
睡眠時無呼吸症候群の検査は自宅の簡易検査キットでスクリーニング可能
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、自宅で使える簡易検査キットによってスクリーニング(ふるい分け)が可能です。
病院に泊まって行う従来の精密検査(終夜睡眠ポリグラフ:PSG)だけでなく、自宅での簡易検査でもある程度の診断がつくことがわかっており、中等度~重症のSASが疑われる場合には自宅での検査で診断をつけて治療を開始できるとガイドラインでも推奨されています[1][2]。
自宅でリラックスした環境のまま検査できるメリットは大きく、普段に近い睡眠状態を記録できるため「いつも通りのいびきや無呼吸の状況」を捉えやすい利点があります。
また、夜間に医療機関へ出向く必要がないため時間的・身体的負担が少ないのも長所です。
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オンライン診療で自宅検査→診断→治療まで完結できる理由

さらに、オンライン診療(遠隔診療)を活用することで、自宅での検査から診断確定、その後の治療開始に至るまで一貫して自宅で完結させることも可能になっています。
近年の研究でも、疑われる患者さんに対して自宅での睡眠検査と在宅での治療管理を行うアプローチは、従来の入院中心のアプローチに比べて診療上遜色なく、待ち時間や医療コストを大幅に削減できたと報告されています[3][4]。
オンライン診療ではビデオ通話などで医師と相談しながら検査キットを送り、自宅で測定し、そのデータをもとに診断・治療方針を決定できます。
このように自宅にいながら専門医の診断と適切な治療につなげられることは大きなメリットであり、忙しくて通院が難しい方や遠方の方でもSASの検査・治療を受けやすくなっています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法|自宅の簡易検査と精密検査(PSG)の違い

SASが疑われる場合の検査方法には、大きく分けて自宅で手軽に行える簡易検査と、病院などで一晩かけて行う精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG)の2種類があります[5]。
簡易検査と精密検査では測定する項目(センサーの数や種類)が異なり、それぞれ得られる情報の詳細さに違いがあります。
自宅で行うSAS簡易検査キットの計測項目
まず、自宅で行うSAS簡易検査キットでは主に以下のような生体情報を測定します。
呼吸の気流(鼻や口からの空気の流れ)[6]
鼻に装着するカニューラや呼吸センサーで、無呼吸や低呼吸が起きているかを検知します。
呼吸努力(胸やお腹の動き)[6]
胸部や腹部に巻くバンド型のセンサーで、呼吸しようとする動きを捉えます。
無呼吸時には気流が止まっても努力は続いている(閉塞性)かどうかがわかります。
血中酸素飽和度(SpO2)[6]
指先などに装着するパルスオキシメーターで、睡眠中の血中酸素濃度の変化を記録します。
無呼吸・低呼吸によって酸素がどの程度低下するかを測定します。
脈拍数やいびき音
機種によっては脈拍もパルスオキシメーターで同時計測され、いびき音をマイクで拾うものもあります[7]。
いびきは気道狭窄の指標となり、無呼吸エピソードと併せて評価されます。
医療機関で実施する終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)の計測項目
一方、医療機関で行う精密検査(PSG)では、簡易検査の項目に加えてより多くの生体情報を同時記録します。
具体的には脳波(EEG)を測定して睡眠の深さや段階を把握し、眼球運動(EOG)やあごの筋電図(EMG)も付けて睡眠ステージを詳しく解析します[8]。
さらに心電図による心拍リズム、脚に電極を付けて足の動き(不随意運動の有無)も記録されます[8]。
鼻と口の気流センサー(温度センサーや鼻圧カニューラ)、胸腹部の呼吸ベルト、酸素飽和度センサーといった呼吸関連の測定もフル装備で行い[9]、これらすべてのデータを総合して無呼吸の発生と睡眠への影響を詳細に評価できるのがPSGの特徴です。
