睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース費用は?値段相場・保険適用・作り方を解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。大きないびきや日中の強い眠気だけでなく、高血圧・心疾患・脳卒中など様々な合併症リスクが高まることも知られており、放置すれば健康への影響が大きいため適切な治療が重要です。

一般的にSAS治療の第一選択は持続陽圧呼吸(CPAP)療法ですが、マスクや機械を毎晩使用することに抵抗を感じる方も少なくありません。そのような中、マウスピース(口腔内装置:Oral Appliance Therapy, OAT)による治療も重要な選択肢の一つです。実際、国内外のガイドラインでも軽症~中等症SASの治療としてマウスピース療法が推奨されており、いびきが強い方やCPAPが苦手な方まで幅広く活用されています。

本記事では、SASに対するマウスピース治療について、その仕組みや効果、費用(保険適用の有無)、メリット・デメリット、治療のステップ、さらに市販品との違いなどを医学的エビデンスにもとづき分かりやすく解説します。最後に、SASが疑われる場合の受診方法として当院のオンライン診療についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法「マウスピース(口腔内装置:OAT)」とは?

 

マウスピース治療(口腔内装置療法, Oral Appliance Therapy: OAT)とは、睡眠時無呼吸症候群に対して就寝時に装着するオーダーメイドの歯科装置による治療法です。顎を前方に固定する特殊なマウスピースを装着することで気道の閉塞を防ぎ、無呼吸や低呼吸の発生回数を減少させます。英語では「下顎前方移動装置(Mandibular Advancement Device, MAD)」とも呼ばれ、日本では「スリープスプリント」という名称が使われることもあります。

透明な樹脂製のマウスピースを上下の歯列に装着し、下顎を前方に固定することで気道を広げます。その結果、就寝中に舌が喉へ沈み込むのを防ぎ、いびきや無呼吸を軽減する仕組みになっています。

マウスピース治療は軽症~中等症のSAS患者に適した治療法であり、「CPAPは大掛かりなのでできれば避けたい」という場合に重要な選択肢となります。

実際、閉塞性SAS患者の治療ガイドラインでは、「CPAP治療の適応とならない軽~中等症の症例、あるいはCPAPが使用できない症例」に対してマウスピース(口腔内装置)による治療を行うことを提案すると記されています。

一方で、重症(無呼吸の程度が高度)ではマウスピースのみで十分な効果が得られないことも多く、その場合はまずCPAPが推奨されます。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)向けマウスピースの値段・費用相場と保険適用

 

保険適用の条件

日本国内では、一定の条件を満たせば睡眠時無呼吸症候群に対するマウスピース治療は健康保険の適用が可能です。適用のためにはまず専門医療機関で終夜睡眠検査などを受けてSASと確定診断される必要があります。

具体的には、内科・呼吸器科・耳鼻科などで検査を行いSASと診断された上で、その診断書・紹介状を持って歯科を受診し装置作製の依頼をする流れになります。言い換えれば、単なるいびき症(SASではない場合)や「自分はSASかも」と疑っている段階では保険は使えず、まず医科で正式にSASと診断されることが前提となります。

また、保険適用となる装置の種類には制限があります。現在保険診療で認められているのは上下顎一体型の口腔内装置のみであり、上下が分離して前後の微調整が可能な高度なタイプ(いわゆる上下顎分離型)の装置は保険適用外(自由診療)となります。

適用に年齢制限はありませんが、通常自分の歯が20本以上残存している成人であることが望ましいとされています(歯の本数が少ない場合や小児は適応外となることがあります)。

費用の目安

保険適用でマウスピースを作製した場合、自己負担3割の方で約1万円前後(1~1.5万円程度)の費用となることが一般的です。

装置そのものの技術料はおよそ3~5万円ほどで、残りの費用を保険が負担します。比較的安価に作れるため、強いいびきのある軽症の方やCPAPが不要な程度の中等症の方であればまず保険でマウスピース治療を試みる価値があります。

一方、SASと診断されない単なるいびき症でマウスピースを作りたい場合や、前述した高度な上下分離型マウスピースを希望する場合は自由診療(自費)となります。

自由診療の費用は歯科医院ごとに異なりますが、一般的な上下分離型の高度な装置では10万円以上かかるケースもあります。

簡易的な上下顎一体型の装置を自費で作る場合でも数万円(おおむね3~5万円程度)が相場で、保険適用と比べると患者さんの負担は大きくなります。

下表にマウスピース治療の費用相場をまとめます(いずれも日本国内の目安です)。

装置の種類・入手方法 患者の自己負担額 (目安) 備考
医療用マウスピース(保険診療) 約1~1.5万円前後 要SAS確定診断。保険適用は上下顎一体型のみ
医療用マウスピース(自由診療・一体型) 数万円(約3~5万円) SAS未診断のいびき症の場合など。歯科医院によって費用設定が異なる
医療用マウスピース(自由診療・分離型) 10万円以上 微調整機能付きの高度な装置。保険適用外(高度な専門治療)
市販の簡易マウスピース 1,000~10,000円程度 ドラッグストアや通販で購入。いびき対策用グッズ(医療機器ではない)

※上記は一般的な目安であり、実際の費用は各医療機関や装置の種類、保険負担割合によって異なります。

保険適用を受けるには多少手間がかかりますが、まず医科で正確な診断を受け、その結果をもとに歯科でオーダーメイドの装置を作製するというプロセス自体が、安全で効果的な治療のために重要です。

費用面でも保険適用であれば比較的安価に済むため、SASと診断された方は主治医にマウスピース治療の適否を相談してみるとよいでしょう。

マウスピース治療のメリット・デメリット

 

マウスピース(口腔内装置)治療には、多くの利点がある一方で注意すべき欠点や限界も存在します。ここでは、主なメリット(長所)とデメリット(短所)をそれぞれ整理して解説します。

マウスピース治療のメリット(長所)

症状改善効果が高い

適切に使用すれば就寝中の無呼吸・低呼吸発生を大幅に減少させることができ、日中の眠気やいびき等の症状も顕著に改善します。

特に軽度~中等度のSAS患者であればマウスピース単独で生活の質(QOL)が大きく向上するケースが多く、日中の眠気の改善度はCPAPと同等との報告もあります。実際、メタ解析の結果でもCPAPと口腔内装置の間でEpworth眠気スケール(ESS)の改善度に有意差はみられなかったことが示されています。

 

装着の負担が小さい

マウスピースは小型で装着も簡便なため、CPAPマスクのような圧迫感や機械の騒音がなく、就寝中のストレスが少ないです。旅行や出張の際にも持ち運びしやすく、電源も不要なのでどこでも使用できます。

また、寝相によって機器が外れてしまう心配もありません。こうした理由から、就寝中の快適さや治療満足度の点でもCPAPに劣らないとの指摘もあります(CPAPが苦手な方にとって有力な選択肢となりえます)。

さらに、マウスピース装着によっていびきが軽減すれば同室のパートナーの睡眠も妨げにくくなるという利点もあります。

 

経済的負担が比較的軽い

保険適用で作製する場合、自己負担は1万円前後と比較的安価です。

一度オーダーメイドで作れば耐久性も高く、数年程度は使用可能なので(個人差はありますが約3~5年使用できるケースが多い)、CPAPのように毎月装置レンタル費用がかかることもありません。長い目で見ても経済的負担が少なく、継続しやすい治療と言えます。

 

その他の効果

マウスピースは就寝中の口呼吸を鼻呼吸に矯正する効果も期待できます。装置装着により口が開きにくくなるため、口呼吸の癖がある方では装着を機に鼻呼吸が促され、いびきの一因である口蓋の振動が減ることがあります。

また、歯ぎしりのある方ではマウスピースがナイトガード(就寝時のマウスピース)として歯の保護にも役立つ場合があります(ただし治療目的はあくまで無呼吸の改善です)。

 

マウスピース治療のデメリット(短所)

重症SASでは効果不十分

無呼吸の程度が重度(AHIが高値)の場合、マウスピースのみでは気道を十分開けられず無呼吸・低呼吸を完全に抑制できないことが多いのが現状です。そのため、重症例では第一選択治療はCPAPとなり、マウスピース治療は「CPAPがどうしても使用できない場合の代替策」や「CPAPとの併用療法」と位置付けられます。

重症SAS患者でマウスピース治療を行う際は、主治医と相談の上で慎重に適応を判断する必要があります。

 

効果に個人差がある

マウスピース治療の効果には個人差があり、顎の骨格や歯並び、肥満度など様々な要因で左右されます。中には期待したほどの無呼吸改善が得られないケースもあり、およそ3割の患者さんでは十分な改善が得られなかったとのデータもあります。

このため、装置作製後には必ず再度睡眠検査で治療効果を確認し、必要に応じて装置の再調整や他の治療法への切り替えを検討することが重要です。

 

顎や歯への副作用

マウスピース治療には口腔や顎への物理的な負担が伴います。使用初期には唾液が増える、口が渇く、歯ぐきの圧迫感、歯の痛み、顎の関節や筋肉の違和感などが起こる場合があります。これらは通常、数週間程度の使用で慣れることがほとんどですが、長期的には少しずつ歯並びや噛み合わせに変化が生じることも報告されています。

実際に数年間の使用で上下の前歯の嚙み合わせが浅くなる(前方に移動する)傾向があるとの研究結果もあります。

こうした副作用はゆっくり進行するため自覚しにくいですが、定期的に歯科で経過をチェックし必要に応じて装置の調整・交換を行うことで大きな問題を防ぐことができます。

 

適応に制限がある

重度の鼻づまりがある方や重い顎関節症をお持ちの方、また自分の歯が極端に少ない方などはマウスピース治療が適さないことがあります(装置を支える歯が十分にない場合、固定が難しい)。総入れ歯の方も基本的には適応外です。

また、オーダーメイド装置の作製には歯科での型取りや調整のため複数回の受診が必要となるため、治療開始までにある程度の時間と手間がかかります。

さらに、マウスピース治療中も内科的な経過観察(症状や合併症のチェック)は続ける必要があり、これらを包括的に管理するためには医科と歯科の連携が不可欠です。

 

医療用マウスピースを作るステップ

 

実際に医療機関で睡眠時無呼吸症候群と診断され、保険適用のマウスピースを作製するまでの一般的な流れを説明します。各患者さんの状況によって多少手順は前後する場合もありますが、ここでは代表的なステップを挙げます。

1. 専門医への相談(オンライン診療も活用)

まずは睡眠時無呼吸症候群の専門外来(呼吸器内科、耳鼻咽喉科など)を受診し、症状について相談します。大きないびきや日中の強い眠気、睡眠中の無呼吸を指摘された経験などがあれば詳しく伝えましょう。

当院ではスマホやPCから利用できるオンライン診療にも対応していますので、多忙な方や遠方の方はオンライン診療で自宅から専門医に相談することも可能です。問診や簡易検査(自宅でできるSASスクリーニング検査)を行い、必要に応じて一泊入院の終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)など詳しい検査を手配します(PSGについては自宅で可能なタイプも手配が可能です)。

そしてこれらの結果に基づき、SASかどうかの正式な診断を行います。

 

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2. 治療方針の決定と紹介状の発行

検査の結果SASと診断された場合、重症度によって治療の選択肢はいくつかありますが、軽症~中等症であればマウスピース治療が有力な選択肢となります。患者さんがマウスピース治療を希望し適応がある場合は医師から歯科宛てに診療情報提供書(紹介状)を提供、歯科にて歯科装具を作製する流れとなります。

一方、重症SASと診断された場合は、まずCPAP療法が提案されますが、「どうしてもCPAPは使えない、使用したが合わない」という事情がある場合には代替策としてマウスピース治療が検討されることもあります(ただし前述の通り効果に限界があるため慎重な判断が必要です)。

3. 歯科受診と装置の型取り

紹介状を持参して歯科を受診します。睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療は、対応している歯科(口腔外科や補綴科がある大きな病院歯科、もしくは睡眠歯科に詳しい開業医)で行います。

歯科ではまず虫歯や歯周病の状態を確認し、マウスピース装置が装着可能か評価します(重度の歯科疾患があれば先に治療が必要になることもあります)。問題なければ上下の歯型(型取り)を行い、患者さんの顎の可動域を考慮しながら下顎を前方にどの程度出すかを決定します。

一般には下顎の最大前方移動量の50~75%程度前に出した位置から治療を開始し、効果と副作用のバランスを見ながら微調整していく方法が推奨されています。専門の歯科医師が患者ごとに最適な下顎位置を設定し、必要に応じて段階的に前方移動量を増やしながら治療効果を高めていきます。

歯型と下顎位の情報をもとに歯科技工所でオーダーメイドの装置を製作します(製作には通常1~2週間程度かかります)。

4. 装置の装着・受け取り

装置完成後、歯科で装着チェックと調整を行います。実際に口腔内に装置をはめてみて、痛みやぐらつきがないか、上下の噛み合わせに問題がないかを確認します。必要に応じて装置を削合・調整し、フィット感良く装着できる状態になれば治療開始です。

歯科医から装着方法(寝る前の装着・起床時の外し方)やお手入れ方法についての詳しい指導を受けます。装置は毎晩就寝時に装着し、起床時に外して水洗い・乾燥させて保管します。材質にもよりますが装置の耐用年数は数年(平均3~5年)程度とされ、破損や劣化がなければ繰り返し使用可能です。

5. 治療効果の確認(再検査)

マウスピース装着による治療開始後、数週間~1か月程度経過した時点で治療効果の評価を行います。

具体的には、装置装着下での睡眠検査(簡易検査もしくは入院検査)を実施し、無呼吸低呼吸指数(AHI)の改善やいびきの音量低下、日中の眠気の変化などを客観的に確認します。この結果次第では、さらに効果を高めるため装置の下顎前方位置の再調整を行ったり、十分な効果が得られていなければ他の治療法(CPAPや外科的治療等)への変更を検討したりします。

多くの場合、適切に調整されたマウスピースでAHIが目標範囲まで低下し症状も改善します。その場合は今後もマウスピース治療を継続し、必要に応じて定期検査を受けていくことになります。

6. 定期フォローアップ

マウスピース治療を開始した後も、医科と歯科の両面で定期的なフォローを受けることが望ましいです。内科ではSASの症状や合併症の経過観察、体重の増減など生活習慣の変化に応じた指導を続けます。

歯科では半年~1年に一度程度、装置やお口の状態をチェックします。装置がすり減っていないか、壊れていないか、噛み合わせや歯並びに変化が出ていないか等を確認し、異常があれば装置の調整・修理や新規作製を検討します。

特に数年使用して装置が劣化した場合や、歯の本数・状態に変化があった場合は、新しい装置の再作製が必要になります。定期フォローを怠らず受けることで、マウスピース治療の効果と安全性を長期にわたり維持することができます。

【要注意】安価な市販マウスピースと医療用の決定的な違い

 

