睡眠時無呼吸症候群のAHI(無呼吸低呼吸指数)とは?

 

あなたは、夜中に何度も目が覚める、日中に強い眠気に襲われるなど、睡眠の質に不安を感じているかもしれません。

 

もしかしたら、それは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のサインかもしれません。

 

睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に呼吸が止まってしまう病気で、放置すると高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高めると言われています。

 

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の診断に重要な「AHI(無呼吸低呼吸指数)」について解説します。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のAHI(無呼吸低呼吸指数)とは?

皆さんは、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という病気を聞いたことがありますか? これは、寝ている間に呼吸が止まってしまったり、弱くなってしまったりする病気です。

この病気の診断にとても重要なのが、「AHI」という指標です。

AHIは、「無呼吸低呼吸指数」の略称で、1時間に何回呼吸が止まったか、弱くなったかを表す数値です。

簡単に言うと、AHIの値が大きければ大きいほど、睡眠時無呼吸症候群が重症であると判断されます。

 

例えば、私の患者さんで、AさんとBさんがいるとします。

Aさんは寝ている間に1時間に5回しか呼吸が止まりませんが、Bさんはなんと30回も止まってしまうとします。 当然、Bさんの方が睡眠時無呼吸症候群の症状は重いと言えますよね?

 

最近は、このAHIや、もう一つの指標であるODI(1時間あたりの無呼吸低呼吸による酸素飽和度低下の回数)に加えて、「低酸素負荷(HB)」という指標も注目されています。

これは、睡眠中の酸素飽和度の低下度合いを時間経過とともに積分し、一晩のうちに体内にどれだけの低酸素ストレスがかかったかを評価するものです。

 

AHIやODIといった従来の指標では見過ごされてきた、低酸素の蓄積という側面を捉えることで、より正確に睡眠時無呼吸症候群の重症度を評価できるようになると期待されていますが、やはり睡眠時無呼吸症候群の診断に最も重要なのはAHIでしょう。

AHIは、睡眠時無呼吸症候群の診断や治療方針を決める上で、とても大切な指標です。 ご自身のAHIを知ることで、病気の深刻さを理解し、適切な治療を受けることができます。

 

「無呼吸」と「低呼吸」の定義

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されたときによく聞く「無呼吸」と「低呼吸」。

これらの言葉は、その言葉の通り、呼吸に異常が生じている状態を示しています。

 

「無呼吸」は、文字通り呼吸が止まってしまうことです。 皆さんが普段何気なく行っている呼吸が、寝ている間に10秒以上も止まってしまうのです。

10秒間も呼吸が止まると苦しいと感じるかもしれませんが、寝ている間は無意識のため、ほとんどの場合、ご自身で異常に気付くことはありません。

しかし、周りの人が寝ている様子を見ていて、「呼吸が止まっている!」と気づくことがあります。

 

「低呼吸」は、息が浅くなってしまう状態です。「無呼吸」ほど深刻ではありませんが、普段よりも呼吸が弱くなってしまいます。

医学的には、普段の呼吸の量の半分以下になった状態が30秒以上続くと「低呼吸」と診断されます。

風邪をひいて鼻が詰まっている時や、疲れている時などに、無意識に呼吸が浅くなっていることを実感することがあると思いますが、「低呼吸」は、こうした状態が長く続いている状態を指します。

 

「無呼吸」や「低呼吸」は、決して放置して良いものではありません。

これらの症状が現れたら、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。

 

AHI(無呼吸低呼吸指数)はどうやってわかる?

AHI(無呼吸低呼吸指数)は、寝ている間の体の状態を詳しく調べる「PSG検査(ポリソムノグラフィー検査)」を受けることでわかります。

この検査では、脳波、眼球の動き、筋電図、心電図、呼吸状態、いびきの音、血液中の酸素濃度など、様々なデータを記録します。

 

「pAHI」と「AHI」の違いは?

AHIですが、実は測定方法によって「pAHI」と「AHI」の二種類があることをご存知でしょうか?

 

「pAHI」は「ポリグラフ無呼吸低呼吸指数」の略称で、簡易検査で用いられることが多い指標です。

鼻に装着したセンサーだけで呼吸の状態を計測するため、比較的簡便に測定できます。

 

一方、「AHI」はより詳細な検査で用いられる指標です。

鼻だけでなく口にもセンサーを装着し、脳波や体の動きなども同時に測定します。

そのため、より正確に無呼吸や低呼吸の状態を把握することができます。

 

では、なぜpAHIとAHIを使い分ける必要があるのでしょうか?

それは、口呼吸の有無によって測定結果に差が出る可能性があるためです。

 

例えば、口を開けて寝ている癖がある方がpAHI検査を受けるとします。

この場合、鼻のセンサーだけでは口からの呼吸を捉えられず、実際の無呼吸や低呼吸の回数を正確に反映できない可能性があります。

 

このように、pAHIは簡易的な検査である一方、測定条件によっては正確なAHIを反映できない可能性があるという側面も持ち合わせています。

 

どちらの検査が適切かは、症状や状態によって異なってきます。

そのため、検査を受ける際には、事前に医師に相談し、自身の症状や状態に最適な検査方法を選択することが大切です。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「大きないびきがうるさい」「日中、我慢できないほどの眠気に襲われる」といったことはありませんか?

 

これらの症状は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が何度も止まり、体内の酸素量が低下してしまう病気です。

 

自覚症状が少ないため、放置されがちですが、高血圧や心臓病、脳卒中といった深刻な病気のリスクを高める危険因子となります。

 

「もしかして自分も睡眠時無呼吸症候群?」と感じたら、早めに医療機関を受診することが大切です。

 

オンライン診療は、病院に行く時間や手間を省くことができるため、忙しい方や外出が難しい方にもおすすめです。

 

睡眠時無呼吸症候群の診断や治療は、早めに対処することが大切なので、まずは気軽に相談してみましょう。

 

 

 

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参考文献

  • Martinez-Garcia MA, Sánchez-de-la-Torre M, White DP, Azarbarzin A. “Hypoxic Burden in Obstructive Sleep Apnea: Present and Future.” Archivos de bronconeumologia 59, no. 1 (2023): 36-43.

 

 

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