睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどんな病気か:原因から治療まで完全ガイド

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?どんな病気かやさしく解説

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。

この呼吸停止(無呼吸)が一晩に何十回、時には何百回も繰り返されることがあります[1]。

 

無呼吸が10秒以上続き、それが1時間あたり5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上発生する場合に診断されます[2]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)には主に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)」の2種類があります。

 

日本では成人の約3〜7%がOSASを持つと推定されており、特に中高年の男性に多く見られます[3]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんは質の良い睡眠が得られないため、日中の強い眠気や疲労感を感じ、集中力低下や記憶力の問題を抱えることがあります。

 

長期間放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などの深刻な健康問題のリスクが高まります[4]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

症状チェック|こんな症状がある人は要注意

睡眠時無呼吸症候群には特徴的な症状があります。

ご自身やご家族に以下の症状が見られる場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を考慮する必要があります:

  • 夜間の症状
    • いびきが大きく、時々途切れる[5]
    • 睡眠中に呼吸が止まる(家族に指摘されることが多い)
    • 息苦しさで目が覚める
    • 夜間の頻尿
    • 寝汗がひどい
  • 日中の症状
    • 起床時の頭痛
    • 日中の過度な眠気[6]
    • 集中力や記憶力の低下
    • イライラや抑うつ感
    • 疲労感が取れない

特に、大きないびきと日中の強い眠気の組み合わせは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要な警告サインです[7]。

また、肥満(BMI 25以上)、首が太い、顎が小さいなどの身体的特徴がある方も注意が必要です。

 

当院では、詳細な症状評価のためのESS(エプワース眠気尺度)質問票を用いた評価も行っています。

睡眠に関する不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状をわかりやすく解説!自分でできる症状チェックリスト付き

睡眠時無呼吸症候群が日中に及ぼす影響とは?原因から治療まで徹底解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因と病気の種類

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)

OSASは最も一般的なタイプで、睡眠中に上気道(喉の奥)が物理的に狭くなったり塞がったりすることで発生します[8]。

 

主な原因と危険因子には:

  • 解剖学的要因:扁桃肥大、小顎症、舌が大きい、口蓋垂が長い
  • 肥満:特に内臓脂肪型肥満[9]
  • 加齢:筋肉の緊張低下により上気道が閉塞しやすくなる
  • 生活習慣:アルコール摂取、睡眠薬の使用、喫煙
  • 遺伝的要因:家族歴が関連する場合もある

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)

CSASは比較的まれで、脳から呼吸筋への信号伝達の問題によって生じます[10]。

 

主な原因には:

  • 心不全などの心臓疾患
  • 脳卒中後遺症
  • 脳幹の障害
  • 特定の薬物(オピオイド系鎮痛薬など)の使用

複合性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性と中枢性の特徴を併せ持つタイプもあります。

特に、CPAP治療を開始した後に中枢性の要素が顕在化することがあります[11]。

 

放置はNG!関連する病気とリスク

睡眠時無呼吸症候群を放置することは、様々な健康リスクを高めます。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)により引き起こされる慢性的な低酸素状態と睡眠の質の低下は、以下のような合併症のリスクを増大させます:

循環器系への影響

  • 高血圧:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の約50%に高血圧が見られます[12]
  • 心不全:無呼吸による低酸素状態が心臓に負担をかけます
  • 不整脈:特に心房細動のリスクが2〜4倍に増加[13]
  • 冠動脈疾患:心筋梗塞のリスクが増加

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧になりやすい?合併症やリスク、患者の特徴、治療方法を解説

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心不全の関係とは?早期治療が命を救う理由

 

代謝系への影響

  • 2型糖尿病:インスリン抵抗性の悪化[14]
  • 脂質異常症:コレステロール値の上昇
  • メタボリックシンドローム:睡眠時無呼吸症候群(SAS)との強い関連性が示されています

神経系への影響

  • 脳卒中:中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者では脳卒中リスクが2〜3倍[15]
  • 認知機能低下:記憶力や判断力の低下
  • うつ病や不安障害:精神的健康への悪影響

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化すると死亡する?原因や生存率・寿命について解説

 

日常生活への影響

  • 交通事故:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の交通事故リスクは2〜7倍[16]
  • 仕事の生産性低下:集中力や判断力の低下による
  • 生活の質の全般的な低下

これらのリスクは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度と相関しており、適切な治療によって多くの合併症を予防または改善することができます[17]。

早期発見・早期治療が非常に重要です。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化したときの症状と日常生活への影響

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の調べ方・検査方法

睡眠時無呼吸症候群の診断には、段階的なアプローチが取られます:

初期評価

  • 問診:睡眠の質、日中の眠気、いびきなどの症状について詳しくお聞きします
  • 身体検査:BMI、血圧、上気道の評価など
  • 質問票評価:エプワース眠気尺度(Epworth sleepiness Scale:ESS)などを用いた自覚症状の評価[18]

睡眠検査

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断には睡眠検査が必要です。主に以下の2種類があります:

  1. 簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
    • 自宅で行える検査
    • 酸素飽和度、気流、呼吸運動、体位、脈拍などを測定
    • 最初のスクリーニングとして広く使用されています[19]
  2. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    • 専門施設で一晩かけて行う精密検査 ※※自宅検査可能な機器もあり。
    • 脳波、眼球運動、筋電図なども含めた詳細な評価が可能
    • 重症例や診断が難しい場合に実施[20]

検査で評価される主な指標

  • 無呼吸低呼吸指数(AHI):1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数
    • 軽症:5 ≤ AHI < 15
    • 中等症:15 ≤ AHI < 30
    • 重症:AHI ≥ 30 [21]
  • 酸素飽和度低下指数(ODI):1時間あたり酸素飽和度が3%以上低下する回数
  • 最低酸素飽和度:睡眠中の最も低い酸素飽和度

当院では、症状や状況に応じて適切な検査をご案内しています。

簡易検査は自宅で手軽に行えるため、まずはこちらからスタートすることが多いです。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査について解説!少しでも疑ったらまずは検査から!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法 | 改善するための治し方・対処法

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法|保険適用も可能

睡眠時無呼吸症候群の治療には、重症度や原因に応じていくつかのアプローチがあります。

 

多くの治療法は健康保険が適用されます。

生活習慣の改善

  • 減量:肥満がある場合、体重の5-10%減量でもAHIが20-50%改善することがあります[22]
  • 睡眠姿勢の工夫:側臥位での睡眠を促す方法(体位療法)
  • アルコール・睡眠薬の制限:就寝前の摂取を控える
  • 禁煙:喫煙は上気道の炎症を悪化させます

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はダイエットで治る・改善する?減量の目安や効果的なダイエット方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)におすすめの寝方を紹介!ちょっとしたことでさらに効果を高める工夫も!

 

持続陽圧呼吸療法(CPAP)

CPAPは中等症から重症のOSASに対する第一選択治療です。

マスクを通じて気道に適切な圧力の空気を送り、気道の閉塞を防ぎます[23]。

 

  • 効果:適切に使用すれば、ほぼ全ての無呼吸・低呼吸を解消
  • 保険適用:終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)でAHI 20以上(簡易PSG検査では40以上)、または日中の強い眠気や合併症がある場合はAHI 5以上で保険適用
  • 治療管理:定期的な通院と機器データの確認が必要

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群のCPAP(シーパップ)治療とは?

 

口腔内装置(マウスピース)

軽症から中等症のOSAS、またはCPAPに不耐性の方に適しています。

 

  • 作用機序:下顎を前方に固定し、気道空間を確保
  • 効果:AHIを平均50%程度改善[24]
  • 保険適用:歯科医院での製作・調整に保険が適用されます

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療を解説!

 

手術療法

解剖学的異常が明らかな場合に考慮されます。

 

  • 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術:軟口蓋や口蓋垂の過剰組織を切除
  • 扁桃摘出術:扁桃肥大がある場合
  • 上下顎前方移動術:顎の形態異常が主因の場合[25]

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群は手術するべき?手術の種類や費用、リスク、おすすめの治療法をやさしく解説

 

その他の治療法

  • 舌下神経刺激療法:特殊な埋め込み装置で舌の筋肉を刺激
  • 中枢性睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療:原疾患(心不全など)の治療や適応性サーボ換気療法

 

治療法の選択は、症状の重症度、検査結果、患者さんの希望や生活状況などを総合的に考慮して行います。

当院では一人ひとりに合った最適な治療プランをご提案しています。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法 | 改善するための治し方・対処法

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が重要です。

この記事でご紹介したような症状—大きないびき、日中の強い眠気、睡眠中の呼吸停止—が心当たりある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

 

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

 

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.

[2] AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events: Rules, Terminology and Technical Specifications, Version 2.6. American Academy of Sleep Medicine, 2020.

[3] Chin K, et al. Prevalence of sleep-disordered breathing in Japanese patients with obesity. Respirology. 2018;23(6):579-586.

[4] Javaheri S, et al. Sleep Apnea: Types, Mechanisms, and Clinical Cardiovascular Consequences. J Am Coll Cardiol. 2017;69(7):841-858.

[5] Young T, et al. The occurrence of sleep-disordered breathing among middle-aged adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-1235.

[6] Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep. 1991;14(6):540-545.

[7] Nagappa M, et al. Validation of the STOP-Bang Questionnaire as a Screening Tool for Obstructive Sleep Apnea among Different Populations: A Systematic Review and Meta-Analysis. PLoS One. 2015;10(12):e0143697.

[8] Eckert DJ, et al. Pathophysiology of Adult Obstructive Sleep Apnea. Proc Am Thorac Soc. 2008;5(2):144-153.

[9] Romero-Corral A, et al. Interactions between obesity and obstructive sleep apnea: implications for treatment. Chest. 2010;137(3):711-719.

[10] Eckert DJ, et al. Central sleep apnea: Pathophysiology and treatment. Chest. 2007;131(2):595-607.

[11] Javaheri S, et al. Central Sleep Apnea. Compr Physiol. 2019;9(4):1022-1066.

[12] Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-1384.

[13] Gami AS, et al. Obstructive sleep apnea, obesity, and the risk of incident atrial fibrillation. J Am Coll Cardiol. 2007;49(5):565-571.

[14] Ip MS, et al. Obstructive sleep apnea is independently associated with insulin resistance. Am J Respir Crit Care Med. 2002;165(5):670-676.

[15] Yaggi HK, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. N Engl J Med. 2005;353(19):2034-2041.

[16] Tregear S, et al. Obstructive sleep apnea and risk of motor vehicle crash: systematic review and meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581.

[17] Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.

[18] Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.

[19] Collop NA, et al. Clinical guidelines for the use of unattended portable monitors in the diagnosis of obstructive sleep apnea in adult patients. J Clin Sleep Med. 2007;3(7):737-747.

[20] Berry RB, et al. The AASM Manual for the Scoring of Sleep and Associated Events: Rules, Terminology and Technical Specifications, Version 2.6. American Academy of Sleep Medicine, 2020.

[21] Sleep-related breathing disorders in adults: recommendations for syndrome definition and measurement techniques in clinical research. The Report of an American Academy of Sleep Medicine Task Force. Sleep. 1999;22(5):667-689.

[22] Anandam A, et al. Effects of dietary weight loss on obstructive sleep apnea: a meta-analysis. Sleep Breath. 2013;17(1):227-234.

[23] Patil SP, et al. Treatment of Adult Obstructive Sleep Apnea with Positive Airway Pressure: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2019;15(2):335-343.

[24] Ramar K, et al. Clinical Practice Guideline for the Treatment of Obstructive Sleep Apnea and Snoring with Oral Appliance Therapy: An Update for 2015. J Clin Sleep Med. 2015;11(7):773-827.

[25] Caples SM, et al. Surgical modifications of the upper airway for obstructive sleep apnea in adults: a systematic review and meta-analysis. Sleep. 2010;33(10):1396-1407.

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:症状 and tagged , ,

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の割合はどれくらい?年代・性別ごとの発症率と放置リスクを解説

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症割合はどれくらい?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、思われている以上に多くの方が抱える睡眠障害です。

世界的な調査によると、一般成人人口の約9-38%が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断基準を満たすとされています[1]。

 

日本においては、成人の約3-7%が閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を有すると推定されており、その多くが未診断のまま放置されています[2]。

 

特に注目すべきは、重症度によって分類すると、軽症(AHI 5-15)が最も多く、全体の約60-70%を占めるという点です。

中等症(AHI 15-30)は約20%、重症(AHI 30以上)は約10-15%と推定されています[3]。

 

日本人の特徴として、欧米人に比べて肥満度が低くても発症することが知られており、これは東アジア人に特有の顔面骨格(小さな下顎、上気道の解剖学的特徴)が関連していると考えられています[4]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

年代別・性別の割合と特徴

性別による差異

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は男性に多い疾患として知られています。

疫学調査によれば、成人男性の約10-17%、成人女性の約3-9%が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断基準を満たすとされています[5]。

 

この男女差は特に40-60歳の年齢層で顕著です。

 

男女差が生じる理由としては、以下のような要因が考えられています:

  • ホルモンの影響:女性ホルモンが上気道の筋緊張を保ち、閉塞を防ぐ効果がある[6]
  • 体脂肪分布の違い:男性は首周りや上気道周囲に脂肪がつきやすい[7]
  • 上気道の解剖学的差異:男性は気道が長く、閉塞しやすい構造がある[8]

 

しかし、女性は閉経後に睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症率が上昇する傾向があり、50歳以上では男女差が縮まることも報告されています[9]。

 

関連記事

女性にも多い睡眠時無呼吸症候群(SAS)|見逃されやすい症状と治療法をわかりやすく解説

 

年代別の特徴

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率は年齢によって大きく変動します:

  • 小児期(2-8歳):約1-5%。主に扁桃肥大や腺様増殖症が原因となることが多い[10]
  • 思春期〜若年成人(15-30歳):約2-3%。この年代では肥満との関連が強まる[11]
  • 中年期(30-60歳):約10-17%(男性)、3-9%(女性)。最も有病率が高い年代[12]
  • 高齢期(65歳以上):約20-30%。加齢に伴う筋力低下や体型変化が影響[13]

 

年齢が上がるにつれて睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率は上昇し、特に65歳以上の高齢者では、軽症を含めると3人に1人の割合で睡眠時無呼吸症候群(SAS)が見られるという研究結果もあります[14]。

 

関連記事

高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?症状・原因・治療法を徹底解説!

 

地域・人種による差異

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率には地域差や人種差も報告されています:

  • アジア人(日本人含む)は欧米人に比べてBMIが低くても発症しやすい[15]
  • アフリカ系アメリカ人は白人に比べて若い年齢で発症する傾向がある[16]
  • 先住民族(オーストラリア先住民、ニュージーランドマオリ族など)では有病率が特に高い[17]

 

関連記事

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどんな人がなるの?」傾向と特徴を徹底解説

痩せてるのに睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性あり?原因・リスク・治療法を徹底解説!