ドラッグストアやインターネット通販などでは、いびき対策用の簡易な「市販マウスピース」(マウスガード)の製品も販売されています。数千円程度と安価で手軽に試せるため、「ひょっとしてSASかも?」と思ったとき、まず市販品を購入して様子を見たくなるかもしれません。

しかし、市販品と医療用マウスピースでは目的も作りも全く異なり、治療効果や安全性の面で大きな違いがあります。自己判断で市販品に頼る前に、その違いを正しく理解しておきましょう。

適合性・フィット感

市販のマウスピースはあらかじめ決まった既製サイズで作られているものがほとんどです。一部にお湯で軟化させて自分の歯型を写し取る簡易成形タイプもありますが、それでも完全に個々の歯並びに適合するわけではありません。

その結果、装着時にズレや違和感が生じたり、就寝中に外れてしまったりする場合があります。

一方、医療用マウスピースは歯科で自分の歯型に合わせて精密に作製されるためフィット感が非常に高く、外れにくい構造です。顎関節や歯に過度な負担がかからないよう調整されるため、長時間装着しても比較的快適に使い続けることができます。

また、素材も耐久性の高い医療材料が用いられるため、壊れにくく清潔に保ちやすい点も優れています。

治療効果

市販マウスピースはあくまでいびき軽減グッズであり、無呼吸症候群に対する確実な治療効果は保証されていません。顎を固定する位置も自分で調整する必要がありますが、適切な前方移動量の目安を知ることは難しく、十分に無呼吸を改善できない可能性が高いです。

実際に市販品を試してみたものの「いびきがあまり変わらない」「装着しづらくて使わなくなった」という声もよく聞かれます。

一方、医療用マウスピースは正式な診断を受けたSAS患者を対象に、専門の歯科医師がエビデンスに基づき適切な顎位置に調整して作製するものです。無呼吸の発生を減らす確かな効果が期待でき、軽症~中等症であればマウスピースのみで症状や日中の眠気が大幅に改善するケースも多く報告されています。

実臨床においても、CPAP治療に匹敵する満足度が得られた例が数多く存在します。総じて、市販品は医学的根拠に基づく治療とは言えないのに対し、医療用マウスピースは専門的な管理のもとで効果検証された治療法である点が決定的に異なります。

安全性・副作用への対応

市販マウスピースは自己流で使用するしかないため、顎関節や歯への負担が生じても対処が難しいです。合わない装置を無理に使い続ければ、顎関節症状の悪化や歯の動揺・噛み合わせの悪化を招くリスクがあります。

また、粗悪な製品の場合、就寝中に装置が外れて喉に詰まるような事故のリスクもゼロではありません。医療用マウスピースであれば、装置作製時に歯科医が顎関節や歯への影響を考慮して調整してくれるほか、装着中に痛みや違和感があれば随時調整や噛み合わせ修正を行ってもらえます。長期使用による歯列変化についても定期検診でモニタリングされるため、異変があれば早期に対策可能です。

このように、医療用マウスピースは専門家のフォローの下で安心して継続できる治療と言えます。

費用対効果

市販品は安価ではありますが、その価格帯は1個あたり1,000~10,000円程度と幅があります。高価な市販マウスピースを購入するくらいであれば、最初から医療機関で保険適用のマウスピースを作製した方が費用対効果は高いでしょう。

前述の通り保険診療なら自己負担約1万円でオーダーメイド装置が作れます。市販品に手を出して結局効果が得られず、時間とお金を無駄にするケースも少なくありません。それよりは早めに専門医に相談して正式に診断と治療を受けることを強くおすすめします。

適切な治療によって結果的に症状が改善すれば、日中の活動効率が上がったり合併症リスクが下がったりするため、その意味でもマウスピース治療はコストパフォーマンスの良い治療と言えるでしょう。

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SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

長期間にわたって眠気が取れないと悩んでいる場合や、いびき・無呼吸の指摘がある方は、早めに専門医に相談し、必要な検査・治療を受けて快適な睡眠と日常生活を取り戻しましょう。

 

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参考文献

  • 睡眠時無呼吸症候群と血圧の関係。高血圧にご注意! | 横浜弘明寺
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療の効果はどの程度ある?効果なし?メリットやデメリットも解説 | 森下駅前クリニック
  • 日本呼吸器学会 『睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020』 南江堂, 2020年
  • いびきのマウスピースの効果や費用はどれくらい?市販と歯科それぞれの違い | いびき治療専門クリニック〖公式〗スリープメディカルクリニック
  • マウスピースによる治療 | 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査なら – SAS対策支援センター
  • Oral Appliances for Sleep Apnea: Types, Benefits, Risks | SleepApnea.org
  • 日本歯科睡眠学会 『閉塞性睡眠時無呼吸に対する口腔内装置に関する診療ガイドライン(2020年版)』

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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金縛り(睡眠麻痺)と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係について

 

夜間に突然体が動かなくなる「金縛り」を経験したことがある方も多いでしょう。金縛りは恐ろしく不思議な現象に思えますが、医学的には睡眠麻痺と呼ばれる睡眠現象です。

特に中高年の方の中には、「自分の金縛りは睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因ではないか?」と心配される方もいます。実際、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は一晩に何度も呼吸が止まる病気で、睡眠の質を大きく損ないます。睡眠が障害されれば金縛りが起こりやすくなる可能性も考えられます。本記事では、金縛り(睡眠麻痺)とは何か、SASとの関連性、そしてSASが金縛りを招く理由SASのサインと治療法について、最新の医学エビデンスに基づきわかりやすく解説します。

 

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金縛り(睡眠麻痺)とは?そのメカニズムと原因

金縛りとは、寝入りばなや目覚め際に意識があるのに身体を動かせなくなる現象です。多くの場合、数十秒から数分で自然に解除されます。医学的には「睡眠麻痺」と呼ばれ、レム睡眠(身体が麻痺し夢を見ている睡眠段階)と覚醒状態の狭間で生じる一種の睡眠障害(パラソムニア)です。レム睡眠中は夢を演じないよう脳が筋肉を麻痺させていますが、金縛りでは脳が半分目覚めたのに筋肉の麻痺だけが解けていないために起こります。この間、息苦しさや「誰かに押さえつけられている」ような幻覚を感じることもあり、大変な恐怖を伴います。しかし身体への危険はなく、しばらくすれば自然に体の動きが戻ります。

金縛りが起こる原因は完全には解明されていませんが、不規則な睡眠や睡眠不足、強いストレスなどが誘因とされています。またうつ病や不安障害など精神的ストレス、あるいはナルコレプシー(居眠り発作)といった睡眠疾患に伴うこともあります。実際、多くの人が人生で一度は金縛りを経験するとされ、その頻度は全人口の20〜30%とも報告されています。つまり金縛り自体は珍しいものではなく、単発で起こる限り大きな問題にはなりません。ただし繰り返し頻発する場合は、その背景に他の睡眠障害が隠れている可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は金縛りの直接の原因?その関連性は?

では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は金縛りを引き起こすのでしょうか?結論から言えば、SASが金縛りの“直接の原因”であると科学的に断定することはできません。金縛りとSASはそれぞれ独立した睡眠障害ですが、関連性が示唆される研究報告はあります。

たとえば、閉塞型SAS患者では一般人に比べて金縛りを経験する割合が高いとのデータがあります。一つの研究では、SAS患者の約38%が金縛りを経験していたのに対し、SASでない人ではその割合が5〜20%程度だったと報告されています(台湾での患者対象研究)。この数字から、一見するとSASのある人で金縛りが多いように思えます。

しかし注意したいのは、これは因果関係ではなく相関関係に過ぎないという点です。つまり、「SASだから必ず金縛りになる」わけでも「金縛りがあるから必ずSASである」わけでもありません。実際、研究によって結果は様々で、SASの有無と金縛り発生との間に明確な因果関係は認められていないのが現状です。対象者の睡眠衛生やストレス状態など他の要因が影響している可能性も高く、SASがあっても金縛りを全く経験しない人も多いのです。要するに、SASが金縛りの直接の原因であるとまでは言い切れないということです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が「金縛り」を招く可能性のある理由

直接の因果関係は明確でないものの、SASが間接的に金縛りを誘発しやすくする要因はいくつか考えられます。

  • 睡眠の分断と睡眠不足:SASの患者さんは、睡眠中に何度も無呼吸や低呼吸による覚醒反応が起こります。その結果、睡眠が細切れになり慢性的な睡眠不足に陥りがちです。睡眠不足は金縛りの大きな誘因であり、SASによる睡眠不足が金縛り発生リスクを高めると考えられます。
  • レム睡眠からの中途覚醒:SASでは特にレム睡眠中に無呼吸発作が悪化しやすいことが知られています。レム睡眠時に無呼吸で酸素不足になると、脳が危機的状況と判断して半ば強制的に目覚めさせます(睡眠中の覚醒反応)。この「レム睡眠中に急に目覚める」状況は、ちょうど金縛りが起こりやすいタイミングです。脳が覚醒しても身体がまだレム睡眠の麻痺状態にあるため、無呼吸による覚醒が金縛り発作となって表れる可能性があります。
  • 睡眠姿勢の影響仰向け(上向き)で寝ると金縛りが起こりやすいことが報告されています。ある調査では、金縛りエピソードの約60〜80%が仰向け睡眠中に発生していました。一方でSASも仰向けで悪化しやすく、舌根が喉に落ち込み気道が塞がりやすくなります。そのため、仰向け睡眠の習慣をもつSAS患者さんでは金縛りも起こりやすくなるかもしれません。
  • 共通の誘因:SASと金縛りには共通する誘因も多くあります。例えばアルコール睡眠薬の使用は気道の筋肉を弛緩させてSASを悪化させますが、中枢の覚醒反応にも影響し金縛りを誘発しやすくします。また不規則な睡眠習慣交代勤務も、SASと金縛り双方のリスク因子です。SAS患者さんは夜間の度重なる中途覚醒によって生活リズムが乱れがちであり、そのことが金縛り体験につながる可能性があります。

以上のように、SASそのものが直接金縛りを“起こす”というより、SASによって悪化する睡眠環境(睡眠不足・断片化やレム中途覚醒など)が結果的に金縛りを誘発しやすくなると考えられます。したがって、金縛りに悩む方はその背景にSASなど睡眠の質を低下させる要因がないか確認することが大切です。

金縛りと一緒にチェック!睡眠時無呼吸症候群(SAS)の典型的なサイン

慢性的に金縛りが起きる場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインがないか確認してみましょう。SAS患者さんによく見られる典型的な症状には以下のようなものがあります:

  • 大きないびき(睡眠中の激しいいびき。家族やパートナーから指摘される)
  • 睡眠中の無呼吸(寝ている間に呼吸が止まっていると指摘される)
  • 夜中に息苦しくて目が覚める(「溺れるような感じ」で突然目覚めることがある)
  • 起床時の頭痛やだるさ(朝起きたときに頭痛、熟睡できていない感じが強い)
  • 日中の強い眠気(十分寝たはずなのに日中に耐え難い眠気がある)

これらはSASで典型的にみられるサインです。特に大音量のいびき睡眠中の呼吸停止はSASを強く示唆する症状です。夜間に何度も目が覚めたり(トイレに起きる回数が多い)、日中の集中力低下や居眠り運転のリスクが高まっている場合も注意が必要です。金縛りだけでなく、こうしたSASの症状に心当たりがある場合は放置せず専門医に相談することをお勧めします。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療

睡眠時無呼吸症候群は適切な治療によって症状を改善できる疾患です。治療の主な目的は、睡眠中の無呼吸を無くし十分な酸素を確保すること、そして質の良い継続的な睡眠を取り戻すことにあります。患者さんの状態に応じて、以下のような治療法が組み合わされます。

  • 生活習慣の改善:SASの大きな危険因子である肥満に対しては減量が不可欠です。適度な運動や食事管理により体重を落とすことで、気道周囲の脂肪沈着が減り無呼吸が緩和します。また飲酒や喫煙、睡眠薬の使用を控えること、規則正しい睡眠習慣を維持することも重要です。アルコールや睡眠薬は筋肉を弛緩させ無呼吸を悪化させるため、就寝前は避けましょう。軽症の方では、横向きで寝るなど睡眠姿勢の工夫で症状が改善する場合もあります。
  • CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法):中等度〜重度のSASに対する第一選択の治療法です。就寝時に鼻マスクから気道に空気を送り込み、気道を陽圧で押し広げた状態で維持することで無呼吸を防止します。CPAP療法により睡眠中の低酸素状態が解消され、日中の眠気も大幅に改善します。実際、CPAPは偽治療と比較して呼吸障害指数の大幅な低下と日中の眠気改善効果が証明されており、国際的なガイドラインでも強く推奨されています。
  • マウスピース治療(口腔内装置):下顎を前方に固定する特殊なマウスピースを就寝時に装着し、喉の気道スペースを広げて無呼吸を軽減する治療です。軽症〜中等症のSASや、CPAPがどうしても継続困難な場合に用いられます。マウスピースでも無呼吸指数の改善や日中の眠気軽減に効果がありますが、無呼吸の抑制効果自体はCPAPに劣ることが報告されています。適応となるかは歯科的な評価も含め専門医と相談して決めます。
  • 外科的治療:解剖学的な気道狭窄の原因が明確な場合(例えば極度の扁桃肥大や鼻中隔の重度湾曲など)には、耳鼻科領域の手術で原因を除去することで症状改善が期待できます。ただしSAS全体から見ると手術適応となるケースは限られており、まずは上記の保存的治療が優先されます。最近では、重症例に対し舌下神経刺激装置(Hypoglossal Nerve Stimulator)の埋め込みといった新しい治療法も登場していますが、適応や長期効果については専門医による評価が必要です。

これらの治療によって、多くのSAS患者さんは症状のコントロールが可能です。実際、適切な治療で夜間の無呼吸が解消すれば、結果として金縛りの頻度も減少することが期待できます。質の良い睡眠が確保されれば、レム睡眠中の異常な覚醒現象(=金縛り)は起こりにくくなるためです。SASの治療はご自身の睡眠の質と日中の生活の質(QOL)を高めるだけでなく、金縛りの予防にもつながると言えるでしょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

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SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

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参考文献

  1. Cleveland Clinic. Sleep Paralysis: What It Is, Causes, Symptoms & Treatment. (2023)
  2. Sleep Foundation. Sleep Paralysis: Symptoms, Causes, and Treatment. (更新日: 2023年7月26日)
  3. Hsieh SW, et al. Isolated sleep paralysis linked to impaired nocturnal sleep quality and health-related quality of life in Chinese-Taiwanese patients with obstructive sleep apnea. Qual Life Res. 2010;19(9):1265-1272.
  4. Cleveland Clinic. Sleep Apnea: What It Is, Causes, Symptoms & Treatment. (2024)
  5. Qaseem A, et al. Management of Obstructive Sleep Apnea in Adults: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians. Ann Intern Med. 2013;159(7):471-483
  6. Akashiba T, et al. Sleep Apnea Syndrome (SAS) Clinical Practice Guidelines 2020 (English ver.). Respir Investig. 2022;60(1):3-32.
  7. Denis D, et al. A systematic review of variables associated with sleep paralysis. Sleep Med Rev. 2018;38:141-157.

