睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、寝ている間に呼吸が何度も止まる病気です。
いびきや無呼吸を起こすことはイメージしやすいかと思います。
これらの症状以外にも実は寝汗にも関係していることがあります。
なぜでしょうか?
この記事では、睡眠時無呼吸症候群と寝汗の関係を解説し、危険な寝汗の見分け方や、考えられる病気について紹介します。
寝汗に悩んでいる人は、ぜひ読んでください。
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寝汗が出る原因
寝汗は誰にでも生じる生理現象で気温の低い冬であっても、ひと晩にコップ1杯分ほどの寝汗をかくといわれています。
寝汗をかくのは、日中のうちに体内にこもった熱を放散し体温調節をするためで、人が健康に生きるために必要な現象であり、これには副交感神経の働きが関係しています。
疲れた身体を休息させるため、副交感神経は睡眠中に優位に働きます。
寝汗によって体内の熱を放散することも、疲れを回復させるための現象といえます。
副交感神経とは反対に、日中に優位に働くのが交感神経。
どちらも自律神経と呼ばれ、お互いがシーソーのようにバランスを取りながら機能していますが、このバランスが乱れてしまうと必要以上の寝汗をかきやすくなってしまいます。
寝汗と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係
寝ている間は本来リラックスした状態になるため副交感神経が優位になりますが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の場合は呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返し体が低酸素状態になります。
すると体に負担がかかっている危険信号により脳が覚醒した状態になり交感神経が優位になります。
そうなると体温調整がうまく行かなくなり多量の寝汗をかいてしまうことがあります。
いびきや無呼吸は、家族、パートナーからの指摘で初めて分かることが多いですが多量の寝汗は自分でも気づきやすい体の現象ではないでしょうか?
不快な寝汗がある人は睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑っても良いかも知れません。
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寝汗がひどい場合の睡眠時無呼吸症候群(SAS)以外の病気
ひどい寝汗の原因には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)以外にも結核や肺炎のような呼吸器疾患、甲状腺機能障害、自律神経失調症、悪性リンパ腫、低血糖症、多汗症、更年期障害、月経前症候群などが隠れている可能性があります。
それぞれの症状など解説しますので参考にして下さい!
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肺結核や肺炎などの呼吸器疾患
肺結核は結核菌による肺の感染症、肺炎の原因は様々な病原体(細菌、ウイルス、真菌、抗酸菌など)により肺の組織に炎症を起こした状態のため前述の結核菌による肺炎も含まれますが、多くの場合は細菌感染です。
症状は咳や痰を伴い、発熱することが多いですが一日中の発熱ではないこともあります。
夜に熱が出ていても朝に熱がなくなっていて、その日の夕方から再び熱が上がりだすため寝汗の原因になります。
朝起きてちょっと良くなったから様子を見ようかな、を繰り返しているうちに悪化してしまうことがあるため体温の経過や寝汗などが数日続く場合は内科・呼吸器内科などの医療機関を受診しましょう。
甲状腺機能亢進症
甲状腺は喉ぼとけの下にある臓器です。甲状腺ホルモンを作ることで脈拍や体温の維持、体内のタンパク質合成やエネルギー代謝などを担っています。
このホルモンが過剰産生された状態になる病気(バセドウ病、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎など)です。
過剰な甲状腺ホルモンにより体にとってはエンジン全開状態が続くため、心拍数が速くなる、動悸、発汗、不眠、体重減少、下痢傾向などが現われます。
当てはまる項目が多い場合は内科・内分泌/代謝内科などの医療機関を受診しましょう
自律神経失調症
自律神経失調症は、脳が受けるストレスや不規則な生活習慣などにより、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが崩れて心身の不調が起こる状態です。
自律神経はあらゆる臓器とつながっているため、全身に様々な症状が現れます。
動悸や血圧上昇など心臓関連の症状や、頭痛、立ちくらみ、ふらつき感、不眠などの神経と関連した症状、下痢や便秘など消化器症状を伴うこともあります。
疲れやすさや寝汗なども出現することがあります。
症状が多岐にわたるためどこで相談したら良いのかに困る病気ですね。
個人的にも確定診断が難しく丁寧にほかの病気を鑑別(区別)、除外していく必要がある病状だと思います。
複数の病気が絡まっていることもあるため、症状が強いものから順番に相談していく診療科を考えるのが良いと思われます。
心療内科や精神科、内科、婦人科などの医療機関を受診しましょう。
悪性リンパ腫
血液中の白血球の一部であるリンパ球ががん化(=勝手にどんどん増殖してしまうこと)してリンパ節やその他のリンパ組織に腫れやしこりを作る病気です。
血液腫瘍の一種で、血液がん(造血器腫瘍)の中で最も多くみられます。
リンパ節(首やわきの下、足の付け根など)の腫れが出現し、しこりとして感じます。痛みを伴うことはあまりないこと、段々大きくなるなどが特徴的です。
症状が進行すると発熱、体重減少、寝汗などが出たり、ほかにも皮膚の発疹、嘔吐など様々な症状が現れてきます。
確定診断や治療は血液内科の専門領域です。いくつか当てはまる症状がある場合はかかりつけ医などに相談した上で可能性が高いと判断された場合は紹介状(診療情報提供書)を作成してもらい専門医療機関に受診しましょう。
低血糖症
血液中のブドウ糖(血糖値)が正常値よりも低くなり、体の各部に必要なエネルギーを供給することが難しくなる状態です。一般的に血糖値が70mg/dL未満になった場合を指しますが、個人差があります。
発汗や動悸などの症状が現れ、意識消失を起こすなど危険な状態に陥ることがあります。
糖尿病の治療で低血糖を起こしている人は、夜間にも低血糖状態を起こしている可能性があり、その症状として寝汗をかくことがあります。
一方、血糖値を下げるような治療を受けていない人が、低血糖とそれに伴う意識障害を起こす自発性低血糖症という病気もあり、これらの症状の原因疾患としてインスリノーマ、膵外腫瘍、インスリン自己免疫症候群などが関与していることがあります。
ただし2009年の疫学調査で350名ほどの報告のため稀な病状です。
糖尿病治療関連で起きることが多いので既に医療機関の受診中だと思われますが血糖値の急激な変化(過剰な摂取、逆に過剰な制限)でも該当しそうな場合は内科・内分泌/代謝内科などの医療機関に相談しましょう。
多汗症
文字通り汗が多く出る症状ですが、汗っかき体質と違う点はどこでしょうか?