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置するとどうなる?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置することによる健康リスクは多岐にわたり、重症度や罹患期間に比例して深刻化します。

 

循環器系疾患リスクの上昇

  • 高血圧:未治療の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の約50%が高血圧を合併しており、特に夜間の「仮面高血圧」が特徴的です[18]。重症睡眠時無呼吸症候群(SAS)では治療抵抗性高血圧のリスクが2-3倍に上昇します[19]。
  • 心房細動:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は心房細動の発症リスクが2-4倍高く、特に60歳以上の患者で顕著です[20]。また、カテーテルアブレーション治療後の再発率も高いことが報告されています[21]。
  • 冠動脈疾患:中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、心筋梗塞のリスクが約2倍に上昇します[22]。無呼吸による低酸素血症と交感神経系の活性化が動脈硬化を促進すると考えられています。
  • 心不全:睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心不全は悪循環の関係にあり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の心不全発症リスクは2.6倍、すでに心不全がある患者の死亡リスクは2倍に上昇します[23]。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧になりやすい?合併症やリスク、患者の特徴、治療方法を解説

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心不全の関係とは?早期治療が命を救う理由

 

脳血管障害・認知機能への影響

  • 脳卒中:重症睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の脳卒中リスクは2-3倍高く、特に男性と65歳以上の高齢者で顕著です[24]。また、脳卒中後の睡眠時無呼吸症候群(SAS)合併は機能回復を遅らせることも報告されています[25]。
  • 認知機能低下:長期間の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は認知機能低下やアルツハイマー病のリスク増加と関連しています[26]。特に実行機能と記憶力への影響が大きく、治療により一部改善する可能性があります。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化すると死亡する?原因や生存率・寿命について解説

 

代謝系への影響

  • 2型糖尿病:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は糖尿病発症リスクが1.5-2倍高く、インスリン抵抗性が増加します[27]。さらに、既存の糖尿病患者では睡眠時無呼吸症候群(SAS)の合併により血糖コントロールが不良となりやすいです[28]。
  • 脂質異常症:睡眠時無呼吸症候群(SAS)は中性脂肪の上昇やHDLコレステロールの低下と関連しており、動脈硬化性疾患のリスクを高めます[29]。

日常生活への影響

  • 交通事故リスク:未治療の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の交通事故リスクは2-7倍に上昇するとされ、特に職業ドライバーでは重大な問題となります[30]。日本では2003年に発生した山陽新幹線の居眠り運転事故を機に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)スクリーニングの重要性が認識されるようになりました。
  • 労働生産性の低下:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は集中力や判断力の低下、記憶障害などにより、職場でのパフォーマンスが約30%低下するという報告があります[31]。
  • 生活の質の低下:日中の過度な眠気や疲労感、頭痛、気分障害などにより、全体的な生活の質が著しく低下します[32]。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化したときの症状と日常生活への影響

 

自分は大丈夫?セルフチェックと検査方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS) リスク評価:セルフチェック

以下のような症状や特徴がある方は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を考慮すべきです:

夜間の症状

  • 大きないびき(特に断続的ないびき)[33]
  • パートナーから「呼吸が止まる」と指摘される
  • 息苦しさで目が覚める
  • 夜間の頻尿(1晩に2回以上トイレに行く)
  • 寝汗が多い、口・のどの乾燥

日中の症状

  • 起床時の頭痛
  • 日中の強い眠気(運転中、会議中など)[34]
  • 集中力・記憶力の低下
  • 疲労感が取れない
  • イライラ感や抑うつ気分

身体的特徴

  • BMI 25以上の肥満
  • 首周り40cm以上(男性)、38cm以上(女性)
  • 小顎症、後退顎
  • 扁桃肥大

スクリーニングツール

当院では、国際的に認められた以下のスクリーニングツールを使用しています:

  1. エプワース眠気尺度(Epworth sleepiness Scale:ESS):日中の眠気を評価する質問票で、10点以上で過度の眠気があると判断します[35]。
  2. STOP-BANG質問票:いびき、疲労感、観察された無呼吸、血圧、BMI、年齢、首周り、性別の8項目を評価し、3点以上で睡眠時無呼吸症候群(SAS)リスクが高いとされます[36]。
  3. ベルリン質問票:いびき、日中の眠気、高血圧・肥満の有無を評価し、2カテゴリー以上が陽性の場合にリスクが高いと判断します[37]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)診断のための検査

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断には以下の検査が行われます:

  1. 簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
    • 自宅で行える検査
    • 鼻・口の気流、いびき音、酸素飽和度、体位などを測定
    • AHI(無呼吸低呼吸指数)を算出し重症度を評価[38]
  2. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    • 医療機関で一晩かけて行う精密検査 ※※自宅検査可能な機器もあり。
    • 脳波、眼球運動、筋電図なども含めた詳細な評価
    • 重症例や複雑な症例で実施[39]

 

当院では、まず簡易型睡眠検査を実施し、必要に応じて詳細な検査へと進めています。オンラインでの初診から検査キットの郵送まで対応可能です。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査について解説!少しでも疑ったらまずは検査から!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療方法 | 改善するための治し方・対処法

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は非常に有病率の高い疾患でありながら、90%以上が未診断・未治療と言われています[40]。

特に、中年男性や閉経後女性、BMI 25以上の方は高リスク群であり、いびきや日中の眠気などの症状がある場合は積極的な評価が推奨されます。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療により、高血圧や不整脈などの合併症リスクが大幅に低減し、日常生活の質も向上することが多くの研究で示されています[41]。

特に重症例では、治療による生命予後改善効果も報告されています[42]。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

 

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

 

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.

[2] Nakayama-Ashida Y, et al. Sleep-disordered breathing in the usual lifestyle setting as detected with home monitoring in a population of working men in Japan. Sleep. 2008;31(3):419-425.

[3] Heinzer R, et al. Prevalence of sleep-disordered breathing in the general population: the HypnoLaus study. Lancet Respir Med. 2015;3(4):310-318.

[4] Sutherland K, et al. Facial phenotyping by quantitative photography reflects craniofacial morphology measured on magnetic resonance imaging in Icelandic sleep apnea patients. Sleep. 2016;39(10):1749-1760.

[5] Peppard PE, et al. Increased prevalence of sleep-disordered breathing in adults. Am J Epidemiol. 2013;177(9):1006-1014.

[6] Dancey DR, et al. Impact of menopause on the prevalence and severity of sleep apnea. Chest. 2001;120(1):151-155.

[7] Malhotra A, et al. Aging influences on pharyngeal anatomy and physiology: the predisposition to pharyngeal collapse. Am J Med. 2006;119(1):72.e9-14.

[8] Malhotra A, et al. The male predisposition to pharyngeal collapse: importance of airway length. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(10):1388-1395.

[9] Bixler EO, et al. Prevalence of sleep-disordered breathing in women: effects of gender. Am J Respir Crit Care Med. 2001;163(3 Pt 1):608-613.

[10] Marcus CL, et al. Diagnosis and management of childhood obstructive sleep apnea syndrome. Pediatrics. 2012;130(3):e714-755.

[11] Koren D, et al. Sleep architecture and glucose and insulin homeostasis in obese adolescents. Diabetes Care. 2011;34(11):2442-2447.

[12] Young T, et al. Epidemiology of obstructive sleep apnea: a population health perspective. Am J Respir Crit Care Med. 2002;165(9):1217-1239.

[13] Ancoli-Israel S, et al. Sleep-disordered breathing in community-dwelling elderly. Sleep. 1991;14(6):486-495.

[14] Senaratna CV, et al. Prevalence of obstructive sleep apnea in the general population: A systematic review. Sleep Med Rev. 2017;34:70-81.

[15] Li KK, et al. Obstructive sleep apnea syndrome: a comparison between Far-East Asian and white men. Laryngoscope. 2000;110(10 Pt 1):1689-1693.

[16] Redline S, et al. Racial differences in sleep-disordered breathing in African-Americans and Caucasians. Am J Respir Crit Care Med. 1997;155(1):186-192.

[17] Mihaere KM, et al. Obstructive sleep apnea in New Zealand adults: prevalence and risk factors among Māori and non-Māori. Sleep. 2009;32(7):949-956.

[18] Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-1384.

[19] Marin JM, et al. Association between treated and untreated obstructive sleep apnea and risk of hypertension. JAMA. 2012;307(20):2169-2176.

[20] Gami AS, et al. Association of atrial fibrillation and obstructive sleep apnea. Circulation. 2004;110(4):364-367.

[21] Naruse Y, et al. Concomitant obstructive sleep apnea increases the recurrence of atrial fibrillation following radiofrequency catheter ablation of atrial fibrillation: clinical impact of continuous positive airway pressure therapy. Heart Rhythm. 2013;10(3):331-337.

[22] Gottlieb DJ, et al. Prospective study of obstructive sleep apnea and incident coronary heart disease and heart failure: the sleep heart health study. Circulation. 2010;122(4):352-360.

[23] Javaheri S, et al. Sleep apnea: types, mechanisms, and clinical cardiovascular consequences. J Am Coll Cardiol. 2017;69(7):841-858.

[24] Yaggi HK, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. N Engl J Med. 2005;353(19):2034-2041.

[25] Kaneko Y, et al. Relationship of sleep apnea to functional capacity and length of hospitalization following stroke. Sleep. 2003;26(3):293-297.

[26] Yaffe K, et al. Sleep-disordered breathing, hypoxia, and risk of mild cognitive impairment and dementia in older women. JAMA. 2011;306(6):613-619.

[27] Botros N, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for type 2 diabetes. Am J Med. 2009;122(12):1122-1127.

[28] Aronsohn RS, et al. Impact of untreated obstructive sleep apnea on glucose control in type 2 diabetes. Am J Respir Crit Care Med. 2010;181(5):507-513.

[29] Coughlin SR, et al. Obstructive sleep apnoea is independently associated with an increased prevalence of metabolic syndrome. Eur Heart J. 2004;25(9):735-741.

[30] Tregear S, et al. Obstructive sleep apnea and risk of motor vehicle crash: systematic review and meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581.

[31] Mulgrew AT, et al. The impact of obstructive sleep apnea and daytime sleepiness on work limitation. Sleep Med. 2007;9(1):42-53.

[32] Baldwin CM, et al. The association of sleep-disordered breathing and sleep symptoms with quality of life in the Sleep Heart Health Study. Sleep. 2001;24(1):96-105.

[33] Young T, et al. The occurrence of sleep-disordered breathing among middle-aged adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-1235.

[34] Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep. 1991;14(6):540-545.

[35] Johns MW. Reliability and factor analysis of the Epworth Sleepiness Scale. Sleep. 1992;15(4):376-381.

[36] Chung F, et al. STOP-Bang questionnaire: a practical approach to screen for obstructive sleep apnea. Chest. 2013;143(6):1631-1637.

[37] Netzer NC, et al. Using the Berlin Questionnaire to identify patients at risk for the sleep apnea syndrome. Ann Intern Med. 1999;131(7):485-491.

[38] Collop NA, et al. Clinical guidelines for the use of unattended portable monitors in the diagnosis of obstructive sleep apnea in adult patients. J Clin Sleep Med. 2007;3(7):737-747.

[39] Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.

[40] Young T, et al. Estimation of the clinically diagnosed proportion of sleep apnea syndrome in middle-aged men and women. Sleep. 1997;20(9):705-706.

[41] Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.

[42] Campos-Rodriguez F, et al. Cardiovascular mortality in women with obstructive sleep apnea with or without continuous positive airway pressure treatment: a cohort study. Ann Intern Med. 2012;156(2):115-122.

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:傾向 and tagged , ,

女性にも多い睡眠時無呼吸症候群(SAS)|見逃されやすい症状と治療法をわかりやすく解説

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)=太った中年男性の病気」というイメージが強いかもしれません。

しかし、実は女性も睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症することがあります[1]。

 

特に閉経前後のホルモン変化や体型変化が重なり、50代以降では男性に匹敵する有病率になるとの報告もあります[2]。


もし「いびきをかくなんて男性だけでしょ」「私はただ疲れているだけ」と思って放置していると、重大なリスクにつながる可能性があります。

 

本記事では、女性に多い睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴や見逃されやすい理由、セルフチェック方法から治療・受診の流れまで、医学的エビデンスを踏まえてわかりやすく解説します。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症割合はどれくらい?

世界的な有病率

世界的には成人人口の**約9〜38%**が閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の診断基準を満たすと推定されています[3]。

 

ただし、症状の程度(軽症〜重症)によって幅があり、実際に受診・治療を受けている人はそのうちの一部です。

 

日本人の場合

日本人成人のOSAS有病率は3〜9%程度とされますが[4]、BMIが欧米人より低くても発症しやすい傾向があると報告されています[5]。

これは顎の骨格や上気道の狭さなどアジア人特有の形態が影響していると考えられています[5]。

 

女性特有の状況

「女性のOSAS有病率は男性の半分程度」と言われていますが[1]、これは閉経前の女性を含むトータルな数字です。

 

閉経後はホルモン分泌の変化に伴って有病率が大きく上昇し、同年代男性と同等に近づくというデータがあります[2]。

 

つまり、更年期以降の女性は注意が必要です。

 

関連記事

痩せてるのに睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性あり?原因・リスク・治療法を徹底解説!

「睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどんな人がなるの?」傾向と特徴を徹底解説

 

年代別・性別の割合と特徴

  1. 若年層(20〜30代)
    • 一般に男性がやや多い傾向がありますが、女性でも肥満度や顎の形態によっては発症します[6]。
    • 女性は症状が軽度だと「ただの疲れ」や「ストレス」と見なされがちで、診断が遅れることも。
  2. 中年期(30〜50代)
    • 男性の有病率が上昇する時期。飲酒習慣や体重増加、喫煙などが重なると睡眠時無呼吸症候群(SAS)リスクがさらに高くなります[7]。
    • 女性は閉経前後を境にリスクが上昇。特に更年期障害と症状が紛らわしく、見逃されやすいと言われています[2]。
  3. 高齢期(60代以上)
    • 男性・女性ともに睡眠時無呼吸症候群(SAS)の有病率が高い。筋力や組織の弛緩によって気道が狭くなりやすいことが要因の一つ[8]。
    • 女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の保護作用が低下し、男女差が縮まるのが特徴です[2]。

 

さらに、女性は「不眠」「朝の頭痛」「抑うつ感」などの症状が出やすく、いびきや無呼吸を自覚しにくい場合があります[9]。

そのため、まったく別の病気や単なるストレスとして見逃してしまうケースが少なくありません。

 

関連記事

高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?症状・原因・治療法を徹底解説!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の芸能人を紹介!実は治療を受けてる人はたくさんいた!

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置するとどうなる?

心血管系疾患のリスク

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に何度も呼吸が止まり、血中酸素が低下するため、交感神経が常に刺激され、高血圧や心不全、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります[10]。

 

認知機能の低下

慢性的な低酸素状態と睡眠の質の低下が、認知症や軽度認知障害のリスク上昇に関与すると報告されています[11]。

 

特に高齢女性は、アルツハイマー病をはじめとする認知症の発症リスクが男性より高い傾向があるため、見過ごせない問題です[12]。

 

日中の眠気・生活の質の低下

夜間に熟睡できず、何度も無呼吸や低呼吸で目が覚めるため、慢性的な疲労感や日中の強い眠気が生じます[13]。

 

  • 交通事故や産業事故のリスク上昇
  • 仕事や家事への集中力低下
  • イライラ感や抑うつ傾向

こうした生活の質(QOL)の低下が長期にわたって続くと、心身への負担がさらに大きくなります。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が引き起こす17のリスク

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症化したときの症状と日常生活への影響

 

自分は大丈夫?セルフチェックと検査方法

セルフチェック:当てはまりませんか?

  1. 大きないびきを指摘された、あるいは自覚している[2]
  2. 就寝中に呼吸が止まっていると家族やパートナーに言われた
  3. 朝起きたときに頭痛や口の渇きを感じる
  4. 日中に強い眠気があり、仕事や運転に支障をきたす[13]
  5. 夜間頻尿で何度も目が覚める
  6. 眠っていても疲れが取れにくく、常にだるさが残る
  7. ストレスや更年期障害だと思い込んでいるが、実は原因不明の倦怠感がある

 

上記のうち複数が当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。

「女性はいびきなんてかかない」と思い込まず、いったん専門医に相談すると安心です。

 

検査方法

  1. 簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
    自宅で装置を装着し、呼吸状態や酸素飽和度をモニタリングします。手軽に始められ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を判定しやすい方法です[14]。
  2. 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
    病院やクリニックに一泊し、脳波や呼吸・酸素飽和度などを同時に詳しく測定します。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断に用いられます[14]。

 

女性の場合、更年期障害や他の睡眠障害と紛らわしい症状があるため、専門医が総合的に判断することが大切です。

最近はオンライン診療を活用して、初診から検査キットの郵送まで完結できるクリニックも増えています。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査について解説!少しでも疑ったらまずは検査から!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・治療には健康保険はおりる?適用されるの?

