あなたは、夜中に何度も目が覚める、日中に激しい眠気に襲われる、朝起きても頭が痛い…そんな経験はありませんか?
もしかしたら、それは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。日本人の約4人に1人が睡眠時無呼吸症候群予備軍であるとの推計もあり、決して他人事ではありません。放置すると、高血圧や糖尿病、さらには脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる重大な病気につながる危険性も。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群の原因、症状、そして命に関わるリスクについて、分かりやすく解説します。 多くの睡眠時無呼吸症候群患者を診てきた医師の経験に基づき、具体的な事例や検査方法、効果的な治療法まで詳細に説明します。
「ただのいびきかな?」と安易に考えていませんか? もしかしたら、あなたは睡眠時無呼吸症候群予備軍かもしれません。 今すぐ、ご自身の健康状態をチェックし、安心安全な生活を取り戻しましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
皆さんは、睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことはありませんか?もしかしたら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が何度も止まる病気です。医学的には、10秒以上息が止まる状態を「無呼吸」といい、1時間に5回以上無呼吸があれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
私は普段、呼吸器内科で多くの睡眠時無呼吸症候群患者さんを診ています。患者さんの中には、初めは「ただのいびきだろう」と軽く考えている方も少なくありません。
しかし、睡眠時無呼吸症候群はただのいびきとは違います。いびきをかく人はたくさんいますが、睡眠時無呼吸症候群の人は、いびきをかいている最中に呼吸が止まってしまうのです。
この無呼吸は、場合によっては1分以上続くこともあり、その間、体には酸素が行き渡りません。酸素不足は体に大きな負担をかけ、朝起きた時の頭痛や日中の強い眠気、集中力の低下などの症状を引き起こします。
また、睡眠時無呼吸症候群は、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、糖尿病、高血圧症などの様々な病気のリスクを高めることも知られています。放置すると命に関わることもある恐ろしい病気なのです。
睡眠時無呼吸症候群は、肥満、小さい顎、舌の根元が落ち込む、飲酒、睡眠薬の使用などが原因で起こることがあります。
さらに、鼻炎などで鼻が詰まっている方も睡眠時無呼吸症候群になりやすいです。お子さんの場合は、アデノイドや扁桃が大きいことが原因となることもあります。
「もしかして私も睡眠時無呼吸症候群?」と思ったら、早めに医療機関を受診しましょう。
簡易型の検査機器を自宅で使って、寝ている間の呼吸の状態をチェックすることも可能です。きちんと治療すれば、症状が改善し、健康な生活を取り戻せる可能性が高まります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる病気です。この「無呼吸」状態は、気道が狭くなる、もしくは閉塞することで起こります。
睡眠時無呼吸症候群は大きく分けて、「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群」の2種類に分けられます。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、文字通り空気の通り道である気道が物理的に塞がってしまうことで起こります。肥満の方は、首回りの脂肪が気道を圧迫しやすいため、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。私自身も外来で、BMIが高い方が睡眠時無呼吸症候群と診断されるケースを多く見てきました。
また、扁桃腺が肥大しているお子さんも気道が狭くなりやすいため、睡眠時無呼吸症候群になりやすいです。特に、アデノイドも同時に大きいお子さんは、鼻呼吸がしづらいため、口呼吸になりやすく、舌が喉の方に落ち込みやすいため、無呼吸になりやすいです。
さらに、あごが小さい方は、舌が喉の方に落ち込みやすく、気道を塞ぎやすいため睡眠時無呼吸症候群になりやすい傾向があります。
鼻づまりも睡眠時無呼吸症候群の原因の一つです。鼻が詰まると口呼吸になり、舌が喉の奥に落ち込みやすくなるため、気道が狭まり、無呼吸を引き起こしやすくなります。アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの持病がある方は、特に注意が必要です。
飲酒や睡眠薬の使用も、気道の筋肉を弛緩させるため、睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。寝る前の飲酒は特に注意が必要です。