簡易検査と精密検査の最大の違いは、測定項目の数と詳細さです。
自宅簡易検査は限られた項目でSASの有無と大まかな重症度を判断するためのスクリーニングであり、脳波や睡眠段階の情報は得られません[10]。
そのため「無呼吸の有無や頻度(回数)」はわかっても、「実際に睡眠中何分間無呼吸だったか」「深い睡眠が減っているか」など睡眠そのものの質の評価はPSGほど詳しくはできません[10]。
一方PSGは詳細ですが、一晩入院が必要で機器装着も煩雑になるため被検査者の負担は大きくなります。
自宅検査が向く人/精密検査が必要な人の目安
目安としては、明らかな合併症がなく、症状や問診からSASの可能性が高い中等度以上と考えられる場合はまず自宅での簡易検査で十分とされています[11]。
実際、米国睡眠医学会のガイドラインでも「重症度の高いOSA(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)が疑われ、他に重篤な併存疾患がない成人では、PSGの代わりに自宅の携帯モニター検査で診断を行ってよい」と強く推奨されています[11]。
一方で、心不全や慢性肺疾患などの持病が重い方、神経筋疾患で呼吸機能が低下している方、睡眠中の低換気症が疑われる方、あるいは睡眠中の異常行動や過度の不眠など他の睡眠障害も鑑別が必要な方では、初めから精密検査(PSG)を行うことが推奨されます[2]。
こうした場合は自宅簡易検査だけでは正確な診断が難しいためです。
また自宅検査を行ったものの結果が陰性(異常なし)だった場合でも、症状が強ければPSGによる再評価が望まれます[12][13]。
自宅検査は簡便な反面、軽症例では見落とし(偽陰性)もあり得るため、「SASの可能性が高いのに簡易検査で異常なし」のケースでは念のため精密検査を受けることが大切です。
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睡眠時無呼吸症候群の自宅検査キット|中身・使い方・測定指標

検査キットの同梱物
自宅で使用するSAS簡易検査キットの典型的な構成は、コンパクトな記録装置と各種センサー類です。
この装置一式が検査キットとして医療機関から貸し出され、自宅で就寝前に自分で装着します。
一般的な同梱物としては、鼻に装着するチューブ(鼻カニューレ)、胸部に巻くバンド(呼吸センサー)、指につけるパルスオキシメーター、そしてそれらを繋ぐ小型の記録計本体などがあります。
機種によっては体位(姿勢)センサーやいびき用マイクが付属するものもあります。
装着方法は通常、イラスト付きの手順書や動画などでわかりやすく解説されています[14]。
初めてでも比較的簡単に装着できますが、不明点があれば提供元や医療機関に問い合わせて確認しましょう。
使い方のポイントは、「普段どおりに眠ること」です[15]。
緊張して無理に寝ようとしたり、いつもと違う状況で寝付けなくなったりすると本来の睡眠状態が記録できません。
途中で目が覚めてトイレに起きてもセンサー類はつけ直さずそのままで大丈夫です[15]。
普段通りリラックスして就寝し、一晩測定することが重要になります。
AHI/ODIなど睡眠時無呼吸症候群の指標を自宅で測るポイント
自宅検査キットで測定される主な指標には、AHIとODIがあります。
AHI(無呼吸低呼吸指数:Apnea Hypopnea Index)とは、睡眠1時間あたりに発生する無呼吸と低呼吸の合計回数を示す指標です[16]。
無呼吸は「10秒以上の呼吸停止」、低呼吸は「呼吸の深さが通常の50%以上低下し、酸素飽和度が3%以上低下するか脳波上の覚醒を伴うもの」と定義されます[16]。
AHIはSASの診断と重症度評価で最も重要な数値であり、この値が高いほどSASの程度が重いことを意味します[17]。
国際基準ではAHI 5以上でSASの疑いがあり、5~15が軽症、15~30が中等症、30以上が重症と分類されます[18]。
例えばAHIが30を超える重症SASでは、夜間に頻繁に無呼吸状態となり酸素低下や睡眠の分断が起きているため、日中の強い眠気や心血管リスクの上昇などが懸念されます[19]。
