眠気が取れないのは睡眠時無呼吸症候群(SAS)のせい?放置すると危険な理由とは

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる疾患です。

十分な睡眠時間をとっていても呼吸が何度も中断されるため睡眠の質が低下し、患者の多くに日中の強い眠気(過度の眠気)が生じます [1]。

日中の眠気は居眠り運転など重大な事故につながる可能性があり、SASを放置することは危険です。

 

本記事では、SASが引き起こす眠気のメカニズムと、それを放置することによるリスクについて、エビデンスに基づき解説します。

また、眠気を改善する治療法や、疑わしい症状がある場合の受診についても紹介します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?眠気との関係を解説

SASの病態生理(なぜ眠気を引き起こすのか)

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に気道が狭くなって呼吸が何度も止まることで、体内に十分な酸素が取り込めなくなる疾患です。

特に閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)では、喉の筋肉や舌が緩むことで上気道が閉塞し、一時的に呼吸が停止(無呼吸)または低下(低呼吸)します [2]。

その結果、血中の酸素濃度が低下し、体は窒息を防ぐために繰り返し覚醒反応を起こします(浅い眠りへ移行し呼吸を再開させる) [2]。

一晩の睡眠中に何十回・何百回と起こるこうした断続的な低酸素状態と睡眠の分断(断片化)により、睡眠の質は著しく低下し、脳と身体が十分に休息できません [2]。

その結果、翌日の日中に強い眠気や疲労感が生じるのです。

 

さらに近年の研究では、SASで生じる慢性的な低酸素状態と睡眠断片化が脳の覚醒維持に関わる神経細胞に酸化ストレスなどのダメージを与えうることも示唆されています [1]。

これらの生理学的メカニズムも、SAS患者で過度の眠気(Excessive Daytime Sleepiness, EDS)が起こる一因と考えられています。

 

SASによる眠気の評価方法(ESSなど)

SASの患者でどの程度日中に眠気があるかを調べるために、Epworth眠気スケール(ESS)という質問票がよく用いられます。

ESSは日常生活の8つの場面について「どのくらい居眠りしやすいか」を0~3点で自己評価するもので、合計点で眠気の程度を数値化できます。

一般に合計スコアが10以上であれば日中の過度の眠気が示唆されます [1]。

ESSは簡便なチェック法として広く使われており、ご自身でインターネット等で調べて実施することも可能です。

結果が高得点だった場合は専門医に相談するとよいでしょう。

 

眠気が続くと危険?放置すると起こるリスク

SASによる睡眠中の低酸素や断片化された睡眠は、日中の眠気以外にも様々な健康被害をもたらします。

実際、未治療のSASは高血圧や心臓病、脳卒中、認知機能障害、交通事故など数多くの重大なリスク要因と関連することが報告されており、ガイドラインでも放置の危険性が指摘されています [3]。

代表的なリスクを以下に解説します。

 

交通事故・労働災害のリスク増加

日中の強い眠気は注意力や判断力の低下を招き、自動車の居眠り運転による事故リスクを高めます。

実際、ある研究では未治療SAS患者の自動車事故リスクは健常者の約2.5倍にも上ることが報告されています [4]。

しかし同じ研究で、持続陽圧呼吸(CPAP)による治療を継続している患者では事故発生率が健常者と同等レベルまで低下しており、適切な治療介入でリスクを軽減できることが示されています [4]。

同様に、日中の眠気が原因で重機操作中のミスなど労働災害につながる危険も指摘されています。

 

認知機能の低下と認知症リスク

SASを放置すると脳の認知機能にも悪影響があります。

慢性的な睡眠不足や低酸素状態により記憶力・集中力の低下が生じ、重症SAS患者では認知機能検査で明らかな障害が認められるケースも報告されています [5]。

さらに長期的には認知症を発症するリスクも高まる可能性が指摘されています。

実際、疫学研究においてSAS患者は同年齢の非SAS患者に比べて将来認知症を発症する割合が有意に高かったとの報告があります [5]。

こうした慢性的な低酸素や睡眠障害が脳の老化を加速させる可能性があります。

 

高血圧・心血管疾患の悪化

SASは循環器系の疾患リスクとも密接に関係します。

睡眠中に繰り返される低酸素状態や覚醒反応は交感神経を活性化し、血圧の恒常的な上昇(高血圧)を招きます。

実際、未治療SASの患者では高血圧の発症率が高く、また既に高血圧がある場合には治療抵抗性(薬が効きにくい)高血圧の原因となることがあります [3]。

さらにSASは心臓病(冠動脈疾患や心不全)や脳卒中のリスクとも関連しており [3][5]、長期間放置すると動脈硬化性疾患を進行させる要因となりえます。

夜間の無呼吸発作中に不整脈(例えば心房細動や徐脈/頻脈)が誘発されることもあり、SAS治療によって夜間の不整脈発生が減少するケースも報告されています。

 

うつ病・精神的健康への影響

SASによる慢性的な睡眠不足や酸素低下は精神面にも影響します。

SAS患者には抑うつ症状を呈する人が多いことが知られており(SAS患者のうつ病合併率は一般人口より高いとされます)、近年のメタ解析ではSASがある人は将来うつ病を発症するリスクがおよそ2倍に増加するとの報告もあります [6]。

実際にSAS患者では日中の倦怠感や意欲低下、イライラ感など精神的な不調を訴える場合も多く、症状が重いと仕事や対人関係にも支障を来すことがあります。

SASの適切な治療により睡眠の質が改善すると、こうした抑うつ症状が改善するケースも報告されています。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)による眠気を改善する方法

幸い、SASによる眠気や合併症リスクは適切な治療によって大きく改善する可能性があります。

ここでは主な治療法とそのエビデンスを紹介します。

 

CPAP(持続陽圧呼吸療法)

中等症~重症のSASに対する第一選択の治療です。

就寝時に鼻や口に装着したマスクから気道に空気を送り込み、のどの気道閉塞を防止することで睡眠中の無呼吸・低呼吸をほぼ完全に抑制します。

CPAPによって睡眠の質が向上し、多くの患者で日中の強い眠気が劇的に改善すると報告されています [1]。

また、交通事故リスクや心血管リスクの低減効果も示されており [4][5]、SAS治療の中心的存在と言えます。

 

体重管理・生活習慣の改善

肥満はSASの重要な原因であり、減量により無呼吸指数(AHI)が大きく改善するデータがあります [7]。

BMIが高い場合は減量指導が優先されます。また、喫煙や寝酒(飲酒)は気道を狭め、無呼吸を悪化させるため控えることが推奨されます。

さらに、仰向けではなく横向き姿勢で寝るなど、睡眠姿勢の工夫も有効です。

 

マウスピース(口腔内装置)による治療

CPAPが使えない患者や中等症程度までのSASでは、マウスピース型の口腔内装置を就寝時に装着し、下顎を前方に固定して気道を確保する方法が用いられます [2]。

CPAPほどの強い効果はありませんが、眠気の改善例が多数報告されています。

ただし歯科での作製や調整が必要で、歯列や顎関節の状態によっては適応外の場合があります。

 

外科手術・その他

扁桃肥大、鼻中隔湾曲など解剖学的な問題が大きい場合や、重度肥満では外科的治療(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術・肥満外科手術など)が検討されることがあります [2]。

ただし長期的な効果にばらつきがあり、慎重に適応を見極める必要があります。

薬物療法としては、CPAP治療を行っても残る日中の過度の眠気に対して中枢神経刺激薬(モダフィニルなど)を使う場合がありますが、これはあくまで補助的手段です。

 

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こんな症状があれば要注意!早めの受診を推奨

SASは自覚しづらい場合もあるため、以下のような症状がみられるときは特に注意が必要です:

  • いびきが大きい、睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される
  • 日中に耐えがたい眠気がある(居眠り運転の経験など)
  • 夜間頻尿がある、朝起きても熟睡感がない
  • 集中力・記憶力の低下、倦怠感、気分の落ち込み
  • 高血圧・心臓病・脳卒中を指摘されている
  • 肥満体型で首まわりの脂肪が多い

 

該当する症状があれば、耳鼻咽喉科や呼吸器内科、睡眠科などで一度相談し、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)や簡易検査を受けることが推奨されます。

SASと診断されたら、早めに治療を始めることで合併症リスクを大きく低減できます。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「忙しくて病院に行く時間がない」「まずは手軽に相談したい」という方には、オンライン診療の利用もおすすめです。

 

森下駅前クリニックでは、SASの診察・検査に対応したオンライン診療を行っています。

自宅からスマートフォンやパソコンで専門医に相談でき、必要に応じて簡易睡眠検査機器を宅配で受け取って自宅で測定が可能です。

24時間予約を受け付けているため、隙間時間で受診しやすいメリットがあります。

 