一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群は、脳から呼吸の指令がうまく伝達されないことが原因で起こります。これは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは全く異なるメカニズムです。脳卒中や心不全などが原因となることもありますが、詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群と中枢性睡眠時無呼吸症候群の鑑別は、医療機関で精密検査を受けることで可能です。
睡眠時無呼吸症候群の原因となるリスク因子としては、肥満、男性、年齢、顔の形、家族歴、喫煙、飲酒など、様々なものが挙げられます。これらのリスク因子に複数当てはまる方は、特に睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いと言えるでしょう。
例えば、40代男性でBMI30以上、かつ毎晩晩酌をする方は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが非常に高いと言えます。このような方は、早めに医療機関を受診し、検査を受けることをお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群は適切な治療を行うことで、症状を改善し、生活の質を高めることができます。少しでも気になる症状がある方は、放置せずに医療機関に相談しましょう。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状は、大きく分けて「睡眠中の症状」と「日中の症状」の2つにカテゴライズできます。
睡眠中の症状で最も特徴的なのは、大きないびきです。これは、上気道が狭くなっているために空気がスムーズに通らず、振動を起こすことで発生します。私の患者さんの中には、家族に「機関車のような音だった」と表現された方もいらっしゃいました。いびきの音は、上気道の狭窄の程度によって変化します。
そして、この大きないびきの後に続くのが「無呼吸」です。これは、文字通り呼吸が止まっている状態です。無呼吸の状態は、周囲の人から指摘される場合もありますが、自分ではなかなか気づくことができません。
「無呼吸」状態は、10秒以上続くこともあります。この間、身体は酸素不足に陥り、様々な臓器に負担がかかります。また、無呼吸の後に突然大きないびきとともに呼吸が再開することもあります。これは、脳が酸素不足を感知し、呼吸を再開させるための反応です。
日中の症状は、睡眠中の無呼吸によって引き起こされる酸素不足と睡眠の質の低下が原因で現れます。
最も代表的な症状は、日中の強い眠気です。会議中や運転中に強い眠気に襲われる、という患者さんも少なくありません。このような状態は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、事故のリスクを高めることにも繋がります。
その他にも、朝起きた時の頭痛、集中力の低下、倦怠感、イライラしやすくなるなどの症状が現れることもあります。これらの症状は、一見睡眠時無呼吸症候群とは関係ないように思えるかもしれません。しかし、実は睡眠中の無呼吸が原因となっているケースも多いのです。
これらの症状は、風邪や寝不足など、他の原因でも起こりうることから、睡眠時無呼吸症候群との鑑別が難しい場合があります。そのため、簡易型アプノモニターやポリソムノグラフィー(PSG)などの検査が必要となるケースもあります。PSGは、脳波や筋電図、眼球運動、心電図、呼吸状態、血液中の酸素濃度などを同時に計測する精密検査です。この検査により、睡眠中の無呼吸の有無や重症度、睡眠の質などを客観的に評価することができます。
また、STOP-BANG質問票を用いて睡眠時無呼吸症候群のリスクを評価することも可能です。これは、いびき、日中の眠気、息苦しさによる夜間覚醒、高血圧、BMI、年齢、首周り、性別の8つの項目から睡眠時無呼吸症候群のリスクを評価するものです。これらの質問に3つ以上当てはまる場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いため、医療機関への受診をおすすめします。特に、肥満、小さい顎、舌の根元が落ち込む、飲酒、睡眠薬の使用などのリスク因子がある方は、注意が必要です。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治し方(治療)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法は、軽症から重症まで、様々な段階があり、その重症度や原因、患者さんのライフスタイルによって最適な治療法は異なります。大きく分けると、生活習慣の改善、CPAP療法、口腔内装置、手術療法などがあり、これらを単独、あるいは組み合わせて治療を行います。
まず、全ての患者さんに共通して行うべきなのが生活習慣の改善です。これは睡眠時無呼吸症候群治療の基礎となる部分であり、他の治療法と並行して行うことで、より大きな効果が期待できます。
具体的には、肥満の方はダイエットに取り組み、適正体重を目指します。BMIが25を超えている方は、まずはBMI25未満を目指しましょう。目標達成のために、管理栄養士による栄養指導を受けるのも有効です。
