注意点として、CPAP装置を医師の関与なしに全額自己負担で購入した場合(日本では一般にCPAPは医師の処方のもとレンタルする形ですが、何らかの理由で自費購入したケース)には、その購入費用自体は医療費控除の対象とならないのが原則です[4]。

これは眼鏡や補聴器と同様、「治療の対価」とみなされないためですが、通常の保険診療でCPAPを利用する限り心配いりません。領収書を保管のうえ、確定申告時に忘れずに申請しましょう。

 

CPAPの使用で、身体障害者手帳の対象になりますか?

A. 一般的にはCPAPを使っていること自体で身体障害者手帳の交付対象になることはほとんどありません

身体障害者手帳は視覚や聴覚、呼吸機能などに永続的な障害がある場合に交付されますが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)単独では日常生活における身体機能の著しい制限と見なされないことが多いためです[5]。

基本的には、SASによって重度の呼吸不全や心不全など他の合併症を伴い、日常生活に著しい支障が出ている場合に限り、呼吸器機能障害として障害者手帳の等級が認定される可能性があります[5]。

例えばSASが原因で覚醒時にも低酸素血症が生じるほどの深刻な呼吸障害がある場合などが該当します。その際は医師の診断書が必要で、各自治体の審査で認定されれば手帳取得となります。

ただ、CPAPで無呼吸がコントロールされ日常生活が送れている状態であれば、手帳の対象にはならないのが通常です。障害年金についても同様に、SASだけで認定されるケースは稀で、他の重篤な合併症を伴う場合に検討されることになります。

 

CPAP治療を一度始めたら、一生やめられないのでしょうか?

A. 現状では、多くの患者さんにとってCPAP治療は長期継続が前提となります。CPAPは根本的に睡眠時無呼吸の原因を取り除く「治療薬」ではなく、睡眠中だけ症状を抑える「対症療法的な装置」です[6]。

CPAPを使用している間は無呼吸を防げますが、機械を外せば再び気道が塞がって無呼吸が起きる可能性があります。

特に肥満が原因でOSAになっている場合、体重を減らすことで症状改善が期待できますが、それでも10%の減量で無呼吸・低呼吸の回数が20%程度減るにとどまるとの報告があり、重症の方では多少体重を減らしてもCPAP無しで十分な呼吸が確保できないケースが多いのです[6]。

つまり、CPAPは高血圧における降圧薬や、視力矯正の眼鏡のように、「症状をコントロールするために使い続けるもの」と考えるのがよいでしょう。

もちろん、中等度のSASであれば歯科装置(マウスピース)や体位療法、生活習慣の改善でCPAPを使用せずに改善する例もありますし、肥満の方が大幅な減量に成功してCPAPが不要になる可能性もあります。

しかし現実には、一度CPAPが必要な程度の重症OSAと診断された方の多くは、何らかの根本治療(体重減少や外科手術など)を行わない限りCPAPをやめるのは難しいのが実情です[6]。

CPAPを中断すれば再び睡眠中の無呼吸が増えてしまうため、主治医と相談しながら無理のない範囲で上手に付き合っていくことが大切です。

ただし、「一生やめられない」と悲観する必要はありません。将来的に画期的な治療法が開発されたり、著しい体質改善が得られればCPAP卒業もあり得ますし、何よりCPAPによって得られる快適な睡眠と健康維持のメリットは計り知れません。

CPAP治療を続けることで得られる日中の爽快感や合併症予防の効果は、装置の手間を上回る価値があります。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

睡眠時無呼吸症候群は適切な治療で生活の質を大きく向上させることができます。

もし「いびきがひどい」「日中の強い眠気が続く」「夜間に呼吸が止まっていると指摘された」などSASの疑いがある場合は、放置せず早めに医療機関に相談しましょう。

当院(森下駅前クリニック)では睡眠時無呼吸症候群に対するオンライン診療を実施しています。

忙しくて通院が難しい方や遠方の方でも、自宅にいながら専門医の診察を受け、必要な検査や治療の提案を受けることが可能です。

オンライン診療であれば、問診や簡易検査の結果確認、CPAP治療の導入や継続フォローまで、来院の負担を減らしてSASのケアを行えます。

「もしかして…」と思い当たる症状がある方は、ぜひ一度オンライン診療をご利用ください。早期に適切な対応を行い、質の高い睡眠と健康な生活を取り戻しましょう。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

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合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Young T et al. Sleep-Disordered Breathing and Mortality: Eighteen-Year Follow-Up of the Wisconsin Sleep Cohort. Sleep. 2008;31(8):1071-1078.
[2] 日本呼吸器学会 呼吸器Q&A Q30「CPAP(シーパップ)とはどのような治療法ですか?」※一般社団法人日本呼吸器学会 市民向けサイトより (閲覧日: 2025年8月9日).
[3] 岸田 雄治 「CPAPは人工呼吸器とどう違う?NPPVとの比較と医療現場での役割」神戸きしだクリニック 呼吸器内科 (2025年6月30日公開).
[4] 岸田 雄治 「CPAPの購入費用と保険適応|自費診療と医療費控除の仕組み」神戸きしだクリニック 呼吸器内科 (2025年6月6日公開).
[5] 愛媛・松山障害年金相談センター 「睡眠時無呼吸症候群で障害者手帳・障害年金を取得する方法とそのメリット」 (ウェブ記事, 2023年).
[6] 大阪回生病院 睡眠医療センター 「睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関するQ&A」 (病院ウェブサイト, 閲覧日: 2025年8月9日).

