睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは – 原因・症状・治療・死亡のリスク

 

あなたは、夜中に何度も目が覚める、日中に激しい眠気に襲われる、朝起きても頭が痛い…そんな経験はありませんか?

もしかしたら、それは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインかもしれません。

 

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。日本人の約4人に1人が睡眠時無呼吸症候群予備軍であるとの推計もあり、決して他人事ではありません。放置すると、高血圧や糖尿病、さらには脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重大な病気につながる危険性も。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の原因、症状、そして命に関わるリスクについて、分かりやすく解説します。 多くの睡眠時無呼吸症候群患者を診てきた医師の経験に基づき、具体的な事例や検査方法、効果的な治療法まで詳細に説明します。

「ただのいびきかな?」と安易に考えていませんか? もしかしたら、あなたは睡眠時無呼吸症候群予備軍かもしれません。 今すぐ、ご自身の健康状態をチェックし、安心安全な生活を取り戻しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

皆さんは、睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことはありませんか?もしかしたら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。

 

睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が何度も止まる病気です。医学的には、10秒以上息が止まる状態を「無呼吸」といい、1時間に5回以上無呼吸があれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

私は普段、呼吸器内科で多くの睡眠時無呼吸症候群患者さんを診ています。患者さんの中には、初めは「ただのいびきだろう」と軽く考えている方も少なくありません。

しかし、睡眠時無呼吸症候群はただのいびきとは違います。いびきをかく人はたくさんいますが、睡眠時無呼吸症候群の人は、いびきをかいている最中に呼吸が止まってしまうのです。

この無呼吸は、場合によっては1分以上続くこともあり、その間、体には酸素が行き渡りません。酸素不足は体に大きな負担をかけ、朝起きた時の頭痛や日中の強い眠気、集中力の低下などの症状を引き起こします。

また、睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、糖尿病、高血圧症などの様々な病気のリスクを高めることも知られています。放置すると命に関わることもある恐ろしい病気なのです。

睡眠時無呼吸症候群は、肥満、小さい顎、舌の根元が落ち込む、飲酒、睡眠薬の使用などが原因で起こることがあります。

さらに、鼻炎などで鼻が詰まっている方も睡眠時無呼吸症候群になりやすいです。お子さんの場合は、アデノイドや扁桃が大きいことが原因となることもあります。

「もしかして私も睡眠時無呼吸症候群?」と思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。

簡易型の検査機器を自宅で使って、寝ている間の呼吸の状態をチェックすることも可能です。きちんと治療すれば、症状が改善し、健康な生活を取り戻せる可能性が高まります。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。この「無呼吸」状態は、気道が狭くなる、もしくは閉塞することで起こります。

睡眠時無呼吸症候群は大きく分けて、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」「中枢性睡眠時無呼吸症候群」の2種類に分けられます。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、文字通り空気の通り道である気道が物理的に塞がってしまうことで起こります。肥満の方は、首回りの脂肪が気道を圧迫しやすいため、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。私自身も外来で、BMIが高い方が睡眠時無呼吸症候群と診断されるケースを多く見てきました。

また、扁桃腺が肥大しているお子さんも気道が狭くなりやすいため、睡眠時無呼吸症候群になりやすいです。特に、アデノイドも同時に大きいお子さんは、鼻呼吸がしづらいため、口呼吸になりやすく、舌が喉の方に落ち込みやすいため、無呼吸になりやすいです。

さらに、あごが小さい方は、舌が喉の方に落ち込みやすく、気道を塞ぎやすいため睡眠時無呼吸症候群になりやすい傾向があります。

鼻づまりも睡眠時無呼吸症候群の原因の一つです。鼻が詰まると口呼吸になり、舌が喉の奥に落ち込みやすくなるため、気道が狭まり、無呼吸を引き起こしやすくなります。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの持病がある方は、特に注意が必要です。

飲酒や睡眠薬の使用も、気道の筋肉を弛緩させるため、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。寝る前の飲酒は特に注意が必要です。

一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群は、脳から呼吸の指令がうまく伝達されないことが原因で起こります。これは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは全く異なるメカニズムです。脳卒中や心不全などが原因となることもありますが、詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群と中枢性睡眠時無呼吸症候群の鑑別は、医療機関で精密検査を受けることで可能です。

睡眠時無呼吸症候群の原因となるリスク因子としては、肥満、男性、年齢、顔の形、家族歴、喫煙、飲酒など、様々なものが挙げられます。これらのリスク因子に複数当てはまる方は、特に睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いと言えるでしょう。

