CPAP(持続陽圧呼吸療法)は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として広く用いられ、寝ている間に気道を空気で“支えて”閉塞を防ぐことで無呼吸発作を減らします。

効果的な治療法ですが、一部の方は使用中に肺や胸の痛みを感じることがあります。

CPAP装置は空気を圧力付きで送り込むため、胸や肺に普段より強い“圧負荷”がかかり、その影響で違和感を覚える場合があります。

特に治療開始直後の数日~数週間は、胸部に軽い違和感や筋肉痛のような痛みを感じる人もいます。

これは多くの場合、一時的なもので身体がCPAPの圧力に慣れるにつれて緩和していきます[1]。

本記事では、CPAP使用中に肺や胸が痛くなる主な原因と、その対処法、さらに受診すべき症状の目安について解説します。

 

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CPAPとは?仕組みと身体への影響を簡単におさらい

 

CPAP療法では専用の装置からホースとマスクを介して持続的に空気を送り込み、上気道に陽圧をかけることで喉の奥が塞がるのを防ぎます。

気道が開通した状態になるため、睡眠中の無呼吸や低呼吸が改善し、いびきや血中酸素低下も防止されます。

その結果、日中の眠気の解消や心血管リスクの低減など長期的な健康改善が期待できます。

一方で、空気圧をかける治療であるため、胸や横隔膜など呼吸に関わる筋肉に負荷がかかります。

普段より強い圧に抵抗して呼吸する感覚に戸惑い、胸部に圧迫感を覚えることがあります。

特に設定圧が高い場合、息を吐き出す際に圧に逆らう抵抗感が大きく、呼吸しづらさや胸の不快感につながることがあります[1]。

これはCPAP療法に伴う一般的な現象で、治療を続けて体が慣れるにつれ違和感は次第に和らいでいきます[1]。

CPAPで肺や胸が痛くなる主な原因

 

空気圧が強すぎる

CPAP装置の設定圧力が高すぎると、呼気時に空気を吐き出しにくくなり、胸に圧力がかかり過ぎて痛みや圧迫感を感じることがあります。

高い陽圧に抵抗しようとすることで肋間筋や横隔膜などの呼吸筋に負荷がかかり、筋肉痛のような痛みを生じる場合があります[1]。

空気の飲み込み(Aerophagia)

CPAP使用中に無意識に空気を飲み込んでしまうことがあります。送り込まれた空気が食道から胃に入ると、胃や腸にガスが溜まりお腹の張りや胸の不快感・痛みにつながります。

胸痛と感じても、実際には胃の膨満による圧迫感が胸部に伝わっている場合もあります。

空気嚥下はマスクから空気が漏れたり、口呼吸になる人によく起こる副作用のひとつです[2]。

呼吸筋の疲労や“慣れ”の問題

CPAP導入初期には、これまで休んでいた肺の奥や胸郭がフルに広がるようになり、胸の筋肉痛が起こることがあります。

CPAPは胸郭内に空気を送り込むため、普段あまり使われていなかった呼吸筋が刺激され、運動後の筋肉痛に似た症状が出るのです。

これは「肺そのものの痛み」ではなく、呼吸に関わる筋肉の痛みであり、CPAPによって肺が損傷しているわけではありません。

多くの場合、時間の経過とともに筋肉が順応し、痛みは軽減していきます[3]。

乾燥した空気や冷たい空気による気道の刺激

CPAPは持続的に空気を送り込むため、鼻や喉の粘膜が乾燥しやすくなります。

とくに加湿器を使用していなかったり冬場の乾燥した冷たい空気を吸い込む状態だと、気道粘膜が刺激されてヒリヒリ感や咳、軽い胸の不快感を招くことがあります。

粘膜の乾燥は違和感や痛みだけでなく、炎症や鼻血の原因にもなり得ます[4]。

またCPAP使用者の調査では、鼻・口の乾燥が高頻度で報告されています[5]。

潜在的な呼吸器疾患の存在

もともと肺に疾患(肺気腫による肺のう胞〈ブラ〉、嚢胞性肺疾患、重度の喘息など)がある場合、CPAPの陽圧によって稀に合併症が誘発されることがあります。

健康な人では通常起こりえませんが、脆弱な肺胞があると陽圧でそれが破れる気胸を起こすリスクがわずかに高まります。

報告されているほとんどのケースは元々肺に疾患を抱えた患者に限られます[6]。

肺が痛いときのセルフチェックポイント

 