 

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CPAPの効果はいつから実感?効果が出るまでの期間と「効果ない」時の対処法を専門医が解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療として広く行われているCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸)療法ですが、「効果を実感できるまでにどのくらい時間がかかるのか?」と不安に思う患者さんも多いでしょう。

結論から言えば、CPAPの効果は使用当日の夜から現れ始めます

ただし、症状の改善をはっきり感じ取れるようになるまでの期間には個人差があり、数週間から数ヶ月かかることもあります。

本記事では、CPAP治療の効果が出るまでのタイムラインを期間別に解説し、なかなか効果を感じられない場合に考えられる原因と対処法、さらにCPAP治療をいつまで続ける必要があるのかについて、最新のエビデンスに基づき専門医がわかりやすく説明します。

最後に、SASが疑われる場合に当院で提供しているオンライン診療についてもご案内します。

 

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CPAP治療の効果が出るまで – 実は「最初の夜」から効果は出る!

 

CPAP療法では、マスクを通じて睡眠中に空気を送り込み、喉の気道が塞がるのを防ぐことで無呼吸や低呼吸を治療します。

装着初日から気道の開通が確保されるため、CPAPの効果は初回の夜から現れます

実際、CPAPを一晩使用しただけで、睡眠中の無呼吸発作の回数が劇的に減少し、血中の酸素低下が改善します。

その結果、翌朝には注意力や目覚めの爽快感の向上が認められたとの報告もあります【1】。

患者さんによっては初日から「いびきが消えた」「夜中に何度も目が覚めなくなった」といった変化に気づくことも少なくありません。

 

もっとも、CPAP装置やマスクに慣れていない最初の数日は、装着感の違和感や機械の動作音などでかえって眠りづらさを感じる場合もあります。

しかし心配はいりません。

治療によって睡眠そのものの質は確実に向上しており、身体は着実に効果を得始めています。では、その効果を実感できるようになるまでに具体的にどのような段階があるのか、次の章で期間別に見ていきましょう。

 

期間別に解説!CPAP治療で実感できる効果のタイムライン

 

最初の夜~1週間

CPAP治療を開始して最初の数日以内で、多くの患者さんは睡眠環境の変化に徐々に慣れていきます。上記のように初夜から無呼吸そのものは解消されているため、身体面では即座に良い変化が起きています。【1】

例えば、夜間の低酸素状態が改善し、それに伴って夜間頻尿や朝の頭痛が早い段階で軽減することがあります。

また、睡眠中のいびきがその日からピタッと止まるため、ご家族から「初日からいびきが静かになった」と言われるケースもあります。

睡眠の分断が減ることで、「以前より熟睡できた」「起床時の疲労感が少ない」と感じる方も一部ではいます。

ただし、多くの方は使い始めの数日はマスクに違和感を覚えたり機械に気を取られたりして、主観的な睡眠の質向上を実感できるまでには至らないかもしれません。

最初の1週間程度は、新しい治療に身体を慣らす調整期間と考えてください。

 

1週間~1ヶ月後

治療開始から1〜2週間もすると、マスク装着や気流にも大分慣れてきて、CPAPをつけたままでもぐっすり眠れるようになる患者さんが増えてきます。

そうなると、日中の眠気や倦怠感の改善といった効果を実感し始める時期です。

実際、無治療だった時と比べて「昼間に居眠りしてしまうことが減った」「体が軽く感じる」といった変化が表れてきます。

エビデンスによれば、約3週間継続してCPAPを使用すると、臨床的に有意な疲労感の軽減と活力の増大が得られたとの報告があります【2】。

特に治療前に強い日中の眠気や疲労を抱えていた人ほど、その改善効果が顕著になることが示されています【2】。

この頃までに、抑うつ気分や集中力低下など、睡眠不足に関連して起きていた精神面の不調が改善してくる方もいます。

個人差はありますが、1ヶ月経つ頃には「睡眠の質が明らかによくなった」「以前より朝すっきり起きられる」と、多くの患者さんがCPAPの恩恵を自覚できるようになるでしょう。

 