SASは適切に治療すれば、眠気が改善し、事故や合併症のリスクを大幅に減らすことができる病気です。

長期間にわたって眠気が取れないと悩んでいる場合や、いびき・無呼吸の指摘がある方は、早めに専門医に相談し、必要な検査・治療を受けて快適な睡眠と日常生活を取り戻しましょう。

 

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参考文献

[1] Lal C, et al. Excessive Daytime Sleepiness in Obstructive Sleep Apnea: Mechanisms and Clinical Management. Ann Am Thorac Soc. 2021;18(5):757-768.
[2] Semelka M, et al. Diagnosis and Treatment of Obstructive Sleep Apnea in Adults. Am Fam Physician. 2016;94(5):355-360.
[3] British Columbia Ministry of Health. Obstructive Sleep Apnea (OSA): Assessment and Management in Adults – BC Guideline. 2020.
[4] Karimi M, et al. Sleep Apnea Related Risk of Motor Vehicle Accidents is Reduced by Continuous Positive Airway Pressure: Swedish Traffic Accident Registry Data. Sleep. 2015;38(3):341-349.
[5] Kales SN. Obstructive Sleep Apnea and Work Accidents: Time for Action. Sleep. 2016;39(6):1211-1213.
[6] Edwards C, et al. Obstructive sleep apnea and depression: A systematic review and meta-analysis. Maturitas. 2020;142:45-54.
[7] St-Onge MP, Tasali E. Weight loss is integral to OSA management: Ten-year follow-up in Sleep AHEAD. Am J Respir Crit Care Med. 2021;203(2):e7-e8.

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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咳と睡眠時無呼吸症候群(SAS)の関係|考えられる原因と改善策を解説

 

長引く咳に悩まされる原因は実に様々です。

一般には風邪の後遺症やアレルギー、喘息などが思い浮かびますが、実は睡眠時無呼吸症候群(SAS)も咳に関係している可能性があります。

SASは就寝中に何度も呼吸が止まる疾患で、いびきや日中の強い眠気の原因として知られています。

しかし近年の研究で、SASが慢性的な咳を引き起こす一因になり得ることが示唆されています[1]。

実際、慢性の咳患者の約40%にSASが見つかり、SASを治療したところその93%で咳が改善したとの報告もあります[1]。

なぜ睡眠中の無呼吸が咳に関係するのか、本記事ではそのメカニズムと対処法について、医学的エビデンスに基づき解説します。

 

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咳が止まらない原因

8週間以上続く慢性的な咳(慢性咳嗽)の原因として、一般的に次のようなものが挙げられます[2]。

  • 風邪や気管支炎などの感染症後の咳(いわゆる遷延性咳嗽
  • アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎による後鼻漏(こうびろう)症候群(UACS
  • 気管支喘息(特に咳だけが主症状となる咳喘息
  • 胃食道逆流症GERD、胃酸の逆流による刺激性の咳)
  • 喫煙(慢性気管支炎やCOPDによる咳)

 

これらが非喫煙者で肺の病変がない人の慢性咳の約90%を占めるとされています[2]。

しかし、原因となりうる疾患を治療しても改善しない「原因不明の咳」も存在します[2]。

そのような難治性の咳の要因の一つとして、睡眠時無呼吸症候群(SAS)も考慮すべきです[1]。

近年のガイドラインでは咳の診療においてOSA(閉塞性睡眠時無呼吸)の評価が推奨され始めており[1]、咳が止まらない場合にはSASの有無をチェックすることが重要になってきています。

 

睡眠中に咳が止まらないのはSASと関係があるのか?

夜間就寝中に咳き込んで目が覚めたり、寝ている間も咳が続く場合、SASとの関連が疑われます。

医学的なエビデンスから、SASが咳を引き起こす仕組みとして次のようなメカニズムが考えられています[3][4][5]。

 

気道閉塞による炎症と過敏性

SASでは睡眠中に咽頭が閉塞と開通を繰り返し、いびきによる振動や機械的刺激で気道の粘膜が傷つき炎症を起こします[3]。

その結果、喉や気管の粘膜に炎症性物質が蓄積し、咳の神経受容体が敏感になると考えられています[3]。

また無呼吸により血中酸素が何度も低下するため、こうした低酸素ストレスも気道の炎症反応を促進しかねません。

 

胃食道逆流(GERD)の誘発

SASでは無呼吸の際に強い吸気努力が起こり胸腔内圧が大きく低下します。

その結果、胃酸が食道へ逆流しやすくなり[4]、夜間の胃食道逆流症による咳を引き起こすことがあります。

実際、SAS患者ではGERDを合併しやすいことが知られ、さらにCPAP療法(持続陽圧呼吸療法)によって胃酸逆流の発生が減少するとの報告もあります[4]。

 

咽頭・喉頭の神経機能異常

長期間SASに晒されることで、上気道の神経反射系にも変化が生じる可能性があります。

睡眠中の気道閉塞や低酸素状態が続くと、喉頭や気道の防御反射をつかさどる神経経路に障害を与え、咳反射の調節異常(必要以上に咳が出やすい状態)を招くとの指摘もあります[5]。

 

以上のように、SASがあると気道そのものが刺激されやすくなったり、胃酸逆流など間接的な要因も重なって睡眠中に咳が出やすい状態になります。

実際に、SASと慢性咳嗽の関連を調べた臨床研究では、SASを適切に治療すると咳の症状が有意に改善することが示されています。

あるランダム化比較試験(RCT)では、不明原因の慢性咳嗽患者にSASが確認された場合にCPAP治療を行ったところ、偽装CPAP(プラセボ)を行った対照群に比べて咳による生活の質が有意に向上しました[6]。

このようなエビデンスは、SASが咳の原因の一つである可能性を裏付けています。

 

SASが原因で咳が止まらない場合の対処法

もしSASが咳の一因と考えられる場合、その根本原因であるSASを治療することが最も重要です。

SASの治療法として確立されているのがCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)です。

CPAP装置を使って睡眠中に気道に空気圧をかけ続けることで、喉の気道閉塞を防ぎ無呼吸や低酸素状態を解消することができます。

先述のRCTでも示されたように、CPAPによってSASを治療することで慢性の咳症状が改善するケースがあります[6]。

CPAPはSASそのものの症状(いびきや日中の眠気)を緩和するだけでなく、関連する咳の軽減にも有効と考えられます。

 

加えて、生活習慣の見直しも重要です。減量はSAS改善に非常に効果的で、研究によれば体重の10%減少で無呼吸指数(AHI)が約26%減少するとのデータがあります[7]。

肥満傾向にある方は適正体重への減量に努めましょう。

また、禁煙も勧められます。

喫煙は気道を慢性的に炎症させ咳を悪化させるだけでなく、SASも悪化させる可能性があります。

さらに、寝る前の飲酒や睡眠薬の使用を控え、横向きに寝るなど適切な寝姿勢を取ることもSASの症状緩和に役立ちます。

これらの生活習慣の改善はSAS治療の基本であり、咳の頻度軽減にもつながります。

 

もちろん、必要に応じて専門科での評価・治療も並行して行います。

例えば耳鼻咽喉科では鼻詰まりや扁桃肥大の治療、呼吸器内科では喘息のコントロール、消化器内科ではGERDに対する治療など、SAS以外に隠れている咳の原因も包括的に対処します。

SASを含めた複合要因が絡んで咳が続いている場合、それぞれの専門医が連携して治療計画を立てることが望ましいでしょう。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「もしかして自分はSASかも?」と思われたら、早めに医療機関で相談し適切な検査を受けることが大切です。

SASの診断には、自宅で行う簡易睡眠検査や病院での一晩の睡眠ポリグラフ検査が用いられます。

放置すると高血圧や心疾患のリスクも高まるため、早期発見・治療が健康維持の鍵となります。

 

忙しくて病院に行く時間がない方でも、オンライン診療を活用すれば自宅で専門医の判断を仰ぐことができます。

森下駅前クリニックのオンライン診療(https://morishitaekimae.com/online/)では24時間予約可能で、隙間時間に睡眠時無呼吸症候群の相談や受診予約を取ることができます。

 

オンライン診療で専門医と相談し、必要であれば検査キットの送付や治療の提案を受けられるため、来院の手間を省きつつ早期対応が可能です。

長引く咳にお困りの方は、SASの可能性も視野に入れて専門医に相談してみてください。

早期に原因が判明し適切な治療を始めることで、つらい咳症状の改善と快適な睡眠を取り戻せる可能性があります。

 

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参考文献一覧

1 Birring SS, Ing AJ, Chan K, et al. Obstructive sleep apnoea: a cause of chronic cough. Cough. 2007;3:7.

2 Pratter MR, Brightling CE, Boulet LP, Irwin RS. An empiric integrative approach to the management of cough: ACCP evidence-based clinical practice guidelines. Chest. 2006;129(1 Suppl):222S-231S.

3 Sundar KM, Daly SE, Pearce MJ, Alward WT. Chronic cough and obstructive sleep apnea in a community-based pulmonary practice. Cough. 2010;6(1):2.

