実は、いびきがひどい人は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気にかかっている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が何度も止まってしまう病気で、放置すると高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高めることも。
さらに、日中の眠気や集中力の低下など、日常生活にも大きな影響を与えます。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の症状や原因、そして早期発見・治療の大切さについて解説します。
もしかしたら、あなたも睡眠時無呼吸症候群かもしれません。自分のいびき、そして日中の体調をよく観察してみましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、単に寝ている間に呼吸が止まる病気、というわけではありません。睡眠中に何度も呼吸が止まることで、体の中は酸素不足の状態になってしまいます。
皆さんが毎日呼吸をしているのは、体中に酸素を送り届けるためです。
睡眠時無呼吸症候群では、酸素不足の状態が、寝ている間に何度も繰り返されます。
すると、心臓や血管にも大きな負担がかかり、高血圧や不整脈、最悪の場合は脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすリスクも高まります。
「私は大丈夫」と安心するのはまだ早いです。
睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状がないまま進行しているケースも少なくありません。
例えば、日中に強い眠気を感じていませんか?
これは、睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下し、脳が休息をしっかりとれていないサインかもしれません。
また、朝起きた時に頭痛がしたり、口が渇いていたりしませんか?
これも睡眠時無呼吸症候群の可能性を示唆するサインです。
「もしかして私も?」と感じたら、まずは自分が普段いびきをかいていないか、家族やパートナーに聞いてみるのも良いでしょう。
最近では、スマートフォンのアプリで自分のいびきを録音できるものもあります。
睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が大切な病気です。
ご自身の体と向き合い、健康的な睡眠を手に入れましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)といびきの関係性
「いびき」は、寝ている間にのどが狭くなって息が通りにくくなり、その際にのどの周りの部分が振動して音が鳴る現象です。
誰でも経験する可能性のある、ごくありふれた症状と言えるでしょう。
一方、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、寝ている間に呼吸が何度も止まってしまう病気です。
この時、体の中は酸素不足の状態に陥ります。
「いびき」と「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」、この2つの症状は、どちらも「のどが狭くなる」という共通点を持っています。
例えば、太っていて首の周りに脂肪が多い人や、扁桃腺が大きい人は、のどが狭くなりやすく、「いびき」をかきやすい状態です。
さらに、あごが小さい、首が短い、鼻炎持ちといった特徴を持つ方も、のどが狭くなりやすい傾向があります。
「いびき」をかく人のすべてが睡眠時無呼吸症候群というわけではありませんが、睡眠時無呼吸症候群の患者さんはたいてい「いびき」をかくことが多いです。
睡眠時無呼吸症候群は、放っておくと、高血圧や心臓病、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まる可能性があります。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いのある人のいびきの特徴や音
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある方のいびきは、特徴的な音とパターンを示すことが多いです。
単に「うるさい」だけでなく、ご本人とって危険信号である可能性もはらんでいます。
特徴の一つとして、非常に大きないびきが挙げられます。
「隣の家まで聞こえそうないびき」と表現されることもあれば、実際、壁の薄いアパートでは隣人から苦情が来るケースもあるようです。
また、単に大きないびきというだけでなく、その合間に静かな時間が訪れるのも特徴です。
これは、呼吸が止まっている、あるいは非常に弱くなっている状態を示唆しています。
例えば、静かな部屋で寝ているときに、突然「ガーガー」「グゴッ」という大きないびきが始まり、10秒ほど続いた後、ピタッと音が止むことがあります。
「あれ、いびきが止まったかな?」と思っても、しばらくすると再び大きないびきが始まる、というパターンを繰り返す場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと言えるでしょう。
さらに、呼吸の再開時に「フガッ」「ゴホッ」といった窒息しそうな音を伴うこともあります。
これは、狭くなった気道を無理やり空気が通ろうとすることで発生する音です。
まるで水中で息継ぎをしようと、水面から顔を出した時のように、苦しそうに呼吸を再開している姿を想像してみてください。
これらのいびきの特徴は、周囲の人が気づくことが多く、家族やパートナーからの指摘がきっかけで、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるケースも少なくありません。
いびき以外にも要注意!睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状チェック
睡眠時無呼吸症候群(SAS)というと、「寝ている間の病気だし、自分は大丈夫」と思っていませんか?