1ヶ月~3ヶ月後

CPAP治療を開始してから数ヶ月が経過すると、睡眠の質向上による全身への良い影響がさらに確かなものとなります。

日中の強い眠気が解消し仕事や家事に支障がなくなるだけでなく、気分や認知機能の面でも改善が見られます

例えば、不安感やイライラ感の軽減【2】、記憶力や注意力の向上といった報告があります。夜間低酸素状態の解消は身体のストレス反応を和らげるため、高血圧や2型糖尿病などの併存症をお持ちの方では、CPAP治療によってこれらの管理状態が改善する場合もあります。

実際、CPAP使用により収縮期・拡張期血圧が平均2~3mmHg程度低下したとのデータもあり【3】、特に降圧薬で十分にコントロールできていなかった高血圧がある患者さんほど血圧改善の恩恵を受けやすいとされています。【3】

こうした身体面の変化は静かに進行するため実感しにくいかもしれませんが、CPAPを継続することで健康リスクが着実に低減していることは知っておいてください。

 

3ヶ月以降~

3ヶ月を超えてCPAP治療を続ける頃には、患者さん自身が「もうCPAPなしでは眠れない」「以前の無呼吸のある睡眠には戻れない」と感じるほど、日常生活の質が向上していることでしょう。

熟睡できる恩恵により、趣味や仕事に前向きに取り組める活力が出たり、家庭内でも「いびきがなくなり一緒に安心して眠れる」とご家族の安心感も得られます。

さらに長期的なCPAP使用は、心血管疾患のリスク低減にもつながります

例えば、適切にCPAPを使用している患者さんでは、未治療の場合に比べて脳卒中の発症リスクが有意に低下したとの研究報告があります【3】。

これは、CPAPが睡眠中の血圧変動や低酸素状態を改善し、心血管系への負担を減らすためと考えられています。

もちろんCPAPは高血圧や糖尿病の治療薬に置き換わるものではありませんが、睡眠の質を改善することでこれらの疾患管理を助け、全身の健康維持に寄与します。

 

このように、CPAP療法の効果は使い始めから長期にわたって段階的に現れ、継続するほど多方面に良い影響が得られるのです。効果を最大限に引き出すには、治療を毎晩しっかり継続することが重要です。

 

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「効果がない…」と感じる時にチェックすべき5つの原因と対処法

 

CPAPをしっかり使っているのに「思ったほど効果が感じられない…」という場合、以下のような原因が隠れているかもしれません。諦める前に、5つのポイントを確認し改善できることがないか対処してみましょう。

 

マスクが合っていない

CPAPマスクのフィットが不十分だと、隙間から空気が漏れて必要な陽圧が保てず、治療効果が大きく損なわれます【4】。

寝ている間に空気が漏れていると感じる場合や、朝起きたとき目や鼻が乾燥している場合は、マスクのサイズや装着方法を見直しましょう。

対処法としては、まずマスクのストラップを適切な強さに調整し、顔に密着するようフィッティングします(きつすぎると痛みや圧痕の原因になるので注意)。

それでも改善しない場合、自分の顔の形状に合った別のタイプのマスク(鼻だけ覆うタイプ、フルフェイスタイプ、鼻孔クッションタイプなど)を検討すると良いでしょう。

医師や担当技師に相談すれば、適切なマスク選びとフィッティングのサポートを受けられます。

 

設定圧が適切でない

CPAP装置の圧力設定(エア圧)が合っていないと、十分な陽圧が気道に加わらず無呼吸やいびきが残存してしまいます。

使用中にまだいびきや呼吸停止が見られる場合、圧力が不足している可能性が高いです【4】。

自己判断で装置をいじるのは危険なので、必ず主治医に相談しましょう。医療機関でCPAP装置のデータを確認すれば、一晩の無呼吸指数(AHI)やマスクリーク量がわかるため、必要に応じて圧力設定の再調整(CPAPの再チトレーション)を行います。

適切な圧力に設定し直すことで、残っていた無呼吸エピソードが消失し、治療効果が実感できるようになるはずです。

 

無意識の口呼吸

就寝中に口が開いてしまう「口呼吸」が原因でCPAPの効果が下がっているケースもあります。

鼻マスクや鼻孔クッションタイプを使用している場合、睡眠中に口が開くと空気がすべて口から漏れてしまい、気道に圧がかからなくなります。

その結果、喉の気道閉塞が防げず治療効果が得られません。また口から漏れる空気で喉や口腔内が極度に乾燥し、朝起きたとき口がカラカラに渇くのもサインです【5】。

対策としては、顎が外れないよう支える「チンストラップ(顎ベルト)」を併用して口呼吸を防ぐ方法があります【5】。あるいは、口と鼻を両方覆うフルフェイスタイプのマスクに変更するのも有効です。

また、鼻づまり等で鼻呼吸がしづらい場合は耳鼻科で治療したり、就寝前に鼻腔を洗浄する、CPAPの加湿器機能を使って鼻や喉の乾燥を防ぐ、といった工夫もしてみましょう。

 