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

もし睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑う症状があるなら、まずは専門医への相談が近道です。

 

仕事や家事などで忙しい方でも、オンライン診療なら自宅から受診でき、検査キットも自宅へ郵送されます[15]。

遠方や交通手段がない場合でもスムーズに検査を受けられるのがメリットです。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献(References)

  1. Bixler EO, et al. Prevalence of Sleep-Disordered Breathing in Women: Effects of Gender. Am J Respir Crit Care Med. 2001;163(3 Pt 1):608-613.
  2. Dancey DR, et al. Impact of menopause on the prevalence and severity of sleep apnea. Chest. 2001;120(1):151-155.
  3. Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.
  4. Nakayama-Ashida Y, et al. Sleep-disordered breathing in the usual lifestyle setting as detected with home monitoring in a population of working men in Japan. Sleep. 2008;31(3):419-425.
  5. Li KK, et al. Obstructive sleep apnea syndrome: a comparison between Far-East Asian and white men. Laryngoscope. 2000;110(10 Pt 1):1689-93.
  6. Young T, et al. The Occurrence of Sleep-Disordered Breathing among Middle-Aged Adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-5.
  7. Romero-Corral A, et al. Interactions between obesity and obstructive sleep apnea: implications for treatment. Chest. 2010;137(3):711-9.
  8. Ancoli-Israel S, et al. Sleep-disordered breathing in community-dwelling elderly. Sleep. 1991;14(6):486-95.
  9. Saaresranta T, Polo O. Hormones and breathing. Chest. 2002;122(6):2165-82.
  10. Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-84.
  11. Yaffe K, et al. Sleep-disordered breathing, hypoxia, and risk of mild cognitive impairment and dementia in older women. JAMA. 2011;306(6):613-9.
  12. Vina J, Lloret A. Why women have more Alzheimer’s disease than men: gender and mitochondrial toxicity of amyloid-β peptide. J Alzheimers Dis. 2010;20 Suppl 2:S527-33.
  13. Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth Sleepiness Scale. Sleep. 1991;14(6):540-5.
  14. Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.
  15. Marin JM, et al. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without treatment with continuous positive airway pressure: an observational study. Lancet. 2005;365(9464):1046-53.

※本記事は医学的知見に基づく情報提供を目的としており、個別の症状や治療法を示すものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医師にご相談ください。

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:傾向 and tagged , ,

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は太りやすい?その関係と悪循環を断ち切る方法を解説

 

「最近太りやすくなった」「日中の集中力が続かない」「いびきがひどいと指摘される」――。

 

働き盛りの40歳前後になると、体型の変化や疲労感など、気になる不調が増えてきます。

その原因として見落とせないのが睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に呼吸が停止・低下する症状を繰り返す疾患です。

十分な酸素が供給されないため、体は慢性的なストレス状態となり、高血圧や心疾患、糖尿病などを引き起こすリスクが高まります[1]。

 

さらに「無呼吸症候群は太りやすい」という話を耳にしたことはありませんか?

実は睡眠時無呼吸症候群(SAS)と肥満は強く関連しており、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が肥満を、肥満が睡眠時無呼吸症候群(SAS)を悪化させる“負のスパイラル”に陥ることも珍しくありません。

 

本記事では、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)が太りやすさにどのように関係するのか?」を分かりやすく解説しつつ、悪循環を断ち切るための対策をご紹介します。

 

森下駅前クリニックでは呼吸器内科専門医が在籍し、オンライン診療にも対応していますので、「もしかしたら自分も睡眠時無呼吸症候群(SAS)かも…」と思った方はぜひ参考にしてみてください。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と太りやすさの関係とは?

まずは睡眠時無呼吸症候群(SAS)と肥満のつながりを理解しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は“気道が塞がれる”ことによって発生します。肥満になると、首周りや咽頭周辺に脂肪がつきやすく、気道が狭くなって無呼吸状態に陥りやすくなるのです[2]。

 

特に男性は、首まわりに脂肪が集まりやすい体型傾向があるため、女性よりも睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しやすいとされています[3]。

 

さらに、睡眠時無呼吸症候群(SAS)そのものが太りやすさを助長してしまう側面もあります。理由としては、大きく以下の3点が挙げられます。

 

  1. 睡眠不足によるホルモンバランスの乱れ
  2. 代謝の低下
  3. 慢性的な疲労による活動量の減少

これらの要因が重なり合うと、どんどん体重が増えてしまい、ますます気道が狭まるという悪循環にハマってしまうのです。

次の章では、まず睡眠不足が「なぜ太りやすさにつながるのか」を見ていきましょう。

 

睡眠不足が太りやすさに与える影響

人が太るかどうかを左右する大きなポイントの一つが“睡眠の質と量”です。

十分な睡眠が取れていないと、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れることが複数の研究で示されています[4][5]。

 

  • レプチン(満腹ホルモン)が減少
  • グレリン(空腹ホルモン)が増加

結果的に「満腹感が得にくく、食欲が増しやすい」状態に陥り、つい食べ過ぎてしまいます。

また、睡眠不足はストレスホルモン(コルチゾール)の分泌量を増加させ、身体に脂肪を溜め込みやすい状態を招くと考えられています[4]。

 

さらに、日中の眠気や疲労感により活動量が下がることも太りやすさを加速させます。

通勤で一駅分歩いたり、休日に運動をする気力がわかず、どうしても“省エネモード”になりがちです。

 

したがって、睡眠時間が短い人ほど肥満やメタボリックシンドロームのリスクが高まる傾向にある、という報告が存在します[3][4]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因で代謝が落ちる?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に何度も無呼吸状態になるため、慢性的な低酸素状態が続きます。

身体は酸素不足を補おうと交感神経を過剰に働かせ、血圧や心拍数を上げるなど“緊急事態”に対応するモードが続くのです[1]

その結果、夜間の深い睡眠が阻害され、成長ホルモンの分泌が減少してしまいます。

 

成長ホルモンには脂肪燃焼を促進する働きがあるため、不足すると代謝が下がって太りやすい体質へと傾いていきます。

体内のエネルギー消費量も落ち込むため、普段と同じ食事をしていても、運動不足が続くと体重が増える可能性が高くなるでしょう[6]。

 

実際に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療としてCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法を受けた患者さんは、無呼吸が改善して睡眠の質が向上する一方で、今度は“過剰な交感神経活動が抑えられる”ことから代謝が若干落ち、体重が増えやすくなるという研究報告もあります[6]。

 

つまり、CPAP療法などで、いびきや無呼吸を抑えるだけでなく、同時に適切な食事制限や運動療法を取り入れ、総合的に体重管理をしていくことが必要なのです。

 

太るとさらに睡眠時無呼吸症候群(SAS)が悪化する悪循環

ここまで述べてきたように、肥満と睡眠時無呼吸症候群(SAS)には相互に悪影響を与え合う関係があります。以下のような流れで、負のスパイラルに陥ってしまうのです。

 

  1. 体重が増える
  2. 首まわりや舌根などに脂肪がつき、気道が狭くなる
  3. 無呼吸状態(SAS)が悪化し、睡眠不足や慢性的な低酸素状態が続く
  4. 代謝やホルモンバランスが乱れ、より太りやすい体質になる
  5. さらに体重が増え、気道が狭まる……

 

こうした負の連鎖を断ち切るには、早い段階で適切な治療と生活習慣の改善を始めることが大切です。

研究によれば、体重を10%減らしただけでも睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状が大幅に改善したという報告もあります[7]。

まずは5~10%の減量を目標に、できることから取り組んでみるのがおすすめです。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

太りやすい体質を改善するための対策

1. 食事改善と適正カロリーの把握

過度な食事制限はリバウンドのリスクを高めるため、まずはバランスの良い食事を適正カロリーで摂ることを心がけましょう。

 

たとえば、糖質・脂質・たんぱく質のバランスを意識し、野菜や海藻類を積極的に取り入れることで、満腹感を得やすくなります。

飲酒が多い方は、アルコール量を適切にコントロールするのもポイントです[3][5]。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防と対策は食事から!食べ物を見直すことから始めよう

 

2. 適度な運動でエネルギー消費を増やす

ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は脂肪燃焼を促し、筋力トレーニングは基礎代謝を上げて“太りにくい身体”を作ります[4][5]。

 

運動が苦手な方も、通勤の一部を徒歩に変える・階段を使うなど、日常生活に“活動量を増やす工夫”を取り入れてみましょう。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はダイエットで治る・改善する?減量の目安や効果的なダイエット方法

 

3. 十分な睡眠を確保する

睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策だけでなく、肥満・生活習慣病予防の観点からも“しっかり眠る”ことは最重要項目です。

 

できれば毎日7~8時間の睡眠を目指し、就寝前のスマホ使用やカフェインの摂取は控えるなど、睡眠の質を下げる行動を避ける工夫をしてみてください[4][5]。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)におすすめの寝方を紹介!ちょっとしたことでさらに効果を高める工夫も!

 

4. CPAP療法やマウスピース療法など専門的治療の検討

「いびきがうるさい」「日中の異常な眠気が続く」「高血圧を指摘された」という方は、専門的な検査を受けることが望ましいです。

 

CPAP療法やマウスピース療法は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善に有効であることが研究によって示されています[1][2]。

ただし、先述のとおり無呼吸状態が改善しても体重コントロールを怠ると、再び症状が悪化する恐れがあるため、治療と同時に生活習慣の改善を行うことが大切です。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群のCPAP(シーパップ)治療とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療を解説!

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

もし「自分も睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれない」と思ったら、まずは専門医に相談することが必要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は放置すると心血管疾患や脳卒中、糖尿病リスクが高まるなど健康被害が大きいため、早期受診が重要と言えます[1]。

とはいえ、忙しくて通院の時間を確保しづらい方も多いでしょう。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Marshall NS, Wong KK, Cullen SR, Knuiman MW, Grunstein RR. “Sleep Apnea and Cardiovascular Disease: Conclusions from Recent Trials and Future Perspectives.” Mayo Clin Proc. 2013 May;88(5):549-555. [PMID: 23639464]
[2] Peppard PE, Young T, Palta M, Skatrud J. “Prospective Study of the Association Between Sleep-Disordered Breathing and Hypertension.” N Engl J Med. 2000 May 11;342(19):1378-84. [PMID: 10805822]
[3] Dixon JB, Schachter LM, O’Brien PE. “Predicting Sleep Apnea and Excess Weight: A Comprehensive Review.” Obes Rev. 2013 Jan;14(1):71-84. [PMID: 23057462]
[4] Taheri S, Lin L, Austin D, Young T, Mignot E. “Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index.” PLoS Med. 2004 Dec;1(3):e62. [PMID: 15602591]
[5] Patel SR, Malhotra A, White DP, Gottlieb DJ, Hu FB. “Association Between Reduced Sleep and Weight Gain in Women.” Am J Epidemiol. 2006 Nov 1;164(10):947-54. [PMID: 16914506]
[6] Wang Y, Tuomilehto H, Jin F, et al. “Lifestyle Intervention to Improve Sleep Apnea: A Randomized Controlled Trial Exploring the Role of Weight Reduction in Overweight Patients with Moderate to Severe Obstructive Sleep Apnea.” J Clin Sleep Med. 2020 May 15;16(5):785-796. [PMID: 32130990]
[7] Newman AB, Foster G, Givelber R, et al. “Progression and Regression of Sleep-Disordered Breathing With Changes in Weight: The Sleep Heart Health Study.” Arch Intern Med. 2005 Jan 10;165(2):240-5. [PMID: 15668360]

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:傾向 and tagged , ,

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸の関係

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とはどんな病気?

睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは、眠っている間に何度も呼吸が止まり(無呼吸)、体内の酸素が不足する睡眠障害です[1]。

 

主な原因は睡眠中に喉や鼻などの上気道が繰り返し狭くなることで、激しいいびきや低呼吸(呼吸が弱く浅くなること)を伴います。

 

症状としては、睡眠中の大きないびきや呼吸停止、日中の強い眠気、起床時の頭痛・だるさなどが現れます[2]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は中高年の男性や肥満の方に多い傾向がありますが[3]、誰にでも起こり得る病気です。近年患者数は増加傾向にあり、世界では成人人口の約9〜38%がOSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)の診断基準を満たすと推定されています[4]。

日本人成人のOSAS有病率は3〜9%程度とされていますが[5]、これは実際に検査を受けていない潜在患者も多いと考えられます。

 

放置された睡眠時無呼吸症候群(SAS)は高血圧、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高まることが複数の研究で示されています[6]。

では、この睡眠時無呼吸症候群(SAS)と「口呼吸」にはどのような関係があるのでしょうか。本記事では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸の関係について最新の知見を踏まえて解説します。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸には関係がある?

結論から言えば、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と口呼吸には深い関係があります。

実際、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の多くは睡眠中に口呼吸をしていることが複数の研究で確認されています[7]。

 

欧州呼吸器学会誌(European Respiratory Journal)に掲載された研究では、鼻づまりなどがない人々を対象とした調査において、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者は単なるいびき症の人に比べて睡眠中に口あるいは口と鼻で呼吸している時間の割合が有意に高いことが報告されています[8]。

 

その研究では、口呼吸の頻度と無呼吸低呼吸指数(AHI:睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸の発生回数)が正の相関関係にある(口呼吸が多い人ほどAHIが高い)ことも明らかになりました[8]。

 

これらの知見から、口呼吸の習慣は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症リスクや重症度に密接に関係していると考えられます。

 

口呼吸の習慣がもたらす悪影響

口呼吸は本来備わっている鼻呼吸の利点を活かせないため、さまざまな悪影響を及ぼします。

  • 口腔内の乾燥と衛生悪化: 睡眠中に口で息をすることで唾液が乾燥し、口腔内が渇いた状態になります。唾液には歯や粘膜を保護し細菌の増殖を抑える働きがありますが、口呼吸によってその自浄作用が低下すると、虫歯や歯周病、口臭のリスクが高まります[9]。実際、成人では慢性的な口呼吸によって歯周病(歯ぐきの炎症)や口臭が生じやすくなるとの報告があります[9]。
  • 鼻のフィルター機能の欠如: 通常、鼻毛や鼻粘膜がフィルターの役割を果たし、空気中のホコリ・細菌を除去するとともに加湿・加温して肺に送り届けています[10]。ところが口呼吸ではこうした防御機構が働かないため、乾燥した冷たい空気が直接気道に入り、喉や気管支が刺激されやすくなります。これにより喉の痛みや炎症を起こしやすくなったり、病原体が体内に侵入しやすくなるリスクも指摘されています[10]。
  • 睡眠の質の低下: 慢性的な口呼吸の習慣は睡眠の質にも影響します。口呼吸は鼻呼吸に比べて気道抵抗が高く、睡眠中の呼吸が乱れやすくなるためです[7]。研究によれば、口呼吸は単に寝起きに口が渇く程度の問題ではなく、睡眠障害(いびきや睡眠時無呼吸症候群など)を引き起こして日中の生活に支障をきたす可能性があると報告されています[11]。口呼吸により睡眠が浅く分断されると、日中の強い眠気や集中力の低下、倦怠感の原因にもなり得ます[11]。
  • 歯並びや顔貌への影響: 子どもの場合、長期にわたる口呼吸の習慣が顎顔面の発達に悪影響を及ぼすことがあります。口で呼吸するクセのある子どもは、将来的に歯並びが悪くなったり(不正咬合)、鼻呼吸しにくい人に特有の「アデノイド顔貌」と呼ばれる顔つきになることがあると指摘されています[12]。実際、口呼吸の子どもは鼻呼吸の子どもに比べて歯科的異常(歯列不正や顎の狭小化)や顔面骨格の変形が起こりやすいとの報告があります[12]。このように、口呼吸の習慣は口内衛生から全身の健康、さらに成長過程における発育にまで幅広く悪影響を及ぼしうるのです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状と重なりやすいサイン

