睡眠時無呼吸症候群(SAS)は太っている人だけの病気ではない?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満の人に多いと考えられがちですが、実は痩せている人でも起こり得ます。

 

ある臨床研究では、SAS患者の約25%はBMI25未満の正常体重で、全体の約50%は肥満ではなかったと報告されています[1]。

 

このようにSASは必ずしも太っている人だけの病気ではなく、痩せている人にも無視できない頻度で見られます。

 

一般的に非肥満者のSASは肥満者よりも症状が軽めとされていますが[1]、後述するように放置すれば深刻な健康リスクを伴うため注意が必要です。

 

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痩せている人が睡眠時無呼吸症候群(SAS)になる原因

痩せている人でSASが生じる背景には、体重以外のさまざまな要因が関与します。主な原因として、次のような点が挙げられます。

 

  • 骨格による気道の狭さ: 顎の骨格が小さい(下顎後退)ことや上あごのアーチが高く狭い(高口蓋)場合、生まれつき喉の気道が狭く、睡眠中に筋肉が緩むと気道が塞がりやすくなります。扁桃肥大や舌が大きいこと(舌肥大)による気道の狭窄も同様です。
  • 遺伝的な要因: 骨格や気道の形状は遺伝の影響を受けるため、家族にSASの人がいる場合や顎の小さい体質を受け継いだ場合、痩せていてもSASを発症しやすくなります。実際にSASの発症には遺伝的素因が関与することが指摘されています。
  • 筋肉の緊張や神経調節の問題: 睡眠中は誰でも喉周囲の筋肉が弛緩しますが、筋肉の緊張を保つ力や気道を開く神経反射が弱い人では、肥満でなくても気道が閉塞し無呼吸が生じやすくなります。年齢とともに筋力や反射が低下することも一因です。

 

これらの要因が痩せている人のSAS発症に関与していると考えられます[2][3]。

 

例えば小顎症や高口蓋など骨格の形態的問題がある場合や、家族的に気道が狭い体質を持つ場合、体重にかかわらずSASを発症し得るのです。

 

痩せている人が睡眠時無呼吸症候群(SAS)になるリスク

SASになると、体型に関係なく様々な健康リスクが高まります。

 

代表的なのは日中の過度な眠気集中力の低下で、仕事や勉強の能率が落ちたり居眠り運転の危険が増したりします。

 

実際、SASの人はそうでない人に比べ交通事故のリスクが高いことが報告されています。また、心血管疾患のリスク増加も見逃せません。

 

重度のSASを治療せず放置すると、心筋梗塞や脳卒中など致命的な心血管イベントの発生率が有意に高くなることが観察研究で示されています[4]。

 

さらに認知機能の低下も問題で、SASの高齢患者はそうでない人に比べて軽度認知障害や認知症を発症する割合が有意に高いとの報告があります[5]。

 

このように、痩せていてもSASを放置すると高血圧や心臓病、脳卒中のリスクが増大し、認知症の可能性も指摘されるため早めの対策が重要です。

 

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痩せている人向けの睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法

CPAP(持続陽圧呼吸療法)

SAS治療の第一選択となるのがCPAP療法です。

 

中等症~重症のSASに対して保険適用があり、就寝時に鼻や口に装着したマスクを通じて気道に空気を送り込み、のどの閉塞を物理的に防ぎます。

 

多数のRCTでCPAPの有効性が示されており、睡眠中の無呼吸低呼吸をほぼ完全に抑制し、日中の眠気を有意に改善する効果が確認されています[6]。

 

CPAP療法により血中酸素低下が解消され、高血圧や心不整脈など合併症リスクも低減する可能性が高いです。

 

痩せている人がSASになった場合も、解剖学的な気道狭窄があって呼吸が止まるメカニズムは同じため、CPAP療法による症状改善は肥満者と同程度に期待できます。

 

夜間のマスク装着に慣れるまで多少の不快感はありますが、使用を継続することで多くの患者が大きな恩恵を得ています。

 

マウスピース(口腔内装置)

軽症〜中等症のSAS、あるいはCPAPがどうしても合わない場合には、下顎前方移動型のマウスピースを就寝時に装着する方法もあります。

 

下顎を前に出して気道を広げることで、いびきや無呼吸を減らす仕組みです。RCTの比較試験でも、CPAPほど呼吸停止を抑制する効果は強くありませんが、日中の眠気や生活の質(QOL)改善においては互角の効果を示すとの報告もあります[7]。

 

特に顎が小さい痩せ型の人はマウスピースによって顎を前に出すことで気道が確保され、無呼吸発作が軽減することが期待されます。

 

ただし歯や顎関節の状態によって装着の適応が限られる点や、定期的な歯科での調整が必要である点には留意が必要です。

 

外科手術

上記の保存的治療で効果不十分な場合や、顎の形状や扁桃肥大など明らかな解剖学的原因が強い場合には外科手術が検討されます。

 

例えば「口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)」や「顎骨前方移動術」により物理的に気道を広げ、無呼吸発作を減らす手術が選択肢となります。

 

近年は外科的介入の有効性もRCTで検証が進んでおり、特定の患者群では有意なAHI(無呼吸低呼吸指数)の低下や症状改善が認められています[8]。

 

ただし手術には侵襲や合併症リスクが伴うため、痩せている人でも軽〜中等症なら、まずCPAPやマウスピースを試み、どうしても改善しない場合の最終手段となるケースが一般的です。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

痩せているからといって「SASは関係ない」と思うのは危険です。

 

いびきが酷い、夜間に呼吸が止まる、日中の眠気が著しいといった症状があるなら、早めに専門医を受診し必要な検査(簡易検査や終夜睡眠ポリグラフ検査)を受けましょう。

 

最近ではオンライン診療に対応する医療機関も増えており、自宅からスマホやPCで医師に相談できるため通院の負担が軽減されます。

 

CPAP療法の導入や機器管理をオンラインでフォローする試みもあり、適切なサポートのもとで治療を継続すれば高い改善効果を得られます[9]。

 

痩せている人でもSASを放置すると高血圧や心臓病、認知症リスクなどを抱えることになりますが、逆に早めの治療で健康を大きく守れる病気でもあります。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Gray EL, et al. “Obstructive Sleep Apnea without Obesity Is Common and Difficult to Treat: Evidence for a Distinct Phenotype.” J Clin Sleep Med. 2017;13(1):81-88.
[2] Schwab RJ. “Pro: Sleep Apnea Is an Anatomic Disorder.” Am J Respir Crit Care Med. 2003;168(3):270-273.
[3] Salvinelli F, et al. “Obstructive Sleep Apnea Syndrome: From Phenotype to Genetic Basis.” 2009;168–176.
[4] Marin JM, et al. “Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without CPAP therapy: an observational study.” Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.
[5] Yaffe K, et al. “Sleep-Disordered Breathing, Hypoxia, and Risk of MCI and Dementia in Older Women.” JAMA. 2011;306(6):613-619.
[6] Patel SR, et al. “Meta-analysis of CPAP therapy for treating sleepiness in OSA.” Arch Intern Med. 2003;163(5):565-571.
[7] Phillips CL, et al. “Health outcomes of CPAP vs oral appliance treatment for OSA: A randomized controlled trial.” Am J Respir Crit Care Med. 2013;187(8):879-887.
[8] MacKay S, et al. “Effect of multilevel upper airway surgery vs medical management on OSA: The SAMS RCT.” JAMA. 2020;324(12):1168-1179.
[9] Fox N, et al. “Telemedicine for CPAP adherence in OSA: A randomized controlled trial.” Sleep. 2012;35(4):477-481.

 

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