使用時間が短い、または不規則

CPAPは必要な時にだけ使えばよい対症療法ではなく、「睡眠中は毎晩ずっと使い続けてこそ効果が得られる治療」です。

したがって、装着して眠る時間が極端に短かったり、今日は使ったが昨夜は使わなかったというように不規則な使用では、十分な効果は期待できません。

例えば睡眠時間7時間の方が毎晩2~3時間しかCPAPを使用しなければ、残りの数時間は無呼吸が続いている状態ですので、日中の眠気や体調不良はなかなか改善しないでしょう。

一般に1日4時間以上・週5日以上のCPAP使用で治療効果が現れるとされ【6】、最低限それくらいの使用を継続することが重要です。

理想的には就寝から起床まで装着するのが望ましく、「深い眠り」の時間帯にCPAPを外してしまうと効果が半減します【6】。

CPAP治療において継続時間は「量的な効果」に直結すると心得て、まずは毎日できるだけ長く装着する習慣をつけましょう。

装着にどうしても抵抗がある場合は、就寝前のリラックスタイムにマスクを付けて慣れる練習をする、圧力の立ち上がりを緩やかにするランプ機能を活用するなど、無理なく続ける工夫も取り入れてください。

 

他の病気の可能性

CPAPを毎晩適切に使い、データ上も無呼吸がしっかり抑制されているのに「それでも日中の眠気や倦怠感が取れない」という場合、睡眠時無呼吸以外に原因がある可能性も考えなくてはいけません。

例えば、重度の睡眠不足や不眠症、むずむず脚症候群などの他の睡眠障害が隠れていたり、うつ病や甲状腺機能低下症など全身倦怠感を来す疾患が合併しているケースもあります。

また、睡眠時無呼吸症候群そのものによる日中の強い眠気が、CPAPで呼吸が改善してもなお残存してしまう「残存過眠症(Residual Excessive Sleepiness)」と呼ばれる状態の人も一部にいます。

この残存過眠は治療前にもともと眠気が強かった若年患者や、CPAPの使用時間が短い人、そしてうつ傾向のある人に起こりやすいことが報告されています【6】。

 

いずれにせよ、CPAPを真面目に続けても症状が改善しない場合は自己判断せず主治医に相談してください。

必要に応じて詳しい検査を行い、他の原因疾患の治療や、過眠症状に対する対症療法(生活習慣の見直しや覚醒薬の検討など)を追加することで、改善の道筋が見えてくるはずです。

 

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CPAP治療は一生必要?やめることもできるの?

 

CPAP治療を始めた患者さんからよく聞かれるのが、「この治療は一生続ける必要がありますか?いずれCPAPをやめることはできないのですか?」という質問です。

結論としては、睡眠時無呼吸症候群そのものが根本的に治らない限り、CPAP治療は基本的に生涯にわたり必要となります

CPAPは歯の矯正器具やメガネのように、使用している間だけ症状をコントロールする対症療法です。

残念ながら「CPAPを○年間続ければ完治して後は不要になる」という性質の治療ではありません。【5】

実際、CPAPの使用を中断すればたとえ一時的に調子が良く感じても、数日以内に無呼吸は元の状態に戻り、眠気やいびきも再発してしまいます。

 

では一生絶対にやめられないのかというと、例外的にCPAPが不要になるケースも存在します。

それは睡眠時無呼吸の原因となっている要因が根本から改善された場合です。

例えば、肥満が原因でSASになっていた方が大幅な減量に成功した場合、睡眠中の気道閉塞が起こりにくくなり無呼吸が著しく改善することがあります。実際に体重の10〜15%減量すると無呼吸の重症度(AHI)が約50%減少したとの研究もあり、減量は症状緩和に大きな効果があります【7】。

しかし、体重を減らしても完全に治癒(AHIが正常化)するケースは多くなく、無呼吸が残ってしまう患者さんが大半です【7】。

したがって、「痩せたからもうCPAPは必要ないだろう」と自己判断で中止するのは危険です。減量以外にも、下顎前方矯正手術や扁桃摘出手術などで気道の構造的狭さを改善できれば無呼吸が軽減する可能性があります。

ただし、手術で劇的な効果が得られるのは一部であり、たとえ術後にAHIが低下しても軽症レベルの無呼吸が残存することも多いのです。

 

以上より、CPAP治療をやめて良いかどうかは専門医の判断のもと行う必要があります

生活習慣の改善や手術後に「CPAPを外せるかもしれない」と思ったら、勝手に中止せず医療機関で睡眠検査を受けましょう。

無呼吸が再発しないレベルまで改善していると客観的に確認できれば、CPAP卒業が可能な場合もあります。

しかし多くの患者さんでは、無呼吸症候群が再燃しないようCPAP療法を継続することが生涯にわたって重要な体調管理法となります。【5】

CPAP自体は副作用の少ない安全な治療ですし、使い続けることで得られる睡眠の質や健康上のメリットは計り知れません。

根気強く治療を続け、もし苦痛や疑問があればその都度主治医に相談しながら、上手にCPAPと付き合っていきましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