実は、睡眠時無呼吸症候群は日中にあらわれる症状にも注意することが大切です。
睡眠時無呼吸症候群でみられる日中の代表的な症状を5つご紹介します。
これらの症状に心当たりがあれば、睡眠時無呼吸症候群を疑って、医療機関に相談してみるのも良いかもしれません。
口やのどの渇き
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人は、寝ている間に何度も呼吸が止まってしまい、その度に口でハァハァと呼吸しようとします。
その結果、口の中やのどが乾燥しやすくなるのです。
また、のどの奥がイガイガしたり、痰が絡みやすくなったりすることもあります。
これは、乾燥によって、のどの粘膜が刺激されるためです。
さらに、口の中が乾燥することで、細菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因となることもあります。
熟眠感がない
睡眠時無呼吸症候群の人は、寝ている間に何度も呼吸が止まってしまうため、脳がしっかりと休むことができません。
たとえ長時間寝ていても、深い睡眠を十分にとることができないため、朝起きた時に疲労感や倦怠感を訴える方が多いです。
睡眠時無呼吸症候群の人は、呼吸が止まるたびに脳が覚醒してしまうため、質の高い睡眠をとることが難しく、熟眠感を得られないのです。
睡眠時間は十分なのに、日中いつも眠い、という方は要注意です。
居眠り
日中、会議中や運転中など、起きていなければいけない場面で、強い眠気に襲われてしまうことはありませんか?
会議中に意識が飛んでしまい、後で上司にこっぴどく叱られた、という経験がある方もいるかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群の人は、睡眠の質が低下するため、慢性的な睡眠不足の状態にあります。
その結果、日中に強い眠気に襲われやすく、居眠りをしてしまうリスクが高まります。
居眠り運転による交通事故は、社会的にも大きな問題となっています。
性的な疲労感
睡眠時無呼吸症候群の人は、睡眠の質が低下することで、ホルモンバランスが乱れ、性欲の減退や勃起不全(ED)などを引き起こす可能性があります。
深い睡眠が不足すると、男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌量が低下します。
テストステロンは、性欲や勃起機能に深く関わっているため、その分泌量が低下すると、性的な問題が生じやすくなるのです。
また、日中の疲労や倦怠感により、性的な活動に対して億劫になってしまうこともあります。
集中力の低下
脳は、睡眠中に、日中に得た情報を整理し、記憶を定着させる働きをしています。
しかし、睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下すると、脳のこの働きが十分に行われなくなり、集中力や注意力の低下につながってしまうのです。
その結果、仕事や勉強でミスが増えたり、作業効率が低下したりすることがあります。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ
いびきや日中の眠気が気になり、「もしかして睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれない…」と感じたら、一人で悩まず、専門医に相談してみましょう。
近年では、病院に行かなくても、スマートフォンやパソコンを使って自宅で受診できるオンライン診療も普及しています。
オンライン診療では、ビデオ通話を通じて、医師にあなたの症状を詳しく説明します。
例えば、「どんな種類のいびきをかいているのか」「どのくらいの頻度でいびきをかいているのか」「日中、強い眠気を感じることがあるか」などを医師に伝えましょう。
オンライン診療は、病院での待ち時間や移動時間の負担を軽減できるだけでなく、プライバシーにも配慮されているため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある方にとって、非常に便利な受診方法と言えるでしょう。
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参考文献
- Mohammadieh A, Sutherland K, Cistulli PA. Sleep disordered breathing: management update. Internal medicine journal 47, no. 11 (2017): 1241-124029