例えば、40代男性でBMI30以上、かつ毎晩晩酌をする方は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが非常に高いと言えます。このような方は、早めに医療機関を受診し、検査を受けることをお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群は適切な治療を行うことで、症状を改善し、生活の質を高めることができます。少しでも気になる症状がある方は、放置せずに医療機関に相談しましょう。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は、大きく分けて「睡眠中の症状」「日中の症状」の2つにカテゴライズできます。

睡眠中の症状で最も特徴的なのは、大きないびきです。これは、上気道が狭くなっているために空気がスムーズに通らず、振動を起こすことで発生します。私の患者さんの中には、家族に「機関車のような音だった」と表現された方もいらっしゃいました。いびきの音は、上気道の狭窄の程度によって変化します。

そして、この大きないびきの後に続くのが「無呼吸」です。これは、文字通り呼吸が止まっている状態です。無呼吸の状態は、周囲の人から指摘される場合もありますが、自分ではなかなか気づくことができません。

「無呼吸」状態は、10秒以上続くこともあります。この間、身体は酸素不足に陥り、様々な臓器に負担がかかります。また、無呼吸の後に突然大きないびきとともに呼吸が再開することもあります。これは、脳が酸素不足を感知し、呼吸を再開させるための反応です。

日中の症状は、睡眠中の無呼吸によって引き起こされる酸素不足と睡眠の質の低下が原因で現れます。

最も代表的な症状は、日中の強い眠気です。会議中や運転中に強い眠気に襲われる、という患者さんも少なくありません。このような状態は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、事故のリスクを高めることにも繋がります。

その他にも、朝起きた時の頭痛、集中力の低下、倦怠感、イライラしやすくなるなどの症状が現れることもあります。これらの症状は、一見睡眠時無呼吸症候群とは関係ないように思えるかもしれません。しかし、実は睡眠中の無呼吸が原因となっているケースも多いのです。

これらの症状は、風邪や寝不足など、他の原因でも起こりうることから、睡眠時無呼吸症候群との鑑別が難しい場合があります。そのため、簡易型アプノモニターやポリソムノグラフィー(PSG)などの検査が必要となるケースもあります。PSGは、脳波や筋電図、眼球運動、心電図、呼吸状態、血液中の酸素濃度などを同時に計測する精密検査です。この検査により、睡眠中の無呼吸の有無や重症度、睡眠の質などを客観的に評価することができます。

また、STOP-BANG質問票を用いて睡眠時無呼吸症候群のリスクを評価することも可能です。これは、いびき、日中の眠気、息苦しさによる夜間覚醒、高血圧、BMI、年齢、首周り、性別の8つの項目から睡眠時無呼吸症候群のリスクを評価するものです。これらの質問に3つ以上当てはまる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いため、医療機関への受診をおすすめします。特に、肥満、小さい顎、舌の根元が落ち込む、飲酒、睡眠薬の使用などのリスク因子がある方は、注意が必要です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方(治療)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法は、軽症から重症まで、様々な段階があり、その重症度や原因、患者さんのライフスタイルによって最適な治療法は異なります。大きく分けると、生活習慣の改善、CPAP療法、口腔内装置、手術療法などがあり、これらを単独、あるいは組み合わせて治療を行います。

まず、全ての患者さんに共通して行うべきなのが生活習慣の改善です。これは睡眠時無呼吸症候群治療の基礎となる部分であり、他の治療法と並行して行うことで、より大きな効果が期待できます。

具体的には、肥満の方はダイエットに取り組み、適正体重を目指します。BMIが25を超えている方は、まずはBMI25未満を目指しましょう。目標達成のために、管理栄養士による栄養指導を受けるのも有効です。

また、寝る前の飲酒は気道の筋肉を弛緩させ、無呼吸を悪化させるため、控えるようにしてください。日頃から晩酌の習慣がある方は、それを我慢するのは大変かもしれませんが、健康のためには必要なことです。私の患者さんの中には、晩酌をやめることで睡眠時無呼吸症候群の症状が劇的に改善した方もいらっしゃいます。

規則正しい睡眠時間を確保することも重要です。睡眠不足は睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させるだけでなく、日中の眠気や倦怠感などの原因にもなります。毎日同じ時間に寝起きし、睡眠時間を7時間程度確保するように心がけましょう。

