夜中に何度も目が覚める、日中眠くて集中できない…
そんな経験はありませんか?
もしかしたら、あなたは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」かもしれません。
多くの人がSASの症状に気づかず、放置しているのが現状です。
この記事では、SASの検査について詳しく解説します。少しでも「もしかして…」と感じたら、まずは検査から始めましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査の内容
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が止まってしまう病気です。放っておくと、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などのリスクを高める可能性があります。早期発見・早期治療が重要ですので、「もしかして…」と感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。
SASの検査には、いくつかの種類があります。ここでは、それぞれの検査内容と、当院で患者さんに受診いただく際によくお伝えしているポイントを交えながら解説していきます。
問診・睡眠尺度評価(ESS)
問診では、医師がいびきの有無や程度、日中の眠気、起床時の頭痛、過去の病気などについて、詳しく質問します。
例えば、家族から「夜中に呼吸が止まっている」と指摘されたことがあるか、日中に強い眠気を感じることがあるか、朝起きたときに頭痛がすることがあるか、高血圧や糖尿病などの病気にかかったことがあるかなどを伺います。
また、睡眠時無呼吸症候群の患者さんの中には、自分ではいびきや無呼吸に気づいていない方も少なくありません。そのため、家族に指摘されたことなども、重要な情報となるため、事前に確認しておきましょう。
問診と併せて、睡眠尺度評価(ESS)という簡単なテストを行うこともあります。これは、日中の眠気を8つの質問で評価するものです。
例えば、「信号待ちで停車中に居眠りをしてしまったことがあるか」や「会議中に居眠りをしてしまったことがあるか」といった質問に答えることで、普段の生活でどれだけ眠気が強いのかを客観的に評価することができます。
このテストは、合計点が11点以上だと、眠気は強いと判断されます。
スクリーニング検査
問診やESSの結果、SASの可能性が考えられる場合は、スクリーニング検査や後述する簡易検査を行います。
スクリーニング検査は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるかどうかを調べる簡易的な検査です。指先にセンサーをつけて、睡眠中の血液中の酸素の量と脈拍数を測定します。
この検査は、自宅で眠っている間に簡単に実施できるというメリットがあります。
簡易検査(PG検査)
スクリーニング検査でSASの可能性が高いと判断された場合もしくはSASの疑いが問診で高い場合は、簡易無呼吸検査を行います。
簡易無呼吸検査は、自宅でできる検査です。指や鼻にセンサーを取り付けて、睡眠中の呼吸の状態を測定します。
具体的には、1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数(AHI)、最低血中酸素飽和度、いびきの程度などを測定し、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判定します。
簡易検査は、手軽に受けることができる一方で、体の動きによる測定エラーが起こりやすいというデメリットもあります。
ポリソムノグラフィ(PSG)検査
簡易無呼吸検査で少し無呼吸が見られるものの、CPAPの適応とはいえない場合や、簡易無呼吸検査の結果が inconclusive な場合(検査結果がはっきりしない場合)は、ポリソムノグラフィ(PSG)検査を行います。
PSG検査は、睡眠時無呼吸症候群の診断に用いられる最も精密な検査です。一晩入院もしくは自宅で、脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸、血液中の酸素飽和度など、さまざまな生体信号を記録します。
この検査では、睡眠の深さや質、無呼吸や低呼吸の回数、種類、持続時間、重症度、さらに、睡眠中の体の動きやいびきなども詳しく分析することができます。
PSG検査の結果をもとに、適切な治療法が決定されます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査の流れ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査には、いくつかの段階があります。まずは、問診や簡易的な検査でSASの可能性を探り、必要に応じてより精密な検査へと進んでいきます。それぞれの検査方法や、検査でわかることについて詳しく見ていきましょう。
① まずは「手がかり」を探す「簡易検査」
簡易検査は、自宅で眠っている間に専用の機器を使って行います。指先にセンサーを取り付けるだけで、簡単に検査を受けることができます。
この検査では、睡眠中の呼吸の状態や血液中の酸素飽和度などを測定し、SASの疑いがあるかどうかを調べます。
例えば、寝ている間に何度も呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりする場合は、SASの可能性が高いと判断されます。
簡易検査で測定される項目の一つに、睡眠中の血液中の酸素の量があります。
健康な状態であれば、睡眠中の血液中の酸素飽和度は95%以上あるのが一般的ですが、SASの患者さんの場合、無呼吸や低呼吸によって血液中の酸素飽和度が低下することがあります。
簡易検査では、この酸素飽和度の変化を測定することで、SASの可能性を評価します。
② より徹底的に検査する「精密検査」
この検査では、脳波や心電図、呼吸運動など、睡眠中のさまざまな生体情報を同時に記録します。
睡眠の深さや質、いびきの有無、無呼吸や低呼吸の回数、血液中の酸素飽和度の変化などを詳しく分析することで、SASの確定診断を行います。
さらに、SASの原因や重症度、睡眠中の身体への影響などを総合的に評価することができます。
この検査結果に基づいて、医師は患者さん一人ひとりに最適な治療法を検討します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査費用
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査費用は、検査方法や医療機関によって異なり、保険適用可否によっても変動します。
例えば、簡易的なスクリーニング検査は、比較的安価で3,000円~5,000円程度の医療機関が多いです。
簡易検査はご自宅で実施できる手軽さから、費用を抑えて検査を受けたいという患者さんに広く利用されています。
一方で、より精密な検査であるポリソムノグラフィ検査(PSG検査)は、多くの場合、保険適用で15,000円~20,000円程度です。
PSG検査は、入院が必要となるため、検査費用以外に入院費用がかかる場合もあります。自宅検査の場合は、通常のクリニック通院と検査費用以外は一緒です。
また、健康保険が適用されない自由診療としてPSG検査を行う場合は、30,000円~50,000円程度かかることもあります。
検査費用は医療機関によって異なるため、事前に確認しておくことをお勧めします。
費用面だけで検査方法を決定するのではなく、医師に相談し、自身の症状や状態に最適な検査を受けるようにしましょう。
自宅にいながら診療を受けられるオンライン診療
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査は、近年、病院だけでなくオンライン診療でも受けられるようになりました。
「仕事が忙しくて、なかなか病院に行く時間がない」という方や、「病院に行くのが億劫で、つい後回しにしてしまう」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
オンライン診療であれば、自宅にいながら、スマートフォンやパソコンを使って診察を受けられます。病院への移動時間や待ち時間を節約できるだけでなく、自分のペースで受診できるというメリットがあります。
医師との問診の結果、SASの可能性があると判断された場合には、自宅でできる簡易検査キットが送られてきます。
このキットには、睡眠中の呼吸の状態などを測定するためのセンサーなどが含まれています。
キットが届いたら、検査機器を正しく装着し、手順に従って検査を行います。
検査自体は、自宅で眠っている間に自動的に行われるため、特別な操作は必要ありません。
検査が終了したら、そのデータを医師に送ります。
医師は、そのデータに基づいて、SASの可能性を判断します。
もし、SASが疑われる場合は、オンライン診療で気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
LP:https://www.morishitaekimae.com/lp/
予約ページ(対面):https://medicalpass.jp/hospitals/morishita
保険証送付ページ:https://morishitaekimae.com/send/
参考文献
- Nobre ML, Sarmento ACA, de Oliveira PF, Wanderley FF, Diniz Júnior J, Gonçalves AK. Pharmacological treatment for obstructive sleep apnea: A systematic review and meta-analysis. Clinics (Sao Paulo, Brazil) 79, no. (2024): 100330.
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.