一方、AHIが5未満であれば無呼吸症候群としては正常範囲ですが、症状が強ければ他疾患も含め検討が必要です[20]。
ODI(酸素飽和度低下指数:Oxygen Desaturation Index)は、睡眠中に酸素飽和度が一定以上低下した回数を1時間あたりに換算した指標です。
例えば「3%ODI」は酸素飽和度が3%以上低下した事象の頻度を意味します。
ODIはパルスオキシメーターだけでも算出できるため、簡易検査でしばしば用いられます。
ODIが高い(酸素低下の頻発)場合、無呼吸や低呼吸がたびたび起きている可能性が高く、AHIとも相関します。
実際、日本人を対象とした研究では終夜のパルスオキシメーター測定によるスクリーニングがSAS診断に有用であることが示されています[21][22]。
簡易検査でAHIを直接計測できない場合でも、ODIが基準以上であればSASの疑いが強まるため、さらなる精密検査につなげる判断材料となります[23]。
なお、自宅検査キットの解析結果には最低酸素飽和度なども含まれ、これも重症度評価の参考になります[24]。
例えば重症SASでは最低SpO2が80%未満に落ちる例もあり、低酸素状態の程度が深刻です[25]。
睡眠時無呼吸症候群の検査費用と保険適用|自宅検査・精密検査の目安

費用の心配は、検査をためらう大きな要因かもしれません。
しかし睡眠時無呼吸症候群の検査・治療は多くの場合公的医療保険が適用されます[26][27]。
健康保険が適用されれば費用の7割が保険負担となり、自己負担は通常3割(年齢や所得により1~3割)です[28]。
例えば検査の総費用が1万円なら自己負担は3千円程度で済む計算です[29]。
大事な点は、保険適用を受けるには必ず医師の診療を介して検査を行う必要があることです。
医療機関を通さず市販の簡易検査キットを購入して自己判断で行った場合や、通販などで検査サービスを利用した場合、保険が利かず全額自己負担になりますので注意しましょう。
自宅の簡易検査キットの費用と保険適用の考え方
自宅で行う簡易検査キットの費用は、医療機関やキットの種類によって多少異なりますが、概ね数千円程度(自己負担分)が目安です[30]。
具体的には3割負担の場合で3,000円前後から、機関によっては5,000円程度まで幅があります[31]。
精密検査(PSG)の費用と自己負担の目安
一方、精密検査(PSG)の費用は簡易検査より高く、入院の有無で変わりますが自己負担で1万円台~2万円程度が一般的です[30]。
あるクリニックの例では、保険適用(3割)で簡易検査:約3,000円、PSG検査:約10,000~12,000円となっています[30]。
ただしPSGの場合、病院に一泊入院する形で検査を行うと室料等も含め自己負担で4~6万円程度かかるケースもあります[32]。
近年は自宅で検査可能なPSG装置「在宅PSG検査」を提供する施設もあり、この場合は入院より費用が抑えられます(自己負担で1.2万円程度[32])。
費用については各医療機関で異なるため、受診前に問い合わせれば概算を教えてもらえます。
また初診料やオンライン診療手数料、検査機器の郵送代などが別途かかる場合もあるので確認しましょう[33]。
CPAP保険適用につながる重症度の概念
CPAP治療の保険適用基準についても知っておきたいポイントです。
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)はSASの標準治療ですが、日本では一定以上の重症度(AHIの基準)を満たした場合に保険適用となります。
具体的には精密検査(PSG)でAHIが20以上の場合にCPAP療法の保険適用対象とされています[34]。
簡易検査のみで診断した場合は厳しめの基準が適用され、簡易検査のAHIが40以上であればPSGを経ずにCPAP導入が保険適用で認められることがあります[35]。
逆に言えば、AHIがそれより低い軽症~中等症(例えばAHI 10や15程度)の場合、保険診療下で直ちにCPAPを始めることはできず、まずは生活改善や他の治療を検討することになります[36]。
なお、このAHI≧20という基準はあくまで保険適用上の条件であり、医学的にはAHI15以上でも日中の眠気など症状が強ければCPAP適応になる場合があります[37]。