痛みの出るタイミング

装着直後か、翌朝起きたときか、あるいは呼吸動作に合わせて痛むのか。装着中のみの痛みであればCPAPの物理的影響が示唆されます。

随伴症状の有無

息苦しさ(呼吸困難)激しい咳、発熱、血痰の有無。これらを伴えば感染症や気胸など別の異常の可能性があります。

マスクや空気漏れ

過度な締め付けやフィット不良による空気漏れがないか。大量のリークは必要圧が得られず装置が過剰に圧を上げ、不快感や空気嚥下につながります。

体位や寝具との関連

仰向けと横向きで痛みに差があるか、枕の高さを変えると和らぐか。姿勢由来の筋骨格系の痛みの見極めに役立ちます。

 

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CPAPで肺が痛いときの対処法

 

圧設定の再調整を依頼する(自己調整はNG)

痛みの原因が「圧が高すぎる」ことにある場合、医師に相談して圧力設定を見直してもらうことが第一です。自己判断で装置の圧を変更するのは危険です。適正圧より高めなら少し下げる、あるいはランプ機能や呼気時の補助機能(EPRなど)の活用で息苦しさを緩和できる可能性があります[7]。

加湿器や温風チューブで乾燥を防ぐ

空気の乾燥による粘膜刺激が疑われる場合は、CPAP装置の加温加湿器を積極的に使用しましょう。

温めた湿気を送ることで口や鼻の乾燥・痛みが大幅に緩和し、快適度が向上することが示されています[8]。

寝る姿勢を見直す

仰向けは気道が狭くなりやすく必要圧が上がるため、横向きで寝ると胸への負担が軽減することがあります。

抱き枕などを活用して横向き姿勢を保つ工夫も有効です。

使用時間を段階的に延ばして慣れる

筋肉痛の様な痛みであれば、短時間から開始し徐々に延長することで順応を促せます。

就寝前に数分間の「装着練習」を取り入れるのも有効です。

痛みが強い・続く場合は無理せず一時中止し医師に相談

対策を講じても強い痛みが持続する場合や、睡眠が妨げられる場合は一旦使用を中止し、主治医へ相談してください。

原因が解消されるまでの間、代替療法の併用を検討します。

受診が必要なケース|放置すると危険な症状

 

激しい胸痛が続く、背中への放散痛、息苦しさを伴う

気胸や心疾患の可能性。CPAP使用中・直後に発症し、呼吸で増悪する痛みは緊急受診のサインです[6]。

発熱・湿性咳・血痰

肺炎など感染症の疑い。装置・加湿器の衛生不良が関与することがあります。高熱や膿性痰、血痰があれば受診を[3]。

安静時にも胸痛が続く

単なる筋肉痛ではない可能性。早めの医療評価が必要です。

呼吸器疾患の既往(喘息・肺気腫など)

新規の胸痛・呼吸困難は自己判断せず受診を。既存の肺病変の影響や増悪が隠れていることがあります[6]。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

 

今回取り上げた胸の痛みは、一部のCPAP使用者に生じる副作用や関連症状ですが、そもそも「自分は睡眠時無呼吸症候群かもしれない」「CPAP治療を検討したい」という方もいるでしょう。

SASが疑われる場合は、まず専門医による簡易検査や診断が必要です。当院では、SASの初期スクリーニングからCPAP機器の使い方指導、治療後のフォローアップまでオンライン診療でも対応可能です。

忙しくて通院が難しい方も、自宅から専門医に相談いただけます。睡眠中の無呼吸やいびきでお悩みの方は、まずはご相談ください。

詳しくは当院ホームページのオンライン診療案内もぜひご覧ください。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] American Sleep Apnea Association. Common CPAP Side Effects and Prevention(呼気時に圧へ逆らう困難に関する記述). 2023.
[2] American Sleep Apnea Association. Common CPAP Side Effects and Prevention(空気嚥下・腹部膨満に関する記述). 2023.
[3] Peters B. Can Your CPAP Mask Make You Sick? Verywell Health. 2023.
[4] American Sleep Apnea Association. Common CPAP Side Effects and Prevention(乾燥空気による不快感・炎症に関する記述). 2023.
[5] Pépin JL, Leger P, Veale D, Langevin B, Robert D, Lévy P. Side effects of nasal continuous positive airway pressure in sleep apnea syndrome: study of 193 patients in two French sleep centers. Chest. 1995;107(2):375‑381.
[6] Langner S, Sommerwerck U, Klose H. Large pneumothorax in a sleep apnea patient with CPAP without previously known lung disease: a case report. Pneumologie. 2020;74(4):217‑221.
[7] American Sleep Apnea Association. Does Your CPAP Pressure Need Adjusting? 2023.
[8] Wiest GH, Fuchs FS, Harsch IA, et al. A heated humidifier reduces upper airway dryness during continuous positive airway pressure therapy. Respir Med. 1999;93(1):21‑26.

 

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