口呼吸が習慣化している人に現れやすい症状の中には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状と共通するものも少なくありません。

例えばいびきはその典型です。

口を開けて寝ると喉の気道が狭まり振動しやすいため、口呼吸の人はしばしば大きないびきをかきます[13]。

 

また、睡眠中の口渇(口の乾き)や起床時の喉の痛みも、口呼吸の人によく見られる症状です。

これらは睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者にもよく見られるサインであり、実際に夜間に口呼吸をする人は、いびき・口渇・口臭・声のかすれ・目覚めたときの疲労感といった症状を訴えることが多いことが報告されています[11][13]。

 

一方、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではこれらに加えて睡眠中の無呼吸発作(呼吸停止や喘ぎ)や頻繁な覚醒、朝の頭痛、激しい眠気などが現れます[2]。

したがって、口呼吸習慣による症状は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状と紛らわしい場合があり、「ただの口呼吸だから」「単なるいびきだから」と見過ごされがちです。

 

特に大音量のいびき日中の強い眠気がある場合、それは口呼吸だけでなく睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を示す重要なサインかもしれません[2][13]。

 

口呼吸の自覚がある方でこれらの症状が重なる場合は、念のため睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査を受けることを検討してください。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状をわかりやすく解説!自分でできる症状チェックリスト付き

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

口呼吸が原因で睡眠時無呼吸症候群(SAS)が悪化するリスク

口呼吸の習慣は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症リスクを高めるだけでなく、症状を悪化させる要因にもなり得ます。

 

実際、口呼吸によって上気道が狭くなり睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度が増すこと、およびCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸)療法の効果を阻害する可能性があることは医学的にも指摘されています[7][14]。

口を開けて寝ると下あごが下がり、舌根や軟口蓋(喉の奥の柔らかい部分)が後方へ落ち込みやすくなります。

 

その結果、咽頭(喉)の気道径が小さくなり、空気の通り道が塞がれやすくなってしまいます[14]。

つまり、口呼吸によって気道が物理的に狭められ、無呼吸が起こりやすくなるのです。

 

また、口呼吸の癖があるとCPAP療法(睡眠中にマスクから気道に空気を送り込む治療)もうまくいかない場合があります。

口から空気が漏れてしまい十分な陽圧がかからなかったり、口や喉の乾燥による不快感で機器の使用を継続できなくなることが報告されています[15]。

 

事実、口呼吸はCPAP治療のアドヒアランス(継続使用率)の低下要因の一つであり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の治療を難しくする面があります[15]。

 

さらに近年の研究から、口呼吸が睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症化に与える影響の大きさが裏付けられています。

 

例えば、軽度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者を対象に行われた臨床試験では、就寝時に口にテープを貼って強制的に鼻呼吸へ矯正したところ、無呼吸低呼吸指数(AHI)といびきの頻度が約半分にまで改善しました[7]。

 

このように、口呼吸を防いで鼻呼吸に切り替えるだけで睡眠中の呼吸状態が大きく改善するケースがあるのです。

逆に言えば、口呼吸の放置が睡眠時無呼吸症候群(SAS)を悪化させているリスクが高いとも言えます。

 

口呼吸の習慣がある方は、それが睡眠時無呼吸症候群(SAS)症状を増長させていないか注意が必要です。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が引き起こす17のリスク

 

改善するにはどうすればいい?

口呼吸の習慣を改善し、鼻呼吸で眠れるようにすることが睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策の一助になります。以下に具体的な改善策を紹介します。

 

  • 鼻の通りを良くする治療: 鼻づまりがあると誰でも口呼吸になってしまうため、まずは慢性的な鼻詰まりの解消が重要です。アレルギー性鼻炎が原因であれば抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬の使用、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)があればその治療を行います。鼻中隔のゆがみが強い場合は耳鼻科での手術で空気の通り道を確保することも検討されます[16]。鼻の通りを良くすることで口呼吸が改善し、睡眠の質が向上したりCPAP療法の効果が高まることが報告されています[16]。実際、鼻閉(鼻づまり)の治療によって口呼吸が減少し、いびきや日中の眠気が改善した例もあります[16]。
  • マウステープなどで鼻呼吸を促す: 就寝時に口元にテープを貼り、強制的に鼻呼吸にする「マウステープ」と呼ばれる対策があります。市販の専用テープを用いる方法で、口呼吸を物理的に防ぐことでいびきや軽症睡眠時無呼吸症候群(SAS)が改善したとの報告があります[7]。前述の臨床研究では、マウステープ使用によりAHIやいびき指標が大きく低下し、睡眠中の低酸素状態も改善しました[7]。マウステープはあくまで補助的な対策ですが、「鼻で呼吸する」習慣づけには有効な手段と言えます。ただし、マウステープ使用中は鼻で十分に呼吸できることが前提となるため、鼻づまりがひどい場合には無理に行ってはいけません。また、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合はマウステープだけで改善を図るのではなく、必ず医師の判断を仰いでください[7]。必要に応じて顎を支えるチンストラップなど他の補助具も検討します[17]。
  • 睡眠時の姿勢工夫: 寝るときの姿勢を変えるだけでも口呼吸の改善や無呼吸の軽減に役立つ場合があります。仰向けに寝ると舌が喉の奥に沈下しやすく気道が塞がりやすいため、横向きで寝るようにしてみましょう[18]。難しければ、枕やベッドマットで上半身を少し高くして寝るだけでも気道の開通が促され、鼻呼吸がしやすくなることがあります[18]。実際、頭を15〜30度ほど高くした状態で仰向け寝すると気道が確保されやすくなり、鼻で呼吸しやすいとの報告があります[18]。
  • 生活習慣の改善: 根本的な対策として、適正体重の維持も重要です。肥満は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の大きな要因であり、首まわりや喉に脂肪がつくと気道が狭くなります[19]。減量によって喉の圧迫が減り、呼吸が改善することが期待できます。研究によれば、体重を10%減らすと無呼吸の程度(AHI)が約25%改善したとの報告があり[19]、1kgの減量ごとにAHIが平均0.78ポイント低下したとのデータもあります[19]。適度な運動とバランスの良い食事による減量は睡眠時無呼吸症候群(SAS)改善のみならず生活習慣病予防の面からも望ましいでしょう。また、就寝前の過度の飲酒や睡眠薬の乱用は筋肉を弛緩させて気道を塞ぎやすくし、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を悪化させる原因となります[20]。アルコールはできるだけ控え、睡眠薬の使用も医師と相談しながら最低限に留めることが推奨されます[20]。さらに、寝室の乾燥を防ぐため加湿器を使ったり、花粉症の時期は空気清浄機を用いて鼻炎症状を悪化させない環境作りをすることも口呼吸対策になります[21]。

 

これらの対策を講じることで、口呼吸による悪循環を断ち切り、睡眠の質や睡眠時無呼吸症候群の症状改善が期待できます。

ただし、症状の程度によっては専門的な治療が必要な場合もあります。次章では、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合の受診について説明します。

 

関連記事

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対策 | 生活習慣を改善することで予防をしよう

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はダイエットで治る・改善する?減量の目安や効果的なダイエット方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の予防と対策は食事から!食べ物を見直すことから始めよう

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ

口呼吸の改善に努めても日中の強い眠気が続く寝ても疲労感が取れないいびきが非常に大きい、あるいは睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたなどの場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症している可能性があります。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は自己判断せず、早めに専門医に相談することが大切です。放置すると先述のように高血圧や心血管疾患のリスクが高まる恐れがあるため[6]、心当たりのある方は病院で睡眠検査を受けることを検討してください。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

 

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

 

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献(出典):

[1] Young T, et al. The occurrence of sleep-disordered breathing among middle-aged adults. N Engl J Med. 1993;328(17):1230-5.

[2] Johns MW. A new method for measuring daytime sleepiness: the Epworth sleepiness scale. Sleep. 1991;14(6):540-5.

[3] Bixler EO, et al. Prevalence of Sleep-Disordered Breathing in Women: Effects of Gender. Am J Respir Crit Care Med. 2001;163(3 Pt 1):608-613.

[4] Benjafield AV, et al. Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med. 2019;7(8):687-698.

[5] Nakayama-Ashida Y, et al. Sleep-disordered breathing in the usual lifestyle setting as detected with home monitoring in a population of working men in Japan. Sleep. 2008;31(3):419-425.

[6] Peppard PE, et al. Prospective study of the association between sleep-disordered breathing and hypertension. N Engl J Med. 2000;342(19):1378-84.

[7] Huang CC, et al. The Impact of Mouth-Taping in Mouth-Breathers with Mild Obstructive Sleep Apnea: A Preliminary Study. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(19):12487.

[8] Koutsourelakis I, et al. Obstructive sleep apnoea and oral breathing in patients free of nasal obstruction. Eur Respir J. 2006;28(6):1222-1228.

[9] Nascimento DL, et al. Association between periodontitis and cognitive impairment in adults: a systematic review. Front Neurol. 2019;10:323.

[10] Onerci TM, et al. Influence of the Nasal Valve on the Nasal Airway Resistance. J Craniofac Surg. 2020;31(6):1693-1696.

[11] Guilleminault C, et al. The impact of active and passive smoking on sleep quality. Sleep Med. 2012;13(9):1042-1046.

[12] Linder-Aronson S. Respiratory function in relation to facial morphology and the dentition. Br J Orthod. 1979;6(2):59-71.

[13] Trenchea M, et al. Oral consequences of sleep apnea syndrome. Acta Med Mediterr. 2016;32:1381-1384.

[14] Borel JC, et al. Characteristics of non-apneic snoring without excessive daytime sleepiness and their relationship with upper airway dilator activity. Sleep Breath. 2018;22(3):827-834.

[15] Bachour A, et al. Mouth breathing compromises adherence to nasal continuous positive airway pressure therapy. Chest. 2004;126(4):1248-1254.

[16] Friedman M, et al. Effect of improved nasal breathing on obstructive sleep apnea. Otolaryngol Head Neck Surg. 2000;122(1):71-74.

[17] Bhat S, et al. The efficacy of a chinstrap in treating sleep disordered breathing and snoring. J Clin Sleep Med. 2014;10(8):887-892.

[18] Joosten SA, et al. The effect of body position on physiological factors that contribute to obstructive sleep apnea. Sleep. 2015;38(9):1469-1478.

[19] St-Onge MP & Tasali E. Weight Loss Is Integral to Obstructive Sleep Apnea Management: Ten-Year Follow-up in Sleep AHEAD. Ann Am Thorac Soc. 2021;18(1):13-15.

[20] Kolla BP, et al. The influence of alcohol on breathing and the upper airway in sleep. Sleep Med Clin. 2020;15(2):233-239.

[21] Rappai M, et al. The nose and sleep-disordered breathing: what we know and what we do not know. Chest. 2003;124(6):2309-2323.

[22] Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea: An American Academy of Sleep Medicine Clinical Practice Guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:疑い and tagged , ,

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と昼間の眠気の関係

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、眠っている間に繰り返し呼吸が止まる(無呼吸)または浅くなる(低呼吸)病態です。

 

成人では主に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)といい、就寝中に咽頭の空気の通り道が狭くなり閉塞することで発生します。

 

無呼吸・低呼吸により血中の酸素が低下するとともに、脳が頻繁に覚醒(マイクロ覚醒)して睡眠が途切れるため、睡眠の質が著しく低下します。

 

その結果、十分な睡眠時間をとっていても熟睡感が得られず、日中に強い眠気を感じてしまいます。

 

実際、SAS患者の約25〜50%に日中の過度の眠気(過眠症状)がみられるとの報告があります【1】。

 

こうした日中の眠気は、SASを治療することで改善できることが多数のランダム化比較試験(RCT)により確認されています【2】。

 

例えば、持続陽圧呼吸(CPAP)療法を3ヶ月間行った群では、眠気の指標であるエプワース眠気尺度(ESS)が平均で約3ポイント改善したとのメタ分析結果があります【2】。

 

これは裏を返せば、SASが日中の眠気の大きな原因となっていることを示すエビデンスです。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

放置すると危険!眠気によるリスクとは?

SASによる睡眠の質低下と日中の眠気は、放置すると様々なリスクを招きます。まず仕事のパフォーマンス低下です。

 

強い眠気により集中力や判断力が落ち、仕事や勉強の能率が著しく低下します。ミスが増えたり判断を誤ったりすることで、生産性の低下だけでなく重大な事故につながる可能性もあります。

 

また、居眠り運転による交通事故のリスクも無視できません。無治療のSAS患者では交通事故を起こす確率が健常者の約2〜4倍に高まるとのメタ分析報告があり【3】、日中の過度の眠気が重大な事故要因となっています。

 

さらに適切な治療を受ければ、この事故リスクは大幅に低減または正常化するとされており【4】、SASを放置しないことの重要性が分かります。

 

加えて、SASを放置すると生活習慣病や心血管疾患のリスクも高まります。

 

SASでは睡眠中の低酸素状態や交感神経の過剰な活性化が繰り返されるため、高血圧、糖尿病、心疾患(冠動脈疾患や不整脈)、脳卒中などのリスク因子になります【1】。

 

特に中等度〜重度のSASでは高血圧の合併が多く、夜間に血圧が下がりにくい傾向があります。

 

実際、CPAP療法による治療によって収縮期・拡張期血圧がわずかではありますが有意に低下することが複数のRCTのメタ分析で示されており【4】、これはSASが高血圧を悪化させている一因であることを示唆しています。

 

同様に、SAS患者では心疾患や脳卒中の発症率が高いことが報告されています【1】。

 

このように、SASによる日中の眠気を放置すると、仕事中や運転中の事故リスクだけでなく、長期的な健康リスクにもつながるため注意が必要です。

 

自分でできる睡眠時無呼吸症候群(SAS)のセルフチェックと簡易検査

「自分もSASかもしれない」と思ったら、まずはセルフチェックを行ってみましょう。

 

以下のようなポイントに心当たりはないでしょうか?