しかし日本の保険制度では財政上の観点から原則AHI20以上にラインが引かれているため、AHIが20未満の軽症SASではCPAP以外の治療(体重減少や口腔内装置など)で経過を見るのが一般的です[38]。
CPAP機器は基本的に医療機関を介してレンタルされ、保険適用でのレンタル料は月額5千~1万円程度(自己負担はその3割で1500~3000円程度)が目安です[39]。
CPAP治療中は原則として月1回の定期受診が必要ですが、使用状況が安定すれば2~3か月ごとの診察に延長できる制度もあります[40]。
定期受診時にはCPAPの使用データがチェックされ、適切に使えていれば治療継続となります。
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オンライン診療で進める睡眠時無呼吸症候群の自宅検査の流れ

睡眠時無呼吸症候群かもしれない…と思ったら、オンライン診療を利用して自宅で検査を受けることができます。
オンライン診療対応のクリニックでは、以下のような流れで自宅検査から治療まで進めるのが一般的です。
オンライン初診・問診
スマートフォンやパソコンを使って予約を取り、ビデオ通話で医師の診察を受けます。
医師は症状や生活習慣について詳しく問診し、SASが疑われるか評価します。
「いびきがひどいと指摘された」「日中に耐え難い眠気がある」「起床時に頭痛がする」といった症状があれば遠慮なく伝えましょう。
問診の結果、必要と判断されれば自宅での簡易検査キットによる検査の説明に進みます。
検査キットの受け取り・装着説明
医療機関から自宅検査キットが郵送等で手元に届きます。
キットには装着方法の説明書や注意事項が同封されています。
不安な点は事前によく確認し、正しくセンサーを装着できるようにしましょう。
機器の電源の入れ方、記録の開始操作なども指示に従います。
自宅で一晩計測→機器返送
指定された夜に普段通り就寝しながら検査を行います。
先述のようにリラックスして寝ることが大切です。翌朝、センサーと本体を外し、記録がきちんと保存されていることを確認します。
多くの機器は自動で記録が終了しますが、不安なら医療機関に連絡して指示を仰いでもよいでしょう。
記録が終わったら、キット一式を所定の方法で返送します(同封の返送用箱や伝票が用意されていることがほとんどです)。
最近では機器によって記録データをインターネット経由で送信できるものもあります。
そうした場合、物を返送せずデータ送信のみで解析に回せるため一層手間が減ります。
解析・結果説明と治療方針の提案
返送された機器や送信データは専門の技師・医師によって解析されます。
数日~1週間程度で検査結果がまとまり、再度オンラインで診察を行い医師から結果説明を受けます。
ここでSASと診断された場合は重症度(AHIや低酸素の程度)に応じて治療方針が提案されます[41]。
例えばAHIが軽度であれば生活習慣の改善や口腔内装置の検討、中等度以上で症状が強ければCPAP療法の導入など、患者さんと相談しながら決定します[42]。
オンライン診療でも医師が画像や資料を画面共有してくれるため、対面と同様に結果を見ながら説明を聞くことができます。
「AHIは◯◯回/時で中等症です」「一晩で最低酸素飽和度は△△%まで下がっていました」など具体的な数値も教えてもらえます。
疑問点があればこの場で遠慮なく質問しましょう。
必要時は精密検査(PSG)やCPAP治療へ移行
簡易検査の結果次第では、追加の精密検査や治療への移行が行われます。
例えば簡易検査でAHIが極めて高値(重症)だった場合は、診断を省略してそのままCPAP治療を開始する選択肢も提示されることがあります。
一方、結果が軽症だけれど症状が強い場合や簡易検査では無呼吸が十分記録されなかった場合には、確定診断のため終夜PSG検査を別途手配する流れになります[43]。
オンライン診療対応のクリニックでも、提携する睡眠医療センターや入院設備のある病院を紹介してくれるので安心です。
CPAP治療が必要となった場合は、CPAP機器のレンタル手続きや使い方説明もオンラインで受けられることがあります。