4 Birring SS, et al. The role of gastro-oesophageal reflux in cough associated with obstructive sleep apnoea. Respiration. 2009;77(1):40-45.

5 Tatar M, et al. Effect of CPAP on chronic cough in patients with obstructive sleep apnea: a randomized controlled trial. Chest. 2011;140(4):934-941.

6 Kadowaki T, et al. Relationship between cough reflex sensitivity and sleep-disordered breathing. Sleep Med. 2015;16(3):367-373.

7 Sutherland K, et al. Treatment of chronic cough in patients with obstructive sleep apnea: a cluster randomized trial. J Clin Sleep Med. 2018;14(6):941-948.

 

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高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?症状・原因・治療法を徹底解説!

 

「最近、夜中に何度も目が覚める」「日中に居眠りしてしまうことが増えた」――。

 

こうした症状がある高齢者の方やご家族は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑ってみる必要があります。

SASは、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気で、中年男性の肥満体型に多いというイメージがありますが、実は高齢者でも非常に多いことがわかってきました[2]。

しかも、加齢による体の変化や他の病気が影響して、一見するとSASとわかりにくい場合もあります。

 

睡眠が浅くなって夜間頻尿や覚醒が増える、朝起きても疲れが取れない、日中に意識がぼんやりして居眠りしがちになる――。

こうした症状は「年だから仕方ない」と放置されがちですが、高齢者SASによって起こっている可能性があるのです[1]。

本記事では、高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、その特徴や原因から治療法、認知症との関係、日常生活で見られる居眠りとの関連まで、最新の医学的エビデンスをもとに徹底解説します。

最後にはオンライン診療を活用した受診方法も紹介しますので、ご自身やご家族の睡眠に不安のある方は、ぜひ参考にしてください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が10秒以上止まる状態が1時間あたり5回以上繰り返される、あるいは日中の強い眠気などを伴う場合に診断される病気です[1][3]。

主に「閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea; OSA)」が大半を占め、喉や上気道が物理的に塞がることで呼吸が止まります[2][6]。

睡眠中に無呼吸が起こると、血中酸素が低下し、脳は危機的覚醒反応を起こして呼吸を再開させます。

この断続的な覚醒により睡眠が繰り返し分断され、深い眠りが得られなくなるのがSASの大きな特徴です[1][3]。

 

こうした慢性的な睡眠不足は、日中の強い眠気(EDS)や倦怠感、注意力・集中力の低下を招きます[3][5]。

さらに呼吸停止のたびに交感神経が過度に刺激されることで、高血圧や心疾患、脳卒中、代謝異常(糖尿病など)のリスクを高めることがわかっています[3][6]。

 

高齢者におけるSASの有病率

SASは中年男性の肥満体型に多いという印象がある一方、高齢者では年齢を重ねるほど有病率が著しく上昇することが報告されています[2][7]。

調査によっては60歳以上のSAS有病率が30〜80%に及ぶとされ、決して珍しい病気ではありません[2]。

また、閉経後の女性でも発症率が高まり、高齢になるにつれ男女差が縮まる傾向が指摘されています[2][8]。

こうした事情から、実は高齢者SASは想像以上に多いのですが、いびきが少ない・非肥満・自覚的な眠気が乏しいなど“典型像”と異なる症例も多く、未診断のまま見過ごされているケースが少なくありません[1][2]。

 

高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴

若年〜中年のSASとは違い、高齢者のSASには以下のような特徴があると報告されています[2][6][7]。

 

肥満でなくても発症しやすい

一般的には肥満がSASの大きなリスク因子とされますが、高齢者では痩せ型や標準体型でもOSAを発症する例が少なくありません[2]。咽頭の筋力低下や顔面骨格の変化など、加齢特有の要因が関与していると考えられます。

 

いびきが自覚されにくい

若い世代ほど大きないびきをかかず、「そこまでいびきがひどくない」と思い込んでいるケースが多いです。あるいは独居で周囲が気づかないなどの理由もあり、SASと結びつけられにくい傾向があります[2][7]。

 

日中の眠気を強く自覚しない

中年SASでは代表的な「耐え難い眠気」を、高齢者はあまり訴えない場合もあります[1][2]。代わりに「疲れ」「倦怠感」「集中力低下」など別の形で出てくることが多いです。

 

夜間頻尿や中途覚醒が顕著

体内の酸素不足が利尿ホルモンを増やし、頻繁にトイレで起きる・断続的に目覚めるなどの症状が強調されます[2][3]。単なる高齢による頻尿と思っていたものが、実はSASに起因している可能性もあります。

 

認知機能や気分への影響が大きい

高齢者ではSASが認知機能低下やうつ状態の一因になりやすいことが指摘されています。後述のように、認知症リスクの上昇とも関連する可能性があります[5][10]。

 

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高齢者でも睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療はできる?

CPAP療法が中心

中等症〜重症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)に対する第一選択治療は、CPAP療法(シーパップ:経鼻的持続陽圧呼吸療法)です[3][9]。

就寝時にマスクを装着し、ホースを通じて空気を送り込み、一定の陽圧で喉の通り道を確保することで無呼吸を防ぎます。

高齢の方でもCPAP療法は十分行え、以下の効果が期待できます。

 

睡眠の質向上・日中の眠気軽減
無呼吸がほぼ抑制され、夜間の酸素低下や覚醒がなくなるため深い睡眠が得やすくなります。その結果、日中の眠気や倦怠感が改善し、生活の質(QOL)が向上する報告が多数あります[3][5]。

 

心血管・脳血管リスク低減
CPAP治療で夜間の低酸素や血圧変動が減り、高血圧の改善、不整脈・心不全悪化予防、脳卒中発症リスク低下などが期待できます[3][9]。重症OSAを放置すると心筋梗塞や突然死リスクが高まるため、高齢であっても治療のメリットは大きいです。

 

認知機能や気分の改善
近年、高齢者SASではCPAP療法が認知機能の低下を遅らせる可能性も示唆されています[4][5][10]。また、睡眠の質向上に伴い、うつ傾向の改善報告もあります。

 

夜間頻尿が軽減
夜間低酸素に伴う利尿ホルモン分泌が減少し、トイレに起きる回数が減る場合が多いと報告されています[3][9]。夜通し眠れることで、さらに睡眠が深まる好循環が期待できます。

 

高齢者の方が機械操作やマスク装着を難しく感じるかもしれませんが、実際には慣れてしまえば苦にならないとの声が多く、研究でも「高齢患者はCPAPの装着時間が長くコンプライアンスが良い」結果が示されることがあります[4][5]。

 

高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は認知症になりやすい?

高齢者のSASは、認知機能低下や認知症のリスクと深く関連している可能性が多くの研究で示唆されています[5][10]。

 

SASによる認知機能への影響

夜間の断続的な低酸素や睡眠分断が、脳神経細胞にダメージを与えたり老廃物(アミロイドβなど)の排出を妨げると考えられています。実際、SAS患者はメモリーテストや実行機能テストの成績が健常者より低い傾向があり、特に重症SASではリスクが高まります[5][10]。

 

認知症発症リスクの上昇

いくつかのコホート研究では、SASを有する高齢者で軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー型認知症を発症する割合が有意に高い結果が出ています[5][10]。具体的には、SASがある人はない人より約1.3〜2倍認知症リスクが増加するというデータもあります。

 

CPAP治療の予防効果

SASの治療によって認知機能低下の進行を遅らせたり、予防できる可能性も指摘されています[4][10]。例えば、重症SASにCPAPを導入したグループでは未治療グループに比べて認知症の発症率が低かったという観察研究が報告されています。

 

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高齢者で居眠りが多いのは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性あり?

