睡眠中に何度も起きてしまう。
しっかりと睡眠時間を取ったにも関わらず、日中眠くなってしまう。
もしかしたら、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。
SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気で、放置すると高血圧や心臓病、脳血管障害などのリスクが高まります。
また日中の眠気は仕事のパフォーマンス低下にも繋がります。
この記事では、心不全との関係についての解説を行います。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?基礎知識を解説
睡眠中に呼吸(口や鼻の空気の流れ)による空気流入量が10%以下まで低下し10秒以上停止する状態を睡眠時無呼吸といいます。
ほとんどの場合、これにはいびきを伴います。
また空気流入量が30%以下まで低下し10秒以上持続し、3%以上の酸素飽和度低下あるいは覚醒反応を伴う場合を低呼吸と定義します。
1時間あたりに5回以上の無呼吸・低呼吸が発生し、そのために熟眠できず、日中など起きている時間に異常な眠気を催す状態のことを睡眠時無呼吸症候群といいます。
睡眠時無呼吸症候群は大きく分けて「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群」の2種類に分けられます。
また両者が混在したものを混合性睡眠時無呼吸症候群とよびます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の90%を占めます。
文字通り空気の通り道である気道が物理的に塞がってしまう(閉塞)ことで起こります。
肥満の方は、首回りの脂肪が気道を圧迫しやすいため、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。
肥満体型でなくても扁桃腺肥大があると気道をふさぐ原因になります。
またあごが小さい方では、舌が喉の方に落ち込みやすく、気道を塞ぎやすいため睡眠時無呼吸症候群になりやすい傾向があります。
中枢性睡眠時無呼吸症候群
中枢性睡眠時無呼吸症候群は、閉塞性無呼吸のように気道閉塞が起きていないにもかかわらず、無呼吸を発症する疾患です。
脳の中にある呼吸をコントロールする呼吸中枢の働きが落ち、呼吸の指令が届かなくなることで起きる無呼吸です。
心不全や脳血管障害を持っている人に多くみられるとされています。
心不全とは??症状と原因を知ろう
心臓は全身に血液を送る左心系、全身から返ってきた血液を肺に血液を送る右心系に分かれいずれもポンプ機能を果たしています。
心不全とは心臓の機能が何らかの原因で不全に陥った状態をさします。
左心系が弱る左心不全では、心臓から十分な血液を送り出せなくなり、体に必要な酸素や栄養が足りなくなるので坂道や階段で息切れがしたり、疲れやすくなります。
右心系が弱る右心不全では、水分が体内に貯留しやすくなり足の甲から脛にかけてむくんだり、体重の増加がおこります。
また肝臓が腫れておなかの膨満感を感じるようになります。
心不全になる原因として狭心症、心筋梗塞、高血圧や不整脈、弁膜症といった病気があげられます。
糖尿病や多量のアルコール摂取で心臓の筋肉が変化し心筋症となり心不全に陥ることもあります。
参考:日本循環器学会
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心不全の関係
閉塞性睡眠時無呼吸症候群と心不全
閉塞性の場合、睡眠中の無呼吸によって全身の低酸素状態と高炭酸ガス血症(二酸化炭素の増加)、頻回の覚醒反応が起こり交感神経が優位になります。
また、気道が塞がる・狭まる状態が胸腔内の陰圧につながり、心臓に大きな負荷がかかります。
その他、ホルモンや、酸化ストレスなどが心臓への悪影響につながった結果、高血圧状態の持続、不整脈の誘発などの病気を起こすリスクが高まり、心不全を起こしやすくなるのです。
中枢性睡眠時無呼吸症候群と心不全
中枢性睡眠時無呼吸症候群は呼吸中枢の障害で起こります。
心不全の結果として起こる無呼吸であり、さらに心不全を進展・悪化させると考えられています。
心不全により水分が体内に貯留しやすくなることから肺の中にも水が増え(肺のうっ血状態と言います)肺の迷走神経反射が亢進し(脳の呼吸中枢とは別に)呼吸回数を増やし過呼吸状態になります。
過呼吸になると二酸化炭素濃度が下がります。
通常、脳の呼吸中枢は血液中の二酸化炭素濃度の上昇を感知して呼吸の指令を出すのですが、二酸化炭素が低下していると脳の呼吸中枢の反応が落ちて、呼吸運動が起こらなくなり、中枢性無呼吸となります。
起きている時に比べ、睡眠中の脳の呼吸中枢の二酸化炭素に対する感受性は鈍くなっており、中枢性無呼吸が出やすくなっています。
この無呼吸状態と過呼吸状態を30秒~2分間隔程度で周期的に繰り返す呼吸はチェーン‐ストークス呼吸(Cheyne-Stokes)と呼ばれます。
こういった夜間の無呼吸で低酸素状態がおこると、交感神経の活動が活発になり、睡眠中にも、弱った心臓に負担をかけ続け、心不全を更に悪化させたり、不整脈を起したりして生命予後を悪化させます。
大雑把にまとめますと
・閉塞性は心不全の原因になる。
・中枢性は心不全の結果起こる、そして心不全の悪化に関与する。
と言えます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期発見と治療方法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に起きるため自覚症状がない人も多くいます。
早期発見するにはどんな方法があるでしょうか?