「もしかして自分は睡眠時無呼吸症候群かも?」と思ったら、放置せずに専門医に相談することをおすすめします。

SASを放置すると、日中の眠気による集中力低下だけでなく、高血圧・心疾患・脳卒中・糖尿病など深刻な合併症リスクが高まることがわかっています。

とはいえ忙しくて受診の時間が取れない方や、まずは気軽に相談したいという方も多いでしょう。そうした場合は、オンライン診療(遠隔診療)を活用してみてください。

 

当院(森下駅前クリニック)では、睡眠時無呼吸症候群のオンライン診療を実施しております。

ビデオ通話を通じて専門医が問診を行い、症状やリスク因子の評価をいたします。

必要に応じて、簡易睡眠検査機器をご自宅にお送りし、在宅で睡眠検査(いびきや酸素濃度の測定)を行うことも可能です。

その結果に基づいて診断を確定し、適切な治療方針を提案いたします。

CPAP療法が必要と判断された場合も、オンラインで治療導入の説明を行い、装置のレンタルや使い方のサポートまで一貫して対応します。

 

オンライン診療なら通院の手間が省け、自宅にいながら専門的な診察を受けられます。

SASが疑われる症状(激しいいびき、睡眠中の無呼吸を指摘された、日中の強い眠気や起床時の頭痛など)がある方は、一人で悩まずお気軽に当院のオンライン外来をご利用ください。

早期に適切な対応をすることで、ぐっすり眠れる快適な生活と将来的な健康リスク低減につながります。専門医チームが皆様の快眠と健康を全力でサポートいたします。

 

オンライン診療のご予約はこちら

お問い合わせ・ご相談もお気軽にどうぞ。あなたの健やかな眠りを、私たちがサポートいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Djonlagic I, et al. Sleep Med. 2015;16(6):697-702. (睡眠時無呼吸患者におけるCPAP初夜使用の効果を検証した研究。CPAP適用初夜から注意力の改善や主観的睡眠感の向上が認められています)

[2] Tomfohr LM, et al. Sleep. 2011;34(1):121-126. 

[3] Javaheri S, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2020;201(5):607-610.

 [4] American Sleep Apnea Association. Troubleshooting CPAP Problems (2025). 

[5] Mayo Clinic. CPAP machines: Tips for avoiding 10 common problems (2024). 

[6] Sleep Foundation. Before and After CPAP Machine Effects: How Your Body Changes (2023). 

[7] Sleep Foundation. How Weight Affects Sleep Apnea (2022). 

 

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劇団ひとりさんが使うCPAPの真相|いびき・無呼吸に悩むあなたへ

 

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劇団ひとりさんも悩んでいた「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」とは?

劇団ひとりの公式Xより引用

 

タレントの劇団ひとりさんも、自身が睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)であることを公表しています【1】。

妻から「寝ているとき息が止まっている」と指摘され検査を受けたところ、睡眠中の酸素濃度が通常時よりも低くなる重度のSASと診断され、以来毎晩CPAP(シーパップ)治療を欠かせないそうです【1】。

CPAP使用後は「朝の目覚めが全然違う」と効果を実感しており、いびきや日中の眠気にも大きな改善があったといいます【1】。

 

では、劇団ひとりさんも苦しんだこの睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどんな病気でしょうか?

SASとは、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。通常、10秒以上の呼吸停止(無呼吸)や浅い呼吸(低呼吸)が一晩に数十回以上繰り返される状態を指します。

特に多いのが閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と呼ばれるタイプで、これは寝ている間に喉や気道が物理的に塞がってしまうことで起こります【2】。

原因としては、肥満による喉周りの脂肪蓄積、扁桃腺の肥大、鼻づまり、下あごの骨格の小ささなどで気道が狭くなることが挙げられます【2】。

こうした要因があると、寝入りとともに喉の筋肉がゆるむことで空気の通り道が塞がり、いびきや無呼吸発作(呼吸停止)を引き起こします。

無呼吸になるたびに血中の酸素が低下し、脳が酸素不足を感じて一瞬覚醒(目覚め)を繰り返すため、睡眠が断片化され深い眠りが得られません。

その結果、本人は寝ているつもりでも睡眠の質が著しく低下し、様々な不調をきたすのです【2】。

 

SASは中高年男性に多い傾向がありますが、実は痩せている人や女性でも発症し得ます【2】。日本では300万人以上がSASの可能性があるとも推計されており、その多くが未診断とも言われます。

決して珍しい病気ではなく、有名人でも劇団ひとりさん以外に多くの方が治療を受けている身近な病気です(後述)【1】【6】。

 

あなたも同じかも?今すぐできる簡単セルフチェック

 

「自分はいびきをかかないから関係ない」と思っていませんか?

