睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?どんな病気かやさしく解説
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。
この呼吸停止(無呼吸)が一晩に何十回、時には何百回も繰り返されることがあります[1]。
無呼吸が10秒以上続き、それが1時間あたり5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上発生する場合に診断されます[2]。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には主に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」と「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)」の2種類があります。
日本では成人の約3〜7%がOSASを持つと推定されており、特に中高年の男性に多く見られます[3]。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんは質の良い睡眠が得られないため、日中の強い眠気や疲労感を感じ、集中力低下や記憶力の問題を抱えることがあります。
長期間放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などの深刻な健康問題のリスクが高まります[4]。
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症状チェック|こんな症状がある人は要注意
睡眠時無呼吸症候群には特徴的な症状があります。
ご自身やご家族に以下の症状が見られる場合は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を考慮する必要があります:
- 夜間の症状:
- いびきが大きく、時々途切れる[5]
- 睡眠中に呼吸が止まる(家族に指摘されることが多い)
- 息苦しさで目が覚める
- 夜間の頻尿
- 寝汗がひどい
- 日中の症状:
- 起床時の頭痛
- 日中の過度な眠気[6]
- 集中力や記憶力の低下
- イライラや抑うつ感
- 疲労感が取れない
特に、大きないびきと日中の強い眠気の組み合わせは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重要な警告サインです[7]。
また、肥満(BMI 25以上)、首が太い、顎が小さいなどの身体的特徴がある方も注意が必要です。
当院では、詳細な症状評価のためのESS(エプワース眠気尺度)質問票を用いた評価も行っています。
睡眠に関する不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因と病気の種類
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
OSASは最も一般的なタイプで、睡眠中に上気道(喉の奥)が物理的に狭くなったり塞がったりすることで発生します[8]。
主な原因と危険因子には:
- 解剖学的要因:扁桃肥大、小顎症、舌が大きい、口蓋垂が長い
- 肥満:特に内臓脂肪型肥満[9]
- 加齢:筋肉の緊張低下により上気道が閉塞しやすくなる
- 生活習慣:アルコール摂取、睡眠薬の使用、喫煙
- 遺伝的要因:家族歴が関連する場合もある
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
CSASは比較的まれで、脳から呼吸筋への信号伝達の問題によって生じます[10]。
主な原因には:
- 心不全などの心臓疾患
- 脳卒中後遺症
- 脳幹の障害
- 特定の薬物(オピオイド系鎮痛薬など)の使用
複合性睡眠時無呼吸症候群
閉塞性と中枢性の特徴を併せ持つタイプもあります。
特に、CPAP治療を開始した後に中枢性の要素が顕在化することがあります[11]。
放置はNG!関連する病気とリスク
睡眠時無呼吸症候群を放置することは、様々な健康リスクを高めます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)により引き起こされる慢性的な低酸素状態と睡眠の質の低下は、以下のような合併症のリスクを増大させます:
循環器系への影響
- 高血圧:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の約50%に高血圧が見られます[12]
- 心不全:無呼吸による低酸素状態が心臓に負担をかけます
- 不整脈:特に心房細動のリスクが2〜4倍に増加[13]
- 冠動脈疾患:心筋梗塞のリスクが増加
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代謝系への影響
- 2型糖尿病:インスリン抵抗性の悪化[14]
- 脂質異常症:コレステロール値の上昇
- メタボリックシンドローム:睡眠時無呼吸症候群(SAS)との強い関連性が示されています
神経系への影響
- 脳卒中:中等度から重度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者では脳卒中リスクが2〜3倍[15]
- 認知機能低下:記憶力や判断力の低下
- うつ病や不安障害:精神的健康への悪影響
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日常生活への影響
- 交通事故:睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の交通事故リスクは2〜7倍[16]
- 仕事の生産性低下:集中力や判断力の低下による
- 生活の質の全般的な低下
これらのリスクは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度と相関しており、適切な治療によって多くの合併症を予防または改善することができます[17]。