適度な運動も効果的です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、肥満の解消に役立つだけでなく、心肺機能の向上にも繋がります。週に3回、30分程度の運動を目標に、無理のない範囲で継続することが大切です。

次に、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の方に推奨されるのがCPAP(シーパップ)療法です。これは、鼻にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を防ぐ治療法です。CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群の治療において最も効果的な方法の一つであり、多くの患者さんで症状の改善が見られます。

CPAP療法は、まるで就寝時に酸素ボンベを装着するようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には小型で静音性に優れた装置を使用するため、睡眠を妨げることはありません。しかし、マスクの装着に慣れるまで時間がかかる方もいるため、最初は医師や看護師の指導を受けながら、徐々に慣れていくことが大切です。

軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群の方には、口腔内装置(マウスピース)による治療も選択肢の一つです。これは、寝る時に装着するマウスピースで、下顎を前に出し、気道を広げることで無呼吸を防ぎます。CPAP療法に比べて手軽であることがメリットですが、効果はCPAP療法に劣るため、重症の睡眠時無呼吸症候群には適応されません。

最後に、手術療法についてです。扁桃腺肥大や鼻中隔弯曲症など、睡眠時無呼吸症候群の原因となっている 器質的な異常を手術で改善します。

これらの治療法は、患者さんの状態に合わせて単独、あるいは組み合わせて行われます。例えば、肥満があり、中等症の睡眠時無呼吸症候群と診断された患者さんの場合、まずは生活習慣の改善とCPAP療法を並行して行い、経過を見ながら治療方針を調整していきます。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置すると死亡するリスクがある?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、決して軽視できない病気です。睡眠時無呼吸症候群の最大の問題点は、睡眠中の無呼吸により、体に酸素が行き渡らなくなることです。酸素は、体中の細胞が活動するためのエネルギー源です。酸素が不足すると、全身の臓器、特に心臓や脳といった生命維持に不可欠な臓器に深刻なダメージを与えます。

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、不整脈、心不全、脳梗塞、脳出血、糖尿病の悪化など、様々な合併症のリスクを高めます。また、日中の強い眠気は、居眠り運転による交通事故の危険性を高めるだけでなく、仕事中の集中力低下やミスにもつながります。

さらに、睡眠時無呼吸症候群は自覚症状がない場合もあります。そのため、家族やパートナーにいびきや無呼吸を指摘された場合は、たとえ自覚症状がなくても、医療機関を受診することが重要です。

「自分は大丈夫」と安易に考えず、睡眠時無呼吸症候群の危険性をきちんと認識し、早期発見・早期治療に努めることが大切です。睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療によって症状が改善し、合併症のリスクを軽減できます。少しでも気になる症状がある方は、ためらわずに専門医に相談してください。

 

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睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気です。単なる「いびき」と安易に考えて放置すると、高血圧や糖尿病、さらに恐ろしい脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる合併症のリスクを高める危険性があります。

「もしかして自分も睡眠時無呼吸症候群?」と感じたら、まずはオンライン診療で相談してみませんか?オンライン診療は、自宅からパソコンやスマートフォンを使って医師の診察を受けられる便利なシステムです。病院に行く時間がない、感染症リスクが気になる、といった方にもおすすめです。

オンライン診療では、検査結果の説明や治療方針の相談も可能です。睡眠時無呼吸症候群の治療法は、患者さんの状態に合わせてオーダーメイドで決定されます。生活習慣の改善指導、CPAP(シーパップ)療法、口腔内装置(マウスピース)、手術など、様々な選択肢があります。

オンライン診療を活用すれば、通院の負担を軽減しながら、質の高い医療を受けることができます。睡眠時無呼吸症候群の早期発見・早期治療は、あなたの健康を守る上で非常に重要です。少しでも気になる症状があれば、まずは気軽にオンライン診療で相談してみましょう。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状をわかりやすく解説!自分でできる症状チェックリスト付き

 

あなたは、「最近なんだか疲れが取れないな」「日中、眠くて仕方ない」と感じていませんか?