 

  • 大きないびきを指摘されたことがある(特に断続的ないびきや途切れるいびき)。
  • 睡眠中の無呼吸を家族に指摘されたことがある(呼吸が止まっている、息苦しそうにしている)。
  • 日中に強い眠気に襲われる(会議中や運転中についウトウトしてしまう)。
  • 朝起きたときに頭痛や喉の渇きがある。
  • 肥満気味である(BMIが高い)。
  • 夜間に何度もトイレに起きる
  • 寝汗をかいたり、睡眠中に息苦しくて目が覚めることがある。

 

上記に複数当てはまる場合、SASの可能性があります。

 

特にいびきはSASの重要なサインです。大きないびきを常習的にかいている場合、その裏で無呼吸発作が起きている可能性があります。

 

また、自覚的な眠気の程度を測る方法として「エプワース眠気尺度(ESS)」という簡便な問診票があります。

 

8つの状況下で居眠りしてしまう可能性を0〜3点で評価し合計点を出すもので、一般に10点以上は日中の過度の眠気が疑われます。

 

ESSはインターネット上でも自己評価できますので、一度試してみると良いでしょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

最近では、スマホアプリやウェアラブルデバイスを利用して自宅で睡眠時無呼吸の兆候をモニターする方法も登場しています。

 

スマートフォンのマイクで睡眠中のいびきのパターンを録音・解析したり、腕時計型のウェアラブル端末で心拍数や血中酸素飽和度を測定したりすることで、SASの疑いをスクリーニングするアプリがあります。

 

しかし、現時点ではこれら市販アプリの精度は必ずしも高くありません。2022年のシステマティックレビューによれば、市販の睡眠時無呼吸検出アプリは医療標準の検査と比べて感度・特異度がやや低く、科学的な検証が不十分と結論づけられています【5】。

 

したがって、スマホアプリ等で「無呼吸の疑いあり」と出ても過信は禁物ですが、受診のきっかけにするには有用でしょう。

 

医療機関では、まず簡易検査(在宅睡眠時無呼吸検査)を検討します。

 

簡易検査では、自宅で携帯式の簡易測定装置を一晩装着して、主に呼吸の気流や胸部の動き、血中酸素の低下などを記録します。

 

簡易検査は測定項目が限定的なものの、中等度以上のSASの診断には有用であり、従来の入院検査と比較しても診断精度は十分とされています【4】。

 

実際、最近の研究では自宅での簡易検査とオンライン診療を組み合わせたアプローチでも、従来型の検査に劣らない有効性が示されています【4】。

 

まずは簡易検査でSASの有無をスクリーニングし、必要に応じて精密検査や治療につなげることができます。

 

簡易検査のみで診断困難な場合は終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)が必要です。PSGは病院で一泊して行う精密検査で、脳波や呼吸気流、酸素飽和度などを測定し、一晩の無呼吸低呼吸指数(AHI)を算出します。

 

しかし、「いきなり病院で一泊検査はハードルが高い…」という方も多いでしょう。現在は、検査機器の普及もあり自宅でもPSG検査が可能となってきています。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)による眠気の改善方法

SASと診断された場合, その治療によって日中の眠気は大きく改善が期待できます。

 

主な治療法としてはCPAP(シーパップ)治療、マウスピース治療、外科的手術治療、そして生活習慣の改善があります。

 

患者さんそれぞれの症状の程度や原因に応じて適切な治療法を選択します。

 

◆ CPAP(持続陽圧呼吸療法)

中等度〜重度のSASに対する第一選択の治療法です。

 

就寝時に鼻(あるいは鼻口)マスクを装着し、ホースを通じて小型機械から気道に空気を送り込みます。

 

気道に空気圧をかけて喉の通り道を広げた状態に保つことで、睡眠中の無呼吸発作を防止します。

 

CPAPを用いると一晩で無呼吸・低呼吸がほぼゼロにまで減少し、睡眠中の酸素低下や覚醒反応も劇的に改善します。

 

日中の眠気も多くの患者で著明に軽減し、RCTのメタ分析でもCPAP使用群でESS(眠気スコア)が有意に低下しています【2】。

 

特に重症のSASで日中の眠気が強かった患者ほどCPAPの効果が大きく、眠気スコアが5ポイント以上改善したとの報告もあります【2】。

 

CPAP治療により得られる効果は眠気の改善に留まりません。無呼吸によるいびきの消失、夜間頻尿の改善、起床時の頭痛や倦怠感の解消など睡眠の質全般の向上が得られます。

 

それに伴い、仕事中の集中力や活力が増し、生活の質(QOL)が改善することも確認されています【4】。

 

さらに、CPAPの長期使用により高血圧が改善したり、心血管イベントリスクが低減する可能性も示唆されています【4】。

 

特にCPAPを適切に使用することで、居眠り運転による事故リスクが正常な人と変わらないレベルまで低下したとの報告もあります【4】。

 

このように、CPAP治療はSASによる様々な悪影響を総合的に改善できるエビデンスの確立した治療法です。

 

CPAP治療で重要なのは「毎晩しっかり使い続ける」ことです。

 

効果を得るには少なくとも1晩4時間以上、できれば就寝中ずっと装着する必要があります。CPAPを正しく使用した方では脳波上の睡眠パターンも正常化し日中の眠気が改善しますが、使用を中断すると再び無呼吸が生じ眠気もぶり返します。

 

そのため、根本的な治療というよりは「睡眠時に機械で補助し続ける対症療法」と位置づけられますが心拍数の安定、低酸素状態の回避など他に変えられない効果もあります。

 

また近年はCPAP装置の小型化・静音化が進み、自宅で無理なく使えるよう工夫されています。

 

CPAPマスクのフィッティングや加湿器の利用などで快適性も向上しており、多くの患者さんが継続使用による眠気改善効果を実感しています。

 

◆ 減量など生活習慣の改善

体重管理はSAS治療の基本です。

 

肥満はSASの最大の危険因子であり、首回りや舌、咽頭周囲の脂肪沈着が気道を狭くして無呼吸を悪化させます。

 

逆に言えば、肥満傾向にあるSAS患者では減量するだけで無呼吸が大幅に改善する可能性があります。

 

実際、肥満の2型糖尿病患者を対象とした大規模RCT(Sleep AHEAD研究)では、平均10kgの減量により無呼吸・低呼吸指数(AHI)が約30%改善し、重症のSAS患者の割合が半減したと報告されています【6】。

 

また、この研究では1年後に約3倍もの患者でSASが寛解(AHI正常化)したという画期的な結果も出ています【6】。

 

減量により気道周囲の脂肪が減少し喉の構造が広がることで、睡眠中の無呼吸発生が減少すると考えられます。

 

したがって、BMIが高めのSAS患者には食事・運動療法による減量指導が不可欠です。5〜10%程度の体重減少でもSASの重症度は有意に改善するとの報告があり【6】、眠気やいびきも軽減することが期待できます。

 

加えて、禁酒・節酒も重要です。

 

アルコールには筋肉を弛緩させる作用があるため、就寝前の飲酒は咽頭の閉塞を助長し無呼吸を悪化させます。

 

睡眠薬や抗不安薬などの鎮静剤も同様に気道を狭める可能性があるため、医師と相談が必要です。

 

そのほか、仰向けで眠ると重力で舌根が喉に落ち込みやすいため、横向き寝(側臥位)を心がける、寝室内の環境整備や十分な睡眠時間の確保など睡眠衛生を良くすることも症状改善に役立ちます。

 

◆ マウスピース(口腔内装置)治療

軽症〜中等度のSASや、下顎が小さい(後退している)タイプのSASに対して有効なのが、歯科装着型のマウスピース治療です。

 

正式には下顎前方置換装置(Mandibular Advancement DeviceMAD)と呼ばれ、就寝時に装着することで下あご全体を前方に押し出し固定します。

 

下あごと一緒に舌や舌根も前方に引っ張られるため、結果的に喉の奥の気道が広がり無呼吸が起こりにくくなる仕組みです。

 

マウスピースは専用の歯科で患者ごとに型取りして作製します。効果としては、いびきの音量低下や無呼吸発作の減少が期待でき、日中の眠気も改善する患者が多くいます【7】。

 

実際、複数のRCTを対象としたメタ分析では、マウスピース治療は無治療に比べてAHI(無呼吸指数)とESSを有意に改善し、日中の眠気やQOLの改善効果はCPAP治療に匹敵するとの報告があります【7】。

 

一方で、無呼吸そのものを減らす効果(AHIの低下幅)はCPAPに比べるとやや劣る傾向があり、とくに重症のSASではCPAPほどの十分な効果が得られない場合もあります【7】。

 

そのため、マウスピース治療は軽症〜中等度のSASCPAPがどうしても継続困難なケースで検討されることが多いです。

 

マウスピースは小型で携帯しやすく、旅行や出張の多い方にも使いやすいメリットがあります。

 

ただし適切な治療効果を得るには歯科での細かな調整や定期的なメンテナンスが必要です。

 

また、顎関節への負担や歯の動揺といった副作用が生じる場合もあるため、専門医の指導のもと使用しましょう。

 

◆ 手術による治療

SASの原因がアデノイド肥大や扁桃肥大、軟口蓋(のどちんこ周辺)の形状など解剖学的な要因にある場合、外科的手術による治療が考慮されます。

 

代表的な手術は口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)で、軟口蓋やのどちんこ(口蓋垂)周囲の余分な組織を切除・縫縮して気道を広げます。

 

その他、下顎骨や上顎骨を前方へ移動固定する顎骨手術(顎顔面手術)や、舌の一部を切除する手術など、患者さんの解剖に応じて施術が選択されます。

 

手術は体への侵襲がありますが、解剖学的適応のある患者では根治的効果が期待できます。

 

例えば、比較的若年で扁桃肥大を伴う患者にUPPPを施行したランダム化比較試験では、手術6ヶ月後に無呼吸指数(AHI)が手術なし群に比べ約60%改善し、日中の眠気や主観的な睡眠の質も有意に向上したと報告されています【8】。

 

さらに術後2年経過しても効果が持続し、患者のQOLが安定的に改善していることが確認されています【8】

 

ただし、SASに対する手術の効果は患者の状態によってばらつきが大きく、必ずしも全員に劇的な改善が得られるわけではありません。

 

肥満を伴うSASではまず減量やCPAPが優先され、手術は他の治療が無効なケースや解剖学的に手術適応が明確なケースに限られます。

 

また手術後に時間経過とともに効果が減弱したり、新たな狭窄が生じたりする可能性もあります【8】。

 

手術治療を検討する際は、睡眠医療に詳しい耳鼻咽喉科や歯科口腔外科と連携し、慎重に適応判断を行うことが重要です。

 

このように、SASによる日中の眠気は適切な治療によって大きく改善できます。

 

特にCPAP治療はエビデンスが豊富であり、眠気だけでなく様々な合併症リスクの低減につながることが示されています【4】。

 

マウスピースや手術、生活習慣の是正なども患者ごとに組み合わせて実施することで、日中の眠気から解放され快活な日常生活を取り戻すことが可能です。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「もしかしてSASかも?」と思ったら、できるだけ早めに専門医に相談しましょう。

 

近年はオンライン診療(遠隔医療)の普及により、自宅にいながら専門医の診察を受けることも可能になっています。

 

日中忙しくて病院に行けない方や、遠方にお住まいで専門クリニックが近くに無い方でも、スマホやパソコンを通じて睡眠医療の専門医にアクセスできます。

 

オンライン診療を活用すれば、まずは問診によるスクリーニングや簡易検査キットの手配をしてもらい、自宅で検査を行った結果に基づいて診断を受けることができます。

 

その後、治療が必要と判断されればCPAP装置の手配や指導もオンラインで受けることが可能です。

 

実際、在宅でのCPAP導入と遠隔フォローアップでも対面診療と同等の患者転帰が得られることが示されており【4】、オンライン診療を上手に活用すれば通院負担を減らしつつ効果的な治療を受けられます。

 

また、CPAP装置には通信機能が備わっており、装着時間や無呼吸の改善状況が自動でクラウドに記録されます。

 

主治医はそのデータを遠隔で確認できるため、オンライン上で治療のモニタリングや微調整を行うことも可能です【4】。

 

このように、オンライン診療はSASの早期診断・治療において強力なサポート手段となっています。

 

SASは放置すると先述のように日中の著しい眠気による事故リスクや、長期的な健康リスクを伴う疾患です。

 

しかし、適切に対処すれば決して怖がる必要はありません。オンライン診療もうまく活用しながら早期に専門医に相談し、必要な検査と治療を受けることで、質の高い睡眠と安全な日常生活を取り戻すことができます。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Lévy P, Kohler M, McNicholas WT, et al. Obstructive sleep apnoea syndrome. Nat Rev Dis Primers. 2015;1:15015.
[2] Patel SR, White DP, Malhotra A, et al. Continuous positive airway pressure therapy for treating sleepiness in a diverse population with obstructive sleep apnea: results of a meta-analysis. Arch Intern Med. 2003;163(5):565-571.
[3] Tregear S, Reston J, Schoelles K, Phillips B. Obstructive sleep apnea and risk of motor vehicle crash: a systematic review and meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581.
[4] Patil SP, Ayappa I, Caples SM, et al. Treatment of adult obstructive sleep apnea with positive airway pressure: an American Academy of Sleep Medicine systematic review, meta-analysis, and GRADE assessment. J Clin Sleep Med. 2019;15(2):301-334.
[5] Baptista PM, Martin F, Ross H, et al. A systematic review of smartphone applications and devices for obstructive sleep apnea. Braz J Otorhinolaryngol. 2022;88(Suppl 5):S138-S147.
[6] Foster GD, Borradaile KE, Sanders MH, et al. A randomized study on the effect of weight loss on obstructive sleep apnea among obese patients with type 2 diabetes: the Sleep AHEAD study. Arch Intern Med. 2009;169(17):1619-1626.
[7] Sharples LD, Clutterbuck-James AL, Glover MJ, et al. Meta-analysis of randomised controlled trials of oral mandibular advancement devices and continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnoea-hypopnoea. Sleep Med Rev. 2016;27:108-124.
[8] Sundman J, Friberg D, Browaldh N, et al. Sleep quality after modified uvulopalatopharyngoplasty: results from the SKUP3 randomized controlled trial. Sleep. 2018;41(1):zsx180.

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:疑い and tagged , ,

自宅でできる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査とは?オンライン診療で手軽に診断・治療へ!

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる病態であり、いびきや日中の強い眠気を引き起こし、高血圧や心疾患のリスク要因にもなります。

 

実はSASの多くの患者さんは自分がこの病気だと気づいておらず、医療機関で診断・治療を受けていないことが指摘されています[1]。

 

しかし放置すれば健康への悪影響が大きいため、早期に発見して治療を開始することが重要です。

 

その中で、自宅で手軽に受けられる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査が注目されています。

 

病院で一晩かけて行う従来の検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)は精度が高い反面、労力や費用の面で負担が大きく、予約待ちが長いこともあります[2]。

 

そこで、自宅でできる簡易検査が普及しつつあり、より多くの方が早期にSASをチェックできる環境が整いつつあります。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

自宅でできる睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査とは?

SASの検査には、大きく分けて簡易検査(自宅で行えるポータブル検査)と精密検査(医療施設で一泊して行う終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG)があります。

 

精密検査であるPSGは脳波・眼球運動・筋電図・呼吸気流・いびき音・血中酸素飽和度など多項目を一晩中記録し、睡眠状態と呼吸イベントを詳細に評価するゴールドスタンダード検査です。

 

しかしPSGは入院設備のある検査施設で専門技師が監視する必要があり、予約待ちが長い・費用が高い・被検者の負担が大きいなどの課題があります[3]。

 

※PSG検査については検査機器の普及もあり自宅での検査も可能となってきております。

 

自宅で行えるものとして、簡易検査(携帯用終夜呼吸モニター)によるスクリーニングが広く普及しています。

 

簡易検査では、鼻孔に装着する気流センサーや指先のパルスオキシメーター、胸の動きセンサーなどを装着し、一晩自宅で就寝中の呼吸状態を記録します[3]。

 

これにより無呼吸の発生頻度(AHI)などが算出され、SASの可能性を評価できます。

 

研究では、中等症以上が疑われる患者を対象とした場合、自宅簡易検査によるAHIの推定とPSGによる実測値が高い相関を示すことが報告されており、十分なスクリーニング能力を持つとされています[4]。

 

もっとも簡易検査は脳波などの詳細測定を行わないため、軽症SASや合併する睡眠障害の見落としが起こり得ます。

 

簡易検査の結果や自覚症状、合併症の有無によっては、確定診断のため精密検査(PSG)が必要になるケースもあります。

 

いずれにせよ多くの方にとって、まずは手軽な自宅検査でSASリスクを把握するのは有効なアプローチです。

 

自宅で検査可能!睡眠時無呼吸症候群(SAS)のオンライン診療とは?