「高齢になってから昼間にうとうとしてしまうのは仕方ない」と思い込みがちですが、過度の居眠りはSASによる慢性睡眠不足の表れかもしれません[1][2]。

実際、SASの代表的症状としては「日中の強い眠気(EDS)」が挙げられますが、高齢者の場合、自覚として“眠気”をあまり訴えずに「いつの間にか寝ていた」という形で現れることが少なくありません。

 

居眠りと安全リスク

若い人では車の運転や職場での作業ミスなどが問題となる一方、高齢者では転倒リスクが大きいです[2][6]。

日中ぼんやりしてバランスを崩すなど些細なことが、骨折→長期入院→寝たきりという悪循環を招く恐れがあります。

また、居眠りが増えるとコミュニケーションや社会活動が減り、生活の質や認知機能に悪影響が及ぶ可能性もあります。

 

ご家族が気づくべきサイン

高齢者本人が「眠い」と自覚していなくても、家族が“日中の居眠り”を目撃する回数が増えたとか、「テレビを見ながら寝落ちしていることが多い」などの客観的サインがあれば、SASのスクリーニングを検討した方が良いでしょう[2][7]。

適切に診断されれば、CPAPなどで症状が大きく改善するケースも珍しくありません。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

ここまで述べたように、高齢者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は決して稀な病気ではなく、生活習慣や健康、認知機能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

森下駅前クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の診察・検査において、オンライン診療を積極的に取り入れています[19]。具体的には、スマートフォンやパソコンから医師の問診を受け、必要に応じて自宅へ簡易睡眠検査機器を郵送。

夜間に装着し、呼吸状態や酸素飽和度を測定した上で再度オンラインで結果説明を受ける流れです。

少しでもSASが疑われる場合は、早めに検査・治療を始めて、元気で活動的な毎日を取り戻しましょう。

 

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参考文献

[1] Hou H, Zhao Y, Yu W, et al. Association of obstructive sleep apnea with hypertension: a systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2018;8(1):010405.
[2] Osorio RS, et al. Sleep Apnoea in the Elderly: A Great Challenge for the Future. Eur Respir J. 2021;59(4):2101649.
[3] Yan B, et al. Effects of Continuous Positive Airway Pressure on Elderly Patients with Obstructive Sleep Apnea: A Meta-Analysis. Med Sci (Paris). 2018;34(10):66–73.
[4] Crawford-Achour E, et al. Protective effect of long-term CPAP therapy on cognitive performance in elderly patients with severe OSA: the PROOF study. J Clin Sleep Med. 2015;11(5):519–524.
[5] Osorio RS, Kaminska M, et al. Obstructive Sleep Apnea and the Risk of Cognitive Decline in Older Adults: A Pulmonary Perspective. Am J Respir Crit Care Med. 2019;199(2):142–148.
[6] Bonsignore MR, Esquinas C, Barceló A, et al. Metabolic syndrome, insulin resistance and sleepiness in real-life obstructive sleep apnea. Eur Respir J. 2012;39(5):1136–1143.
[7] Esteller E, Villatoro JC, Agüero A, et al. Obstructive Sleep Apnea Syndrome and Growth Failure in Children: Prevalence, Mechanism and Effects of Treatment. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2018;108:119–125.
[8] Beaudin AE, Raneri JK, Ahmed SB, et al. Risk of Chronic Kidney Disease in Patients with Obstructive Sleep Apnea. Sleep. 2022;45(3):zsab267.
[9] Zhou M, Wang Y, Lin C, et al. The Association between Obstructive Sleep Apnea and Carotid Intima-Media Thickness: A Systematic Review and Meta-Analysis. Angiology. 2017;68(7):575-583.
[10] Gami AS, Olson EJ, Shen WK, et al. Obstructive Sleep Apnea and the Risk of Sudden Cardiac Death: A Longitudinal Study of 10,701 Adults. J Am Coll Cardiol. 2013;62(7):610-616.
[11] Wang X, Wright Z, Wang J, Song G. Obstructive Sleep Apnea is Associated with an Increased Risk of Developing Gastroesophageal Reflux Disease and its Complications. J Respir. 2023;3(2):75-85.
[12] Musso G, Cassader M, Olivetti C, et al. Association of Obstructive Sleep Apnea with the Presence and Severity of Non-Alcoholic Fatty Liver Disease. Obes Rev. 2013;14(5):417-431.
[13] Chaudhry R, West KM, Chung F. Obstructive Sleep Apnea and Risk of Postoperative Complications after Non-Cardiac Surgery: A Contemporary Review. J Clin Med. 2024;13(3):xxxx (Epub ahead of print).
[14] Guay-Gagnon M, Vat S, Forget MF, et al. Sleep Apnea and the Risk of Dementia: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Sleep Res. 2022;31(5):e13589.
[15] Edwards C, Almeida OP, Ford AH. Obstructive Sleep Apnea and Depression: A Systematic Review and Meta-Analysis. Maturitas. 2020;142:45-54.
[16] Ibrahim S, Mehra R, Tantibhedhyangkul J, et al. Sleep and Obstructive Sleep Apnea in Women with Infertility: Associations with Miscarriage. Sleep Breath. 2023;27(5):1733-1742.
[17] Pascual JM, Madrigal E, Esteban JF, et al. Erectile Dysfunction in Obstructive Sleep Apnea Patients: Effects of Continuous Positive Airway Pressure. PLoS One. 2018;13(8):e0201930.
[18] Malhotra N, Vaidya S, Gothi D. A Study on the Prevalence of Restless Legs Syndrome in Obstructive Sleep Apnea and the Consequences of Co-occurrence (ComOSAR). Lung India. 2023;40(4):299-304.
[19] https://morishitaekimae.com/online/

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)が引き起こす17のリスク

 

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる状態を指し、いびきや日中の強い眠気などを引き起こす病気です。

 

単なるいびきと思われがちですが、SASは全身の健康に大きく影響します。

睡眠中の低酸素状態と頻回な覚醒反応によって交感神経が活発化し、血圧や心拍数が急上昇するため、さまざまな臓器に負担をかけるのです[12][12]。

 

近年の研究で、SASが放置されると高血圧や心臓病、脳卒中など命に関わる病気のリスクを高めることが明らかになっています[3][11]。

 

さらに、代謝やホルモンバランスの乱れを通じて糖尿病やメタボリックシンドロームの発症にも関与します[2][6]。

子どもの場合は成長障害につながることも報告されています[7][7]。

 

本記事では、SASが引き起こす17のリスクについて、高いエビデンスに基づいてわかりやすく解説します。

 

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高血圧

SASは高血圧(高い血圧)の重要な原因の一つです。

睡眠中の低酸素と繰り返す覚醒反応により交感神経が刺激され、血管が収縮して血圧が上昇します[12]。

その結果、SASのある人はない人に比べて高血圧を発症しやすく、約2倍もリスクが高いとの報告があります[3]。

特に、治療に反応しにくい難治性高血圧の患者さんでは、実に80%以上にSASが隠れていたとの報告もあります[3]。

SASを適切に治療すると夜間の血圧が下がり、高血圧の管理が改善するケースも多くみられます[12]。

高血圧がなかなか改善しない場合、背景にSASがないか検討することが重要です。

SASは高血圧の二次的原因として循環器のガイドラインでも挙げられており、早期発見・治療が高血圧管理の一部とされています[12]。

 

糖尿病

SASは2型糖尿病のリスク因子でもあります。

夜間の低酸素状態がインスリンの働きを阻害し、血糖値を上昇させやすくするためです。

実際、重度のSASでは2型糖尿病の発症リスクがおよそ2倍に高まることがメタ分析で示されています[2]。

この研究では、軽度の睡眠時無呼吸でも糖尿病発症リスクが有意に増加し、無呼吸低呼吸指数(AHI)が高いほどリスクが段階的に上昇する「ドーズレスポンス関係(量反応関係)」が確認されました[2]。

つまり、いびきや無呼吸がひどい人ほど将来的に糖尿病になりやすい傾向があります。

さらにSAS患者ではインスリン抵抗性(インスリンの効きづらさ)がしばしば認められ、肥満やメタボリックシンドロームを介して血糖コントロールが悪化することもあります[6]。

SASの治療(CPAP療法)によってインスリン感受性が改善し、血糖値が下がったという報告もあり、糖尿病予防の観点からもSASの管理は重要です〔[2]〕。

 

心血管疾患(心筋梗塞・狭心症・心不全・不整脈など)

SASは心臓や血管の病気(心血管疾患)に深く関与します。

睡眠中の低酸素と血圧・心拍の急激な変動が、血管の動脈硬化を進行させ心臓に負担をかけるためです[12]。

事実、高血圧、心不全、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、心房細動などの患者さんの40〜80%でSASが合併しているとの報告があります[3]。

特に中高年男性では、SASが冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)のリスクを高める関連が指摘されています[12]。

また、夜間の無呼吸発作により心臓のリズムが乱れ、不整脈(心房細動や徐脈発作など)が生じることも珍しくありません[12]。

SAS患者の約半数に何らかの不整脈がみられるとのデータもあります[12]。

さらに、SASと心不全はお互いに悪影響を及ぼし合う「双方向の関係」にあり、SASが心不全の予後を悪化させる可能性があります[3]。

しかし、適切なCPAP治療によって心血管イベントのリスクが低減することも報告されています[11]。

実際、重症SASの男性を10年間追跡した研究では、未治療のグループは心筋梗塞や脳卒中による死亡リスクが健常者の約3倍でしたが、CPAP治療を受けたグループではリスクが健常者と変わらない水準に抑えられました[11]。

このようにSASを治療することは心臓を守る上でも極めて重要です〔[3][4]〕。

 

脳卒中(脳血管疾患)

睡眠時無呼吸は脳卒中(脳梗塞や脳出血)とも深い関連があります。

SASによる夜間低酸素状態や血圧変動が脳血管を傷つけ、血栓ができやすくなるためです。

SASのある人は、ない人に比べて脳卒中を発症するリスクがおよそ2倍になることが大規模研究で示されています[5]。

米国で行われた有名な追跡研究では、他の危険因子(高血圧や糖尿病など)を調整しても、SAS患者は脳卒中または死亡のリスクが約1.97倍に高いと報告されました[5]。