実はそれ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかもしれません。SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気で、日本人の約60人に1人が抱えているとも言われています。

自覚症状がない場合も多いSASですが、放置すると、日中の眠気による仕事や勉強の効率低下だけでなく、心臓病や脳卒中などのリスクを高める可能性も指摘されています。

この記事では、SASの症状やセルフチェックリスト、治療法まで詳しく解説しているので、ぜひご自身や周りの方の健康チェックにお役立てください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いあり?!自分でできる症状チェックリスト

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」って、なんだか難しそうな病気の名前ですよね? でも、実は日本人にはとても身近な病気で、もしかしたらあなたの周りの人にも、悩んでいる人がいるかもしれません。

例えば、お昼ご飯を食べた後、あなたの隣で大きな音を立てていびきをかいている同僚はいませんか? もしくは、会議中にウトウトしてしまい、上司に注意されている人は? もしかしたら、それはただの疲れではなく、SASのサインかもしれません。

SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。 呼吸が止まることで、身体は酸素不足の状態になってしまいます。

以下のチェックリストを確認して、当てはまる項目があるかチェックしてみましょう。

複数ある場合は睡眠時無呼吸症候群の疑いありです。

  • 口やのどの渇き
  • 熟眠感がない
  • 居眠り
  • 性的な疲労感
  • 集中力の低下

それぞれの症状については次の章で詳しく解説します。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の主な症状

睡眠時無呼吸症候群(SAS)かな?と気になる症状がある方は、下記の症状に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

 

口やのどの渇き

朝起きたときに、口やのどがカラカラに乾いている、なんてことはありませんか?これは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な症状の一つです。

睡眠中に呼吸が止まると、無意識のうちに口で呼吸をするようになります。これは、例えるなら、鼻が詰まって苦しい時に、口でハァハァと息をするのと同じ状態です。

健康な人は、寝ている間も鼻で呼吸をしています。しかし、SASの人は、空気の通り道である気道が、まるで潰れたストローのように狭くなってしまい、鼻呼吸が難しくなります。その結果、口呼吸になるため、口やのどが乾燥してしまうのです。

また、睡眠中に何度も目が覚めてしまうため、その度に水分補給をする習慣がある人もいるかもしれません。しかし、これは根本的な解決にはなりません。口やのどの渇きが気になる場合は、医療機関を受診して相談してみましょう。

 

熟眠感がない

「朝起きてもスッキリしない」「なんだか疲れが取れない」と感じていませんか?

これは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)によって、睡眠の質が低下しているサインかもしれません。睡眠時無呼吸症候群(SAS)になると、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまい、その度に脳が覚醒してしまいます。

深い眠りが得られず、脳が休息できないため、朝起きても熟睡感が得られず、「眠った気がしない」「日中も眠たい」といった症状が現れやすくなります。

 

居眠り

会議中や運転中など、起きていなければならない場面で強い眠気に襲われることはありませんか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんは、日中の眠気を訴える方が多くいらっしゃいます。これは、SASによって睡眠の質が低下し、脳がしっかりと休むことができないためです。

脳が疲れた状態になると、まるで充電切れのバッテリーのように、集中力や注意力が低下してしまいます。

例えば、運転中に眠気が襲ってしまい、事故につながりかねないケースや、仕事中に集中力が続かず、ミスが増えてしまうケースも考えられます。居眠りは、自分だけでなく、周囲の人にも危険を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

 

性的な疲労感

性的な疲労感を感じやすくなったと感じていませんか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、性欲の減退やED(勃起不全)などの性的機能障害のリスクを高める可能性があります。これは、SASによって引き起こされる睡眠不足や低酸素状態が、男性ホルモンの分泌量を低下させるためと考えられています。

SASの治療によって、性的な疲労感が改善されるケースもあるため、気になる症状がある場合は、医療機関に相談してみることをおすすめします。

 

集中力の低下

仕事や勉強などで集中力が続かない、ミスが増えたと感じていませんか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、集中力や注意力の低下を引き起こす可能性があります。これは、SASによって睡眠の質が低下し、脳が十分に休息できないことが原因と考えられています。

脳が疲弊した状態では、集中力や注意力を維持することが難しくなります。処理能力が低下したコンピューターのように、情報処理が追いつかなくなってしまうのです。

例えば、重要な会議中に集中力が途切れてしまったり、仕事でミスが増えてしまうなどの影響が出やすくなります。集中力の低下は、日常生活や仕事のパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化することのリスク

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、単なる「いびきがひどい」だけの病気ではありません。就寝中に呼吸が何度も止まり、体に酸素が十分に取り込めない状態が続くことで、様々な臓器に負担をかけてしまいます。マラソン選手が酸素マスクなしで走り続けるようなもので、体に大きな負担がかかっている状態と言えるでしょう。