「もしかすると(自分は/家族が/彼・彼女が)睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれない」とお悩みの方は、ぜひチェックしてみてください。
早期発見
1.セルフチェック
- 大きないびきをかいている。(家族やパートナーから指摘されたことがある場合も当てはまります)
- 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがある。
- 日中の会議中や運転中に強い眠気に襲われることが多い。
- しっかり寝ても日中眠い、体がだるい、やる気が出ない。
- 高血圧である、もしくは降圧剤を飲んでも血圧が下がりにくい。
- 夜間にトイレに起きることが多い。
- 最近メタボリックシンドロームの傾向を指摘された。
- あごが小さく二重あごもしくはあごのくびれがない。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用
2.睡眠アプリを使用してみる
スマートフォンの普及に伴い睡眠アプリで睡眠状況が把握出来るようになっています。
ひとり暮らしの方や、普段ひとりで眠っている人など、睡眠中の状況を指摘してもらいにくい人は、睡眠アプリを活用して、睡眠中の状況を記録するのがおすすめです。
例えば、睡眠アプリでは、次のような情報を記録できます。
- 睡眠時間や睡眠効率の計測
- 深い睡眠と浅い睡眠の割合の計測
- 起床時間と就寝時間の記録
- いびきや歯ぎしりの有無の確認
- 寝返りの回数や振動の計測
- 心拍数の計測
- 無呼吸の有無の確認
1.のセルフチェックと併せて活用してください。
ただし睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定には医療機関での検査・診断が必要ですので参考程度として下さい。
3.健康診断・人間ドックなどで検査を受ける
標準の検査項目には含まれていませんがオプション検査で選択できることがあるので気になる方は、活用してみてください。
4.医療機関で診察を受ける
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しているか否かをチェックしたい、何が問題なのかを詳しく知りたいという方は、睡眠時無呼吸症候群の検査・診断を行っている医療機関で診察を受けるのがおすすめです。
睡眠やいびきの知識を豊富にもつ医師から、適切なアドバイスをもらえます。
生活習慣のアドバイスや治療方法の提案などもしてもらえるので、早期発見のために時間を見つけて医療機関を予約してみてはいかがでしょうか?
オンライン診療にも対応している医療機関もありますので、忙しくてなかなか通院出来ない方にもお勧めです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用
治療方法
CPAP(シーパップ)療法
CPAP療法は、SASの治療のまさに”王様”と言えるほど、一般的な治療法です。
イメージとしては、就寝時に鼻に装着したマスクが、まるで”空気のスプリント”のように、気道を広げて無呼吸を防いでくれます。
CPAP療法は、重症のSASにも効果を発揮し、多くの場合、症状の改善や消失に繋がります。
マウスピース(口腔内装置・スリープスプリント)療法
マウスピース療法は、就寝時に装着するマウスピースが、下あごを少し前に出すことで気道を広げ、無呼吸を予防する治療法です。
例えるなら、“アゴを優しく支える小さな添え木”のようなものです。
CPAP療法に比べて、比較的小さく、携帯にも便利なので、旅行や出張が多い方にもおすすめです。
手術による治療
SASの手術療法には、鼻やのどの気道を広げる手術や、あごの位置を矯正する手術など、様々な方法があります。
これは、言わば、“気道のリフォーム”とでも言うべき治療法です。
手術療法は、CPAP療法やマウスピース療法で効果が得られない場合や、鼻中隔彎曲症や扁桃肥大など、生まれつき気道が狭いなどの問題が原因でSASを発症している場合に検討されます。
生活習慣の改善
SASの治療には、生活習慣の改善も重要です。
肥満はSASのリスクを高める大きな要因の一つです。
具体的には、次のようなことに気をつけましょう。
- 減量: 肥満は、まるで気道に”脂肪の枕”を乗せているような状態です。体重を減らすことで、気道が広くなり、呼吸が楽になります。
- 禁煙: タバコは、気道を狭くするだけでなく、炎症を起こしやすくするため、SASのリスクを高めます。禁煙は、気道への”悪影響を取り除く”という意味で、非常に重要です。
- 飲酒: アルコールは、筋肉を弛緩させるため、気道が狭くなりやすくなります。飲酒は、”気道を休ませる”ためにも、控えめにしましょう。
- 睡眠薬: 睡眠薬の中には、気道の筋肉を弛緩させるものがあり、SASの症状を悪化させる可能性があります。睡眠薬を服用している場合は、医師に相談しましょう。
- 睡眠姿勢: 仰向けで寝ると、舌根が気道を塞ぎやすくなるため、横向きで寝るようにしましょう。横向きで寝ることは、”気道を確保するための寝姿勢”と言えるでしょう。
これらの生活習慣の改善は、SASの治療だけでなく、健康的な生活を送る上でも重要です。
SASと診断された方は、医師の指導のもと、生活習慣の改善にも取り組んでいきましょう。
関連記事
眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法 | 改善するための治し方・対処法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置するとどうなる?