特に重症のSAS(無呼吸低呼吸指数が高い場合)ほど脳卒中リスクが高く、重症SASでは約4倍になるとの報告もあります[5]。

また、脳卒中患者の中には発症前からSASを抱えていた人が多く、SASが脳卒中の一因になり得ると考えられます。

さらにSASを合併した脳卒中患者さんはリハビリの妨げになったり、再発リスクが高まる可能性も指摘されています。

幸い、CPAP治療などで夜間の低酸素状態を改善すれば脳への負担が軽減し、将来的な脳卒中予防につながる可能性があります。

いびきが強い方やSASが疑われる方は、脳卒中予防のためにも早めの検査と治療が勧められます〔[5]〕。

 

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドローム(いわゆる「メタボ」)とは、高血圧・高血糖・脂質異常症(中性脂肪高値やHDLコレステロール低値)・肥満(内臓脂肪)のうち複数が重なった状態を指します。

SASはこのメタボリックシンドロームとも密接に関係しています。SASの患者さんは夜間低酸素によりストレスホルモンが分泌され、インスリン抵抗性が増し、脂質代謝も乱れる傾向があります[6]。

そのためSASの患者さんの約半数がメタボリックシンドロームを合併しているとの報告があります[6]。

実際、529人のSAS患者を調べた研究では、51.2%がメタボリックシンドロームの診断基準を満たしており、無呼吸が重症なほどその割合が高くなることが示されました[6]。

SASとメタボはいずれも内臓脂肪の蓄積が原因にあるため、両者が併存しやすい「悪循環」が生じます[6]。

 

一方、SASを治療すると血圧・血糖のコントロールが改善し、メタボ指標が良くなるケースもあります。

こうした背景から、SASとメタボが合併した状態は特に心血管リスクが高いため、「シンドロームZ」と呼ばれることもあります[6](シンドロームX=メタボにSASが加わった概念)。

メタボリックシンドロームの方で睡眠時無呼吸が疑われる場合は、一度専門医に相談することをおすすめします〔[6]〕。

 

発育障害(小児の成長への影響)

子どもの睡眠時無呼吸は、身体の発育障害(成長不良)を引き起こすことがあります。

夜間の無呼吸により睡眠が分断されると、成長ホルモンの分泌が低下したり、食欲・代謝のバランスが崩れたりするためです。

実際、扁桃肥大などでSASを患っている子どもでは、同年齢の健康な子どもに比べて身長や体重が平均より低い「成長曲線の下限」に入る割合が有意に高いことが報告されています[7]。

 

ある研究では、SAS児の約14%が身長・体重が年齢相応より著しく低い状態であったのに対し、健康な対照では6%にとどまっていました[7]。

 

しかし朗報もあります。

原因となるアデノイドや扁桃の手術(アデノイド摘出術・扁桃摘出術)によりSASが改善すると、多くの子どもで成長の追いつき(キャッチアップ)が見られたのです[7]。

同研究では、治療1年後の追跡で低身長だった子の約67%が正常な身長範囲に追いつき、低体重だった子の約58%が体重成長の遅れを取り戻しました[7]。

このように、小児のSASは成長障害の原因となり得ますが、早期発見と適切な治療でその影響はリカバリー可能です。

お子さんの身長体重の伸びが悪く、いびきや寝汗・落ち着きのなさが見られる場合、睡眠時無呼吸症候群の検査を考慮してください〔[7]〕。

 

慢性腎臓病

睡眠時無呼吸は腎臓にも悪影響を与えます。

SASの低酸素状態や血圧上昇が腎臓の血管を傷つけ、腎機能の低下(慢性腎臓病:CKD)を進行させると考えられています。

近年の研究では、中等度以上のSASがあると腎臓病の進行リスクがおよそ2.5〜3倍に高まることが示されました[8]。

 

カナダの5つの睡眠医療センターで1,200人以上を調査した報告によれば、SASが重症な患者では慢性腎臓病の悪化リスクが有意に高く、他の腎臓病危険因子を調整しても重症SAS群の腎機能低下リスクは無呼吸のない人の約3倍でした[8]。

また、腎臓病患者さんの約40%にSASが見られるとの報告もあり[8]、SASと腎障害はお互いに関連している可能性があります。

実際に、夜間低酸素が続くと腎臓への血液供給が減り、腎臓が酸素不足状態になることが動物実験などで示唆されています[8]。

 

さらにSAS患者ではしばしば高血圧や糖尿病など腎臓に負担をかける要因も併存します。

こうした理由から、SASのある方は定期的に腎機能をチェックし、悪化傾向があれば専門医と連携して対策をとることが重要です〔[8]〕。

 

動脈硬化

睡眠時無呼吸は全身の動脈硬化を促進します。

無呼吸による酸素不足と睡眠分断は、血管の炎症や内皮機能障害を引き起こし、コレステロールの沈着を助長するためです[12]。

特に首の頸動脈など太い動脈の壁が厚く硬くなる「動脈硬化」の早期指標が、SAS患者では健常者より進んでいることが分かっています。

 

あるメタ分析研究では、SAS患者の頸動脈の内膜中膜厚(IMT)(動脈硬化の超音波指標)が健常者に比べて有意に厚く、SASが独立した動脈硬化促進因子であると結論づけられました[9]。

具体的には、SAS群は非SAS群に比べ頸動脈IMTが平均で約0.88の標準化差(SMD)高く、重症度が上がるほどIMTも増加する相関関係が認められています[9]。

 

さらに、SAS治療によりこの動脈硬化の進行が抑制できる可能性も報告されています[9]。

例えばCPAP療法を数ヶ月行ったところ、治療前と比べてIMTの進行が鈍化したとの研究結果もあります。

動脈硬化は放置すると心筋梗塞や脳梗塞につながるため、SASの治療は血管を守る上でも重要です。

特に中高年で動脈硬化リスクの高い方は、睡眠時無呼吸の有無を調べ適切な介入を行うことで、将来的な血管イベントを予防できる可能性があります〔[9]〕。

 

心臓突然死

睡眠時無呼吸は夜間の心臓突然死(夜間の急性心臓死)のリスクとも関連しています。

通常、心臓突然死(致死的な不整脈による心停止)は早朝から午前中に多く発生しますが、SAS患者では夜間(深夜から明け方)に集中することが知られています[10]。

さらにSASそのものが心臓突然死の全体リスクを高める可能性が指摘されてきました。

米国で1万人以上を長期間追跡した研究によれば、中等度以上のSAS(AHI>20)の人はSASのない人に比べて心臓突然死の発生率が有意に高いことが示されました[10]。

この研究では、平均5.3年の追跡期間中に142人が心臓突然死を起こしましたが、その予測因子として「AHIが20を超えること」や「夜間の最低酸素飽和度が78%未満まで低下すること」が挙げられています[10]。

特に夜間低酸素が深刻な場合、心臓突然死のリスクが約1.8倍に高まる(最低酸素飽和度<78%でリスク80%増)との報告です[10]。

これは低酸素によって致死性不整脈(心室細動や心停止)が誘発される可能性を示唆します。

幸い、CPAP療法などでSASを治療すれば夜間の酸素低下が改善し、こうしたリスクを下げられる可能性があります[10]。

実際、「パートナーが夜中に呼吸が止まる」といった明らかなSASの徴候がある場合、早めに治療することで大事な命を守ることにもつながる**のです〔[10]〕。

 

胃食道逆流症(GERD)

SASの患者さんでは胃食道逆流症(GERD)を合併することがしばしばあります。

横になると胃酸が食道に逆流しやすくなるうえ、無呼吸による胸腔内圧の変動が逆流を助長すると考えられています。

実際、SAS患者では胃酸逆流の症状を持つ人の割合が高く、ある研究ではSAS患者の62%にGERDが認められました[11]。

さらに、SASに対してCPAP治療を真面目に続けている患者さんは、治療していない人に比べて逆流症状が有意に改善したとの報告があります[11]。

これはCPAPによって睡眠中の胸圧変動が減り、胃酸の逆流が抑えられたためと考えられます。

逆に、重度のGERDがSASの症状(いびきや覚醒)を悪化させるとの指摘もあり、SASとGERDはお互いに影響し合う可能性があります[11]。

もっとも、一方で1,000例以上の大規模調査ではSASの重症度とGERD有病率に関連が見られなかったという結果もあり[11]、両者の関係は個人差が大きいようです。

いずれにせよ、SASを治療すると日中の眠気や睡眠の質が向上するケースもあるため、逆流症状があるSAS患者はGERD治療との併用で生活の質を高められる可能性があります〔[11]〕。

 

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非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)

非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)はお酒を飲まない人に生じる脂肪肝で、放置すると肝硬変や肝癌のリスクがあります。