今回は、SASを放置することで高まるリスクについて、心臓、脳、血管、ホルモンなど、様々な視点から詳しく解説していきます。

 

心筋梗塞

SASによって、健常な人と比較して、酸素不足の体に酸素を送り込もうと働き続けなければなりません。まるで、故障しているポンプを無理やり動かして、重い水を汲み上げ続けようとしているようなものです。この状態が続くと、心臓の筋肉は疲弊し、傷ついてしまいます。

やがて、心臓の筋肉は酸素や栄養を十分に受け取ることができなくなり、最悪の場合、心筋梗塞を引き起こすリスクがあります。

後述する高血圧などにより、心筋梗塞のリスクなども上昇することが予想されます。

 

脳梗塞

脳は、私たちの体の中で最も多くの酸素を必要とする臓器です。しかし、SASによって酸素不足に陥ると、脳は、十分に機能することができなくなってしまいます。

酸素不足が慢性的に続くと、脳の血管は徐々にダメージを受け、動脈硬化を引き起こしやすくなります。動脈硬化は、脳梗塞のリスクを高めるだけでなく、認知機能の低下にもつながると言われています。

後述する高血圧などにより、脳梗塞のリスクなども上昇することが予想されます。

高血圧

健康な人であれば、睡眠中は血圧が低下し、心臓や血管を休ませることができます。しかし、SASの人は、睡眠中も血圧が下がりきらず、むしろ高くなることが珍しくありません。

これは、SASによって引き起こされる酸素不足を解消しようと、体が必死に働こうとするためです。酸素を運ぶために、心臓はより多くの血液を送り出そうと、心拍数を上げ、血管を収縮させます。この結果、血圧が上昇してしまうのです。

高血圧は、自覚症状が出にくい病気ですが、放置すると、血管に大きな負担をかけ続け、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。

 

不整脈

不整脈の中には、自覚症状がほとんどないものもありますが、動悸や息切れ、めまいなどを引き起こすものもあります。また、重症化すると、心不全や脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こす可能性もあります。

 

糖尿病

インスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギーとして利用するために重要なホルモンです。しかし、SASによって、このインスリンの働きが阻害されてしまうことがあります。

 

SASによって引き起こされる睡眠不足や低酸素状態は、体に大きなストレスを与え、インスリンの分泌量を低下させたり、働きを悪くしたりする可能性があります。その結果、血糖値が上昇しやすくなり、糖尿病のリスクが高まるのです。

 

脂質異常症

脂質異常症は、血液中にコレステロールや中性脂肪などの脂質が過剰に存在する状態を指します。脂質は、私たちの体にとって必要な栄養素ですが、過剰になると、血管の内側に溜まり、動脈硬化を引き起こす原因となります。

 

SASによって、睡眠不足や低酸素状態が続くと、体内のエネルギー代謝が乱れ、脂質が分解されにくくなることがあります。また、SASの人は、肥満やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を併発しているケースも多く、これらの要因が複合的に作用することで、脂質異常症のリスクを高めていると考えられています。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は死亡につながることもある

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、決して他人事ではありません。大きないびきや無呼吸を伴う病気というイメージが強いかもしれませんが、実は自覚症状が現れにくく、知らないうちに進行しているケースも多いのです。潜在的な患者数は約200万人以上と推定されており、これは日本人全体の約60人に1人がSASを抱えている可能性があるということを意味しています。

SASの恐ろしさは、その影響が睡眠中にとどまらず、日中の生活にも大きな影を落とすことにあります。例えば、日中の強い眠気は、仕事や勉強の効率を低下させるだけでなく、自動車の運転中に襲ってくる場合は重大な事故に繋がりかねません。

さらに、SASを放置すると、心臓や血管に大きな負担がかかり続け、「心筋梗塞」や「脳梗塞」といった命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。これは、睡眠中に呼吸が止まることで、体が低酸素状態に陥るためです。この状態が慢性的に続くことで、血管が傷つき、動脈硬化が進行しやすくなるのです。

また、低酸素状態と睡眠不足が重なることで、体内のホルモンバランスが乱れ、「糖尿病」や「脂質異常症」といった生活習慣病のリスクも高まります。まるで、体が少しずつ蝕まれていくように、様々な病気の引き金となってしまうのです。