 

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夜間の酸素不足に要注意!睡眠時無呼吸症候群(SAS)による酸素濃度・血中酸素飽和度(SpO2)低下の原因と重大なリスク

毎晩のように大きないびきをかいていたり、日中に強い眠気や集中力の低下に悩まされていませんか?それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかもしれません。SASになると眠っている間に何度も呼吸が止まり、そのたびに体内で酸素不足(低酸素状態)が起こります。

実はSASは決して珍しい病気ではなく、厚生労働省の調査では成人の約3人に1人が潜在的にSASを抱えている可能性があると報告されています。今回は、夜間の酸素濃度・血中酸素飽和度(SpO2)低下に焦点をあて、SASが引き起こすメカニズムとリスクについて、最新のエビデンスに基づき医師がわかりやすく解説します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)で血中酸素飽和度(SpO2)が低下するメカニズム

睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、睡眠中に繰り返し「無呼吸」(10秒以上の呼吸停止)や「低呼吸」(呼吸が浅くなる状態)を起こします。呼吸が止まると肺に空気が入らず、血液中の酸素濃度(血中酸素飽和度; SpO2)が急激に低下します。通常、健康な人のSpO2は96~99%程度ですが、SASのある人では睡眠中にSpO2が90%以下に落ち込むことが頻繁に起こります。

酸素が不足すると体は危機を察知し、脳が覚醒(目が覚める状態)して呼吸を再開させます。しかし再び眠りに入るとまた無呼吸が発生し、「無呼吸→低酸素→覚醒→呼吸再開」というサイクルを一晩中繰り返してしまうのです。このメカニズムにより深い眠りが妨げられ、睡眠の質が著しく低下します。

さらに、血中の酸素不足そのものが体に大きな負担をかけます。酸素が下がると体は「もっと酸素を届けなくては」と反応し、心臓が通常より強く拍動して全身に血液を送ろうとします。この結果、心拍数や血圧の上昇を招きます。また低酸素状態では交感神経が緊張し、ストレスホルモンが分泌されるため、体は常に興奮状態となります。毎晩このような低酸素状態と覚醒反応を繰り返すことが、様々な不調や合併症の原因になるのです。

血中酸素飽和度(SpO2)の低下が体に与える危険な影響

睡眠中に血中酸素飽和度(SpO2)が低下することは、全身の臓器に危険な影響を及ぼします。酸素は生命維持に欠かせないため、酸素不足になると特に脳と心臓に大きな負担がかかります。SpO2低下の直接的な影響として、以下のような反応や症状が現れます。

強いストレス反応と睡眠の質の悪化

無呼吸による低酸素状態は体にとって大きなストレスです。重症のSAS患者では、一時的にSpO2が60~70%台まで低下するケースも報告されており、そのたびに体内では「酸欠による危機状態」として強いストレス反応が起きます。その結果、睡眠が何度も中断され、深い睡眠が得られず慢性的な睡眠不足に陥ります。夜間十分に休めないことで日中の強い眠気や倦怠感、集中力低下が生じ、仕事や学業のパフォーマンスにも悪影響を与えます。

血圧上昇と不整脈の誘発

低酸素状態では前述のように交感神経が活発化し、血管が収縮して血圧が急上昇します。繰り返し酸素が低下するSAS患者では夜間高血圧をきたしやすく、睡眠中も心臓に負担がかかります。その結果、心拍の乱れ(不整脈)が起こることもあります。実際、無呼吸に伴う低酸素血症は心臓の不整脈や狭心症発作、さらには夜間突然死の一因になることが報告されています。特に重症のSASでは睡眠中の徐脈や頻脈、心房細動などの不整脈リスクが高まるため注意が必要です。

脳への酸素不足によるリスク

睡眠中に繰り返す低酸素状態は脳への酸素供給も低下させます。これにより夜間の一過性脳虚血(脳への一時的な血流不足)を招いたり、朝起床時に頭痛を感じる原因にもなります。低酸素と頻回の覚醒により脳細胞が慢性的なストレスにさらされることで、集中力や記憶力の低下、気分の落ち込みなど精神神経症状につながる場合もあります。

このように、夜間の低酸素状態そのものが体にとって「危険信号」なのです。自覚症状がなくても、眠っている間に体は悲鳴を上げている可能性があります。放置すれば、やがて取り返しのつかない健康被害につながりかねません。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の長期的なリスク・合併症

睡眠時無呼吸症候群による夜間低酸素状態を放置すると、長期的に見て深刻な合併症や健康リスクが高まります。SASは単なる「いびき」や「眠気」の問題にとどまらず、全身の様々な臓器・機能に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。特にエビデンスが蓄積している主なリスク・合併症は以下のとおりです。

高血圧症と動脈硬化の促進

SAS患者では夜間の繰り返す低酸素と交感神経の過剰な興奮により、慢性的な高血圧が生じます。事実、SASは高血圧の独立した危険因子とされ、重症SAS患者の約半数に高血圧が認められるとの報告もあります。また酸素不足により血管の内皮機能が損なわれ、動脈硬化の進行が促されます。その結果、心筋梗塞や脳梗塞(心臓発作や脳卒中)といった致命的な心血管イベントのリスクが大幅に上昇します。実際に、SASは心筋梗塞や脳卒中の発症リスクを高め、寿命を縮める可能性があることが複数の研究で示されています。

心血管疾患のリスク増大(不整脈・心不全など)

SASによる断続的な低酸素血症(間欠的低酸素)とそれに伴う全身の炎症反応は、長期的に見て心血管系に深刻なダメージを与えます。具体的には、心臓肥大や心不全、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)のリスク増大、心房細動などの不整脈の発症リスク上昇が報告されています。ある大規模研究では、重症のSASを治療せず放置した群は、治療を受けた群と比べて心血管イベント(心筋梗塞や脳卒中など)による死亡率が有意に高かったことが示されています。つまり、SASを適切に治療しないと将来的に致命的な心臓・脳血管事故を起こす危険性が高まるのです。

2型糖尿病・メタボリックシンドローム

SASは代謝異常とも深く関わっています。睡眠不足と低酸素のストレスによりインスリンの働きが悪くなり、血糖値の上昇やコレステロール異常を招きます。その結果、糖尿病や脂質異常症など生活習慣病のリスクが高まります。実際、SAS患者は健常者に比べて2型糖尿病の有病率が高いことや、SASそのものが糖尿病発症の独立したリスク因子となる可能性が報告されています。SASとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は相互に関連し合い、悪循環を形成します。

日中の眠気による事故・労働災害

SASを放置すると、慢性的な日中の強い眠気により交通事故や労働災害のリスクも高まります。居眠り運転による重大事故の背景にSASが潜んでいた例は少なくありません。厚生労働省もSASによる日中の眠気対策を重要視しており、トラックやバス運転手へのSAS検査の導入など予防策が進められています。自分では眠気を自覚していなくても、集中力や判断力の低下により事故を起こす危険性があるため注意が必要です。

その他の合併症

このほか、SASは腎機能の悪化や認知機能障害、うつ病などの精神疾患とも関連する可能性が指摘されています。夜間低酸素により腎臓の血流が低下し慢性腎臓病を進行させる懸念や、低酸素と睡眠分断による脳へのダメージがアルツハイマー型認知症のリスク因子になり得るとの報告もあります。またSAS患者はうつ症状を合併しやすいことが知られており、低酸素ストレスと睡眠障害が精神面にも影響を及ぼすと考えられています。こうした合併症についても研究が進められており、SAS治療による改善が期待されています。

以上のように、睡眠時無呼吸症候群をそのまま放置することは非常に危険です。中等症・重症のSASを適切に治療しない場合、心筋梗塞・脳卒中・生活習慣病・事故など致命的な結果を招き、死亡率が大幅に高くなることが報告されています。SASと診断されたら軽症であっても油断せず、医師の指導のもと速やかに治療を開始することが肝要です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断における血中酸素飽和度(SpO2)測定

SASが疑われる場合、診断の一環として夜間の血中酸素飽和度(SpO2)を測定することが重要です。SASの診断には本来、睡眠専門施設での一晩の検査(ポリソムノグラフィー: PSG)が最も正確ですが、まずは簡便なスクリーニング検査として自宅でのSpO2モニタリングが広く行われています。

具体的には、自宅で指先に装着するパルスオキシメーター(簡易な酸素飽和度計)を用いて、一晩中のSpO2変動と脈拍を記録します。この簡易検査では、眠っている間に何回酸素飽和度が一定以上低下したか(例えば3%以上低下した回数)を指数化した「酸素飽和度低下指数(ODI)」を算出し、無呼吸の程度を推定します。一般にODIが高い(低酸素になる回数が多い)ほどSASの重症度が高いことを示唆します。たとえば3%低下ODI(3% Oxygen Desaturation Index)が1時間あたり15以上であれば中等症以上のSASが疑われる、といった基準が用いられます。

一方、病院や睡眠クリニックで行う終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)でもSpO2測定は欠かせません。PSGでは脳波や呼吸気流、いびき、胸腹部の動きなどと併せて経皮的酸素飽和度(SpO2)の連続測定を行います。これにより、無呼吸や低呼吸が発生するたびにSpO2がどの程度低下するか、最低SpO2が何%まで落ち込むか、といった詳細な情報が得られます。特に最低SpO2値(nadir SpO2)はSASの重症度を評価する指標の一つです。重症SASでは最低SpO2がしばしば80%未満、時に70%台に達することもあります。診断報告書には、平均SpO2や最低SpO2、ODIなどが記載され、治療方針決定の参考にされます。

まとめると、SpO2の測定はSAS診断の重要なパラメータです。自宅での簡易検査では「酸素低下の頻度」をチェックし、精密検査では「どのくらい低下しているか」まで正確に評価します。息が止まっていないかは家族でも観察できますが、酸素飽和度の低下は機器で測らないとわからないため、SASが疑われる場合はぜひ医療機関に相談して適切な検査を受けましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のCPAP治療による血中酸素飽和度(SpO2)の改善

SASと診断された場合、最も有効な治療法はCPAP(持続陽圧呼吸)療法です。CPAP装置を用いて睡眠中に鼻や口に空気を送り込み、気道に空気圧をかけることで上気道の閉塞(喉のつまり)を防ぎ、無呼吸を起こさせないようにします。CPAP療法を適切に継続することで、睡眠中のSpO2低下は劇的に改善します。実際、CPAP治療により一晩の平均SpO2や最低SpO2が治療前と比べて大きく改善することが報告されています。つまり、CPAPを使えば夜間の酸素不足状態が解消され、血中の酸素が安定して保たれるようになるのです。

CPAPによって酸素飽和度が改善することは、前述した様々な合併症リスクを下げる上でも極めて重要です。酸素低下がなくなることで夜間の血圧上昇や不整脈のリスクが軽減し、心臓への負担が減ります。また断続的低酸素が解消することで全身の炎症反応も和らぎ、長期的には高血圧や動脈硬化の進行抑制にもつながると期待されています。実際、重症SAS患者を10年以上追跡した研究では、CPAP治療を受けたグループは未治療のグループに比べ、心筋梗塞や脳卒中など致命的な心血管イベントの発生率が有意に低かったとの結果が報告されています。このことからも、CPAPで夜間低酸素状態を是正することが将来的な重篤疾患の予防につながると考えられます。

さらに、CPAP治療を行うと睡眠の質が飛躍的に向上し、日中の眠気や倦怠感も大幅に改善します。多くの患者さんが「朝すっきり目覚められる」「日中眠くなくなった」と効果を実感しています。これらの自覚症状の改善も、低酸素状態が解消され脳や体が十分休息できるようになったおかげです。CPAPはSAS治療のゴールドスタンダード(標準治療)であり、中等症以上の患者さんには原則としてCPAPが第一選択となります。

CPAPマスクの装着には慣れが必要ですが、最近の機器は小型静音化が進み快適性も向上しています。当院でもCPAP療法の導入支援・使い方のフォローを行っていますので、機器の扱いに不安がある方も安心して治療を継続できます。SASによる夜間低酸素は適切な治療で必ず改善できますので、あきらめずに取り組みましょう。

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参考文献:

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット: 「睡眠時無呼吸症候群/SAS」
[2] 森下駅前クリニック・オンライン診療のご案内
[3] 大井町みんなのクリニック: 睡眠時無呼吸症候群における酸素飽和度低下について
[4] 日本呼吸器学会 編著『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』南江堂, 2020年
[5] Johns Hopkins Medicine: “The Dangers of Uncontrolled Sleep Apnea”
[6] Gabryelska A, Łukasik ZM, Makowska JS, Białasiewicz P. “Obstructive Sleep Apnea: From Intermittent Hypoxia to Cardiovascular Complications via Blood Platelets.” Front Neurol. 2018;9:635
[7] Marin JM, et al. “Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with CPAP: an observational study.” Lancet. 2005;365(9464):1046-53
[8] 一般財団法人 運輸・交通SAS対策支援センター: 「睡眠時無呼吸症候群の検査方法」
[9] 呼吸器・睡眠時無呼吸症候群 睡眠医療情報: 酸素飽和度低下指数(ODI)について

 

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最近見る夢が変?もしかして睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインかも

 

最近、「見る夢がなんだかおかしい」「悪い夢ばかり見るようになった」「そもそも夢を全然見なくなった気がする」と感じていませんか?実は、こうした夢の変化は、単なるストレスや偶然ではなく、睡眠の質や健康状態のサインである可能性があります。

中でも注目したいのが、睡眠中に呼吸が止まる疾患である睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)です。SASは睡眠中に繰り返し呼吸が停止・低下することで睡眠の質を著しく損ない、いびきや日中の強い眠気など様々な症状を引き起こします。そして近年の研究から、SASは私たちの「夢」にも影響を与え得ることがわかってきました。

もし「最近見る夢が変だ」と感じているなら、もしかするとそれはSASからの警告サインかもしれません。本記事では、一般成人の方向けに「夢の変化と睡眠時無呼吸症候群」の関係について最新エビデンスに基づいて解説します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)は「夢」に影響を与えるのか?