また、寝る前の飲酒は気道の筋肉を弛緩させ、無呼吸を悪化させるため、控えるようにしてください。日頃から晩酌の習慣がある方は、それを我慢するのは大変かもしれませんが、健康のためには必要なことです。私の患者さんの中には、晩酌をやめることで睡眠時無呼吸症候群の症状が劇的に改善した方もいらっしゃいます。
規則正しい睡眠時間を確保することも重要です。睡眠不足は睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させるだけでなく、日中の眠気や倦怠感などの原因にもなります。毎日同じ時間に寝起きし、睡眠時間を7時間程度確保するように心がけましょう。
適度な運動も効果的です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、肥満の解消に役立つだけでなく、心肺機能の向上にも繋がります。週に3回、30分程度の運動を目標に、無理のない範囲で継続することが大切です。
次に、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の方に推奨されるのがCPAP(シーパップ)療法です。これは、鼻にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を防ぐ治療法です。CPAP療法は睡眠時無呼吸症候群の治療において最も効果的な方法の一つであり、多くの患者さんで症状の改善が見られます。
CPAP療法は、まるで就寝時に酸素ボンベを装着するようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際には小型で静音性に優れた装置を使用するため、睡眠を妨げることはありません。しかし、マスクの装着に慣れるまで時間がかかる方もいるため、最初は医師や看護師の指導を受けながら、徐々に慣れていくことが大切です。
軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群の方には、口腔内装置(マウスピース)による治療も選択肢の一つです。これは、寝る時に装着するマウスピースで、下顎を前に出し、気道を広げることで無呼吸を防ぎます。CPAP療法に比べて手軽であることがメリットですが、効果はCPAP療法に劣るため、重症の睡眠時無呼吸症候群には適応されません。
最後に、手術療法についてです。扁桃腺肥大や鼻中隔弯曲症など、睡眠時無呼吸症候群の原因となっている 器質的な異常を手術で改善します。
これらの治療法は、患者さんの状態に合わせて単独、あるいは組み合わせて行われます。例えば、肥満があり、中等症の睡眠時無呼吸症候群と診断された患者さんの場合、まずは生活習慣の改善とCPAP療法を並行して行い、経過を見ながら治療方針を調整していきます。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置すると死亡するリスクがある?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、決して軽視できない病気です。睡眠時無呼吸症候群の最大の問題点は、睡眠中の無呼吸により、体に酸素が行き渡らなくなることです。酸素は、体中の細胞が活動するためのエネルギー源です。酸素が不足すると、全身の臓器、特に心臓や脳といった生命維持に不可欠な臓器に深刻なダメージを与えます。
睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、不整脈、心不全、脳梗塞、脳出血、糖尿病の悪化など、様々な合併症のリスクを高めます。また、日中の強い眠気は、居眠り運転による交通事故の危険性を高めるだけでなく、仕事中の集中力低下やミスにもつながります。
さらに、睡眠時無呼吸症候群は自覚症状がない場合もあります。そのため、家族やパートナーにいびきや無呼吸を指摘された場合は、たとえ自覚症状がなくても、医療機関を受診することが重要です。
「自分は大丈夫」と安易に考えず、睡眠時無呼吸症候群の危険性をきちんと認識し、早期発見・早期治療に努めることが大切です。睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療によって症状が改善し、合併症のリスクを軽減できます。少しでも気になる症状がある方は、ためらわずに専門医に相談してください。
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睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる病気です。単なる「いびき」と安易に考えて放置すると、高血圧や糖尿病、さらに恐ろしい脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる合併症のリスクを高める危険性があります。
「もしかして自分も睡眠時無呼吸症候群?」と感じたら、まずはオンライン診療で相談してみませんか?オンライン診療は、自宅からパソコンやスマートフォンを使って医師の診察を受けられる便利なシステムです。病院に行く時間がない、感染症リスクが気になる、といった方にもおすすめです。
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