実はいびきをかかないタイプの無呼吸や、家族と同室で寝ていないため自分では気付いていないケースも少なくありません。

以下の項目に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

  • 大きないびきを指摘されたことがある
  • 寝ている間、呼吸が止まっていると指摘されたことがある
  • 日中に強い眠気やだるさがあり、居眠りしてしまうことが多い
  • 朝起きたときに頭痛がしたり熟睡感がないことが多い
  • 夜間に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
  • 肥満気味である(首回りが太いと言われる)
  • 血圧が高めと言われている、または糖尿病がある

いかがでしょうか。当てはまるものが多いほど、SASの可能性が高まります。

特に「睡眠中に呼吸が止まる」「寝ても疲れが取れないほどの強い眠気」はSASの典型的なサインです【2】。

自覚に乏しい場合もありますが、問診票や簡易な質問票で眠気の程度を調べるエプワース眠気尺度(ESS)というセルフチェックも有用です。

こちらは「読書中」「テレビ視聴中」など8つの状況でどの程度うとうとしてしまうかを0~3点で評価するもので、合計点が高いほど異常な眠気を示します。

気になる方は当クリニックの「1分で簡単セルフチェック」ページもぜひお試しください。ご自身でリスクに気付くことが、健康な毎日への第一歩です。

 

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なぜCPAP治療が必要?睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置する、知られざる深刻なリスク

 

「ただのいびきでしょ?」とSASを軽く考えて放置すると、思わぬ健康リスクを招くことが明らかになっています。

無呼吸による低酸素状態と断続的な覚醒のストレスが全身に悪影響を及ぼし、放置すれば生活習慣病や心血管疾患の発症率が大幅に高まるのです【3】。

主なリスクを順に見てみましょう。

高血圧の合併

SAS患者の約半数は高血圧を併発すると報告されており【2】、夜間・早朝にかけて血圧が急上昇しやすい特徴があります。

さらに通常の降圧薬が効きにくい治療抵抗性高血圧の背景にSASが潜んでいる場合もあります【2】。

実際、SASは二次性高血圧(原因のある高血圧)の最も頻度の高い原因疾患です【2】。

 

心臓への負担(心不全・不整脈)

無呼吸により慢性的な低酸素状態に陥ると、身体は酸素を確保しようとして交感神経が過剰に働き、心拍数や血圧が急上昇します。

眠っているにも関わらず全力疾走しているような負荷が心臓にかかり続けるため、心筋が肥大・疲弊して心不全のリスクが高まります【3】。

また睡眠中の低酸素と覚醒の繰り返しは不整脈(とくに心房細動など命に関わるタイプ)の発生とも関連します。【2】

実際にSAS患者の約50%に何らかの不整脈が認められたとの研究報告もあります【2】。

 

脳卒中・心筋梗塞

SASにより動脈硬化が進行しやすくなることも分かっています。低酸素と再酸素化のたびに発生する酸化ストレスが血管を傷つけ、コレステロールのプラーク形成を促進するためです【2】。

その結果、放置された重症SAS患者では心筋梗塞や脳卒中など致命的な心血管イベントの発生率が大幅に高いことが観察研究で示されています【3】。

例えば有名な研究では、重度SASを治療せず経過させた男性は、治療を受けた人に比べ心血管疾患による死亡率がおよそ2〜3倍にも上りました【3】。

このようにSASを放置することは命に関わるリスクを高めるのです。

 

日中の眠気による事故

SASの症状として見逃せないのが過度の昼間眠気です。睡眠不足のような状態が続くため集中力が低下し、仕事の能率低下はもちろん、居眠り運転による交通事故リスクも上昇します【2】。

実際に、SAS患者は健常者に比べ交通事故を起こす確率が2.5倍とのデータもあります【5】。

特に重症患者では運転免許に関わる問題になるほど深刻です。

しかし朗報として、適切にCPAP治療を行うことで交通事故の発生率が約70%も減少したとの研究結果も報告されています【5】。

つまり、治療介入により事故リスクは大きく改善し得るのです。

 

以上のように、睡眠時無呼吸症候群は放置すると高血圧、心筋梗塞、脳卒中、突然死など命に関わる合併症につながりかねません【3】。

さらに糖尿病やメタボリックシンドロームとの関連、認知機能低下のリスクも指摘されており【3】、全身の健康を蝕む疾患といえます。逆に言えば、早期に発見して治療を始めればこれらを未然に防げる可能性があるということです。

実際、最新の研究ではCPAPなど適切な治療を行うことで、SAS患者の死亡リスク自体が有意に低下しうるとの報告もなされています【4】。

SAS治療は単にいびきや眠気を和らげるだけでなく、将来的な命を守るためにも重要なのです。

 

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劇団ひとりさんが選んだ「CPAP(シーパップ)」とは、どんな治療?