結論から言えば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は夢の見方や内容に影響を与える可能性があります。ただし、その影響の現れ方は一様ではなく、研究結果も矛盾した所見が報告されています。

一部の研究では、重度のSAS患者では夢を「見る」頻度や悪夢の頻度がむしろ減少する、つまりSASが深刻になるほど夢を見なくなる傾向が示されています。これは睡眠が断片化しREM睡眠(夢を見る睡眠段階)が減少してしまうため、夢自体が少なくなるか、夢を覚えていない可能性があります。

一方で、SAS患者では夢の内容がより鮮明で感情的(とくに否定的)になるとの報告もあります。実際、ある研究では、中等度以上の睡眠時無呼吸(AHI≧15)の患者は、無呼吸のない人に比べて夢の「不快感」が有意に高い(悪夢傾向が強い)ことが示されました。また、夢の数自体は健常者と大きく変わらなくとも、その夢の内容が暴力的・攻撃的といったネガティブな感情を伴うものが増えるという結果も報告されています。

さらに特徴的なのは、「息ができない」ような悪夢です。SASでは睡眠中に繰り返し呼吸が止まり低酸素状態になりますが、脳はその危機を反映して「窒息する」「溺れる」などの夢を見せる場合があります。実際、睡眠時無呼吸症候群の患者で悪夢に悩む人たちを調べた研究では、悪夢の大半が息苦しさに関連する内容(例:「深い井戸に落ちて必死に呼吸しようともがく夢」「誰かに首を絞められて息ができなくなる夢」「海で溺れて酸素がなく苦しい夢」など)だったと報告されています。

このように、「夢をあまり見なくなる」ケースから「嫌な夢・怖い夢が増える」ケースまで、SASは人の夢に様々な形で影響を及ぼしうるのです。

なぜ睡眠時無呼吸症候群(SAS)で夢が変わる?

SASによって夢が変化する理由として、睡眠の質・構造の乱れ酸素不足による生理的ストレスという2つのメカニズムが考えられます。

まず、SASでは睡眠中に何度も呼吸が止まるため、そのたびに脳が覚醒反応を起こし、睡眠が細切れ(断片化)になってしまいます。特に夢を見る段階であるREM睡眠中に無呼吸発作が起こると、脳は正常な睡眠サイクルを中断され、途中で目が覚めたり浅い睡眠段階に引き戻されたりします

この結果、夢の途中で目覚めてしまうことで夢を覚えやすくなる一方、十分に長い夢を継続して見ることができず夢自体は断片的になります。ある研究では、SAS患者では睡眠が浅くなる割合が高く、それによって夢を見ている自覚や夢の記憶が増える可能性が指摘されています。実際、重度のSAS患者は健常者と比べて夢の内容の記憶(夢想起)が鮮明で長い傾向があるとの報告もあります。これは頻繁に睡眠が中断されることで常に夢の途中で覚醒し、夢を記憶しやすくなるためと考えられます。

次に、低酸素状態に対する脳の生理反応も夢に影響します。無呼吸により血中酸素が低下すると、脳は「窒息の危機」と判断してストレスホルモンを分泌し、いわば身体は戦闘モード(闘争・逃走反応)になります。その結果、睡眠中であっても心拍数や血圧が上昇し、脳も不穏な活動状態となってしまいます。この生理的ストレスが悪夢(生命の危機に関する恐怖夢)を誘発すると考えられています。

実際、前述のようにSAS患者の見る悪夢には「息苦しさ」「死の危険」といったテーマが多く、これは睡眠中の酸素不足に対する脳の警告反応だと考えられます。19世紀の報告でも、睡眠中に人工的に呼吸を妨げると悪夢を見ることが指摘されており、低酸素と悪夢の関連は古くから示唆されています。

さらに、慢性的な睡眠不足や低酸素による認知機能への影響も無視できません。SAS患者では注意力や記憶力の低下が起こりやすいことが知られていますが、こうした記憶力の低下により夢の内容を覚えにくくなる可能性もあります。一方で、ストレスや不安感情が高まることで夢にネガティブな情動が反映されやすくなる側面も指摘されています。

このようにSASは睡眠構造の破綻生理的ストレスという二方面から夢に影響を与え、夢を見る頻度や内容を変えてしまうのです。

夢の変化以外に要注意!睡眠時無呼吸症候群(SAS)の典型的なサイン

夢の異変はSASのサインの一つかもしれませんが、もちろんそれ以外にも典型的な症状やサインが多数あります。以下に、SASでよくみられる症状を挙げますのでチェックしてみましょう。

  • 大きないびき:周囲が驚くほど大きないびきを習慣的にかく場合、SASの代表的なサインです。特に途中でいびきが途切れ、静寂の後に「ガッ」「ブフッ」と息を吹き返すような音を立てる場合、睡眠中に無呼吸(呼吸停止)が起きている可能性があります。
  • 睡眠中の無呼吸や呼吸困難:家族やパートナーに「寝ている間に何度も呼吸が止まっている」と指摘されたり、夜中に息苦しさで目が覚めることがある場合は要注意です。睡眠中に突然「ハッ」と目覚めて喘ぐように呼吸していたら、それは典型的なSASのエピソードかもしれません。
  • 日中の強い眠気・居眠り:夜間の睡眠の質が悪いために、昼間に耐え難い眠気に襲われたり、会議中や運転中につい居眠りしてしまうことがあります。慢性的な疲労感や倦怠感も伴いやすく、仕事の能率低下につながります。
  • 起床時の頭痛や口の渇き:朝起きたときに頭痛がする、あるいは口や喉がカラカラに乾いているのもSASによくある症状です。これは睡眠中の低酸素やいびきによる口呼吸が原因と考えられます。
  • 夜間頻尿:夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)もSAS患者にしばしば見られます。無呼吸によるストレスで心臓に負担がかかり利尿作用が促進されるためで、本人は「歳のせいかな」と思いがちですが、実はSASが隠れていることがあります。
  • その他の症状:この他、睡眠の質低下に伴う集中力の低下や朝のぼんやり感、抑うつ傾向やイライラなど精神面の変化もあります。男性では勃起不全(ED)を訴えることもあり、SAS治療で改善するケースも報告されています。また高血圧や不整脈など身体的な合併症が指摘されることも多く、放置すると心血管疾患のリスクが高まります。

以上のような症状に心当たりがある場合、夢の変化とあわせて睡眠時無呼吸症候群を疑ってみる価値があります。特に深刻ないびきや日中の強い眠気は要注意のサインです。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療で夢は変わる?

では、実際にSASと診断され治療を行うと、夢の状態も改善するのでしょうか?答えは「YES」です。適切な治療によって睡眠の質が向上すれば、悪夢や異常な夢は減少し、正常な夢のパターンが戻ってくることが期待できます。

SAS治療の第一選択であるCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法は、鼻マスクから気道に空気を送り込んで睡眠中の無呼吸を防ぐ治療法です。このCPAP治療を始めると、多くの患者で睡眠の質が劇的に改善しますが、夢に関しても顕著な変化が報告されています。

例えば、重度SAS患者を対象とした研究では、CPAP導入後にそれまで頻繁に見られていた暴力的・不安感の強い悪夢が消失したという結果が得られました。ある重症患者では、治療前にはREM睡眠中の夢の半数以上を覚えているほど断片的な睡眠状態でしたが、CPAP開始直後から悪夢が見られなくなり、夢を見る頻度自体も大きく減少しました。この悪夢の消失は、CPAPによって睡眠中の窒息状態が解消され、脳が安心して眠れるようになったことを反映しています。

興味深いことに、CPAP導入直後は夢を見る頻度(夢想起率)が一時的に低下する場合があります。実際、ある研究ではSAS患者の夢想起率が、CPAP開始前は約50%だったのが初日のCPAP使用後には20%程度まで低下したと報告されています。これは前述のように睡眠が中断されにくくなるためで、「夢を最後まで見ても途中で起きなくなる=夢を覚えていない」健康的な睡眠が戻ったことを示す良い兆候といえます。患者さんの中には「CPAPをつけたら夢を見なくなってしまった」と心配される方もいますが、これはむしろ睡眠が深くなり連続性が保たれている証拠なのです。

CPAP治療を継続して睡眠パターンが安定してくると、夢想起率は徐々に正常範囲に戻る傾向があります。前出の研究でも、CPAP開始から数か月〜2年後には夢を見る頻度がほぼ健常者並みに回復し、内容も通常の夢に近づいたと報告されています。

重要なのは、治療前に見られたような息苦しい悪夢は再発せず、夢の質が明らかに改善した点です。また、別の研究ではSAS患者で頻発していた悪夢がCPAP治療によって有意に減少したことが示されており、これは国際的なガイドラインでもエビデンスとして紹介されています。

実際に臨床の場でも、CPAP導入後に「悪夢をほとんど見なくなり朝までぐっすり眠れるようになった」という声は珍しくありません。例えば、20年間も「毎晩のように嫌な夢を見る」ことで睡眠が不満足だった47歳の女性患者では、精密検査で中等度のSAS(AHI21.7)と診断されCPAP治療を行ったところ、初回のCPAP使用直後から「一晩中夢を見なかった」と感じるほど睡眠が深くなり、昼間の状態も劇的に改善しました。このケースではその後もCPAPを継続することで、夜間の無呼吸はほぼ消失し、夢に悩まされることもなくなっています。こうした事例は決して特別ではなく、適切な治療により「悪い夢にうなされる夜」から「安眠できる夜」へと変化できることを裏付けています。

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参考文献

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[7] Slowik JM, Sankari A, Collen JF. Obstructive Sleep Apnea. StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2025 Mar.

 

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要注意!睡眠時無呼吸症候群(SAS)が引き起こす物忘れとは?症状・原因・治療について解説

 

中高年の方で「最近物忘れがひどくなった」と感じている方はいませんか?加齢のせいと諦めてしまいがちですが、実は睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で記憶力や認知機能が低下している可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。特に中高年に多く、高齢者では最も多い睡眠障害とも言われるほど頻度が高い疾患です。SASになると大きないびきや日中の強い眠気といった症状で知られていますが、それだけではありません。最近の研究から、SASが物忘れや認知症リスクの上昇など「脳へのダメージ」を引き起こすことが分かってきました。

本記事では、睡眠時無呼吸症候群と物忘れ・認知機能低下との関連性、そして症状・原因・治療について医学的根拠に基づき分かりやすく解説します。最後には当院(森下駅前クリニック)で行っているオンライン診療についてもご紹介します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と物忘れ・認知機能低下の関連性

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と記憶障害や認知症には深い関連があります。SASになると慢性的な睡眠不足や夜間低酸素状態に陥り、それが認知機能の低下(物忘れ、注意力低下、実行機能障害など)を招くことが多くの研究で報告されています。

実際、ある大規模調査ではSAS患者の約半数に軽度認知機能障害(MCI)が認められ、中等度~重症のSASではその割合が55%を超えていたと報告されています。さらに別の研究では、軽度認知障害の患者の約4人に1人がSASを合併していたとの結果もあります。これらの事実は、睡眠時無呼吸症候群が認知機能低下の重要な一因であることを示唆しています。

加えて、SASと認知症(特にアルツハイマー型認知症)との関連も注目されています。SAS患者は将来的に認知症を発症するリスクが有意に高いことが報告されており、ある解析ではSAS患者の認知症発症リスクは持たない人の1.4倍に達するとの結果でした。中でもアルツハイマー型認知症の発症リスクは約1.3倍に上昇していたことが報告されています。

こうしたことから、睡眠時無呼吸症候群は認知症(アルツハイマー病など)を招く危険因子の一つと考えられています。また、高齢者のSASでは物忘れや認知機能低下といった症状がより顕著に現れやすいとも指摘されています。年齢を重ねるにつれSASによる脳への影響が大きくなり、加齢による認知機能予備力の低下と相まって症状として表れやすくなる可能性があります。

以上のように、睡眠時無呼吸症候群は単なるいびきや眠気の問題に留まらず、放置すると認知症を含む脳の健康に深刻な影響を及ぼしうる病気なのです。

なぜ睡眠時無呼吸症候群(SAS)で物忘れが起きるのか?

SASによって物忘れや認知機能低下が起こるのには、いくつかの医学的な理由があります。主な原因は、夜間の低酸素状態と睡眠の分断です。

SAS患者では睡眠中に上気道が塞がり呼吸が停止するため、血中の酸素濃度が何度も低下し、そのたびに脳が目覚めてしまいます。一晩中このような断続的な酸素不足と睡眠の分断が繰り返されることで、脳の神経細胞に大きなストレスとダメージが蓄積します。特に記憶を司る海馬や前頭前野などは酸素不足に弱く、SAS患者ではこれらの部位の萎縮や機能低下が報告されています。

実際、SASは脳の微小な血流障害や虚血性損傷を引き起こし、注意力、実行機能、作業記憶、長期記憶など幅広い認知領域に影響を及ぼすことが分かっています。こうした脳への直接的ダメージが物忘れや思考力低下として現れるのです。

さらに、SASが物忘れを引き起こすもう一つのメカニズムとして脳内老廃物の蓄積が考えられています。私たちの脳は睡眠中に老廃物(例えばアルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβなど)を排出し整理する働きがあります。しかしSASで睡眠が浅く分断されると、この「脳のゴミ掃除」機能が妨げられ、アミロイドβが脳内に蓄積しやすくなる可能性が指摘されています。

実際、近年の研究で重症のSAS患者ほど脳脊髄液中のアミロイドβ濃度が低下(=脳内に沈着していることを示唆)する関連が報告されました。アミロイドβの蓄積はアルツハイマー型認知症の病変であり、SASはこうした神経変性のプロセスを加速させる誘因となりうるのです。

また、SASは睡眠中の低酸素や再酸素化ストレスによって活性酸素の産生や慢性的な炎症反応を引き起こします。この酸化ストレスや慢性炎症も血管や神経を傷つけ、脳の認知機能を低下させる一因と考えられます。

加えて、SAS患者では高血圧や動脈硬化が促進されることが知られており、その結果として脳卒中や脳の微小血管障害が起これば記憶障害を含む認知障害が一層進行してしまいます。実際、重症SASの方は脳卒中発症リスクが有意に高いとの報告もあり、こうした脳血管障害(いわゆる血管性認知症の原因)のリスク増加もSASが物忘れを招く間接的なメカニズムと言えるでしょう。

このように、睡眠時無呼吸症候群で物忘れが起きる背景には、夜間低酸素と睡眠断片化による脳細胞へのダメージ老廃物(アミロイドβ)の蓄積酸化ストレス・炎症の影響、そして脳血管障害の誘発といった複合的な要因が存在します。特に高齢者ではこれらの悪影響に対する脳の抵抗力が低下しているため、SASによる認知機能低下がより顕著に現れやすいのです。「高齢者 無呼吸 なぜ」と感じる方もいるかもしれませんが、以上がその医学的な理由になります。

物忘れ以外に注意すべき睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサイン

睡眠時無呼吸症候群は物忘れ以外にも様々なサインを呈します。以下のような症状が見られる場合は、SASを疑って注意する必要があります。

  • 大きないびき:家族や同室者から睡眠中の激しいいびきを指摘される。いびきはSASの代表的な症状です。
  • 睡眠中の無呼吸やあえぎ寝ている間に呼吸が止まる、あるいは「息が詰まってハッと目が覚める」ような出来事が頻繁に起こる。これは典型的なSASのエピソードです。
  • 頻繁な覚醒と熟睡感の欠如夜中に何度も目が覚める(トイレに起きる回数が増える場合も)。朝起きたときに熟睡した感じがしない、疲労感が残る。起床時に頭痛や喉の渇きを感じることもあります。
  • 日中の強い眠気:日中に耐え難い眠気に襲われたり、会議中や車の運転中につい居眠りしてしまう。集中力が続かず、ぼんやりする時間が増えるのも特徴です。
  • 気分の変調・認知面の変化イライラしやすくなったり抑うつ気分になる、物忘れが増えて判断力や注意力が落ちたと感じる。SASでは睡眠不足の影響で精神面・認知面の症状が現れることがあります。

以上のような症状はSASでよく見られるサインです。特にいびきが大きい呼吸停止を伴う場合は要注意です。ご自身では気付きにくい症状もあるため、家族から指摘された場合は真剣に受け止めましょう。物忘れだけでなくこれらのサインに心当たりがある場合、放置せず医療機関での検査を検討することが大切です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療で物忘れは改善する?