ご自身やパートナーのいびき、日中の強い眠気など、気になる症状がある方は、軽く考えずに、まずは専門医に相談することをおすすめします。早期発見・早期治療によって、健康な毎日を取り戻せる可能性があります。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方・治療方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、患者さん一人ひとりの症状や重症度、そして原因に合わせて、最適な方法を組み合わせることが重要です。

多くの方に有効とされているのが、「CPAP(シーパップ)」という装置を使った治療法です。CPAPは、鼻に装着したマスクを通して空気を送り込み、気道を広げて呼吸を楽にする装置です。

その他、顎の骨格が小さいことが原因で気道が狭くなっている場合には、マウスピースを装着して気道を広げる治療法もあります。これは、就寝時に歯に装着するマウスピースによって、下あごを少し前に出すことで気道を確保するもので、歯科矯正器具に似た役割を果たします。

さらに、扁桃腺肥大やアデノイド肥大が原因の場合は、手術によってこれらの組織を切除することもあります。これは、気道の物理的な障害を取り除くことで、呼吸をスムーズにする効果があります。

このように、SASの治療法は多岐に渡り、どの治療法が適切かは、医師による診察や検査結果に基づいて判断されます。自己判断で治療法を選択せず、まずは専門の医療機関に相談することが大切です。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝起きた時に、口の中がカラカラになっている」といった症状はありませんか? もしかしたら、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかもしれません。

近年では、自宅にいながら診察を受けられるオンライン診療も普及しており、SASの相談も可能です。 オンライン診療であれば、病院へ行く時間や手間を省きながら、ご自身のペースで専門医に相談できます。 スマートフォンやパソコンがあれば、場所を選ばずに受診できるのも大きなメリットです。

オンライン診療では、医師に睡眠中の様子や日中の症状について詳しく伝えるようにしましょう。 例えば、「家族に、寝ている間に呼吸が止まっていると言われた」「日中、強い眠気で仕事に集中できない」といった情報は、診断の大きな手がかりになります。 医師の指示に従って、自宅でできる簡易的な検査を行う場合もあります。

一人で悩まず、まずはオンライン診療で専門医に相談してみましょう。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化したときの症状と日常生活への影響

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に一時的に呼吸が停止する疾患です。SASが重症化すると、本記事で解説するような症状や影響が現れることがあります。心当たりがあれば、お近くの医療機関に相談をしてみましょう。

 

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睡眠時無呼吸症候群が重症化したときの症状と日常生活への影響

眠気や集中力低下による交通事故

重症なSASの患者さんは、日中や睡眠中でも眠気を感じやすくなります。これにより、運転中や作業中に眠気に襲われ、交通事故や労働災害につながる可能性が高まります。また、集中力や判断力も低下するため、仕事や学業のパフォーマンスにも影響が出るかもしれません。

循環器疾患

SASによる重症な無呼吸発作は、循環系に負荷をかける要因となります。それにより、高血圧や心不全などの循環器疾患のリスクが高まることが知られています。心臓の負担増加や酸素不足により、心臓や血管にダメージが生じる可能性があるため、定期的な検査や治療が重要です。

頭痛

重症なSASの患者さんは、頭痛を経験することがあります。これは、無呼吸発作によって脳内の酸素が減少し、血管が収縮するためです。頭痛は日中にも現れることがあり、生活の質を低下させる恐れがあります。

夜間の頻尿

SASが重症化すると、夜間に何度もトイレに起きることがあります。これは、無呼吸発作によって交感神経が活発になり、利尿作用が増加するためです。頻尿によって睡眠が妨げられ、疲労感や睡眠不足の原因となるかもしれません。

以上のような症状や影響がSASの重症化と関連していることが知られています。SASが疑われる場合には、早期に医療機関での診断・治療を受けることが大切です。適切な治療や生活改善を行うことで、症状の緩和や日常生活への影響の軽減が期待できます。詳細な検査や治療方法については、担当の医師に相談してください。

 

睡眠時無呼吸症候群の重症度がわかる指標「AHI」

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に一時的な呼吸停止や低呼吸が繰り返される状態です。SASの重症度は、Apnea-Hypopnea Index(AHI)という指標で評価されます。AHIは睡眠中に呼吸の一時的な停止(Apnea)や低下(Hypopnea)がどれだけ頻繁に起こるかを表します。基本的には簡易検査や精密検査で示される指標で、後述するように睡眠時無呼吸症候群の重症度分類に用いられます。AHIが40以上の場合、CPAPを使用した治療が検討されます。