早期発見・早期治療が非常に重要です。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の調べ方・検査方法
睡眠時無呼吸症候群の診断には、段階的なアプローチが取られます:
初期評価
- 問診:睡眠の質、日中の眠気、いびきなどの症状について詳しくお聞きします
- 身体検査:BMI、血圧、上気道の評価など
- 質問票評価:エプワース眠気尺度(Epworth sleepiness Scale:ESS)などを用いた自覚症状の評価[18]
睡眠検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の確定診断には睡眠検査が必要です。主に以下の2種類があります:
- 簡易型睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)
- 自宅で行える検査
- 酸素飽和度、気流、呼吸運動、体位、脈拍などを測定
- 最初のスクリーニングとして広く使用されています[19]
- 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
- 専門施設で一晩かけて行う精密検査 ※※自宅検査可能な機器もあり。
- 脳波、眼球運動、筋電図なども含めた詳細な評価が可能
- 重症例や診断が難しい場合に実施[20]
検査で評価される主な指標
- 無呼吸低呼吸指数(AHI):1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数
- 軽症:5 ≤ AHI < 15
- 中等症:15 ≤ AHI < 30
- 重症:AHI ≥ 30 [21]
- 酸素飽和度低下指数(ODI):1時間あたり酸素飽和度が3%以上低下する回数
- 最低酸素飽和度:睡眠中の最も低い酸素飽和度
当院では、症状や状況に応じて適切な検査をご案内しています。
簡易検査は自宅で手軽に行えるため、まずはこちらからスタートすることが多いです。
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睡眠時無呼吸症候群の治療には、重症度や原因に応じていくつかのアプローチがあります。
多くの治療法は健康保険が適用されます。
生活習慣の改善
- 減量:肥満がある場合、体重の5-10%減量でもAHIが20-50%改善することがあります[22]
- 睡眠姿勢の工夫:側臥位での睡眠を促す方法(体位療法)
- アルコール・睡眠薬の制限:就寝前の摂取を控える
- 禁煙:喫煙は上気道の炎症を悪化させます
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持続陽圧呼吸療法(CPAP)
CPAPは中等症から重症のOSASに対する第一選択治療です。
マスクを通じて気道に適切な圧力の空気を送り、気道の閉塞を防ぎます[23]。
- 効果:適切に使用すれば、ほぼ全ての無呼吸・低呼吸を解消
- 保険適用:終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)でAHI 20以上(簡易PSG検査では40以上)、または日中の強い眠気や合併症がある場合はAHI 5以上で保険適用
- 治療管理:定期的な通院と機器データの確認が必要
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口腔内装置(マウスピース)
軽症から中等症のOSAS、またはCPAPに不耐性の方に適しています。
- 作用機序:下顎を前方に固定し、気道空間を確保
- 効果:AHIを平均50%程度改善[24]
- 保険適用:歯科医院での製作・調整に保険が適用されます
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手術療法
解剖学的異常が明らかな場合に考慮されます。
- 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術:軟口蓋や口蓋垂の過剰組織を切除
- 扁桃摘出術:扁桃肥大がある場合
- 上下顎前方移動術:顎の形態異常が主因の場合[25]
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その他の治療法
- 舌下神経刺激療法:特殊な埋め込み装置で舌の筋肉を刺激
- 中枢性睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療:原疾患(心不全など)の治療や適応性サーボ換気療法
治療法の選択は、症状の重症度、検査結果、患者さんの希望や生活状況などを総合的に考慮して行います。
当院では一人ひとりに合った最適な治療プランをご提案しています。
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合はオンライン診療へ
睡眠時無呼吸症候群は早期発見・早期治療が重要です。
この記事でご紹介したような症状—大きないびき、日中の強い眠気、睡眠中の呼吸停止—が心当たりある方は、ぜひ一度ご相談ください。
森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。
自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。
24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。
SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。
睡眠時無呼吸症候群かな?と思ったら、まずはお気軽に森下駅前クリニックのオンライン診療をご利用ください。
私たち専門医が、一人ひとりに合った最適な検査・治療プランをご提案し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻すお手伝いをいたします。
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合併症
症状
原因
傾向
疑い
参考文献
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