結論から言えば、適切に睡眠時無呼吸症候群を治療すれば物忘れや認知機能低下の改善が期待できます。SASの標準的な治療法であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)では、就寝時に鼻マスクから気道に空気を送り込み、喉の閉塞を防ぐことで無呼吸をなくします。

CPAPにより夜間の低酸素状態と睡眠の分断が解消されると、脳は十分な休息と酸素供給を得られるようになり、その結果日中の眠気や注意力の低下が改善し、記憶力を含む認知機能も多くの場合向上します。実際、複数の臨床研究のレビューによれば、CPAP治療によってSAS患者の認知機能(特に言語記憶・視空間認知・作業記憶など)が有意に改善したと報告されています。

また、SAS患者は治療を続けることで将来的な認知機能低下や認知症発症リスクを減らせる可能性も示されています。例えば、ある研究ではSAS患者でCPAP治療を真面目に継続したグループは、未治療のグループに比べて数年後の軽度認知障害(MCI)への進行が遅れたとの報告があります。さらに興味深いことに、既に認知症と診断された患者さんでも、同時にSASを治療したところ認知機能が改善したケースも報告されています。

このように、睡眠時無呼吸症候群の治療介入は物忘れや認知機能低下に対して一定の改善効果が期待できるのです。

もっとも、SAS治療によって全ての患者さんの認知症状が劇的に治るというわけではありません。認知機能の改善度合いは個人差があり、年齢や認知障害の程度、他の疾患の有無などによって異なります。しかし少なくとも、治療によって症状の進行を食い止めたり、日常生活に支障を来すレベルの物忘れが軽減したりする可能性は十分にあります。実際にCPAPを使用した患者さんからは「朝の頭の冴え方が違う」「集中力が戻ってきた」といった声が聞かれます。

根本的な原因である無呼吸を取り除くことで、脳へのダメージを減らし回復を促せると考えられます。物忘れでお悩みの方は、SASを治療することで状況が改善する余地があることをぜひ知っておいてください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療を検討すべきタイミング

では、どのようなタイミングで睡眠時無呼吸症候群の治療を検討すべきでしょうか。基本的には「SASが疑われた時点」および「SASと診断された時点」です。症状が出ているならなるべく早く対策を始めることが重要です。具体的には、次のような場合は治療を検討しましょう。

  • 上述のようなSASの兆候(いびき、無呼吸、日中の眠気、物忘れ等)が頻繁に見られる場合。特に日常生活に支障をきたしているなら放置すべきではありません。
  • ご家族に睡眠中の無呼吸を指摘された場合。自覚がなくとも他者から無呼吸を目撃されたら重症の可能性があります。早急に医療機関で評価を受けましょう。
  • 中等度以上のSASと診断された場合。睡眠検査で無呼吸低呼吸指数(AHI)が高かった場合、症状の有無に関わらず治療を開始することが推奨されます。重症SASは放置すると高血圧や心臓病、脳卒中のリスクも大幅に上がるためです。
  • 物忘れなど認知機能低下が進行している場合。年のせいと決めつけず、SASが隠れていないか検査し、該当すれば治療を始める価値があります。SASを治療することで将来の認知症発症を予防できる可能性もあるためです。特に高齢のSAS患者では「今さら治療しても…」と考えず積極的に治療を行うことが推奨されています。

以上のような状況に当てはまる場合は、速やかに医師へ相談し治療方針を検討するタイミングと言えます。睡眠時無呼吸症候群は放っておいても自然に治ることはまれで、むしろ時間とともに合併症リスクが蓄積していきます。早期に対応を始めることで、将来の脳や心臓へのダメージを未然に防ぎ、生活の質の低下を防ぐことができます。特に物忘れ等の症状が出ている方は、「歳のせい」と片付けず一度SASの可能性を調べてみることをおすすめします。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

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SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

長期間にわたって眠気が取れないと悩んでいる場合や、いびき・無呼吸の指摘がある方は、早めに専門医に相談し、必要な検査・治療を受けて快適な睡眠と日常生活を取り戻しましょう。

 

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参考文献一覧(References)

  1. Montalvão Neves J, Maciel CA, Alexandre-Sousa P. Benefits of Treating Obstructive Sleep Apnea in Cognition: Systematic Literature Review. J. Dement. Alzheimer’s Dis. 2025; 2(1):3. DOI: 10.3390/jdad2010003
  2. Beaudin AE et al. Cognitive Function in a Sleep Clinic Cohort of Patients with Obstructive Sleep Apnea. Ann Am Thorac Soc. 2021; 18(5): 865-875. DOI: 10.1513/AnnalsATS.202004-313OC
  3. Ryan CM, Molnar FJ, et al. The prevalence of obstructive sleep apnea in mild cognitive impairment: a systematic review. BMC Neurol. 2019; 19: 195. DOI: 10.1186/s12883-019-1422-3
  4. Guay-Gagnon M et al. Sleep apnea and the risk of dementia: a systematic review and meta-analysis. J Sleep Res. 2022; 31(5): e13589. DOI: 10.1111/jsr.13589
  5. U.S. Preventive Services Task Force. Screening for Obstructive Sleep Apnea in Adults: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement. JAMA 2022; 328(12):1168-1174. DOI: 10.1001/jama.2022.16341
  6. 独立行政法人国立病院機構 近畿中央呼吸器センター「睡眠時無呼吸症候群」解説ページ(2023年閲覧)【オンライン】.
  7. Sharma RA, Varga AW, Bubu OM, et al. Obstructive Sleep Apnea Severity Affects Amyloid Burden in Cognitively Normal Elderly: A Longitudinal Study. Am J Respir Crit Care Med. 2018; 197(7): 933-943. DOI: 10.1164/rccm.201704-0704OC
  8. 千田 一嘉. 「睡眠時無呼吸症候群と認知症」長寿医療センター病院レター 第81号, 2019年7月22日.

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどんな病気か:原因から治療まで完全ガイド

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?どんな病気かやさしく解説

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。

この呼吸停止(無呼吸)が一晩に何十回、時には何百回も繰り返されることがあります[1]。

 

無呼吸が10秒以上続き、それが1時間あたり5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上発生する場合に診断されます[2]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)には主に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)」の2種類があります。

 

日本では成人の約3〜7%がOSASを持つと推定されており、特に中高年の男性に多く見られます[3]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんは質の良い睡眠が得られないため、日中の強い眠気や疲労感を感じ、集中力低下や記憶力の問題を抱えることがあります。

 

長期間放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などの深刻な健康問題のリスクが高まります[4]。

 

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症状チェック|こんな症状がある人は要注意

睡眠時無呼吸症候群には特徴的な症状があります。

ご自身やご家族に以下の症状が見られる場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を考慮する必要があります:

  • 夜間の症状
    • いびきが大きく、時々途切れる[5]
    • 睡眠中に呼吸が止まる(家族に指摘されることが多い)
    • 息苦しさで目が覚める
    • 夜間の頻尿
    • 寝汗がひどい
  • 日中の症状
    • 起床時の頭痛
    • 日中の過度な眠気[6]
    • 集中力や記憶力の低下
    • イライラや抑うつ感
    • 疲労感が取れない

特に、大きないびきと日中の強い眠気の組み合わせは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要な警告サインです[7]。

また、肥満(BMI 25以上)、首が太い、顎が小さいなどの身体的特徴がある方も注意が必要です。

 

当院では、詳細な症状評価のためのESS(エプワース眠気尺度)質問票を用いた評価も行っています。

睡眠に関する不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因と病気の種類

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)

OSASは最も一般的なタイプで、睡眠中に上気道(喉の奥)が物理的に狭くなったり塞がったりすることで発生します[8]。

 

主な原因と危険因子には:

  • 解剖学的要因:扁桃肥大、小顎症、舌が大きい、口蓋垂が長い
  • 肥満:特に内臓脂肪型肥満[9]
  • 加齢:筋肉の緊張低下により上気道が閉塞しやすくなる
  • 生活習慣:アルコール摂取、睡眠薬の使用、喫煙
  • 遺伝的要因:家族歴が関連する場合もある

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)

CSASは比較的まれで、脳から呼吸筋への信号伝達の問題によって生じます[10]。

 

主な原因には:

  • 心不全などの心臓疾患
  • 脳卒中後遺症
  • 脳幹の障害
  • 特定の薬物(オピオイド系鎮痛薬など)の使用

複合性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性と中枢性の特徴を併せ持つタイプもあります。

特に、CPAP治療を開始した後に中枢性の要素が顕在化することがあります[11]。

 

放置はNG!関連する病気とリスク

睡眠時無呼吸症候群を放置することは、様々な健康リスクを高めます。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)により引き起こされる慢性的な低酸素状態と睡眠の質の低下は、以下のような合併症のリスクを増大させます:

循環器系への影響

  • 高血圧:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の約50%に高血圧が見られます[12]
  • 心不全:無呼吸による低酸素状態が心臓に負担をかけます
  • 不整脈:特に心房細動のリスクが2〜4倍に増加[13]
  • 冠動脈疾患:心筋梗塞のリスクが増加

 

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代謝系への影響

  • 2型糖尿病:インスリン抵抗性の悪化[14]
  • 脂質異常症:コレステロール値の上昇
  • メタボリックシンドローム:睡眠時無呼吸症候群(SAS)との強い関連性が示されています

神経系への影響

  • 脳卒中:中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者では脳卒中リスクが2〜3倍[15]
  • 認知機能低下:記憶力や判断力の低下
  • うつ病や不安障害:精神的健康への悪影響

 

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日常生活への影響

  • 交通事故:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の交通事故リスクは2〜7倍[16]
  • 仕事の生産性低下:集中力や判断力の低下による
  • 生活の質の全般的な低下

これらのリスクは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度と相関しており、適切な治療によって多くの合併症を予防または改善することができます[17]。

早期発見・早期治療が非常に重要です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の調べ方・検査方法

睡眠時無呼吸症候群の診断には、段階的なアプローチが取られます:

初期評価

  • 問診:睡眠の質、日中の眠気、いびきなどの症状について詳しくお聞きします
  • 身体検査:BMI、血圧、上気道の評価など
  • 質問票評価:エプワース眠気尺度(Epworth sleepiness Scale:ESS)などを用いた自覚症状の評価[18]

睡眠検査

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断には睡眠検査が必要です。主に以下の2種類があります:

  1. 簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
    • 自宅で行える検査
    • 酸素飽和度、気流、呼吸運動、体位、脈拍などを測定
    • 最初のスクリーニングとして広く使用されています[19]
  2. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    • 専門施設で一晩かけて行う精密検査 ※※自宅検査可能な機器もあり。
    • 脳波、眼球運動、筋電図なども含めた詳細な評価が可能
    • 重症例や診断が難しい場合に実施[20]

検査で評価される主な指標

  • 無呼吸低呼吸指数(AHI):1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数
    • 軽症:5 ≤ AHI < 15
    • 中等症:15 ≤ AHI < 30
    • 重症:AHI ≥ 30 [21]
  • 酸素飽和度低下指数(ODI):1時間あたり酸素飽和度が3%以上低下する回数
  • 最低酸素飽和度:睡眠中の最も低い酸素飽和度

当院では、症状や状況に応じて適切な検査をご案内しています。

簡易検査は自宅で手軽に行えるため、まずはこちらからスタートすることが多いです。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法|保険適用も可能

睡眠時無呼吸症候群の治療には、重症度や原因に応じていくつかのアプローチがあります。

 

多くの治療法は健康保険が適用されます。

生活習慣の改善

  • 減量:肥満がある場合、体重の5-10%減量でもAHIが20-50%改善することがあります[22]
  • 睡眠姿勢の工夫:側臥位での睡眠を促す方法(体位療法)
  • アルコール・睡眠薬の制限:就寝前の摂取を控える
  • 禁煙:喫煙は上気道の炎症を悪化させます

 

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持続陽圧呼吸療法(CPAP)

CPAPは中等症から重症のOSASに対する第一選択治療です。

マスクを通じて気道に適切な圧力の空気を送り、気道の閉塞を防ぎます[23]。

 

  • 効果:適切に使用すれば、ほぼ全ての無呼吸・低呼吸を解消
  • 保険適用:終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)でAHI 20以上(簡易PSG検査では40以上)、または日中の強い眠気や合併症がある場合はAHI 5以上で保険適用
  • 治療管理:定期的な通院と機器データの確認が必要

 

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口腔内装置(マウスピース)

軽症から中等症のOSAS、またはCPAPに不耐性の方に適しています。

 

  • 作用機序:下顎を前方に固定し、気道空間を確保
  • 効果:AHIを平均50%程度改善[24]
  • 保険適用:歯科医院での製作・調整に保険が適用されます

 

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手術療法

解剖学的異常が明らかな場合に考慮されます。

 

  • 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術:軟口蓋や口蓋垂の過剰組織を切除
  • 扁桃摘出術:扁桃肥大がある場合
  • 上下顎前方移動術:顎の形態異常が主因の場合[25]

 

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その他の治療法

  • 舌下神経刺激療法:特殊な埋め込み装置で舌の筋肉を刺激
  • 中枢性睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療:原疾患(心不全など)の治療や適応性サーボ換気療法

 

治療法の選択は、症状の重症度、検査結果、患者さんの希望や生活状況などを総合的に考慮して行います。

当院では一人ひとりに合った最適な治療プランをご提案しています。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が重要です。

この記事でご紹介したような症状—大きないびき、日中の強い眠気、睡眠中の呼吸停止—が心当たりある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

 

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

 

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

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参考文献

[1] Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.

[2] AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events: Rules, Terminology and Technical Specifications, Version 2.6. American Academy of Sleep Medicine, 2020.

[3] Chin K, et al. Prevalence of sleep-disordered breathing in Japanese patients with obesity. Respirology. 2018;23(6):579-586.

[4] Javaheri S, et al. Sleep Apnea: Types, Mechanisms, and Clinical Cardiovascular Consequences. J Am Coll Cardiol. 2017;69(7):841-858.

[5] Young T, et al. The occurrence of sleep-disordered breathing among middle-aged adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-1235.

[6] Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep. 1991;14(6):540-545.

[7] Nagappa M, et al. Validation of the STOP-Bang Questionnaire as a Screening Tool for Obstructive Sleep Apnea among Different Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis. PLoS One. 2015;10(12):e0143697.