閉塞性および中枢性睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心不全の関係について紹介しました。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は睡眠中に呼吸が何度も止まる・呼吸が弱くなる病気です。
呼吸が止まりなくなるわけではありませんが呼吸停止中の酸素濃度の低下と呼吸が再開することで酸素濃度が上昇することが身体に(特に血管系に)多大な負担を与え合併症として・・・
脳血管障害は健常者の約3倍、狭心症・心筋梗塞は、健常者と比べて約2~3倍 心不全は約4倍、不整脈が約2~4倍高まります。
高血圧については、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症であればあるほど高まるとされています。
厚生省研究班の調査では、AHI(無呼吸指数)が20以上の場合、治療なしだと5年生存率は84%、裏を返すと5年以内に16%の方が亡くなられると言うことになります。
しかし適切な治療を受けることで健常者と変わらない生存率になるとの報告もありますので、早めに対処を行っていきましょう。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ
息切れやむくみの原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)による心不全かも知れません。
もし疑わしいと思ったら医療機関で検査を受けてみましょう。
「最近、眠りが浅い、、、息切れがする、、、むくみが、、、」
「もしかしたら睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれない、、、」
と感じたら、まずは専門の医療機関に相談してみましょう。
忙しい毎日でなかなか病院に行く時間を取れない方もいるかもしれません。
特に、睡眠時無呼吸症候群は、初期症状が自覚しづらいこともあり、受診のハードルが高いと感じている方も少なくないでしょう。
そんな方におすすめなのが、オンライン診療です。
オンライン診療であれば、自宅や職場など、場所を選ばずに初診から診察を受けることができます。
検査の結果、中等症から重度の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、CPAP療法などの治療が開始されます。
CPAP療法は、鼻にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を予防する治療法です。
オンライン診療でも、医師からCPAP装置の使い方や注意点などの説明を受けることができます(※初診から検査結果説明までオンライン診療で完結可。CPAP開始後の初回は対面診療が必要です。)
「もしかして…」と思ったら、まずはオンライン診療で相談してみましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用
睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく
睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。治療
- 睡眠時無呼吸症候群のCPAP(シーパップ)治療とは?
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法 | 改善するための治し方・対処法
- 睡眠時無呼吸症候群の方が使える睡眠薬・睡眠導入薬は?
- 睡眠時無呼吸症候群は手術するべき?手術の種類や費用、リスク、おすすめの治療法をやさしく解説
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の機器(CPAP)はレンタルできる?費用やレンタル方法を解説します
検査
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は何科を受診すればいい?
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査入院とは?治すには入院が必要なの?
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・治療には健康保険はおりる?適用されるの?
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査費用と治療費用 | 保険は適用される?
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査について解説!少しでも疑ったらまずは検査から!
- 睡眠時無呼吸症候群のAHI(無呼吸低呼吸指数)とは?
予防
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は治るのか | 自分でできる対策から治療法まで解説
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治す筋トレは?体を鍛えたら治る?
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)におすすめの寝方を紹介!ちょっとしたことでさらに効果を高める工夫も!
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策 | 生活習慣を改善することで予防をしよう
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防と対策は食事から!食べ物を見直すことから始めよう
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防は枕を見直すべき!ポイントや注意点、おすすめの寝方を紹介
合併症
症状
原因
傾向
疑い