 

劇団ひとりさんも使用しているCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)療法とは、睡眠時無呼吸症候群の第一選択となる治療法です【2】。

簡単に言うと、寝るときに鼻や口にマスクを装着し、小型の器機から空気を送り込むことで気道に圧力をかけ、喉の通り道が閉塞しないよう保つ装置です。

毎晩就寝時にこのCPAPマスクをつけて眠ることで、睡眠中の無呼吸発作を防ぎ、いびきを大幅に軽減します【2】。

CPAPを使えば夜間の酸素低下や断続的な覚醒が起こらなくなるため、多くの患者さんが初日から「ぐっすり眠れた」と効果を実感します。

実際、劇団ひとりさんも「CPAPをつけ忘れて寝た翌朝は全然違う」と述べ、CPAPなしではいられないほど快適な睡眠を得ているそうです【1】。

 

CPAP治療の効果は多数の研究で確認されています。使用することで無呼吸低呼吸指数(AHI)の劇的な低下はもちろん、いびきの消失、日中の眠気の改善、集中力・気分の向上などQOL(生活の質)の改善が期待できます【4】。

例えばCPAP導入後はエプワース眠気尺度のスコアが有意に下がり、日中の居眠りが減ることがランダム化比較試験でも示されています【4】【5】。

また長期的には血圧の改善心臓への負担軽減といった生理学的効果も報告されており【2】、継続使用によって高血圧が改善したケースもあります。

最近発表された2025年の大規模メタ解析によれば、CPAPなど陽圧呼吸療法をしっかり行ったグループは行わなかったグループに比べ、全死亡率が37%も低下し、心血管死亡率も55%低下したとの結果でした【4】。

これらのエビデンスから、CPAPは単なる対症療法ではなく生命予後を改善し得る重要な治療と位置付けられています【4】。

 

CPAP機器は基本的に医療機関からレンタルで提供されます(健康保険適用の場合、自己負担は月数千円程度です)。

装着するマスクのタイプはいくつかあり、鼻だけ覆うタイプや鼻孔に差し込むもの、口と鼻を両方覆うフルフェイスタイプなどから、自分に合うものを選びます。

治療開始前に一晩入院または自宅での機器によるCPAP導入試験(圧の設定)を行い、適切な空気圧力が決定されます。

CPAP使用中は定期的に医師のフォローを受け、治療効果や機器のデータチェックを行います。機械の音は現在のモデルでは非常に静かで、慣れれば気になりません。

重要なのは毎晩欠かさず継続使用することで、途中でやめてしまうと効果が得られないばかりか元のリスクに逆戻りしてしまいます。

CPAPは根気のいる治療ですが、正しく使えばSAS患者さんの「人生を変える」ほど睡眠の質と健康状態を改善できる治療法なのです【1】。

 

治療を始めたい方へ|検査からCPAP開始までの流れ

 

「もしかして自分もSASかも…」そう感じたら、早めに医療機関で相談・検査を受けることをおすすめします。ここでは当院でのSAS診療開始までの一般的な流れを紹介します。

 

オンラインまたは対面で初診相談

まずは専門医による問診です。いびきや無呼吸の状況、眠気の程度、生活習慣病の有無などを詳しく聞き取ります。ご家族からの情報も参考になります。必要に応じて簡易なアンケート(ESSやいびきスコア)を実施します。

 

睡眠検査の実施

SASが疑われたら、診断のための検査を行います。一般的なのは自宅で行える簡易睡眠検査(携帯用の終夜モニターを貸し出し、自宅で装着して一晩測定)です【2】。

鼻の気流やいびき音、血中酸素濃度、脈拍などを記録し、無呼吸低呼吸指数(AHI)を算出します。

より詳細な評価が必要な場合は一精密検査(ポリソムノグラフィー, PSG)を行い、脳波や睡眠ステージまで解析します【2】。

 

診断と治療方針の決定

検査結果に基づきSASと診断されたら、その重症度(AHIの値など)によって治療方針を決めます。

軽症(AHI 5~14程度)で症状が軽い場合は経過観察や生活習慣の改善、またはマウスピース治療(歯科装具による下顎前方固定)を検討します【2】。

中等症以上(AHI 15以上)や症状が強い場合、そして劇団ひとりさんのような重症例ではCPAP療法が第一選択となります【2】。

担当医師がCPAP装置の説明を行い、承諾が得られれば治療開始の手続きを進めます。

 

CPAP治療開始

準備が整い次第、CPAP機器一式が貸与されます。

使い方の指導を受け、自宅で毎晩の使用を開始します。初期には違和感があるかもしれませんが、1~2週間で慣れる方がほとんどです。

開始後1か月以内に再度外来(またはオンライン)でフォローし、効果判定と機器データの確認、必要ならマスクフィッティングの調整などを行います。

その後も月1回程度の定期受診が保険上必要なので、経過を見ながら続けていきます。

治療を継続することで前述のような症状改善・合併症リスク低減のメリットが得られます。

 