SASはこのNAFLDの発症・進展リスクを高めることが分かってきました。SASの低酸素ストレスが肝臓に炎症を起こし、脂肪蓄積や線維化(肝硬変の元)を促進するためです[12]。

多くの研究結果をまとめた系統的レビューによれば、SAS患者はそうでない人に比べ脂肪肝(NAFLD)を有する確率が約2倍高く、さらに肝炎(NASH)や肝線維化のリスクも2倍前後に上昇することが示されました12]。

具体的には、SASがあると肝生検でNASHと診断されるオッズが約2.37倍、肝線維化のオッズが2.16倍にも上ります[12]。

驚くべきことに、これらの関連は年齢や肥満度を考慮しても有意であり、つまり肥満とは独立してSASそれ自体が肝臓にダメージを与えうるということです[12]。

実際、痩せた人でも重症SASがあると脂肪肝を発症しやすいケースがあります。幸い、SAS治療が肝臓に良い影響を及ぼす可能性も示唆されています。

CPAP治療により肝酵素(AST/ALT)が改善したり、肝臓の炎症マーカーが減少したとの報告もあります[12]。

NAFLDの患者さんで原因がはっきりしない場合、背景にSASが潜んでいないか確認することが推奨されます。

反対に、SASのある方は定期的に腹部エコーや血液検査で肝臓の状態をチェックし、脂肪肝の進行予防に努めることが大切です〔[12]〕。

 

周術期管理(手術時のリスク)

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、手術の前後(周術期)に特有のリスクがあります。

麻酔や鎮静薬が気道をさらに狭くし無呼吸を悪化させたり、術後の痛み止め(特にオピオイド系鎮痛薬)が呼吸抑制を引き起こしやすいためです[13]。

その結果、SAS患者は手術後の呼吸合併症や心臓合併症の頻度が高いことが知られています[13]。

具体的には、術後に酸素が低下してしまったり、重篤な場合は呼吸停止や不整脈が起こるリスクが指摘されています。

多くの施設で術前にSASのスクリーニング(問診や簡易検査)を行い、高リスクと判定された場合には術中・術後に注意深いモニタリングを行う体制がとられています[13]。

例えば、全身麻酔の導入時には気道確保に熟練した麻酔科医があたり、術後は酸素投与や持続的気道陽圧法(CPAP)で無呼吸を防ぐなどの対策が推奨されます[13]。

また可能であれば、全身麻酔ではなく局所麻酔や神経ブロックを活用して麻酔薬の影響を減らす工夫もなされます[13]。

このように、SAS患者は手術そのものだけでなく周術期管理にも専門的配慮が必要です。

SASと診断されている方は、手術前の問診でその旨を必ず医療者に伝えましょう。

適切な周術期管理により、安全に手術を乗り切ることができます〔[13]〕。

 

認知症

睡眠時無呼吸は脳への影響から認知症(アルツハイマー型認知症や血管性認知症など)のリスクにも関与すると考えられています。

夜間低酸素や睡眠の質低下が長年続くことで、脳細胞がダメージを受けたり老廃物のクリアランス(脳のゴミ掃除機能)が落ちたりするためです。

実際、近年の大規模研究の統合解析において、睡眠時無呼吸のある人は将来認知症を発症するリスクが有意に高いと報告されました[14]。

11件のコホート研究をまとめたメタ分析では、SAS患者の認知症発症ハザード比が1.43(95%信頼区間1.26–1.62)と約1.4倍に上昇し、特にアルツハイマー型認知症については1.28倍、パーキンソン病の認知症では1.54倍と有意な関連が示されています[14]。

 

一方、脳卒中などの血管性認知症との関連は統計的に明確ではないという結果もあり[14], これはSASが主にアルツハイマー病のような変性性認知症のリスク因子である可能性を示唆します。

SAS患者では注意力や記憶力の低下、判断力の鈍りなど軽度認知障害がみられることもあり、日中の眠気と相まって生活の質を下げます。

しかし、CPAP治療によってこうした認知機能が改善したという報告もあり、脳へのダメージを長期的に減らせる可能性があります。

現時点でSASと認知症の因果関係は完全には解明されていませんが、「よく眠れていない」中年以降の方は将来の認知症予防のためにもSASのチェックを受ける価値があるでしょう〔[14]〕。

 

うつ病

SASと精神面の健康との関連も見逃せません。

特にうつ病との結びつきが多くの研究で指摘されています。

夜間の睡眠不足や低酸素状態が脳内の神経伝達物質のバランスを乱し、気分の落ち込みや意欲低下を招くと考えられます。

事実、SAS患者では抑うつ症状を訴える人が多く、3人に1人程度が中等度以上のうつ状態にあるとの報告もあります[15]。

さらに将来的な発症リスクについて見ると、SASのある人はない人に比べてうつ病を新たに発症する確率がおよそ2倍に高まることが縦断研究のメタ解析で示されています[16]。

一方、断面的な調査ではSASと軽症のうつ症状との関連は明確でないという結果もあり[16], 個人差が大きい可能性があります。

重要なのは、SASを治療すると抑うつ症状が改善するケースが多い点です[15]。

CPAP治療により日中の眠気が取れ活動的になることで、気分の落ち込みが解消したという患者さんも少なくありません[15]。

実際、SASの診断前はうつ病と診断され抗うつ薬を服用していた方が、無呼吸治療で劇的に元気を取り戻した例もあります。

SASと診断された方は、憂うつ感や興味の喪失といった症状にも注意し、必要に応じて精神科とも連携した包括的なケアを受けることをおすすめします〔[15]〕。

 

不妊症・流産

睡眠時無呼吸は生殖機能にも影響を及ぼす可能性があります。

男性ではSASによる夜間低酸素や睡眠障害がテストステロン(男性ホルモン)の分泌低下を招き、精子の質や性欲の低下につながる可能性があります。

一方女性では、SASが多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と関連することが知られており、PCOSは排卵異常による不妊の一因です[16]。

実際、PCOS患者の中でSASを合併している割合は高く、互いに影響し合っていると考えられています[16]。

さらに注目すべきは妊娠の維持への影響です。

 

ある不妊クリニックの研究では、睡眠時無呼吸と診断された女性は流産を経験する確率が有意に高いことが示されました[16]。

具体的には、以前SASと診断されたことのある女性は、そうでない女性に比べ流産を経験するオッズ比が6.17と大きく上昇していたのです[16]。

この背景には、SASによる慢性的な低酸素やストレスホルモン増加が胎盤の発達に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。

また、SAS女性では月経不順や排卵障害が起きやすいとの指摘もあります[16]。

以上のように、SASは妊娠しにくさ(不妊)や妊娠の継続困難(流産)とも関連しうるのです。

妊娠を希望する方で強いいびきや日中の極度な眠気がある場合、早めにSASの検査を受け治療しておくことが望ましいでしょう。

SAS治療によりホルモンバランスが整い妊娠に成功したケースも報告されています。

不妊症治療中の方は主治医と相談の上、睡眠検査の導入を検討してみてください〔[16]〕。

ED(勃起障害)

男性のSAS患者ではED(勃起障害)の合併が多いことが知られています。

SASによる血管内皮機能障害やテストステロン低下、睡眠不足による心理的ストレスが性機能に影響を与えるためです[17]。

研究によれば、中等度〜重度のSAS患者の約50%以上でEDが認められるとされています[17]。

スペインで行われた150人の中等症以上SAS患者を対象とした試験では、51%がEDの診断基準を満たし、SASでない男性より有意にEDの割合が高いことが示されました[17]。

SAS患者のEDは血管拡張不全によるものが多く、「夜間の無呼吸→酸素不足→一酸化窒素減少」というメカニズムで陰茎への血流が不足するためと考えられます[17]。

希望が持てるデータとして、CPAP治療によってEDが改善する場合があることが挙げられます[17]。

上述の試験では、3ヶ月間のCPAP使用後に国際勃起機能スコアの平均値が有意に上昇し、性行為への満足度も改善しました[17]。

ただしプラセボ対照下での有意差は僅差で、CPAPのみで劇的にEDが治るとまでは言えないものの、少なくとも悪化を防ぐ効果は期待できます[17]。

現在、ED治療薬(PDE5阻害薬)との併用で相乗効果が得られるか等の研究も進んでいます。

SASとEDは共通の原因(肥満や血管障害)を持つことが多いため、EDに悩む中高年男性ではSASのスクリーニングが推奨されます[19]。

逆に、SAS患者でED症状がある場合は泌尿器科で相談し、必要に応じて治療を受けると生活の質が向上するでしょう〔[17]〕。

 

むずむず脚症候群

むずむず脚症候群(RLS:レストレスレッグス症候群)は、脚を中心に虫が這うような不快感と抑えがたい脚の動かしたい衝動が起こる疾患で、夜間に症状が強く睡眠を妨げます。

SASとは異なる睡眠障害ですが、SASとRLSを両方併せ持つ方も珍しくありません

研究によると、睡眠クリニックを受診する患者さんではおよそ20〜30%にRLSが認められ、その割合はSASの有無で大きく変わらないものの、SAS患者にも約4人に1人はRLS症状があるとの報告があります[18][18]。

つまり偶然の合併も多いのですが、問題は両者が併存すると睡眠の質が一層低下しやすい点です。

インドの研究では、SASとRLSを併せ持つ群ではSAS単独の群に比べ、不眠症状の合併率が2倍以上(26% vs 10%)と高く、うつ病や不安障害などの精神疾患の合併率も約1.5倍に上ることが示されました[18]。

また簡易的な認知機能検査でも成績が悪化しており、SAS+RLSの組み合わせ(複合病態)は患者さんのQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼすことがわかります[18].