- 多くの場合、小児期に発症し、成人になっても症状が続くこと(発症年齢が25歳以下)
- 手、足、顔、脇の下など、左右対称性に多く汗をかくこと
- 睡眠中は発汗が止まっていること
- 1週間に1回以上、多汗のエピソードがある
- 家族歴がみられること
などです。
汗が多く出ることでほかの皮膚トラブルや日常生活に支障が出ることがあります。当てはまるかも、と言うような人は皮膚科・形成外科などで診療を担当していることが多いので受診してみましょう。
更年期障害・月経前症候群
更年期障害は、女性ホルモンの減少を原因として起こる心身のさまざまな障害で、気温・室温に関係なく起こる火照りや多汗が、寝汗の原因となります。
それ以外の症状としては、冷え、頭痛、肩こり、肌や口内の乾燥、不眠、憂うつ、疲労感などが挙げられます。
月経前症候群は月経前の3~10日に、心身のさまざまな症状が現れ、月経の開始とともに軽快・消失する病状です。
この期間は体温も0.5度前後、上昇することから、寝汗をかきやすくなります。
それ以外の症状としては、腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、乳房の張り、めまい、イライラ、抑うつ、不安、不眠などが見られます。
症状や程度には個人差があるため、該当する症状で日常生活に不具合が生じている場合は婦人科などの医療機関を受診しましょう。
ホルモン剤などの副作用が心配、あるいは副作用が強く出てしまった人などは漢方製剤での治療も選択肢です。
診療科を問わず漢方に詳しい医師・医療機関も相談候補にしてみてください。
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寝汗がひどい場合の改善方法
- 生活習慣を整える:ストレスをためない、生活リズムを整える、適度な運動をする、入浴でリラックスするなど、心身がリラックスして自律神経が安定するようにします。
- 寝室の環境を整える:寝室の気温や湿度を調節し、快適な睡眠環境を保ちます。理想的な室温は夏場で約25℃〜26℃、冬場で約22℃〜23℃、湿度は1年を通して50%〜60%です。エアコンと除湿機を併用して、快適な睡眠環境を保ちましょう。
- 寝具を見直す:吸湿性の高いパジャマやシーツ、カバー類を使用します。敷き寝具は、素材と硬さに気をつけましょう。
- 寝る前にコップ1杯の水を飲む:水分を控えると脱水やベタベタとした汗の原因になるため、寝る前にコップ1杯程度の水を飲みましょう。
- アルコールの量を減らす、やめる:お酒を飲むと寝汗をかくタイプの方には有効です。
- お薬の必要性をもう一度考える:かかりつけ医師やかかりつけ薬剤師に、今飲んでいるお薬の副作用の可能性がないか相談する。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ
寝汗と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係について、また寝汗の原因になりうるほかの病気についての解説でした。
「もしかしたら、自分も睡眠時無呼吸症候群(SAS)かも…」と感じたことはありませんか?
大きないびき、日中の耐え難い眠気、朝起きた時の頭痛、集中力の低下、そして今回のテーマの寝汗!!
これらはSASの典型的な症状です。
「病院を受診した方が良いのかな…」と思いつつ、日々の忙しさに追われ、なかなか受診に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
特に、仕事や育児で時間を取るのが難しい方にとっては、病院に行くこと自体が大きな負担になりますよね。
そこで、近年注目されているのがオンライン診療です。
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンを使って、自宅や職場など、どこにいても医師の診察を受けられるサービスです。
SASのような、初期段階では自覚症状が乏しい病気の早期発見・早期治療にも役立ちます。
最初のステップとしてオンライン診療を利用することで、気軽に相談でき、専門医のアドバイスを受けることができます。
早期発見・早期治療が大切なSASだからこそ、オンライン診療を有効活用し、健康管理に役立ててみてはいかがでしょうか。
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