以上が検査から治療導入までの基本的な流れです。

当院ではオンライン診療にも対応しており、初診相談から検査機器の貸出、結果説明、CPAP指導まで極力ご自宅で完結できる体制を整えています。

遠方の方や多忙な方でも治療を開始しやすいようサポートいたしますので、安心してご相談ください。

 

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CPAP治療をしている他の芸能人

 

劇団ひとりさんの他にも、睡眠時無呼吸症候群の治療を公表している芸能人は少なくありません。

SASは誰もがなり得る身近な病気であり、有名人たちも同じ悩みを抱え克服しています。主な方々を紹介しましょう【6】。

 

カンニング竹山さん(お笑い芸人)

自身のSNSでCPAPマスク姿を公開し、「無呼吸症候群の疑いがあるヤツは病院行けよっ!」と受診を呼びかけています。

CPAPを付け忘れた翌日は「眠くてしょうがない」と語るなど、治療の効果を体感している様子です【6】。

 

千原せいじさん(千原兄弟)

インスタグラムでCPAP装着写真を披露し、「かっこええやろ」とユーモア交じりにコメント。【6】

CPAPをポジティブに捉え、治療への偏見をなくそうという姿勢が伺えます。

 

クロちゃん(安田大サーカス)

バラエティ番組でも大いびきをかく姿が放送されましたが、実はCPAPユーザーです【6】。

不健康な生活ぶりで有名ですが、SAS治療にも取り組んでおり、ファンからも「ちゃんと治療していて偉い」と声が上がっています。

 

チャンカワイさん(Wエンジン)

10年以上のベテランCPAPユーザーです【6】。ブログでCPAP姿を公開し、家族とともに治療に向き合う様子を綴っています。

バナナマン日村さんや先述の竹山さんとともに「CPAP三銃士」を名乗り、自虐ネタにしつつ治療継続中です【6】。

 

伊集院光さん(タレント)

体格の大きさから重度SASと診断され、2019年からCPAP治療を開始しました【6】。

ラジオで「芸人の間でひそかにCPAPが流行っている」と語り、紹介されたのを機に治療に踏み切ったそうです。仲間内で情報交換しながら続けているようです。

 

この他にも、福山雅治さん(歌手)やパパイヤ鈴木さん(タレント)など多くの著名人がCPAP療法を経験しています【6】。

彼らは口々に「CPAPで睡眠の質が劇的に良くなった」「朝まで熟睡できて爽快」と効果を述べており、SAS治療の大切さを世間に伝えてくれています。

芸能人も例外ではないことから、睡眠時無呼吸症候群は決して他人事ではなく誰にでも起こりうる病気だと分かりますね。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

ここまでお読みになって、「自分も当てはまるかも…」と感じた方もいらっしゃるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が肝心です。放置すると前述のような深刻なリスクがありますが、治療を始めればいびきや眠気は改善し、将来的な病気も防げるかもしれません。

まずは専門医の判断を仰ぎましょう。

 

当院・森下駅前クリニックでは、SASに対してオンライン診療での対応を行っております。来院の手間を省き、自宅にいながら医師の問診を受けることができ、そのまま簡易検査キットの郵送貸出も可能です。

検査結果に基づき必要な治療(CPAP等)を開始し、使用方法の指導や経過フォローもオンラインで継続できます。遠隔でも患者様一人ひとりに寄り添い、適切な治療管理を行いますのでご安心ください。

 

「いびきがひどい」「日中眠くて仕方ない」といった症状に心当たりがあれば、どうか放っておかず専門医に相談してください。

睡眠時無呼吸症候群は適切に対処すれば怖くありません。劇団ひとりさんをはじめ多くの方がCPAP治療で元気を取り戻しています。

あなたも質の良い睡眠と健康を取り戻すために、一歩踏み出してみませんか?

当院では24時間365日オンライン予約を受け付けております。ぜひお気軽にご利用ください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] デイリースポーツ online「劇団ひとり、睡眠時無呼吸症候群明かす『息を2分間止めるよりも、寝てるときの酸素濃度低い』妻・大沢あかねの指摘で気付く」(2023年7月8日)
[2] 日本呼吸器学会『睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020』(2020年)
[3] Marin JM, et al. “Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without CPAP therapy: an observational study.” Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.
[4] Benjafield AV, et al. “Positive airway pressure therapy and all-cause and cardiovascular mortality in people with obstructive sleep apnoea: a systematic review and meta-analysis.” Lancet Respir Med. 2025;13(5):403-413.
[5] Karimi M, et al. “Sleep apnea–related risk of motor vehicle accidents is reduced by continuous positive airway pressure: Swedish Traffic Accident Registry data.” Sleep. 2015;38(3):341-349.
[6] 睡眠Dr.編集部「〖実はあの人も?〗睡眠時無呼吸症候群に悩まされていた芸能人15選」(2023年11月6日)

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