[8] Eckert DJ, et al. Pathophysiology of Adult Obstructive Sleep Apnea. Proc Am Thorac Soc. 2008;5(2):144-153.

[9] Romero-Corral A, et al. Interactions between obesity and obstructive sleep apnea: implications for treatment. Chest. 2010;137(3):711-719.

[10] Eckert DJ, et al. Central sleep apnea: Pathophysiology and treatment. Chest. 2007;131(2):595-607.

[11] Javaheri S, et al. Central Sleep Apnea. Compr Physiol. 2019;9(4):1022-1066.

[12] Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-1384.

[13] Gami AS, et al. Obstructive sleep apnea, obesity, and the risk of incident atrial fibrillation. J Am Coll Cardiol. 2007;49(5):565-571.

[14] Ip MS, et al. Obstructive sleep apnea is independently associated with insulin resistance. Am J Respir Crit Care Med. 2002;165(5):670-676.

[15] Yaggi HK, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. N Engl J Med. 2005;353(19):2034-2041.

[16] Tregear S, et al. Obstructive sleep apnea and risk of motor vehicle crash: systematic review and meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581.

[17] Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.

[18] Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.

[19] Collop NA, et al. Clinical guidelines for the use of unattended portable monitors in the diagnosis of obstructive sleep apnea in adult patients. J Clin Sleep Med. 2007;3(7):737-747.

[20] Berry RB, et al. The AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events: Rules, Terminology and Technical Specifications, Version 2.6. American Academy of Sleep Medicine, 2020.

[21] Sleep-related breathing disorders in adults: recommendations for syndrome definition and measurement techniques in clinical research. The Report of an American Academy of Sleep Medicine Task Force. Sleep. 1999;22(5):667-689.

[22] Anandam A, et al. Effects of dietary weight loss on obstructive sleep apnea: a meta-analysis. Sleep Breath. 2013;17(1):227-234.

[23] Patil SP, et al. Treatment of Adult Obstructive Sleep Apnea with Positive Airway Pressure: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2019;15(2):335-343.

[24] Ramar K, et al. Clinical Practice Guideline for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Snoring with Oral Appliance Therapy: An Update for 2015. J Clin Sleep Med. 2015;11(7):773-827.

[25] Caples SM, et al. Surgical modifications of the upper airway for obstructive sleep apnea in adults: a systematic review and meta-analysis. Sleep. 2010;33(10):1396-1407.

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の割合はどれくらい?年代・性別ごとの発症率と放置リスクを解説

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症割合はどれくらい?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、思われている以上に多くの方が抱える睡眠障害です。

世界的な調査によると、一般成人人口の約9-38%が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断基準を満たすとされています[1]。

 

日本においては、成人の約3-7%が閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を有すると推定されており、その多くが未診断のまま放置されています[2]。

 

特に注目すべきは、重症度によって分類すると、軽症(AHI 5-15)が最も多く、全体の約60-70%を占めるという点です。

中等症(AHI 15-30)は約20%、重症(AHI 30以上)は約10-15%と推定されています[3]。

 

日本人の特徴として、欧米人に比べて肥満度が低くても発症することが知られており、これは東アジア人に特有の顔面骨格(小さな下顎、上気道の解剖学的特徴)が関連していると考えられています[4]。

 

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年代別・性別の割合と特徴

性別による差異

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は男性に多い疾患として知られています。

疫学調査によれば、成人男性の約10-17%、成人女性の約3-9%が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断基準を満たすとされています[5]。

 

この男女差は特に40-60歳の年齢層で顕著です。

 

男女差が生じる理由としては、以下のような要因が考えられています:

  • ホルモンの影響:女性ホルモンが上気道の筋緊張を保ち、閉塞を防ぐ効果がある[6]
  • 体脂肪分布の違い:男性は首周りや上気道周囲に脂肪がつきやすい[7]
  • 上気道の解剖学的差異:男性は気道が長く、閉塞しやすい構造がある[8]

 

しかし、女性は閉経後に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症率が上昇する傾向があり、50歳以上では男女差が縮まることも報告されています[9]。

 

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年代別の特徴

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率は年齢によって大きく変動します:

  • 小児期(2-8歳):約1-5%。主に扁桃肥大や腺様増殖症が原因となることが多い[10]
  • 思春期〜若年成人(15-30歳):約2-3%。この年代では肥満との関連が強まる[11]
  • 中年期(30-60歳):約10-17%(男性)、3-9%(女性)。最も有病率が高い年代[12]
  • 高齢期(65歳以上):約20-30%。加齢に伴う筋力低下や体型変化が影響[13]

 

年齢が上がるにつれて睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率は上昇し、特に65歳以上の高齢者では、軽症を含めると3人に1人の割合で睡眠時無呼吸症候群(SAS)が見られるという研究結果もあります[14]。

 

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地域・人種による差異

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率には地域差や人種差も報告されています:

  • アジア人(日本人含む)は欧米人に比べてBMIが低くても発症しやすい[15]
  • アフリカ系アメリカ人は白人に比べて若い年齢で発症する傾向がある[16]
  • 先住民族(オーストラリア先住民、ニュージーランドマオリ族など)では有病率が特に高い[17]

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置するとどうなる?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置することによる健康リスクは多岐にわたり、重症度や罹患期間に比例して深刻化します。

 

循環器系疾患リスクの上昇

  • 高血圧:未治療の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の約50%が高血圧を合併しており、特に夜間の「仮面高血圧」が特徴的です[18]。重症睡眠時無呼吸症候群(SAS)では治療抵抗性高血圧のリスクが2-3倍に上昇します[19]。
  • 心房細動:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は心房細動の発症リスクが2-4倍高く、特に60歳以上の患者で顕著です[20]。また、カテーテルアブレーション治療後の再発率も高いことが報告されています[21]。
  • 冠動脈疾患:中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、心筋梗塞のリスクが約2倍に上昇します[22]。無呼吸による低酸素血症と交感神経系の活性化が動脈硬化を促進すると考えられています。
  • 心不全:睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心不全は悪循環の関係にあり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の心不全発症リスクは2.6倍、すでに心不全がある患者の死亡リスクは2倍に上昇します[23]。

 

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脳血管障害・認知機能への影響

  • 脳卒中:重症睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の脳卒中リスクは2-3倍高く、特に男性と65歳以上の高齢者で顕著です[24]。また、脳卒中後の睡眠時無呼吸症候群(SAS)合併は機能回復を遅らせることも報告されています[25]。
  • 認知機能低下:長期間の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は認知機能低下やアルツハイマー病のリスク増加と関連しています[26]。特に実行機能と記憶力への影響が大きく、治療により一部改善する可能性があります。

 

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代謝系への影響

  • 2型糖尿病:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は糖尿病発症リスクが1.5-2倍高く、インスリン抵抗性が増加します[27]。さらに、既存の糖尿病患者では睡眠時無呼吸症候群(SAS)の合併により血糖コントロールが不良となりやすいです[28]。
  • 脂質異常症:睡眠時無呼吸症候群(SAS)は中性脂肪の上昇やHDLコレステロールの低下と関連しており、動脈硬化性疾患のリスクを高めます[29]。

日常生活への影響

  • 交通事故リスク:未治療の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の交通事故リスクは2-7倍に上昇するとされ、特に職業ドライバーでは重大な問題となります[30]。日本では2003年に発生した山陽新幹線の居眠り運転事故を機に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)スクリーニングの重要性が認識されるようになりました。
  • 労働生産性の低下:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は集中力や判断力の低下、記憶障害などにより、職場でのパフォーマンスが約30%低下するという報告があります[31]。
  • 生活の質の低下:日中の過度な眠気や疲労感、頭痛、気分障害などにより、全体的な生活の質が著しく低下します[32]。

 

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自分は大丈夫?セルフチェックと検査方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS) リスク評価:セルフチェック

以下のような症状や特徴がある方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を考慮すべきです:

夜間の症状

  • 大きないびき(特に断続的ないびき)[33]
  • パートナーから「呼吸が止まる」と指摘される
  • 息苦しさで目が覚める
  • 夜間の頻尿(1晩に2回以上トイレに行く)
  • 寝汗が多い、口・のどの乾燥

日中の症状

  • 起床時の頭痛
  • 日中の強い眠気(運転中、会議中など)[34]
  • 集中力・記憶力の低下
  • 疲労感が取れない
  • イライラ感や抑うつ気分

身体的特徴

  • BMI 25以上の肥満
  • 首周り40cm以上(男性)、38cm以上(女性)
  • 小顎症、後退顎
  • 扁桃肥大

スクリーニングツール

当院では、国際的に認められた以下のスクリーニングツールを使用しています:

  1. エプワース眠気尺度(Epworth sleepiness Scale:ESS):日中の眠気を評価する質問票で、10点以上で過度の眠気があると判断します[35]。
  2. STOP-BANG質問票:いびき、疲労感、観察された無呼吸、血圧、BMI、年齢、首周り、性別の8項目を評価し、3点以上で睡眠時無呼吸症候群(SAS)リスクが高いとされます[36]。
  3. ベルリン質問票:いびき、日中の眠気、高血圧・肥満の有無を評価し、2カテゴリー以上が陽性の場合にリスクが高いと判断します[37]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)診断のための検査

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断には以下の検査が行われます:

  1. 簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
    • 自宅で行える検査
    • 鼻・口の気流、いびき音、酸素飽和度、体位などを測定
    • AHI(無呼吸低呼吸指数)を算出し重症度を評価[38]
  2. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    • 医療機関で一晩かけて行う精密検査 ※※自宅検査可能な機器もあり。
    • 脳波、眼球運動、筋電図なども含めた詳細な評価
    • 重症例や複雑な症例で実施[39]

 

当院では、まず簡易型睡眠検査を実施し、必要に応じて詳細な検査へと進めています。オンラインでの初診から検査キットの郵送まで対応可能です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は非常に有病率の高い疾患でありながら、90%以上が未診断・未治療と言われています[40]。

特に、中年男性や閉経後女性、BMI 25以上の方は高リスク群であり、いびきや日中の眠気などの症状がある場合は積極的な評価が推奨されます。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療により、高血圧や不整脈などの合併症リスクが大幅に低減し、日常生活の質も向上することが多くの研究で示されています[41]。

特に重症例では、治療による生命予後改善効果も報告されています[42]。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

 

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

 

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.

[2] Nakayama-Ashida Y, et al. Sleep-disordered breathing in the usual lifestyle setting as detected with home monitoring in a population of working men in Japan. Sleep. 2008;31(3):419-425.

[3] Heinzer R, et al. Prevalence of sleep-disordered breathing in the general population: the HypnoLaus study. Lancet Respir Med. 2015;3(4):310-318.

[4] Sutherland K, et al. Facial phenotyping by quantitative photography reflects craniofacial morphology measured on magnetic resonance imaging in Icelandic sleep apnea patients. Sleep. 2016;39(10):1749-1760.

[5] Peppard PE, et al. Increased prevalence of sleep-disordered breathing in adults. Am J Epidemiol. 2013;177(9):1006-1014.

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[7] Malhotra A, et al. Aging influences on pharyngeal anatomy and physiology: the predisposition to pharyngeal collapse. Am J Med. 2006;119(1):72.e9-14.

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[10] Marcus CL, et al. Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome. Pediatrics. 2012;130(3):e714-755.

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[15] Li KK, et al. Obstructive sleep apnea syndrome: a comparison between Far-East Asian and white men. Laryngoscope. 2000;110(10 Pt 1):1689-1693.

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[17] Mihaere KM, et al. Obstructive sleep apnea in New Zealand adults: prevalence and risk factors among Māori and non-Māori. Sleep. 2009;32(7):949-956.

[18] Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-1384.

[19] Marin JM, et al. Association between treated and untreated obstructive sleep apnea and risk of hypertension. JAMA. 2012;307(20):2169-2176.

[20] Gami AS, et al. Association of atrial fibrillation and obstructive sleep apnea. Circulation. 2004;110(4):364-367.

[21] Naruse Y, et al. Concomitant obstructive sleep apnea increases the recurrence of atrial fibrillation following radiofrequency catheter ablation of atrial fibrillation: clinical impact of continuous positive airway pressure therapy. Heart Rhythm. 2013;10(3):331-337.

[22] Gottlieb DJ, et al. Prospective study of obstructive sleep apnea and incident coronary heart disease and heart failure: the sleep heart health study. Circulation. 2010;122(4):352-360.

[23] Javaheri S, et al. Sleep apnea: types, mechanisms, and clinical cardiovascular consequences. J Am Coll Cardiol. 2017;69(7):841-858.

[24] Yaggi HK, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. N Engl J Med. 2005;353(19):2034-2041.

[25] Kaneko Y, et al. Relationship of sleep apnea to functional capacity and length of hospitalization following stroke. Sleep. 2003;26(3):293-297.

[26] Yaffe K, et al. Sleep-disordered breathing, hypoxia, and risk of mild cognitive impairment and dementia in older women. JAMA. 2011;306(6):613-619.

[27] Botros N, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for type 2 diabetes. Am J Med. 2009;122(12):1122-1127.

[28] Aronsohn RS, et al. Impact of untreated obstructive sleep apnea on glucose control in type 2 diabetes. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181(5):507-513.

[29] Coughlin SR, et al. Obstructive sleep apnoea is independently associated with an increased prevalence of metabolic syndrome. Eur Heart J. 2004;25(9):735-741.

[30] Tregear S, et al. Obstructive sleep apnea and risk of motor vehicle crash: systematic review and meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581.

[31] Mulgrew AT, et al. The impact of obstructive sleep apnea and daytime sleepiness on work limitation. Sleep Med. 2007;9(1):42-53.

[32] Baldwin CM, et al. The association of sleep-disordered breathing and sleep symptoms with quality of life in the Sleep Heart Health Study. Sleep. 2001;24(1):96-105.

[33] Young T, et al. The occurrence of sleep-disordered breathing among middle-aged adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-1235.

[34] Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep. 1991;14(6):540-545.

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[38] Collop NA, et al. Clinical guidelines for the use of unattended portable monitors in the diagnosis of obstructive sleep apnea in adult patients. J Clin Sleep Med. 2007;3(7):737-747.

[39] Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.

[40] Young T, et al. Estimation of the clinically diagnosed proportion of sleep apnea syndrome in middle-aged men and women. Sleep. 1997;20(9):705-706.

[41] Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.

[42] Campos-Rodriguez F, et al. Cardiovascular mortality in women with obstructive sleep apnea with or without continuous positive airway pressure treatment: a cohort study. Ann Intern Med. 2012;156(2):115-122.

 

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女性にも多い睡眠時無呼吸症候群(SAS)|見逃されやすい症状と治療法をわかりやすく解説

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)=太った中年男性の病気」というイメージが強いかもしれません。

しかし、実は女性も睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症することがあります[1]。

 

特に閉経前後のホルモン変化や体型変化が重なり、50代以降では男性に匹敵する有病率になるとの報告もあります[2]。


もし「いびきをかくなんて男性だけでしょ」「私はただ疲れているだけ」と思って放置していると、重大なリスクにつながる可能性があります。

 

本記事では、女性に多い睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴や見逃されやすい理由、セルフチェック方法から治療・受診の流れまで、医学的エビデンスを踏まえてわかりやすく解説します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症割合はどれくらい?