AHIの計算には、以下の2つの要素が含まれます。まず、睡眠中に起こるApneaやHypopneaの数を数えます。具体的には、10秒以上の呼吸停止や30%以上の呼吸低下が起こることを1回としてカウントします。そして、その回数を1時間あたりの睡眠時間で割ってAHIを算出します。

AHIの値によってSASの重症度を分類する基準があります。通常、以下のように分類されます。

  • 軽度:AHI 5〜15
  • 中等度:AHI 15〜30
  • 重度:AHI 30以上

SASの重症度がわかるAHIは、診断後の治療方針や予後の予測にも役立ちます。重症度が進行すると、より症状が重くなり、日常生活への影響も大きくなります。また、重度のSASは合併症のリスクも高まり、生存率が低下する可能性もあります。

例えば、重症度が進行している場合、以下のような症状や日常生活への影響が現れることがあります。

  • 日中の強い眠気や疲れ
  • 集中力や記憶力の低下
  • 夜間の頻尿や口や喉の渇き
  • 口呼吸やいびきの悪化
  • 頭痛や不安感の増加

SASの重症度に応じた治療や対処方法があります。軽度の場合は、生活習慣の見直しや体重の管理が重要です。中等度や重度の場合は、口腔内装置や陽圧呼吸療法(CPAP)などの装置を使用することが一般的です。治療効果や効果の持続性は個人差がありますが、適切な治療により症状の改善が期待できます。

SASの治療期間や効果、個人差に関しては、患者の症状や状態によって異なります。また、重症度や合併症のリスクについても特定の数値や割合を一般化することは難しいです。それぞれの患者に合わせた適切な治療計画を立てるために、定期的な専門医の診察やフォローアップが必要です。

睡眠時無呼吸症候群の重症度に関わる重要な指標であるAHIを理解することは、SASの治療や日常生活の向上に役立ちます。専門医の診断と適切な治療計画を立てるために、定期的なフォローアップとコミュニケーションが重要です。また、注意深く治療を行い、予後や合併症のリスクを最小限に抑えるためにも、定期的な健康管理が必要です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化した際の治療方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が停止することで特徴付けられる疾患です。SASが重症化すると、症状や生活への影響が増大します。ここではSASが重症化した場合の治療方法について詳しく説明します。

CPAP(シーパップ)療法

CPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure)は、SASの一般的な治療方法としてよく用いられます。AHIが40以上の方で、対象になります。

この方法では、患者の気道に正常な圧力を維持するために、マスク型の装置を使用します。

CPAP療法には、以下のようなメリットがあります。

  • 患者が正常な呼吸を続けることができるため、睡眠中の呼吸停止や低呼吸を減らすことができます。
  • 睡眠の質を向上させることにより、昼間の眠気や疲労感を緩和することができます。
  • 睡眠時無呼吸症候群による心臓や脳の負担を減らすことができます。

CPAP療法は、個々の患者の病状や重症度に合わせてカスタマイズされます。医師による正確な診断を受け、適切なCPAP装置の選択と調整が必要です。

マウスピース療法

マウスピース療法は、簡易検査や精密検査の結果、CPAP治療が適応ではないSASの軽度または中等度の治療法として使用されることがあります。この方法は、特殊なマウスピースを使用して気道を開放することで、気道の閉塞を防ぐものです。

マウスピース療法には、以下のようなメリットがあります。

  • 無呼吸発作や低呼吸発作を軽減することができます。
  • 眠りの質を改善し、昼間の眠気や疲労感を軽減することができます。
  • CPAP療法と比べて簡便な治療法であり、持ち運びも容易です。

マウスピース療法は、個々の患者の病状や口腔構造に合わせて作成されます。この療法を受けるためには、歯科医師や口腔顎顔面外科医との相談が必要です。

以上、SASが重症化した場合の治療方法について説明しました。重症度に応じて、CPAP療法やマウスピース療法などが適切に選択されます。具体的な治療方法や調整については、専門医との相談が重要です。治療は患者の病状や特性に基づいて個別に行われるため、適切な治療法を見つけるためにも専門医の指導を受けることをおすすめします。

 

睡眠時無呼吸症候群が重症化する前に、まずはオンライン診療へ

睡眠時無呼吸症候群は自分自身では気づくことが難しい病気でもあります。家族や周りの方に指摘されたなど、もし睡眠時無呼吸症候群の症状に不安を抱えている方は、オンライン診療を利用して専門医のアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。

 

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