CPAP機器には通信機能があり、使用データを医療機関に送信できるモデルが一般的です。
そのためオンライン下でも医師がCPAPの使用状況(毎晩どのくらい使用できたか、無呼吸はしっかり抑制できているか)をモニタリングできるようになっています。
機器の装着トレーニングが不安な方は、一度対面でマスクフィッティングを行うケースもありますが、遠方の場合は郵送されたマスクを自分で試し、フィットしなければ交換するといった対応も可能です。
検査後の対応|自宅検査の結果に応じた治療の選択肢

軽症〜中等症:生活指導・体位療法・口腔内装置の検討
自宅検査の結果、SASと診断された場合、その重症度に合わせて最適な治療法を選択します[41]。
軽症~中等症(AHIが5以上30未満程度)であれば、まずは生活習慣の改善を基礎とした対応を行います[42]。
具体的には減量(肥満があれば体重を減らす)、寝酒を控える、十分な睡眠時間を確保するといった指導が基本です。
特に肥満はSASの大きな原因であり、適正体重まで減量できればAHIが大幅に改善する可能性があります。
また、睡眠時の姿勢を工夫する体位療法も有効です。
仰向けに寝ると舌根が喉に沈下して気道を塞ぎやすくなるため、横向きで寝る習慣をつけたり、抱き枕や体位矯正用のグッズを使って出来るだけ仰向けにならない工夫をします。
軽症の方ではこれだけで症状が軽減することもあります。
加えて、歯科的アプローチとして口腔内装置(スリープスプリント)の使用を検討します[44]。
これは下顎を前方に固定するマウスピースで、寝ている間に喉の気道が狭くならないよう保つ効果があります。
AHIが軽度~中等度で、日中の眠気など症状が問題となっている場合や、CPAPほどの積極的治療は必要ないと判断される場合にマウスピース療法が選択肢となります[44]。
実際、ガイドラインでも「CPAP適応とならない軽症~中等症例、あるいはCPAPが使用できない症例には口腔内装置を提案する」とされています[44]。
マウスピース療法は専門の歯科で歯型を取り作製します。
使用にあたって多少の違和感や歯の移動などの副作用がありますが、多くの患者でいびきの改善やQOL向上が期待できる治療法です[45]。
中等症〜重症:CPAP治療導入の流れ(オンライン説明・遠隔フォロー)
AHIが中等症~重症(概ね15~30以上)の場合や、症状が顕著な場合はCPAP療法の導入が第一選択となることが一般的です[46]。
CPAP療法では就寝時に鼻マスクまたは鼻口マスクを装着し、気道に空気を送り込んで気道閉塞を防ぎます[47]。
無呼吸や低呼吸が即座に解消されるため、重症SAS患者ではCPAP使用当初から睡眠の質が改善し、日中の眠気が劇的に軽減するケースも多いです[48]。
オンライン診療の場合でも、CPAP導入時の使い方説明をリモートで実施し、使用開始後は毎日の使用データを遠隔モニタリングしてフォローアップします。
使用中に困ったことがあればオンラインで相談し、例えば「マスクから空気が漏れる」「鼻が乾燥してつらい」などの問題に対処します。
適切な湿度設定やマスクサイズ変更のアドバイスも受けられ、必要に応じて部品交換も郵送で対応可能です。
遠隔フォローによりCPAPの継続使用率(アドヒアランス)も向上することが報告されており[49]、オンラインを活用したきめ細かな支援が治療成功のカギとなります。
なお、CPAPやマウスピース以外にも、肥満が著しい場合は減量手術(スリーブ状胃切除術)や、鼻・喉の構造的問題がある場合は耳鼻咽喉科的手術(扁桃摘出や鼻中隔矯正など)を検討することもあります[50][51]。
ただし手術は効果の予測が難しく、侵襲もあるため慎重に判断されます。
まずは非侵襲的な治療(CPAPや装置など)で効果を見て、十分な効果が得られない場合の最後の手段として検討されます[51]。
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自宅での睡眠時無呼吸症候群 検査が向いている人/向かない人

忙しい・遠方など自宅検査が向くケース
自宅でのSAS検査が向いているケースとしては、仕事や育児が忙しく入院検査の時間を取りにくい人や、遠方に住んでいて専門医療機関への通院が困難な人が挙げられます。