オンライン診療の普及により、自宅にいながらSASの検査と診断を完結できるシステムが急速に整備されつつあります。

 

オンライン診療では、患者がPCやスマホを用いてビデオ通話などで医師の診察を受け、必要であれば自宅に簡易検査の機器を郵送してもらい、数日間の自宅測定後に返送するという流れが可能になります[5]。

 

データ解析を経た結果説明や治療方針の相談までもオンラインで完結できる点が大きな利点です。

 

実際、オンライン診療を導入した在宅検査システムの有効性を検証したランダム化比較試験(RCT)では、従来型の入院検査や対面診療によるアプローチと比較して治療効果に差がなく、患者満足度が高いとの報告があります[6]。

 

また、ビデオ通話を通じて医師やスタッフから装着方法の指導を受けることで、簡易検査機器の使用ミスを最小限に抑えられることも示唆されています[6]。

 

特に遠方在住者や多忙で通院時間が取りにくい方には、オンライン診療+自宅検査の組み合わせが早期発見・早期治療に繋がる可能性が高いです。

 

オンライン診療を活用した自宅検査の流れ

オンライン診療での自宅検査は、以下のステップで進みます。

  1. オンライン初診・問診
    症状や既往歴、生活習慣などを医師とビデオ通話や専用アプリで確認します。いびきの状況や日中の眠気、血圧なども問診され、SASの疑いが高ければ自宅検査キットを送付する手配をします。
  2. 検査機器の受け取り・説明
    機器が自宅に届くと、同封のマニュアルやオンラインでの装着説明を参考に、就寝時にセンサー類を取り付けます。鼻腔カニューレや指先の酸素モニター、胸部バンドなどが一般的です。
  3. 就寝中のデータ記録
    普段と変わらない環境で一晩就寝すると、機器が呼吸パターンや酸素飽和度の変動を自動記録します。翌朝起床後にセンサーを外し、機器は回収または返送します。
  4. 解析・結果説明
    医療機関が受け取ったデータを解析し、無呼吸低呼吸指数(AHI)などを算出します。後日、オンライン診療で再度結果説明があり、SASと診断された場合は重症度に応じた治療方針が決定されます。必要に応じて対面の精密検査を案内されることもあります。
  5. 治療の開始とフォローアップ
    中等症以上のSASと判明した場合、多くはCPAP療法が選択肢となります。オンラインで使用方法の指導を受け、機器が自宅に届いたら毎晩装着して眠り、定期的にデータを医療機関へ送信する、といった管理も遠隔で可能です。

このように、オンライン診療による自宅検査は受診の手間を大幅に減らし、短期間でのスクリーニングと治療導入を可能にします。

 

ただし、重度合併症例や他の睡眠障害が疑われる場合は在宅検査のみでは不十分で、精密検査(PSG)を対面で行う必要がある点に留意しましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

自宅での検査にかかる費用と保険適用について

費用は保険診療と自由診療で異なりますが、医師の判断でSASが疑われ簡易検査を行う場合は、保険適用となることが多いです。

 

自己負担は3割の方で4000~5000円程度が一般的です[7]。オンライン診療においても、条件を満たせば保険適用が認められ、検査機器の貸出料金なども含め大きな負担なく進められます。

 

一方、自費診療のサービスを利用する場合は数万円の費用がかかるケースもあり注意が必要です。

 

また重症(AHI≧30)と診断されればCPAP治療導入も保険適用となり、月々のレンタル料や診察料も比較的安価に収まります[8]。

 

医療機関やサービスごとに費用体系が異なるため、検査や治療開始前に説明をよく聞くと安心です。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「自宅でいびきがひどいと言われる」「日中いつも眠くて集中できない」「夜間何度も呼吸が止まっている気がする」という方は、早めに専門医に相談しましょう。

 

オンライン診療を利用すれば、自宅にいながら問診→検査キットの受け取り→就寝時の測定→結果説明→治療方針決定という流れでスムーズに検査と診断を進められます。

 

RCTを含む複数の研究から、在宅簡易検査とオンライン診療による治療管理は対面診療と同等の有効性を示すことが確認されており、むしろ受診率や治療の継続性が向上する例もあります[4][9]。

 

特に業務が多忙な方や病院への移動が難しい方、遠方在住の方にとっては大きな利点です。

 

SASを放置すると高血圧や心臓病、脳卒中リスクが上がるだけでなく、交通事故の重大要因にもなり得ますが【2】、適切な治療を受ければ日中の眠気改善や合併症リスク低減など多くのメリットがあります[6]。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Peppard PE, et al. Increased Prevalence of Sleep-Disordered Breathing in Adults. Am J Epidemiol. 2013;177(9):1006-1014.
[2] Karimi M, et al. Sleep Apnea-Related Risk of Motor Vehicle Accidents is Reduced by CPAP: Swedish Traffic Accident Registry Data. Sleep. 2015;38(3):341-349.
[3] Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479-504.
[4] Rosen CL, et al. A Multisite Randomized Trial of Portable Sleep Studies and Auto-titrating CPAP vs. Laboratory Polysomnography for OSA Diagnosis and Treatment (HomePAP). Sleep. 2012;35(6):757-767.
[5] Masa JF, et al. Advantages of Home Respiratory Polygraphy for Diagnosing OSA in Resource-Limited Settings. Chest. 2015;147(6):1519-1526.
[6] Hoy CJ, et al. Effect of CPAP on Sleepiness and Quality of Life in Mild OSA: A Randomized Controlled Trial. Chest. 2020;158(1):198-209.
[7] 厚生労働省「睡眠時無呼吸症候群に係る診療報酬点数の改定について」(官報, 2023年)
[8] McEvoy RD, et al. CPAP for Prevention of Cardiovascular Events in Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med. 2016;375(10):919-931.
[9] Moreno CR, et al. Home-based sleep studies and telemedicine in OSA: a randomized controlled trial. Sleep Med. 2021;77:114-120.

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:セルフチェック and tagged , , ,

成人の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の調べ方 ― セルフチェックと精密検査の解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の調べ方

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に繰り返し呼吸が停止(無呼吸)または低下(低呼吸)する疾患です。

 

呼吸停止に伴い血中酸素が低下し、その都度睡眠が中断されるため、睡眠の質が損なわれます。

 

SASの患者は日中に強い眠気や集中力の低下、朝の頭痛などを訴えることがあり、放置すると生活習慣病や事故のリスクも高まります。

 

実際、SASは高血圧や心疾患、脳卒中、2型糖尿病など様々な健康障害のリスク因子となりうることが報告されています[1]。

 

特に中高年の肥満傾向にある男性に多い傾向がありますが、性別や体型にかかわらず発症し得るため注意が必要です。

 

また、睡眠中に繰り返し生じる低酸素やストレス反応により交感神経が活性化し、慢性的な疲労や居眠り運転による交通事故の危険性も指摘されています[1]。

 

SASを適切に診断して治療することは、こうしたリスクの軽減につながります。

 

日本循環器学会のガイドラインでも、循環器疾患のリスク因子としてSASに着目し、疑われる場合に積極的に検査・治療を行うことが推奨されています[2]。

 

それでは、自分がSASかどうかを知るにはどのように調べればよいでしょうか。成人を対象としたSASの調べ方は、大きく分けて3つあります。

 

  • セルフチェック(自己診断):自分の症状を確認する方法
  • 簡易検査(自宅で行うスクリーニング検査):呼吸や血中酸素濃度を測定する簡便な検査
  • 精密検査(医療機関で行う精密な一泊検査):脳波や心電図などを用いた詳しい検査

以下にそれぞれの方法について解説します。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

セルフチェック

まず、自分で睡眠時無呼吸症候群の可能性をある程度評価することができます。

 

いびきや無呼吸そのものは本人には自覚しにくいものですが、SASに伴って現れやすい症状があります。

 

次のチェックリストに当てはまる項目がないか確認してみましょう。

 

  • 自分のいびきの音で目が覚めたことがある
  • 十分に睡眠をとっているはずなのに日中に強い眠気に襲われる
  • 朝起きたときに全身の倦怠感がある
  • 熟睡感がなく、寝た気がしないことが多い
  • 注意力や集中力が続かず、居眠り運転しそうになったことがある
  • 家族や同僚から、睡眠中に「いびきが凄い」「途中で呼吸が止まっている」と指摘されたことがある
  • 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿傾向がある)

こうした項目が複数当てはまる場合、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

 

一度病院に相談してみましょう[2]。

 

診療科としては、呼吸器内科や循環器内科、耳鼻咽喉科などで「いびき・睡眠外来」を標榜している医療機関で検査を受けることができます。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

呼吸や酸素濃度を測定する簡易検査

次に、医療機関では「簡易検査」と呼ばれる比較的手軽なスクリーニング検査を自宅で行うことができます。

 

病院から携帯型の検査装置一式を借り受け、自宅で就寝時に自身で装着して一晩測定する方法です。

 

簡易検査には主に2種類のタイプがあります。

 

1つはパルスオキシメーター(指先に装着する酸素飽和度計)を用いて、一晩の血中酸素濃度や脈拍の変化を連続的に記録し、無呼吸による低酸素状態の有無や程度を調べる方法です。

 

もう1つは鼻に装着する呼吸センサーで、鼻孔の気流(息の出入り)やいびき音を記録することで、睡眠中の呼吸状態や気道の閉塞状況を調べる方法です。

 

いずれも寝る前にセンサー類を自分で装着し、普段通り就寝するだけなので、体への負担が少なく簡単に実施できる利点があります。

 

ただし、簡易検査では脳波を記録しないため睡眠の深さ(睡眠段階)までは評価できません。また検査中に医師や技師が立ち会わないため、機器の装着状態によっては正確なデータが得られないリスクもあります。

 

そのため、症状が軽い場合には見逃し(偽陰性)の可能性も残ります。それでも、中等症以上のSASが疑われるようなケースでは、自宅で行う簡易検査は有用なスクリーニング手段とされています[3]。

 

実際、米国で行われたランダム化比較試験では、自宅での簡易検査とそれに続く在宅治療の戦略が、従来の病院での精密検査を用いた診断・治療戦略と比べて臨床転帰において遜色ないことが示されています[4]。

 

簡易検査の結果、明らかに無呼吸が多数記録され重症と判定された場合には、そのまま治療方針の決定(例えばCPAP装置の導入など)につながります。

 

一方、簡易検査で異常が軽度でも症状が強い場合や、装着ミスなどでデータが不十分だった場合には、より精密な検査で詳しく調べる必要があります。

 

脳波や心電図を用いた精密検査

精密検査は「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」と呼ばれる詳細な検査を行います。

 

頭部や顔面、体に複数の電極やセンサーを装着し、一晩かけて睡眠中の生体信号を総合的に記録します。

 

主な検査項目は、脳波(睡眠段階の測定)や眼球運動顎の筋電図などで、睡眠中の脳と筋肉の活動をモニタリングします。

 

さらに、鼻と口の呼吸気流や胸部・腹部の動き(呼吸運動)、心電図、四肢の筋電図、血液中の酸素飽和度、睡眠中の体位やいびき音なども同時に記録し、睡眠中の呼吸障害を詳細に解析します。

 

こうした総合的な検査によって、無呼吸発生の有無や頻度・程度が正確に判断でき、SASの確定診断には最も信頼性の高い方法です。

 

検査中は体に多数のコードやセンサーを付ける負担はありますが、痛みは一切なく安全に受けられますので心配はいりません。

 

以前は病院に1泊入院(CPAP導入となり2泊することもあり)して行っておりましたが、検査機器の普及もあり自宅での検査も可能です。

 

精密検査の結果、SASと診断された場合は、その重症度に応じた治療(持続陽圧呼吸療法〈CPAP〉やマウスピース、外科的治療など)が選択されます。

 

SASは適切に治療することで日中の症状改善はもちろん、高血圧や心血管イベントのリスク低減も期待できます[1]。

 

ご自身やご家族で「もしかして?」と思う症状がある場合は、以上のような方法で早めに調べてみることをおすすめします。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「忙しくて病院に行く時間がない」「まずは手軽に相談したい」という方には、オンライン診療の利用もおすすめです。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

 

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

 

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

 

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献一覧

  1. Sleep apnea and its association with the stress system, inflammation, insulin resistance and visceral obesity. Trakada G., Chrousos G.P., Pejovic S., Vgontzas A.N. Sleep Med Clin. 2(2):251–261 (2007)
  2. 2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン. 日本循環器学会, 2023年
  3. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea. Kapur V.K., Auckley D.H., Chowdhuri S., Kuhlmann D.C., Mehra R., Ramar K., Harrod C.G. J Clin Sleep Med. 13(3):479–504 (2017)
  4. A multisite randomized trial of portable sleep studies and positive airway pressure autotitration versus laboratory-based polysomnography for the diagnosis and treatment of obstructive sleep apnea: the HomePAP study. Rosen C.L., Auckley D., Benca R., et al. Sleep. 35(6):757–767 (2012)

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:セルフチェック and tagged , ,

痩せてるのに睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性あり?原因・リスク・治療法を徹底解説!

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は太っている人だけの病気ではない?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満の人に多いと考えられがちですが、実は痩せている人でも起こり得ます。

 

ある臨床研究では、SAS患者の約25%はBMI25未満の正常体重で、全体の約50%は肥満ではなかったと報告されています[1]。

 

このようにSASは必ずしも太っている人だけの病気ではなく、痩せている人にも無視できない頻度で見られます。

 

一般的に非肥満者のSASは肥満者よりも症状が軽めとされていますが[1]、後述するように放置すれば深刻な健康リスクを伴うため注意が必要です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

痩せている人が睡眠時無呼吸症候群(SAS)になる原因

痩せている人でSASが生じる背景には、体重以外のさまざまな要因が関与します。主な原因として、次のような点が挙げられます。

 

  • 骨格による気道の狭さ: 顎の骨格が小さい(下顎後退)ことや上あごのアーチが高く狭い(高口蓋)場合、生まれつき喉の気道が狭く、睡眠中に筋肉が緩むと気道が塞がりやすくなります。扁桃肥大や舌が大きいこと(舌肥大)による気道の狭窄も同様です。
  • 遺伝的な要因: 骨格や気道の形状は遺伝の影響を受けるため、家族にSASの人がいる場合や顎の小さい体質を受け継いだ場合、痩せていてもSASを発症しやすくなります。実際にSASの発症には遺伝的素因が関与することが指摘されています。
  • 筋肉の緊張や神経調節の問題: 睡眠中は誰でも喉周囲の筋肉が弛緩しますが、筋肉の緊張を保つ力や気道を開く神経反射が弱い人では、肥満でなくても気道が閉塞し無呼吸が生じやすくなります。年齢とともに筋力や反射が低下することも一因です。

 

これらの要因が痩せている人のSAS発症に関与していると考えられます[2][3]。

 

例えば小顎症や高口蓋など骨格の形態的問題がある場合や、家族的に気道が狭い体質を持つ場合、体重にかかわらずSASを発症し得るのです。

 

痩せている人が睡眠時無呼吸症候群(SAS)になるリスク

SASになると、体型に関係なく様々な健康リスクが高まります。

 

代表的なのは日中の過度な眠気集中力の低下で、仕事や勉強の能率が落ちたり居眠り運転の危険が増したりします。

 

実際、SASの人はそうでない人に比べ交通事故のリスクが高いことが報告されています。また、心血管疾患のリスク増加も見逃せません。

 

重度のSASを治療せず放置すると、心筋梗塞や脳卒中など致命的な心血管イベントの発生率が有意に高くなることが観察研究で示されています[4]。

 

さらに認知機能の低下も問題で、SASの高齢患者はそうでない人に比べて軽度認知障害や認知症を発症する割合が有意に高いとの報告があります[5]。

 

このように、痩せていてもSASを放置すると高血圧や心臓病、脳卒中のリスクが増大し、認知症の可能性も指摘されるため早めの対策が重要です。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

痩せている人向けの睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法

CPAP(持続陽圧呼吸療法)

SAS治療の第一選択となるのがCPAP療法です。

 

中等症~重症のSASに対して保険適用があり、就寝時に鼻や口に装着したマスクを通じて気道に空気を送り込み、のどの閉塞を物理的に防ぎます。

 