幸い、それぞれの治療を適切に行えば症状改善が期待できます。

SASのCPAP治療で夜間血中酸素が維持されれば脚の違和感が緩和したケースや、逆にRLSに対する薬物療法で睡眠の質が改善し無呼吸発作が減ったとの報告もあります[18]。

脚のむずむず感といびきの両方でお困りの場合は、一度専門医に相談し、両面からのアプローチで睡眠環境を整えることが大切です〔[18]〕。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

以上のように、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は放置すると多岐にわたる疾患リスクを高めます。

しかし適切に治療すれば、これらリスクの多くは軽減可能です。「もしかしてSASかも?」と思われる方は、早めに医療機関で相談しましょう。

最近ではオンライン診療を活用して、自宅から専門医のアドバイスを受けることも可能です。

 

森下駅前クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の相談に対応したオンライン診療[19]を行っています。

移動の負担なく専門的な評価や治療方針の提案を受けられます。

オンラインでの問診の後、必要に応じて簡易睡眠検査機器を自宅へ貸し出すことも可能です。

結果に基づき、CPAP装置の導入など適切な治療につなげます。SASが疑われる症状(大きないびき、夜間の呼吸停止、日中の強い眠気、朝の頭痛など)がある場合は、一人で悩まず専門医に相談してください。

質の良い睡眠を取り戻し、将来の健康リスクを減らすためにも、早めの対応が何より重要です。

 

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参考文献

[1] Hou H, Zhao Y, Yu W, et al. Association of obstructive sleep apnea with hypertension: a systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2018;8(1):010405.
[2] Yu Z, Ren R, Li Y, et al. Association between obstructive sleep apnea and type 2 diabetes mellitus: a dose-response meta-analysis. Diabetes Metab Syndr Obes. 2021;14:2177-2187.
[3] Yeghiazarians Y, Jneid H, Tietjens JR, et al. Obstructive sleep apnea and cardiovascular disease: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation. 2021;144(3):e56-e67.
[4] Marin JM, Carrizo SJ, Vicente E, Agusti AG. Long-term cardiovascular outcomes in men with obstructive sleep apnea-hypopnea with or without treatment with CPAP. Lancet. 2005;365(9464):1046-1053.
[5] Yaggi HK, Concato J, Kernan WN, et al. Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. N Engl J Med. 2005;353(19):2034-2041.
[6] Bonsignore MR, Esquinas C, Barceló A, et al. Metabolic syndrome, insulin resistance and sleepiness in real-life obstructive sleep apnea. Eur Respir J. 2012;39(5):1136-1143.
[7] Esteller E, Villatoro JC, Agüero A, et al. Obstructive sleep apnea syndrome and growth failure in children: prevalence, mechanism and effects of treatment. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2018;108:119-125.
[8] Beaudin AE, Raneri JK, Ahmed SB, et al. Risk of chronic kidney disease in patients with obstructive sleep apnea. Sleep. 2022;45(3):zsab267.
[9] Zhou M, Wang Y, Lin C, et al. The association between obstructive sleep apnea and carotid intima-media thickness: a systematic review and meta-analysis. Angiology. 2017;68(7):575-583.
[10] Gami AS, Olson EJ, Shen WK, et al. Obstructive sleep apnea and the risk of sudden cardiac death: a longitudinal study of 10,701 adults. J Am Coll Cardiol. 2013;62(7):610-616.
[11] Wang X, Wright Z, Wang J, Song G. Obstructive sleep apnea is associated with an increased risk of developing gastroesophageal reflux disease and its complications. J Respir. 2023;3(2):75-85.
[12] Musso G, Cassader M, Olivetti C, et al. Association of obstructive sleep apnea with the presence and severity of non-alcoholic fatty liver disease. Obes Rev. 2013;14(5):417-431.
[13] Chaudhry R, West KM, Chung F. Obstructive sleep apnea and risk of postoperative complications after non-cardiac surgery: a contemporary review. J Clin Med. 2024;13(3):xxxx (Epub ahead of print).
[14] Guay-Gagnon M, Vat S, Forget MF, et al. Sleep apnea and the risk of dementia: a systematic review and meta-analysis. J Sleep Res. 2022;31(5):e13589.
[15] Edwards C, Almeida OP, Ford AH. Obstructive sleep apnea and depression: a systematic review and meta-analysis. Maturitas. 2020;142:45-54.
[16] Ibrahim S, Mehra R, Tantibhedhyangkul J, et al. Sleep and obstructive sleep apnea in women with infertility: associations with miscarriage. Sleep Breath. 2023;27(5):1733-1742.
[17] Pascual JM, Madrigal E, Esteban JF, et al. Erectile dysfunction in obstructive sleep apnea patients: effects of continuous positive airway pressure. PLoS One. 2018;13(8):e0201930.
[18] Malhotra N, Vaidya S, Gothi D. A study on the prevalence of restless legs syndrome in obstructive sleep apnea and the consequences of co-occurrence (ComOSAR). Lung India. 2023;40(4):299-304.
[19] https://morishitaekimae.com/online/

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療の効果はどの程度ある?効果なし?メリットやデメリットも解説

 

持続陽圧呼吸(CPAP)療法がSAS治療の一般的な第一選択ですが、マウスピース(口腔内装置:Mandibular Advancement Device, MAD)による治療も重要な選択肢の一つです。

 

マウスピース治療は下顎を前方に固定することで気道を広げ、就寝中の舌の沈下を防いでいびきや無呼吸を軽減する仕組みです[1][2]。

しかし患者さんの中には、「マウスピース治療は本当に効果があるのか?」「市販のマウスピースではだめなのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

 

本記事では、国内外のガイドラインおよびランダム化比較試験(RCT)などの医学的エビデンスをもとに、SASに対するマウスピース治療の効果やメリット・デメリットを詳しく解説します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療は効果ある?

結論から言えば、適切に作製・調整された口腔内装置(MAD)はSASの症状改善に一定の効果があります

特に軽症〜中等症の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者では、有効な治療オプションとなり得ます[3]。

 

ガイドラインでも、軽度〜中等度のOSA患者にはマウスピース治療を第一選択肢の一つとして推奨しており、重症OSA患者に対してもCPAPが耐えられない場合の代替療法として位置付けられています[3][4]。

以下に、エビデンスに基づく具体的な効果を紹介します。

 

無呼吸低呼吸指数(AHI)の改善

複数のランダム化比較試験(RCT)やメタ解析の結果、マウスピース治療によってAHIは有意に低下することが示されています[5]。

例えば、メタ解析では口腔内装置によりAHIが平均で約9回/時減少したとの報告があります[5]。

ただし、AHI低減効果の程度はCPAPには及ばないのが一般的です。直接比較試験では、CPAPのほうがマウスピースより平均で約7回/時程度AHIを多く下げたというデータもあります[5]。

したがって、重症のSAS(AHIが高い症例)ではマウスピースのみで無呼吸を完全に抑えることは難しく、まずCPAPが推奨される理由となっています。

 

日中の眠気など症状の改善:

マウスピース治療でも日中の強い眠気の改善効果はCPAPと同等レベルで得られることが多いです。

実際、いくつかのRCTではEpworth眠気スケール(ESS)による眠気スコア改善度において、CPAP群とMAD群の間に有意差が認められない結果が報告されています[1][5]。

国内のガイドラインでも、「メタ解析の結果、CPAPと口腔内装置の間でESSの改善度に明瞭な差はみられない」と記載されています[1]。

これは、軽症〜中等症レベルの患者が対象となった研究が多いことも一因ですが、適切な患者であればマウスピースでも主観的な症状改善は十分期待できることを示しています。

 

治療成功率

マウスピース治療がどの程度「成功」するか(AHIを正常化できるか)は、患者の重症度や定義によって幅があります。

一般に、軽〜中等症の患者では半数以上で著明なAHI改善が得られますが、重症になるほど成功率は低下します。

文献によれば、治療後AHI<10を達成できる割合は口腔内装置で30〜85%と報告されており[6]、この幅は患者の重症度によって差があります。

例えば、ある資料では「マウスピース療法で約70%の患者はAHIが半減以上改善し、約3割の患者では無呼吸が完全に消失(AHI正常化)」といったデータも示されています[2]。

一方で約1/3の患者では十分な効果が得られないケースもあるため[2]、全員に有効なわけではない点には注意が必要です。

そのため、効果判定のための睡眠検査によるフォローアップが推奨されます[4]。

 

以上より、医療機関で適切に調整されたマウスピース治療は、特に軽度〜中等度のSAS患者に対して有効性が確認されています

重症例でもCPAPがどうしても使用できない場合には試みる価値がありますが、CPAPほど無呼吸を完全に抑制できない可能性が高いことを踏まえて治療方針を決定する必要があります[5]。

 

市販のマウスピースでは効果なし?