世界的な有病率

世界的には成人人口の**約9〜38%**が閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診断基準を満たすと推定されています[3]。

 

ただし、症状の程度(軽症〜重症)によって幅があり、実際に受診・治療を受けている人はそのうちの一部です。

 

日本人の場合

日本人成人のOSAS有病率は3〜9%程度とされますが[4]、BMIが欧米人より低くても発症しやすい傾向があると報告されています[5]。

これは顎の骨格や上気道の狭さなどアジア人特有の形態が影響していると考えられています[5]。

 

女性特有の状況

「女性のOSAS有病率は男性の半分程度」と言われていますが[1]、これは閉経前の女性を含むトータルな数字です。

 

閉経後はホルモン分泌の変化に伴って有病率が大きく上昇し、同年代男性と同等に近づくというデータがあります[2]。

 

つまり、更年期以降の女性は注意が必要です。

 

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年代別・性別の割合と特徴

  1. 若年層(20〜30代)
    • 一般に男性がやや多い傾向がありますが、女性でも肥満度や顎の形態によっては発症します[6]。
    • 女性は症状が軽度だと「ただの疲れ」や「ストレス」と見なされがちで、診断が遅れることも。
  2. 中年期(30〜50代)
    • 男性の有病率が上昇する時期。飲酒習慣や体重増加、喫煙などが重なると睡眠時無呼吸症候群(SAS)リスクがさらに高くなります[7]。
    • 女性は閉経前後を境にリスクが上昇。特に更年期障害と症状が紛らわしく、見逃されやすいと言われています[2]。
  3. 高齢期(60代以上)
    • 男性・女性ともに睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率が高い。筋力や組織の弛緩によって気道が狭くなりやすいことが要因の一つ[8]。
    • 女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の保護作用が低下し、男女差が縮まるのが特徴です[2]。

 

さらに、女性は「不眠」「朝の頭痛」「抑うつ感」などの症状が出やすく、いびきや無呼吸を自覚しにくい場合があります[9]。

そのため、まったく別の病気や単なるストレスとして見逃してしまうケースが少なくありません。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置するとどうなる?

心血管系疾患のリスク

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に何度も呼吸が止まり、血中酸素が低下するため、交感神経が常に刺激され、高血圧や心不全、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります[10]。

 

認知機能の低下

慢性的な低酸素状態と睡眠の質の低下が、認知症や軽度認知障害のリスク上昇に関与すると報告されています[11]。

 

特に高齢女性は、アルツハイマー病をはじめとする認知症の発症リスクが男性より高い傾向があるため、見過ごせない問題です[12]。

 

日中の眠気・生活の質の低下

夜間に熟睡できず、何度も無呼吸や低呼吸で目が覚めるため、慢性的な疲労感や日中の強い眠気が生じます[13]。

 

  • 交通事故や産業事故のリスク上昇
  • 仕事や家事への集中力低下
  • イライラ感や抑うつ傾向

こうした生活の質(QOL)の低下が長期にわたって続くと、心身への負担がさらに大きくなります。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化したときの症状と日常生活への影響

 

自分は大丈夫?セルフチェックと検査方法

セルフチェック:当てはまりませんか?

  1. 大きないびきを指摘された、あるいは自覚している[2]
  2. 就寝中に呼吸が止まっていると家族やパートナーに言われた
  3. 朝起きたときに頭痛や口の渇きを感じる
  4. 日中に強い眠気があり、仕事や運転に支障をきたす[13]
  5. 夜間頻尿で何度も目が覚める
  6. 眠っていても疲れが取れにくく、常にだるさが残る
  7. ストレスや更年期障害だと思い込んでいるが、実は原因不明の倦怠感がある

 

上記のうち複数が当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。

「女性はいびきなんてかかない」と思い込まず、いったん専門医に相談すると安心です。

 

検査方法

  1. 簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
    自宅で装置を装着し、呼吸状態や酸素飽和度をモニタリングします。手軽に始められ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を判定しやすい方法です[14]。
  2. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    病院やクリニックに一泊し、脳波や呼吸・酸素飽和度などを同時に詳しく測定します。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断に用いられます[14]。

 

女性の場合、更年期障害や他の睡眠障害と紛らわしい症状があるため、専門医が総合的に判断することが大切です。

最近はオンライン診療を活用して、初診から検査キットの郵送まで完結できるクリニックも増えています。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

もし睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑う症状があるなら、まずは専門医への相談が近道です。

 

仕事や家事などで忙しい方でも、オンライン診療なら自宅から受診でき、検査キットも自宅へ郵送されます[15]。

遠方や交通手段がない場合でもスムーズに検査を受けられるのがメリットです。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献(References)

  1. Bixler EO, et al. Prevalence of Sleep-Disordered Breathing in Women: Effects of Gender. Am J Respir Crit Care Med. 2001;163(3 Pt 1):608-613.
  2. Dancey DR, et al. Impact of menopause on the prevalence and severity of sleep apnea. Chest. 2001;120(1):151-155.
  3. Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.
  4. Nakayama-Ashida Y, et al. Sleep-disordered breathing in the usual lifestyle setting as detected with home monitoring in a population of working men in Japan. Sleep. 2008;31(3):419-425.
  5. Li KK, et al. Obstructive sleep apnea syndrome: a comparison between Far-East Asian and white men. Laryngoscope. 2000;110(10 Pt 1):1689-93.
  6. Young T, et al. The Occurrence of Sleep-Disordered Breathing among Middle-Aged Adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-5.
  7. Romero-Corral A, et al. Interactions between obesity and obstructive sleep apnea: implications for treatment. Chest. 2010;137(3):711-9.
  8. Ancoli-Israel S, et al. Sleep-disordered breathing in community-dwelling elderly. Sleep. 1991;14(6):486-95.
  9. Saaresranta T, Polo O. Hormones and breathing. Chest. 2002;122(6):2165-82.
  10. Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-84.
  11. Yaffe K, et al. Sleep-disordered breathing, hypoxia, and risk of mild cognitive impairment and dementia in older women. JAMA. 2011;306(6):613-9.
  12. Vina J, Lloret A. Why women have more Alzheimer’s disease than men: gender and mitochondrial toxicity of amyloid-β peptide. J Alzheimers Dis. 2010;20 Suppl 2:S527-33.
  13. Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth Sleepiness Scale. Sleep. 1991;14(6):540-5.
  14. Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.
  15. Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005;365(9464):1046-53.

※本記事は医学的知見に基づく情報提供を目的としており、個別の症状や治療法を示すものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医師にご相談ください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)は太りやすい?その関係と悪循環を断ち切る方法を解説

 

「最近太りやすくなった」「日中の集中力が続かない」「いびきがひどいと指摘される」――。

 

働き盛りの40歳前後になると、体型の変化や疲労感など、気になる不調が増えてきます。

その原因として見落とせないのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が停止・低下する症状を繰り返す疾患です。

十分な酸素が供給されないため、体は慢性的なストレス状態となり、高血圧や心疾患、糖尿病などを引き起こすリスクが高まります[1]。

 

さらに「無呼吸症候群は太りやすい」という話を耳にしたことはありませんか?

実は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と肥満は強く関連しており、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が肥満を、肥満が睡眠時無呼吸症候群(SAS)を悪化させる“負のスパイラル”に陥ることも珍しくありません。

 

本記事では、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)が太りやすさにどのように関係するのか?」を分かりやすく解説しつつ、悪循環を断ち切るための対策をご紹介します。

 

森下駅前クリニックでは呼吸器内科専門医が在籍し、オンライン診療にも対応していますので、「もしかしたら自分も睡眠時無呼吸症候群(SAS)かも…」と思った方はぜひ参考にしてみてください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と太りやすさの関係とは?

まずは睡眠時無呼吸症候群(SAS)と肥満のつながりを理解しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は“気道が塞がれる”ことによって発生します。肥満になると、首周りや咽頭周辺に脂肪がつきやすく、気道が狭くなって無呼吸状態に陥りやすくなるのです[2]。

 

特に男性は、首まわりに脂肪が集まりやすい体型傾向があるため、女性よりも睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しやすいとされています[3]。

 

さらに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)そのものが太りやすさを助長してしまう側面もあります。理由としては、大きく以下の3点が挙げられます。

 

  1. 睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
  2. 代謝の低下
  3. 慢性的な疲労による活動量の減少

これらの要因が重なり合うと、どんどん体重が増えてしまい、ますます気道が狭まるという悪循環にハマってしまうのです。

次の章では、まず睡眠不足が「なぜ太りやすさにつながるのか」を見ていきましょう。

 

睡眠不足が太りやすさに与える影響

人が太るかどうかを左右する大きなポイントの一つが“睡眠の質と量”です。

十分な睡眠が取れていないと、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れることが複数の研究で示されています[4][5]。

 

  • レプチン(満腹ホルモン)が減少
  • グレリン(空腹ホルモン)が増加

結果的に「満腹感が得にくく、食欲が増しやすい」状態に陥り、つい食べ過ぎてしまいます。

また、睡眠不足はストレスホルモン(コルチゾール)の分泌量を増加させ、身体に脂肪を溜め込みやすい状態を招くと考えられています[4]。

 

さらに、日中の眠気や疲労感により活動量が下がることも太りやすさを加速させます。

通勤で一駅分歩いたり、休日に運動をする気力がわかず、どうしても“省エネモード”になりがちです。

 

したがって、睡眠時間が短い人ほど肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高まる傾向にある、という報告が存在します[3][4]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で代謝が落ちる?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に何度も無呼吸状態になるため、慢性的な低酸素状態が続きます。

身体は酸素不足を補おうと交感神経を過剰に働かせ、血圧や心拍数を上げるなど“緊急事態”に対応するモードが続くのです[1]

その結果、夜間の深い睡眠が阻害され、成長ホルモンの分泌が減少してしまいます。

 

成長ホルモンには脂肪燃焼を促進する働きがあるため、不足すると代謝が下がって太りやすい体質へと傾いていきます。

体内のエネルギー消費量も落ち込むため、普段と同じ食事をしていても、運動不足が続くと体重が増える可能性が高くなるでしょう[6]。

 

実際に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療としてCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法を受けた患者さんは、無呼吸が改善して睡眠の質が向上する一方で、今度は“過剰な交感神経活動が抑えられる”ことから代謝が若干落ち、体重が増えやすくなるという研究報告もあります[6]。

 

つまり、CPAP療法などで、いびきや無呼吸を抑えるだけでなく、同時に適切な食事制限や運動療法を取り入れ、総合的に体重管理をしていくことが必要なのです。

 

太るとさらに睡眠時無呼吸症候群(SAS)が悪化する悪循環

ここまで述べてきたように、肥満と睡眠時無呼吸症候群(SAS)には相互に悪影響を与え合う関係があります。以下のような流れで、負のスパイラルに陥ってしまうのです。

 

  1. 体重が増える
  2. 首まわりや舌根などに脂肪がつき、気道が狭くなる
  3. 無呼吸状態(SAS)が悪化し、睡眠不足や慢性的な低酸素状態が続く
  4. 代謝やホルモンバランスが乱れ、より太りやすい体質になる
  5. さらに体重が増え、気道が狭まる……

 

こうした負の連鎖を断ち切るには、早い段階で適切な治療と生活習慣の改善を始めることが大切です。

研究によれば、体重を10%減らしただけでも睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状が大幅に改善したという報告もあります[7]。

まずは5~10%の減量を目標に、できることから取り組んでみるのがおすすめです。

 

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太りやすい体質を改善するための対策

1. 食事改善と適正カロリーの把握

過度な食事制限はリバウンドのリスクを高めるため、まずはバランスの良い食事を適正カロリーで摂ることを心がけましょう。

 

たとえば、糖質・脂質・たんぱく質のバランスを意識し、野菜や海藻類を積極的に取り入れることで、満腹感を得やすくなります。

飲酒が多い方は、アルコール量を適切にコントロールするのもポイントです[3][5]。

 

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2. 適度な運動でエネルギー消費を増やす

ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は脂肪燃焼を促し、筋力トレーニングは基礎代謝を上げて“太りにくい身体”を作ります[4][5]。

 

運動が苦手な方も、通勤の一部を徒歩に変える・階段を使うなど、日常生活に“活動量を増やす工夫”を取り入れてみましょう。

 

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3. 十分な睡眠を確保する

睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策だけでなく、肥満・生活習慣病予防の観点からも“しっかり眠る”ことは最重要項目です。

 

できれば毎日7~8時間の睡眠を目指し、就寝前のスマホ使用やカフェインの摂取は控えるなど、睡眠の質を下げる行動を避ける工夫をしてみてください[4][5]。

 

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4. CPAP療法やマウスピース療法など専門的治療の検討

「いびきがうるさい」「日中の異常な眠気が続く」「高血圧を指摘された」という方は、専門的な検査を受けることが望ましいです。

 

CPAP療法やマウスピース療法は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善に有効であることが研究によって示されています[1][2]。

ただし、先述のとおり無呼吸状態が改善しても体重コントロールを怠ると、再び症状が悪化する恐れがあるため、治療と同時に生活習慣の改善を行うことが大切です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

もし「自分も睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれない」と思ったら、まずは専門医に相談することが必要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は放置すると心血管疾患や脳卒中、糖尿病リスクが高まるなど健康被害が大きいため、早期受診が重要と言えます[1]。

とはいえ、忙しくて通院の時間を確保しづらい方も多いでしょう。

 

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治療

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症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Marshall NS, Wong KK, Cullen SR, Knuiman MW, Grunstein RR. “Sleep Apnea and Cardiovascular Disease: Conclusions from Recent Trials and Future Perspectives.” Mayo Clin Proc. 2013 May;88(5):549-555. [PMID: 23639464]
[2] Peppard PE, Young T, Palta M, Skatrud J. “Prospective Study of the Association Between Sleep-Disordered Breathing and Hypertension.” N Engl J Med. 2000 May 11;342(19):1378-84. [PMID: 10805822]
[3] Dixon JB, Schachter LM, O’Brien PE. “Predicting Sleep Apnea and Excess Weight: A Comprehensive Review.” Obes Rev. 2013 Jan;14(1):71-84. [PMID: 23057462]
[4] Taheri S, Lin L, Austin D, Young T, Mignot E. “Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index.” PLoS Med. 2004 Dec;1(3):e62. [PMID: 15602591]
[5] Patel SR, Malhotra A, White DP, Gottlieb DJ, Hu FB. “Association Between Reduced Sleep and Weight Gain in Women.” Am J Epidemiol. 2006 Nov 1;164(10):947-54. [PMID: 16914506]
[6] Wang Y, Tuomilehto H, Jin F, et al. “Lifestyle Intervention to Improve Sleep Apnea: A Randomized Controlled Trial Exploring the Role of Weight Reduction in Overweight Patients with Moderate to Severe Obstructive Sleep Apnea.” J Clin Sleep Med. 2020 May 15;16(5):785-796. [PMID: 32130990]
[7] Newman AB, Foster G, Givelber R, et al. “Progression and Regression of Sleep-Disordered Breathing With Changes in Weight: The Sleep Heart Health Study.” Arch Intern Med. 2005 Jan 10;165(2):240-5. [PMID: 15668360]

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸の関係

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどんな病気?

睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは、眠っている間に何度も呼吸が止まり(無呼吸)、体内の酸素が不足する睡眠障害です[1]。

 

主な原因は睡眠中に喉や鼻などの上気道が繰り返し狭くなることで、激しいいびきや低呼吸(呼吸が弱く浅くなること)を伴います。

 

症状としては、睡眠中の大きないびきや呼吸停止、日中の強い眠気、起床時の頭痛・だるさなどが現れます[2]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は中高年の男性や肥満の方に多い傾向がありますが[3]、誰にでも起こり得る病気です。近年患者数は増加傾向にあり、世界では成人人口の約9〜38%がOSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)の診断基準を満たすと推定されています[4]。

日本人成人のOSAS有病率は3〜9%程度とされていますが[5]、これは実際に検査を受けていない潜在患者も多いと考えられます。

 

放置された睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高まることが複数の研究で示されています[6]。

では、この睡眠時無呼吸症候群(SAS)と「口呼吸」にはどのような関係があるのでしょうか。本記事では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸の関係について最新の知見を踏まえて解説します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸には関係がある?

結論から言えば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸には深い関係があります。

実際、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の多くは睡眠中に口呼吸をしていることが複数の研究で確認されています[7]。

 

欧州呼吸器学会誌(European Respiratory Journal)に掲載された研究では、鼻づまりなどがない人々を対象とした調査において、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は単なるいびき症の人に比べて睡眠中に口あるいは口と鼻で呼吸している時間の割合が有意に高いことが報告されています[8]。

 

その研究では、口呼吸の頻度と無呼吸低呼吸指数(AHI:睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸の発生回数)が正の相関関係にある(口呼吸が多い人ほどAHIが高い)ことも明らかになりました[8]。

 

これらの知見から、口呼吸の習慣は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症リスクや重症度に密接に関係していると考えられます。

 

口呼吸の習慣がもたらす悪影響

口呼吸は本来備わっている鼻呼吸の利点を活かせないため、さまざまな悪影響を及ぼします。

  • 口腔内の乾燥と衛生悪化: 睡眠中に口で息をすることで唾液が乾燥し、口腔内が渇いた状態になります。唾液には歯や粘膜を保護し細菌の増殖を抑える働きがありますが、口呼吸によってその自浄作用が低下すると、虫歯や歯周病、口臭のリスクが高まります[9]。実際、成人では慢性的な口呼吸によって歯周病(歯ぐきの炎症)や口臭が生じやすくなるとの報告があります[9]。
  • 鼻のフィルター機能の欠如: 通常、鼻毛や鼻粘膜がフィルターの役割を果たし、空気中のホコリ・細菌を除去するとともに加湿・加温して肺に送り届けています[10]。ところが口呼吸ではこうした防御機構が働かないため、乾燥した冷たい空気が直接気道に入り、喉や気管支が刺激されやすくなります。これにより喉の痛みや炎症を起こしやすくなったり、病原体が体内に侵入しやすくなるリスクも指摘されています[10]。
  • 睡眠の質の低下: 慢性的な口呼吸の習慣は睡眠の質にも影響します。口呼吸は鼻呼吸に比べて気道抵抗が高く、睡眠中の呼吸が乱れやすくなるためです[7]。研究によれば、口呼吸は単に寝起きに口が渇く程度の問題ではなく、睡眠障害(いびきや睡眠時無呼吸症候群など)を引き起こして日中の生活に支障をきたす可能性があると報告されています[11]。口呼吸により睡眠が浅く分断されると、日中の強い眠気や集中力の低下、倦怠感の原因にもなり得ます[11]。
  • 歯並びや顔貌への影響: 子どもの場合、長期にわたる口呼吸の習慣が顎顔面の発達に悪影響を及ぼすことがあります。口で呼吸するクセのある子どもは、将来的に歯並びが悪くなったり(不正咬合)、鼻呼吸しにくい人に特有の「アデノイド顔貌」と呼ばれる顔つきになることがあると指摘されています[12]。実際、口呼吸の子どもは鼻呼吸の子どもに比べて歯科的異常(歯列不正や顎の狭小化)や顔面骨格の変形が起こりやすいとの報告があります[12]。このように、口呼吸の習慣は口内衛生から全身の健康、さらに成長過程における発育にまで幅広く悪影響を及ぼしうるのです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状と重なりやすいサイン

口呼吸が習慣化している人に現れやすい症状の中には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状と共通するものも少なくありません。

例えばいびきはその典型です。

口を開けて寝ると喉の気道が狭まり振動しやすいため、口呼吸の人はしばしば大きないびきをかきます[13]。

 

また、睡眠中の口渇(口の乾き)や起床時の喉の痛みも、口呼吸の人によく見られる症状です。

これらは睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者にもよく見られるサインであり、実際に夜間に口呼吸をする人は、いびき・口渇・口臭・声のかすれ・目覚めたときの疲労感といった症状を訴えることが多いことが報告されています[11][13]。

 

一方、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではこれらに加えて睡眠中の無呼吸発作(呼吸停止や喘ぎ)や頻繁な覚醒、朝の頭痛、激しい眠気などが現れます[2]。

したがって、口呼吸習慣による症状は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状と紛らわしい場合があり、「ただの口呼吸だから」「単なるいびきだから」と見過ごされがちです。

 

特に大音量のいびき日中の強い眠気がある場合、それは口呼吸だけでなく睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を示す重要なサインかもしれません[2][13]。

 

口呼吸の自覚がある方でこれらの症状が重なる場合は、念のため睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を受けることを検討してください。

 

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口呼吸が原因で睡眠時無呼吸症候群(SAS)が悪化するリスク

口呼吸の習慣は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症リスクを高めるだけでなく、症状を悪化させる要因にもなり得ます。

 

実際、口呼吸によって上気道が狭くなり睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度が増すこと、およびCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法の効果を阻害する可能性があることは医学的にも指摘されています[7][14]。

口を開けて寝ると下あごが下がり、舌根や軟口蓋(喉の奥の柔らかい部分)が後方へ落ち込みやすくなります。

 

その結果、咽頭(喉)の気道径が小さくなり、空気の通り道が塞がれやすくなってしまいます[14]。

つまり、口呼吸によって気道が物理的に狭められ、無呼吸が起こりやすくなるのです。

 

また、口呼吸の癖があるとCPAP療法(睡眠中にマスクから気道に空気を送り込む治療)もうまくいかない場合があります。

口から空気が漏れてしまい十分な陽圧がかからなかったり、口や喉の乾燥による不快感で機器の使用を継続できなくなることが報告されています[15]。

 

事実、口呼吸はCPAP治療のアドヒアランス(継続使用率)の低下要因の一つであり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の治療を難しくする面があります[15]。

 

さらに近年の研究から、口呼吸が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症化に与える影響の大きさが裏付けられています。

 

例えば、軽度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者を対象に行われた臨床試験では、就寝時に口にテープを貼って強制的に鼻呼吸へ矯正したところ、無呼吸低呼吸指数(AHI)といびきの頻度が約半分にまで改善しました[7]。

 

このように、口呼吸を防いで鼻呼吸に切り替えるだけで睡眠中の呼吸状態が大きく改善するケースがあるのです。

逆に言えば、口呼吸の放置が睡眠時無呼吸症候群(SAS)を悪化させているリスクが高いとも言えます。

 

口呼吸の習慣がある方は、それが睡眠時無呼吸症候群(SAS)症状を増長させていないか注意が必要です。

 

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改善するにはどうすればいい?

口呼吸の習慣を改善し、鼻呼吸で眠れるようにすることが睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策の一助になります。以下に具体的な改善策を紹介します。

 

  • 鼻の通りを良くする治療: 鼻づまりがあると誰でも口呼吸になってしまうため、まずは慢性的な鼻詰まりの解消が重要です。アレルギー性鼻炎が原因であれば抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬の使用、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)があればその治療を行います。鼻中隔のゆがみが強い場合は耳鼻科での手術で空気の通り道を確保することも検討されます[16]。鼻の通りを良くすることで口呼吸が改善し、睡眠の質が向上したりCPAP療法の効果が高まることが報告されています[16]。実際、鼻閉(鼻づまり)の治療によって口呼吸が減少し、いびきや日中の眠気が改善した例もあります[16]。
  • マウステープなどで鼻呼吸を促す: 就寝時に口元にテープを貼り、強制的に鼻呼吸にする「マウステープ」と呼ばれる対策があります。市販の専用テープを用いる方法で、口呼吸を物理的に防ぐことでいびきや軽症睡眠時無呼吸症候群(SAS)が改善したとの報告があります[7]。前述の臨床研究では、マウステープ使用によりAHIやいびき指標が大きく低下し、睡眠中の低酸素状態も改善しました[7]。マウステープはあくまで補助的な対策ですが、「鼻で呼吸する」習慣づけには有効な手段と言えます。ただし、マウステープ使用中は鼻で十分に呼吸できることが前提となるため、鼻づまりがひどい場合には無理に行ってはいけません。また、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合はマウステープだけで改善を図るのではなく、必ず医師の判断を仰いでください[7]。必要に応じて顎を支えるチンストラップなど他の補助具も検討します[17]。
  • 睡眠時の姿勢工夫: 寝るときの姿勢を変えるだけでも口呼吸の改善や無呼吸の軽減に役立つ場合があります。仰向けに寝ると舌が喉の奥に沈下しやすく気道が塞がりやすいため、横向きで寝るようにしてみましょう[18]。難しければ、枕やベッドマットで上半身を少し高くして寝るだけでも気道の開通が促され、鼻呼吸がしやすくなることがあります[18]。実際、頭を15〜30度ほど高くした状態で仰向け寝すると気道が確保されやすくなり、鼻で呼吸しやすいとの報告があります[18]。
  • 生活習慣の改善: 根本的な対策として、適正体重の維持も重要です。肥満は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の大きな要因であり、首まわりや喉に脂肪がつくと気道が狭くなります[19]。減量によって喉の圧迫が減り、呼吸が改善することが期待できます。研究によれば、体重を10%減らすと無呼吸の程度(AHI)が約25%改善したとの報告があり[19]、1kgの減量ごとにAHIが平均0.78ポイント低下したとのデータもあります[19]。適度な運動とバランスの良い食事による減量は睡眠時無呼吸症候群(SAS)改善のみならず生活習慣病予防の面からも望ましいでしょう。また、就寝前の過度の飲酒や睡眠薬の乱用は筋肉を弛緩させて気道を塞ぎやすくし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を悪化させる原因となります[20]。アルコールはできるだけ控え、睡眠薬の使用も医師と相談しながら最低限に留めることが推奨されます[20]。さらに、寝室の乾燥を防ぐため加湿器を使ったり、花粉症の時期は空気清浄機を用いて鼻炎症状を悪化させない環境作りをすることも口呼吸対策になります[21]。

 

これらの対策を講じることで、口呼吸による悪循環を断ち切り、睡眠の質や睡眠時無呼吸症候群の症状改善が期待できます。

ただし、症状の程度によっては専門的な治療が必要な場合もあります。次章では、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合の受診について説明します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

口呼吸の改善に努めても日中の強い眠気が続く寝ても疲労感が取れないいびきが非常に大きい、あるいは睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたなどの場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症している可能性があります。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は自己判断せず、早めに専門医に相談することが大切です。放置すると先述のように高血圧や心血管疾患のリスクが高まる恐れがあるため[6]、心当たりのある方は病院で睡眠検査を受けることを検討してください。

 

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SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

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症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献(出典):

[1] Young T, et al. The occurrence of sleep-disordered breathing among middle-aged adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-5.

[2] Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep. 1991;14(6):540-5.

[3] Bixler EO, et al. Prevalence of Sleep-Disordered Breathing in Women: Effects of Gender. Am J Respir Crit Care Med. 2001;163(3 Pt 1):608-613.

[4] Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.

[5] Nakayama-Ashida Y, et al. Sleep-disordered breathing in the usual lifestyle setting as detected with home monitoring in a population of working men in Japan. Sleep. 2008;31(3):419-425.

[6] Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-84.

[7] Huang CC, et al. The Impact of Mouth-Taping in Mouth-Breathers with Mild Obstructive Sleep Apnea: A Preliminary Study. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(19):12487.

[8] Koutsourelakis I, et al. Obstructive sleep apnoea and oral breathing in patients free of nasal obstruction. Eur Respir J. 2006;28(6):1222-1228.

[9] Nascimento DL, et al. Association between periodontitis and cognitive impairment in adults: a systematic review. Front Neurol. 2019;10:323.

[10] Onerci TM, et al. Influence of the Nasal Valve on the Nasal Airway Resistance. J Craniofac Surg. 2020;31(6):1693-1696.

[11] Guilleminault C, et al. The impact of active and passive smoking on sleep quality. Sleep Med. 2012;13(9):1042-1046.

[12] Linder-Aronson S. Respiratory function in relation to facial morphology and the dentition. Br J Orthod. 1979;6(2):59-71.

[13] Trenchea M, et al. Oral consequences of sleep apnea syndrome. Acta Med Mediterr. 2016;32:1381-1384.

[14] Borel JC, et al. Characteristics of non-apneic snoring without excessive daytime sleepiness and their relationship with upper airway dilator activity. Sleep Breath. 2018;22(3):827-834.

[15] Bachour A, et al. Mouth breathing compromises adherence to nasal continuous positive airway pressure therapy. Chest. 2004;126(4):1248-1254.

[16] Friedman M, et al. Effect of improved nasal breathing on obstructive sleep apnea. Otolaryngol Head Neck Surg. 2000;122(1):71-74.

[17] Bhat S, et al. The efficacy of a chinstrap in treating sleep disordered breathing and snoring. J Clin Sleep Med. 2014;10(8):887-892.

[18] Joosten SA, et al. The effect of body position on physiological factors that contribute to obstructive sleep apnea. Sleep. 2015;38(9):1469-1478.

[19] St-Onge MP & Tasali E. Weight Loss Is Integral to Obstructive Sleep Apnea Management: Ten-Year Follow-up in Sleep AHEAD. Ann Am Thorac Soc. 2021;18(1):13-15.

[20] Kolla BP, et al. The influence of alcohol on breathing and the upper airway in sleep. Sleep Med Clin. 2020;15(2):233-239.

[21] Rappai M, et al. The nose and sleep-disordered breathing: what we know and what we do not know. Chest. 2003;124(6):2309-2323.

[22] Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.

 

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