多数のRCTでCPAPの有効性が示されており、睡眠中の無呼吸低呼吸をほぼ完全に抑制し、日中の眠気を有意に改善する効果が確認されています[6]。

 

CPAP療法により血中酸素低下が解消され、高血圧や心不整脈など合併症リスクも低減する可能性が高いです。

 

痩せている人がSASになった場合も、解剖学的な気道狭窄があって呼吸が止まるメカニズムは同じため、CPAP療法による症状改善は肥満者と同程度に期待できます。

 

夜間のマスク装着に慣れるまで多少の不快感はありますが、使用を継続することで多くの患者が大きな恩恵を得ています。

 

マウスピース(口腔内装置)

軽症〜中等症のSAS、あるいはCPAPがどうしても合わない場合には、下顎前方移動型のマウスピースを就寝時に装着する方法もあります。

 

下顎を前に出して気道を広げることで、いびきや無呼吸を減らす仕組みです。RCTの比較試験でも、CPAPほど呼吸停止を抑制する効果は強くありませんが、日中の眠気や生活の質(QOL)改善においては互角の効果を示すとの報告もあります[7]。

 

特に顎が小さい痩せ型の人はマウスピースによって顎を前に出すことで気道が確保され、無呼吸発作が軽減することが期待されます。

 

ただし歯や顎関節の状態によって装着の適応が限られる点や、定期的な歯科での調整が必要である点には留意が必要です。

 

外科手術

上記の保存的治療で効果不十分な場合や、顎の形状や扁桃肥大など明らかな解剖学的原因が強い場合には外科手術が検討されます。

 

例えば「口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)」や「顎骨前方移動術」により物理的に気道を広げ、無呼吸発作を減らす手術が選択肢となります。

 

近年は外科的介入の有効性もRCTで検証が進んでおり、特定の患者群では有意なAHI(無呼吸低呼吸指数)の低下や症状改善が認められています[8]。

 

ただし手術には侵襲や合併症リスクが伴うため、痩せている人でも軽〜中等症なら、まずCPAPやマウスピースを試み、どうしても改善しない場合の最終手段となるケースが一般的です。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

痩せているからといって「SASは関係ない」と思うのは危険です。

 

いびきが酷い、夜間に呼吸が止まる、日中の眠気が著しいといった症状があるなら、早めに専門医を受診し必要な検査(簡易検査や終夜睡眠ポリグラフ検査)を受けましょう。

 

最近ではオンライン診療に対応する医療機関も増えており、自宅からスマホやPCで医師に相談できるため通院の負担が軽減されます。

 

CPAP療法の導入や機器管理をオンラインでフォローする試みもあり、適切なサポートのもとで治療を継続すれば高い改善効果を得られます[9]。

 

痩せている人でもSASを放置すると高血圧や心臓病、認知症リスクなどを抱えることになりますが、逆に早めの治療で健康を大きく守れる病気でもあります。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献

[1] Gray EL, et al. “Obstructive Sleep Apnea without Obesity Is Common and Difficult to Treat: Evidence for a Distinct Phenotype.” J Clin Sleep Med. 2017;13(1):81-88.
[2] Schwab RJ. “Pro: Sleep Apnea Is an Anatomic Disorder.” Am J Respir Crit Care Med. 2003;168(3):270-273.
[3] Salvinelli F, et al. “Obstructive Sleep Apnea Syndrome: From Phenotype to Genetic Basis.” 2009;168–176.
[4] Marin JM, et al. “Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnoea-hypopnoea with or without CPAP therapy: an observational study.” Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.
[5] Yaffe K, et al. “Sleep-Disordered Breathing, Hypoxia, and Risk of MCI and Dementia in Older Women.” JAMA. 2011;306(6):613-619.
[6] Patel SR, et al. “Meta-analysis of CPAP therapy for treating sleepiness in OSA.” Arch Intern Med. 2003;163(5):565-571.
[7] Phillips CL, et al. “Health outcomes of CPAP vs oral appliance treatment for OSA: A randomized controlled trial.” Am J Respir Crit Care Med. 2013;187(8):879-887.
[8] MacKay S, et al. “Effect of multilevel upper airway surgery vs medical management on OSA: The SAMS RCT.” JAMA. 2020;324(12):1168-1179.
[9] Fox N, et al. “Telemedicine for CPAP adherence in OSA: A randomized controlled trial.” Sleep. 2012;35(4):477-481.

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:傾向 and tagged , ,

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と耳鼻科での診療

 

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、近年患者数が増加している重要な睡眠障害です。

 

中でも閉塞型SAS(喉や鼻など上気道の閉塞によるもの)が大半を占め、以前考えられていたよりも頻度が高いことがわかっています。

 

実際、日本では成人男性の約20%、閉経後の女性の約10%が中等症以上のSASに該当するとの報告があり【1】、現在50万人以上もの方がCPAP(後述)の治療を受けています【1】。

 

SASの主な症状は大きないびき睡眠中の無呼吸(呼吸が止まる)夜間の息苦しさによる突然の覚醒、そしてそれによる日中の強い眠気や倦怠感などです【3】。

 

放置すれば高血圧、心臓病、不整脈、脳卒中など様々な生活習慣病のリスクを通常の2~3倍にも高めることが報告されており【3】、居眠り運転による交通事故の原因にもなり得る深刻な疾患です【2】。

 

しかし、適切に診断して治療を行えば症状は大きく改善し、こうしたリスクを減らすことが可能です【2】。

 

本記事では、SASとは何か、その診断と治療について、特に耳鼻咽喉科(いわゆる「耳鼻科」)での対応に焦点を当てて、一般の患者さん向けにわかりやすく解説します。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、文字どおり「睡眠中に繰り返し呼吸が止まる」病気です。医学的には、10秒以上の呼吸停止を「無呼吸」と定義し、これが一晩に何度も発生する状態を指します。

 

多くの場合、喉(咽頭)の空気の通り道が睡眠中に塞がることで起こる閉塞型SASであり、まれに脳の呼吸中枢の異常による中枢型SASもあります(SASの大部分は閉塞型で、本記事でも閉塞型について扱います【2】)。

 

閉塞型SASでは、睡眠中に舌や軟口蓋(喉ちんこを含む上あごの柔らかい部分)が喉の奥に落ち込み、気道を塞いでしまいます。

 

その結果、血中の酸素が低下し、脳が危機を察知して何度も覚醒反応(浅い目覚め)を引き起こすため、熟睡できずに日中の眠気や疲労感につながります。

 

SASの診断には、一晩の睡眠中に発生する無呼吸・低呼吸(呼吸が浅く弱くなる)の回数を指数化したAHI(無呼吸低呼吸指数)が用いられます。

 

一般的にAHIが5以上で睡眠時無呼吸の疑いがあり、15以上で中等症、30以上で重症と分類されます【2】。

 

例えば、AHI=20とは「1時間あたり20回の無呼吸・低呼吸発作」が起きていることを意味します。

 

また、症状の有無も診断の重要なポイントです。夜間の激しいいびきや断続的な無呼吸、起床時の頭痛、日中の過度の眠気などの症状が典型的で【3】、特に日中の耐え難い眠気は交通事故など社会生活上の大きな危険因子となります【2】。

 

実際、ある調査では重症SAS患者の約10%が直近数年間に居眠り運転による事故を経験していたとの報告があります【2】。

 

このようにSASは放置できない病気ですが、幸い治療法が確立している疾患でもあります。

 

後述するCPAPやマウスピースなどの治療により無呼吸を防ぐことで睡眠の質が改善し、高血圧や心血管疾患のリスクも軽減できることが臨床研究で示されています【2】【3】。

 

SASの発症には様々な要因が関与しますが、特に肥満は最大の危険因子です。肥満の方は首や喉周りに脂肪が付きやすく気道が狭くなるため、無呼吸になりやすいのです【3】。

 

実際、体重増加とSASの発症には密接な関連があり、ガイドラインでも肥満患者には減量を含む生活習慣の是正が強く推奨されています【2】。

 

その他、顎の骨格の形状(下顎が小さい、後退している)、扁桃肥大(喉の扁桃腺が大きい)、鼻づまり(鼻中隔湾曲症や慢性鼻炎による)などで上気道が狭い方もSASになりやすい傾向があります【3】。

 

性別では男性に多く、女性でも閉経後(ホルモンバランスの変化後)はリスクが高まります【3】。

 

これらの解剖学的・体質的な要因に、飲酒や睡眠薬の使用(筋肉が弛緩し無呼吸が悪化)、寝る姿勢(仰向けは悪化しやすい)などの生活要因が加わり、SASが発症・増悪すると考えられています。

 

睡眠時無呼吸症候群は耳鼻科で診てもらえる?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は耳鼻咽喉科(耳鼻科)でも診察・治療が可能です。

 

SAS診療というと一般には呼吸器内科や睡眠専門外来を思い浮かべる方も多いですが、実は耳鼻科もSAS診療の重要な担い手です【2】。

 

特に閉塞型SASは鼻や喉の構造が深く関与するため、上気道の専門科である耳鼻科は診断から治療まで大きな役割を果たします【2】。

 

以下に、耳鼻科での具体的な診察の流れや検査内容、他の診療科との役割分担について説明します。

 

耳鼻咽喉科での診察の流れ

耳鼻科を受診してSASの疑いを相談すると、まず問診による詳しい症状の聞き取りが行われます。

 

いびきの状況や無呼吸の有無、日中の眠気の程度(必要に応じてエップワース眠気尺度などの質問票を用いて評価)、起床時の頭痛・口渇の有無、夜間頻尿の有無、既往症(高血圧や糖尿病など関連しうる病気)など、多角的に確認します。

 

また、同居のご家族やパートナーの方から睡眠中の様子(無呼吸や異常な呼吸の指摘)について情報を得ることもあります。

 

生活習慣(飲酒や喫煙、就寝時間)も重要なポイントです。

 

次に身体診察を行います。耳鼻科では主に上気道(鼻から咽頭)の評価を目的とした診察が行われます。

 

具体的には、鼻腔内の診察でポリープ(鼻茸)や鼻中隔の曲がり、粘膜の腫れ具合を観察し、慢性的な鼻づまりの原因がないか確認します。

 

口腔内と咽頭の診察では、舌の大きさ(舌が大きい・後方に落ち込みやすいか)、扁桃の大きさ(扁桃肥大があるか)、軟口蓋と喉の形状(のどちんこが大きい・軟口蓋が下がっていないか)などを観察します。

 

必要に応じて、細い内視鏡(ファイバースコープ)を鼻から挿入して喉の奥(上咽頭や喉頭)の状態を詳しく調べ、気道がどの程度狭いか、どの部位で閉塞が起きやすそうかを評価します。

 

耳鼻科医はこうした上気道の解剖学的特徴を詳しくチェックし、SASの原因となりうる形態的な問題を把握します。

 

上気道の診察所見は、その後の検査や治療法の選択にも大いに役立ちます【3】。

 

また血圧測定やBMI(肥満度)のチェックも行われ、全身的にSASのリスク因子が揃っていないか確認します。

 

問診と診察の結果から「睡眠時無呼吸症候群が疑わしい」と判断された場合、次は客観的に睡眠中の呼吸状態を調べる検査へと進みます。

 

どんな検査をするのか(簡易検査とPSG)

耳鼻科を含むSAS診療では、まず自宅で行える簡易検査が行われることが一般的です。

 

簡易検査とは、携帯型の睡眠モニター(簡易ポリグラフ)を用いて一晩自宅で測定する検査です。

 

指先の酸素飽和度センサーや鼻の気流センサー、いびきや体位を記録するセンサーなどを装着して就寝することで、睡眠中の無呼吸・低呼吸の発生状況を記録します【2】。

 

病院に一泊せず自宅でできる手軽さからスクリーニング検査として広く普及しており、中等症~重症のSASであれば高い精度で発見することができます。【2】

 

簡易検査の結果、AHIが高値(例えば40以上)で明らかな無呼吸症候群と症状が認められた場合には、臨床診断の上ですみやかに治療(後述のCPAPなど)へ進むことが可能です【2】。

 

実際、日本の診療ガイドラインでも、簡易検査で重度SASが強く示唆される場合には確定診断として扱って良いとされ、健康保険上も「簡易検査でAHI40以上」がCPAP療法の導入基準の一つになっています【2】。

 

一方、簡易検査でAHIが軽度~中等度(例えば5~30程度)の場合や、症状と検査結果に食い違いがある場合などには、より精密な検査であるPSG(終夜睡眠ポリグラフ)検査が行われます【2】。

 

PSG検査は病院など専門施設に一泊入院して行う精密検査で、脳波・眼球運動・顎や脚の筋電図・心電図・呼吸気流・いびき音・酸素飽和度など多数のセンサーを装着し、一晩かけて睡眠の深さや構造も含め詳細なデータを記録します。

 

簡易検査では正確に測定できない睡眠そのものの質(何時間眠れたか、どのくらい深い睡眠が得られているか)も評価でき、睡眠時無呼吸の確定診断や重症度判定にはゴールドスタンダード(最も信頼できる基準)となる検査です【2】。

 

PSGでは他の睡眠障害(例:周期性四肢運動症やREM睡眠行動異常症など)の鑑別も同時に行えるメリットがあります。

 

日本の保険診療では「PSG検査でAHIが20以上」もSASの診断基準とされており【2】、簡易検査では判断が難しい軽症~中等症例ではPSGによる評価が推奨されます。

 

以上のように、耳鼻科受診後はまず簡易検査でSASの有無と大まかな重症度を確認し、必要に応じてPSG検査で精密な診断を行う流れになります。

 

検査結果を踏まえて確定診断がついたら、次は適切な治療方針の決定となります。

 

耳鼻科と他の診療科の違い

睡眠時無呼吸症候群の診療には、耳鼻咽喉科の他にも様々な診療科が関与します。SASは全身に影響を及ぼす疾患であり、多職種・多診療科なアプローチが重要だからです【2】。

 

実際、ガイドライン作成にも呼吸器内科、循環器内科、耳鼻咽喉科、精神科、歯科口腔外科など多くの専門分野の医師が関わっており【2】、それぞれの専門性を活かした連携診療が推奨されています。

 

耳鼻科は先述のとおり上気道の評価と治療を専門とするため、鼻や喉の形態的な問題の是正に強みがあります。

 

具体的には、SASの原因となる鼻詰まりや扁桃肥大、軟口蓋の肥厚などに対して外科的治療(手術)を行ったり、CPAP使用時に鼻の通りを良くする処置を行ったりします(後述)【3】。

 

一方、呼吸器内科は肺や気道疾患の専門であり、SASの標準治療であるCPAP療法の導入・管理や、併存する肺疾患(COPDや喘息など)がある場合の全身管理を担うことが多いです。

 

循環器内科はSASと関連の深い高血圧や心不全、不整脈など心血管疾患の管理を行い、心不全に伴う中枢型無呼吸(チェーンストークス呼吸)の治療などに長けています。

 

歯科(歯科口腔外科)はマウスピース(口腔内装具)療法の作製・調整を担う分野です。SAS患者さんに適切なマウスピースを作るには歯科医師の専門技術が必要であり、耳鼻科や内科からの依頼を受けて装置を作製します。

 

さらに、睡眠医療の専門科(睡眠外来)は、これら各科を横断する立場でSAS診療にあたります。

 

睡眠専門医には呼吸器・精神神経・耳鼻科など様々なバックグラウンドの医師がおり、SAS以外の睡眠障害の合併評価や、治療効果判定、他科への橋渡しをする役割があります。

 

このように各分野が役割を持っていますが、患者さんはまずどこか一つの診療科を受診すれば大丈夫です。

 

すでに耳鼻科で受診中の場合は耳鼻科で継続治療(ただし耳鼻科でも無呼吸症候群の対応をしていない場合もあります)を受けられますし、必要があれば耳鼻科医から他科(呼吸器内科や歯科など)への紹介も行われます。