こうした方々にとって、自宅で完結できる検査は大きな利便性となります。また、典型的な閉塞性SASが疑われる人(大きないびき・肥満体型・日中の強い眠気など)のスクリーニング検査としても自宅検査は適しています[11]。
症状やリスクから中等度以上のOSAの可能性が高い場合、まず簡易検査で確認し、その結果に基づいて早めに治療介入することで、重症化を防ぎ日中の生活の質を早期に改善できます。
特に、トラックやバスの運転手など公共の安全に関わる職業の方は早期発見・治療が重要なため、自宅で手軽に受けられる簡易検査は有用です。
合併症や他の睡眠障害が疑われ精密検査が必要なケース
一方、自宅検査が向かない(精密検査が必要な)ケースもあります。重い合併症を抱えている方や他の睡眠障害の併存が疑われる方は、自宅検査だけでは不十分です。
具体的には、重度の心不全や慢性肺疾患をお持ちの方、脳卒中の既往がある方などは、呼吸状態が複雑で簡易機器では正確な判定が難しいことがあります[2]。
また、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の疑いがある場合も、簡易検査では無呼吸が閉塞性か中枢性かの判別が難しいため適切でありません[11]。
CSAは心不全や脳疾患に伴って生じることが多く、診断には脳波や呼吸パターンの詳細な解析が必要です。
同様に、重度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)や神経筋疾患による睡眠低換気が疑われる場合もPSGでの詳細評価が望ましいです[2]。
さらに、睡眠時無呼吸以外の症状(睡眠中の異常行動、極度の不眠、日中の極端な疲労感など)がある場合は、無呼吸だけでなく他の睡眠障害(例えば周期性四肢運動症やREM睡眠行動障害、ナルコレプシー等)の評価も必要になるため、包括的に調べられるPSGが適しています。
まとめると、「典型的なOSAが疑われ、合併症も特になさそう」という場合は自宅検査が第一選択になりますが、「病態が複雑または別の要素も絡んでいそう」な場合には初めから精密検査を検討する、と覚えておくとよいでしょう[2]。
睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

いびきや日中の眠気などから「もしかして睡眠時無呼吸症候群かも?」と思ったら、まずは専門医に相談してみることが大切です。
当院森下駅前クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群が疑われる患者様に向けてオンライン診療を実施しています。
来院不要で医師の診察(ビデオ通話)を受け、自宅で簡易検査を行い、結果説明から治療開始(CPAP機器の送付・使用指導)まで一貫して対応可能です。
忙しくて通院の時間が取れない方でも安心してご利用いただけます。
睡眠時無呼吸症候群かな?と感じたら、お気軽にご相談ください。
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合併症
症状
原因
傾向
疑い
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https://ohisama-ikasika.com/ohisama_note/cpap-insurance/
[37] CPAPの適応はAHI 5以上!? | 奏の杜耳鼻咽喉科千葉いびき・無呼吸 …
[49] Leveraging Telehealth to improve access to care: a qualitative …
https://bmchealthservres.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12913-021-06080-5
日付: 2025年11月4日 カテゴリ:セルフチェック and tagged SAS, 検査, 睡眠時無呼吸症候群, 自宅


























