 

逆に内科等から耳鼻科へ手術目的で紹介されるケースもあります。

 

重症例や合併症が多いケースでは、総合的に診られる睡眠医療センター(専門施設)に転院いただくこともあります【2】。

 

ガイドラインでも、一般医(プライマリケア医)はいびきや日中眠気などSASを疑う患者をまず適切に診断し、高度な治療が必要な場合には睡眠専門施設へ紹介することが推奨されています【2】。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

耳鼻科で行う治療方法

睡眠時無呼吸症候群の治療は、患者さんの重症度や原因に応じて最適な方法を組み合わせて行います。

 

基本となるのは生活習慣の是正で、特に肥満のある方では減量によってSASが大幅に改善する可能性があります【2】。

 

ガイドラインでも「全ての肥満患者に減量指導を行う」ことが強調されており【2】、実際に体重を減らすと無呼吸の程度(AHI)が減少し、症状が軽快するケースが多く報告されています。

 

また、就寝前の飲酒は喉の筋肉を弛緩させ無呼吸を悪化させるため控える、十分な睡眠時間を確保する、仰向けで寝ると無呼吸が増える人は横向きで寝る工夫(体位療法)をする、といった生活上の対策も有用です。

 

これらの基礎を踏まえた上で、SASの主な治療として以下のような方法があります。

 

CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)

CPAP(シーパップ, Continuous Positive Airway Pressure)療法は、中等症~重症の閉塞型SASに対する第一選択の治療法です【2】。

 

専用の小型機器にホースで繋がったマスクを鼻(場合により鼻と口)に装着して就寝すると、寝ている間ずっと一定の空気圧を喉に送り込み、気道内圧を高く保つことで喉の通り道が塞がらないようにします。

 

いわば「寝ている間ずっと気道を空気で支える添木を当てている」ようなイメージで、これにより無呼吸の発生をほぼ完全に防ぐことができます。

 

SASの治療として1980年代に登場して以来、その有効性は世界中で確立しており【2】、現在でも最も効果的な治療法です。

 

CPAPを使用すると睡眠中の無呼吸・低呼吸がほぼゼロに抑えられるため、睡眠の質が飛躍的に改善し、日中の眠気も多くの患者さんで劇的に軽減します

 

研究により、CPAP治療によって高血圧が改善する(SAS患者では夜間血圧が低下し、起床時の血圧が下がる)ことや、放置すれば心血管疾患を起こしやすかった重症SAS患者でCPAP使用者は非使用者に比べて将来の心疾患・脳卒中の発症率が有意に低下したことが報告されています【2】【4】。

 

このように健康面で大きなメリットが得られるため、睡眠中に無呼吸が頻発する中等症以上の方には原則としてCPAP療法がすすめられます。

 

CPAP療法は1998年に日本で保険適用となって以来急速に普及し、現在では50万以上の患者さんがCPAPを利用している標準的治療です【1】。

 

機器本体は小型で、自宅の枕元で使用できます。

 

マスクの形状も鼻に装着する小型のものから鼻口覆うものまで様々あり、装着感の向上した新しいモデルも登場しています。

 

それでも最初は「就寝時に機械に繋がれる」という違和感から抵抗を感じる方もおられますが、多くの場合は数日~数週間で慣れてしまい、その効果を実感できればむしろ手放せなくなると言われます。

 

実際、CPAP導入患者の80%以上が治療を継続できているというデータもあります。

 

効果を十分得るためには毎晩しっかり使用すること(継続使用すること)が重要で、使用時間が長いほど症状や合併症の改善効果も高まることがわかっています【4】。

 

一般には「少なくとも1晩あたり4時間以上」の使用が推奨されており、眠っている間できるだけ長時間マスクを着けることが望ましいです(もちろん可能ならば就寝から起床までフルに使用するのが理想です)。

 

治療開始後は定期的に医療機関で効果判定や機器の動作確認を行いますが、近年は遠隔モニタリングシステムが確立しており、CPAP装置に内蔵された通信機能で使用データ(使用時間や無呼吸低呼吸指数、マスク漏れなど)を医療側が把握して適切に指導することができます【1】。

 

日本でも2018年からCPAP遠隔モニタリングが保険診療として認められており【1】、通院の負担軽減に役立っています。

 

以上のように、CPAP療法はSAS治療の柱となる非常に有効な方法ですが、残念ながらすべての患者さんに適用できるわけではありません

 

マスクや機械にどうしても慣れず使用を継続できない方や、鼻づまりがひどく十分な気流を送れない方、軽症でCPAPの適応とならない方などもいます。

 

そのような場合には、他の治療法を検討することになります。

 

外科手術による治療(上気道の手術)

耳鼻科では、睡眠時無呼吸の原因となっている鼻・喉の構造的問題を外科的に改善する治療も行っています。

 

SASに対する外科手術の目的は、上気道(空気の通り道)を物理的に拡げて無呼吸の発生を減らすことです。

 

代表的な手術は、喉の奥の余分な軟部組織を切除・縮小して気道を広げる咽頭手術です。

 

具体的には、軟口蓋や口蓋垂(いわゆるノドチンコ)を切除・縫縮する口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)や、肥大した扁桃を摘出する扁桃摘出術が行われます。

 

これらにより咽頭腔が拡大し、空気の通り道が広がっていびきの音量低下や無呼吸エピソードの減少が期待できます【3】。

 

また、重度の鼻づまりが無呼吸を悪化させている場合には、鼻中隔矯正術(曲がった鼻中隔軟骨をまっすぐ矯正する手術)や下甲介粘膜切除・焼灼術(肥厚した鼻粘膜を減容する処置)などの鼻手術を行い、鼻呼吸の改善を図ります。

 

鼻の通りが良くなると睡眠中の呼吸効率が上がり、それ自体で無呼吸が軽減するほか、CPAP療法で必要な空気圧を下げられるためCPAP機器をより快適に使えるようになるという報告もあります【3】。

 

このように、耳鼻科領域の手術は主に鼻腔や咽頭の空気路を拡大することを目的としており、適切な症例ではQOLの向上に寄与します【1】。

 

一方で、外科手術には侵襲(からだへの負担)が伴うため慎重な適応判断が必要です。

 

手術そのものは全身麻酔下で行われ、入院が必要になります。術後には痛み出血のリスクがあり、咽頭手術の場合は声の変化(鼻に抜ける声になる)や嚥下時の違和感などが生じることがあります【1】。

 

特にUPPP後は、一部の患者さんで軟口蓋の閉鎖不全(飲食物が鼻に抜けやすくなる)や長引く咽喉の違和感、味覚の一時的な変化などが報告されています【1】。

 

また、レーザーによる簡易的な咽頭手術(LAUP)はかつていびき治療として行われたこともありましたが、効果が不確実で瘢痕による気道狭窄の副作用が指摘されたため現在は推奨されていません【1】。

 

このようにリスクもあるため、手術は基本的に「他の治療が困難な場合」や「解剖学的に明らかな原因が存在する場合」に検討されます【1】。

 

ガイドラインでも「CPAPや口腔装具が使用できない症例で、耳鼻咽喉科的手術の適応がある場合に、副作用について十分説明した上で施行を提案する」ことが推奨されています【1】。

 

例えば、扁桃肥大が著明でそれが主な原因と思われる成人症例や、CPAPをどうしても使えない重症例で軟口蓋肥大がある場合などには、手術が選択肢となります。

 

特に小児の閉塞型SASでは、原因の多くが扁桃肥大・アデノイド増殖症であるため、耳鼻科でのアデノイド・扁桃摘出術が第一選択となり、多くの症例でSASが根治することが知られています(小児SASでは成人と異なり手術適応が広くなります)。

 

なお、SASに対する外科的アプローチには耳鼻科領域の手術以外に顎顔面の骨格に対する手術もあります。

 

下顎が小さく咽頭が狭い骨格的な要因が大きい場合には、上下の顎骨を前方に移動させる顎顔面形成術(顎矯正手術)が有効です【3】。

 

これは形成外科や口腔外科で行われる大掛かりな手術ですが、気道容積を飛躍的に広げることができ、CPAP療法が困難な重症例に対して根治を目指して行われることがあります【3】。

 

近年では、舌の筋肉を支配する舌下神経にペースメーカー様の装置を埋め込み、睡眠中に舌筋を電気刺激して気道閉塞を防ぐ「舌下神経刺激療法」といった最新の治療法も一部で導入されていますが(日本では未承認)、現時点では適応となる限られた症例に対する研究段階の治療です。

 

総じて、耳鼻科領域の外科治療は「患者さんごとの解剖学的問題を直接改善する」アプローチであり、効果の現れ方には個人差があります。

 

単独の手術でSASが完治するケースもあれば、無呼吸の程度は改善しても完全には消失せず、引き続きCPAPやマウスピースが必要となるケースもあります。

 

ただし手術によりいびきや日中の眠気などの自覚症状が大きく改善し生活の質(QOL)が向上することは多く報告されており【1】、患者さんの状態に応じて適切な手術が検討されます。

 

マウスピース(口腔内装具)による治療

マウスピースによる治療は、睡眠時にマウスピース型の装置(スリープスプリントとも呼ばれます)を装着することで下あごを前方に固定し、喉の奥の気道を広げて無呼吸を防ぐ治療法です。

 

下顎を前に出すことで舌根部が引き上げられ、仰向けに寝ても舌や軟口蓋が喉を塞ぎにくくなります。

 

また、装置装着中は口が半開きにならないため口呼吸から鼻呼吸に矯正する効果もあり、いびきの音量低下にも寄与します【5】。

 

この治療は軽症~中等症の閉塞型SASや、重症でもCPAPがどうしても使えない症例に対して適用されます【1】。

 

ガイドラインでも、AHIが軽度だが日中の眠気など症状がある場合には第一選択肢となりうること、また中等症以上でもCPAP非適応例や不耐容例では有用であるとされています。

 

マウスピース治療を行う場合は、まず耳鼻科や内科でSASの診断を確定した上で歯科口腔外科に依頼し、専門の歯科医師が患者さん個人に合わせた装置を作製します。

 

上下の歯型を取り、咬み合わせの具合を計算して作られるオーダーメイドの医療用マウスピースで、市販の簡易いびき防止マウスピースとは全く別物です。

 

完成した装置を就寝時に装着していただき、装着後に再度睡眠時の無呼吸の程度を検査して効果を確認します(装置が合っていない場合は歯科で調整を行います)。

 

このように医科と歯科の連携で進める治療になります。

 

マウスピース治療のメリットは、患者さんの負担が比較的少ないことです。

 

CPAPのように機械やホースに繋がれる必要がなく、装置も小さいため旅行先などへも携行しやすいです。

 

また電源も不要です。

 

一方でデメリットとしては、治療効果がCPAPと比べてやや劣る点が挙げられます【1】。

 

無呼吸を完全に抑制する力はCPAPほど強くありませんが、それでも多くの患者さんでAHIの改善(無呼吸低呼吸の減少)や症状の軽減が得られます【1】。

 

特にいびきについては顕著に小さくなる例が多く、 一緒に寝る人の睡眠も守れるという利点もあります。

 

実際の臨床研究でも、CPAPほどAHIは下がらないものの患者さんの主観的な眠気や生活の質(QOL)の改善効果はCPAPに匹敵するとの報告もあります【1】【3】。

 

これはマウスピースのほうが違和感が少なく長時間使用しやすい(夜通し装着しやすい)ためと考えられています【3】。

 

また、血圧への効果に関しても興味深いデータがあります。ある大規模臨床研究では、CPAPとマウスピースのいずれも収縮期・拡張期血圧を数mmHg程度低下させる効果があり、両者の降圧効果に有意差は認められなかったと報告されています【4】。

 

つまり、適切な患者さんに用いればマウスピースでもCPAPと同等に心血管リスクの改善が期待できる可能性があります【4】。

 

マウスピース治療にも留意点があります。

 

装置に慣れるまで顎関節や歯に痛み・違和感を生じることがあり、起床時に一時的に噛み合わせがずれる感じがすることもあります。

 

また長期間使用することでわずかに歯並びや咬合が変化してくるケースも報告されています【1】。

 

そのため、定期的に歯科での経過チェックと装置の調整を受けることが大切です。

 

総じて副作用は軽微で可逆的なものがほとんどですが、治療を続けるうえでは歯科医師との協力が欠かせません。

 

マウスピースによる治療は2004年から睡眠時無呼吸症候群に対して健康保険が適用となっています【5】。

 

そのため、SASと確定診断された上で医科から歯科へ紹介状を持参すれば、保険診療(3割負担の場合)で1~2万円程度の自己負担費用で装置を作製することが可能です【5】(装置の種類によっては保険適用外の場合もありますので担当医にご相談ください)。

 

保険適用となったことで経済的ハードルも下がり、多くの患者さんがマウスピース治療を選択できるようになりました。

 

以上、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法であるCPAP、手術、マウスピースについて説明しました。

 

軽症の方ではまず生活習慣の改善とマウスピースで経過を見て、無呼吸が著明な方ではCPAPを導入し、解剖学的問題が大きい場合には手術を組み合わせる、といったように患者さんごとに最適な治療計画を立てることが重要です。

 

耳鼻科では、これら治療法の選択において上気道の専門知識を活かし、必要に応じて他科とも連携しながら、SAS患者さんの症状改善と合併症予防に努めていきます。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が何より大切です。

 

上記の症状に思い当たる方、大きないびきを指摘されている方、昼間の異常な眠気にお困りの方は、ぜひ一度専門の医師にご相談ください。

 

当院・森下駅前クリニック(内科・呼吸器内科)では、通院の負担を減らせるオンライン診療(遠隔診療)にて睡眠時無呼吸症候群の診療を行っております。

 

ビデオ通話を用いたオンライン診察で問診を行い、必要と判断した場合は簡易検査機器をご自宅へ郵送して睡眠検査を実施します。

 

検査の結果SASと診断された際には、対面診療と同様に保険適用でCPAP療法の導入を行います。

 

CPAP装置一式をご自宅にお送りし、使用方法はオンラインで丁寧に指導いたしますので、ご安心ください。

 

CPAP治療中も遠隔モニタリングにより機器の使用状況データを確認できるため【1】、オンライン診療下でも適切に治療効果を把握しフォローアップを行えます。

 

忙しくて通院の時間が取りにくい方や遠方にお住まいの方でも、自宅にいながら専門的な睡眠医療を受けていただけます。

 

睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。

 

私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は森下駅前クリニックまで
保険適用

睡眠時無呼吸症候群かもと思ったら

簡単な質問に答えてすぐにチェックができます。

1分で簡単 セルフチェック

診察も検査も自宅でOK オンライン診療

24時間365日受付、自宅にいながら診療いたします。

オンライン診療の予約はこちら

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

参考文献(References)

[1] Chin K, Akashiba T, Inoue Y, et al. Guideline Sleep Apnea Syndrome (SAS) Clinical Practice Guidelines 2020. Sleep and Biological Rhythms. 2022;20(1):–.​

[2] Shiomi T, Sasanabe R. Advances in Diagnosis and Treatment of Sleep Apnea Syndrome in Japan. JMAJ. 2009;52(4):224–230

.

[3] Choudhury N, Deshmukh P. Obstructive Sleep Apnea in Adults and Ear, Nose, and Throat (ENT) Health: A Narrative Review. Cureus. 2023;15(10):e47637

[4] Bratton DJ, et al. CPAP vs Mandibular Advancement Devices and Blood Pressure in Patients with OSA: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA. 2015;314(21):2280-2293​

[5] 一般財団法人運輸・交通SAS対策支援センター. 「マウスピースによる治療」(睡眠コラム)2023年​

 

©2024 - 森下駅前クリニック

日付:  カテゴリ:検査 and tagged , ,