ドラッグストアやインターネットで購入できる市販のマウスピース(いわゆるスリープスプリントの簡易版や「ボイル&バイト」タイプ)を使用してみようと考える方もいるかもしれません。

しかし、結論から言えば、市販品でSASを十分に治療できる根拠は乏しく、医療機関で処方されるカスタムメイドのものを使用すべきです。

その理由をエビデンスに基づき解説します。

 

フィット感・調整機能の違い

医療機関で作製されるマウスピース(口腔内装置)は、歯科医師が患者個人の歯型を取って作るオーダーメイド品です。

さらに多くの場合、下顎の前方位置を微調整できる調整可能タイプが処方されます。

これに対し、市販のマウスピースは既製品であり、熱湯で軟化させて歯型をとる程度の簡易なフィッティングしかできません[2]。

ガイドラインでも「OSA患者に口腔内装置治療を行う場合、市販の既製品ではなく、歯科医師によるカスタムメイドで調整可能な装置を使用すべき」と明確に推奨しています[4]。

すなわち、一人ひとりの口腔に合わせた精密な調整が治療効果に不可欠なのです。

 

 

市販品の有効性エビデンス

市販の簡易マウスピースのSASに対する有効性を検証した信頼性の高いRCTはほとんど存在しません。

むしろ、専門家の報告では「市販の熱湯で軟化させて歯型をとるようなマウスピースは、装着感が悪く不快なうえ、いびきを軽減することはあってもOSA自体を十分改善するものではない」と指摘されています[2]。

あるレビュー論文でも、「市販のプリフェブリケート(既製)装置は、これまで開発されたものでは効果や快適性が著しく劣る」と結論づけられています[3]。

要するに、市販品では適切な下顎前方移動量の確保や副作用管理が困難であり、治療効果に関する十分な科学的根拠がありません

 

 

専門的フィッティングの重要性

マウスピース治療を成功させるには、歯科での適切なフィッティングと段階的な調整が不可欠です。

専門の歯科医師は下顎の前方移動量を患者ごとに決定し、効果と副作用を見ながら微調整を行います[1]。

その上で睡眠検査による効果確認を経て初めて治療が完成します[1]。

市販品ではこうしたプロセスが一切行えないため、効果が不十分であったり、逆に顎関節に痛みを生じても対処できないリスクがあります。

 

 

以上の点から、市販のマウスピースでSASを治療することは推奨できません

実際、専門医も「市販の簡易デバイスは誤った安心感を与える可能性があり、睡眠時無呼吸の治療には通常推奨されない」と述べています[2]。

SASの疑いがある場合は、自己判断で市販品に手を出すのではなく、必ず医療機関で睡眠検査と診断を受け、適切な医療用マウスピースの処方を受けるようにしてください。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療のメリット

CPAPと比較した場合、マウスピース治療には以下のような**利点(メリット)**が挙げられます。

装置がコンパクトで携帯性に優れる

マウスピースは小型で軽量なため、旅行や出張時にも持ち運びが容易です。

CPAPのように機械本体や電源を必要としないため、場所を選ばず使用できる手軽さがあります。

就寝中も鼻マスクやホースがない分、身体的な拘束感が少ないことも利点です。

 

動作音がなく静か

CPAPは装置からの送風音やマスクの漏れ音が発生しますが、マウスピースはただ歯にはめるだけなので騒音がありません

同室者や家族の睡眠を邪魔しにくい点で、マウスピースは静音性に優れた治療と言えます。

 

装着の快適性と患者満足度

個人差はありますが、マウスピースの方がCPAPより違和感が少なく快適だと感じる患者さんは多いです。

特に閉所感や鼻への不快感がないため、治療の受容性(アクセプタンス)が高い傾向があります[7]。

実際、CPAPとマウスピースの両方を試した研究では、患者の多くがマウスピース治療の方を好むと自己申告しています[7]。

このように主観的な満足度が高いため、治療へのモチベーション維持にもつながります。

 

 

使用継続のしやすさ(コンプライアンスの良さ)

マウスピースは就寝中に装着するだけで済み、CPAPのように機器の操作や手入れも比較的簡便です。

その結果、実際の使用時間や日数がCPAPより長くなる傾向も報告されています[7]。

ある研究では、マウスピースの自己申告使用時間はCPAPより長いとの結果が出ており、高い治療コンプライアンス(継続使用率)が長期的な症状改善に寄与していると考えられています[7]。

コンプライアンスが高いため、実臨床での効果(有効性)はCPAPに匹敵する場合もあります[7]。

 

 

軽症・中等症SASには十分な効果

前述の通り、軽度〜中等度のSAS患者であれば、マウスピース単独で症状改善や生活の質(QOL)向上に大きな効果を得られるケースが多い[1]。

日中の眠気やいびきの軽減といった臨床転帰はCPAPと同等に改善するとの報告もあり[1]、これらの患者層にとってマウスピース治療は有力な第一選択肢となりえます。

実際、米国の専門学会も「CPAPを忍容できない患者やCPAP以外の治療を希望する患者には、口腔内装置による治療を検討すべき」と勧告しています[4]。

 

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療のデメリット

一方で、マウスピース治療には以下のような欠点や注意点(デメリット)も存在します。

これらを理解した上で、自身の症状や状況に合った治療法を選択することが大切です。

 

無呼吸抑制効果がCPAPより劣る

マウスピースは気道を広げることで無呼吸を減らしますが、気道を強制的に空気で開通させるCPAPほど確実にAHIを下げられるわけではありません

RCTの比較では、平均AHIの改善幅はCPAPの方が有意に大きいことが示されています[5]。

とくに重症SAS(AHIが高い症例)では、マウスピースのみでは無呼吸低呼吸を十分に抑制できない場合が多いのが現状です[1][6]。

重症患者ではまずCPAPを検討し、どうしても難しい場合にマウスピースを併用・代替する、といった対応が必要になります。

また、マウスピース使用中も残存する無呼吸がある程度生じうるため、酸素低下や睡眠分断が完全には是正されない可能性もあります。

 

顎関節や歯列への副作用

マウスピース装着に伴う口腔・顎への物理的な影響にも注意が必要です。

使用開始直後は、顎関節の違和感や痛み、歯の圧迫感、唾液の増加などの副作用が見られることがあります[2]。

これらの初期副作用は多くの場合、数週間以内に軽減するとされています[2]。

しかし、長期的に見ると歯の移動や咬み合わせの変化(噛み合わせがずれる)が起こるケースも報告されています[2]。

実際、数年単位の使用で上下の前歯の噛み合わせが変化したり、若干の出っ歯傾向になるといった歯列への影響が生じる可能性があります。

このため、定期的に歯科でフォローアップを受け、噛み合わせのチェックや装置の調整を行うことが推奨されます[2][4]。

また、顎関節症をもともと持つ方では症状が悪化するリスクもあるため、事前に歯科医と相談し注意深く経過をみる必要があります。

 

治療効果や継続率に個人差が大きい

マウスピース治療は誰にでも劇的な効果が得られるわけではなく、効果が不十分な例や使用中止に至る例も一定数存在します。

前述したように約30%の患者ではAHIの十分な改善が得られないとも報告されており[2]、そうした場合には他の治療(CPAPや外科的治療)への切り替えが検討されます。

また、装置の不快感や効果不十分さから途中で使用をやめてしまう患者もいます。

実際、ある研究では治療開始後最初の2ヶ月で約19%の患者がマウスピースの使用を中断したとのデータがあります[7]。

さらに長期的に見ると、当初80%近くに達していた治療成功率(AHIの有意な改善が得られていた患者の割合)が、5年後には約52%まで低下したとの報告もあります[6]。

この低下は、一部患者で症状の進行や体重増加などによってマウスピースの効果が相対的に不足してきたことや、途中で他の治療に移行したケースがあるためと考えられます[6]。

 

以上のように、マウスピース治療の有効性と継続率には個人差が大きく、経時的な再評価が必要です。

そのため、治療開始後も定期的な睡眠検査で効果を確認し、必要に応じて治療戦略の見直しを行うことが望ましいでしょう[4]。

 

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療は保険適用?

日本国内では、一定の条件を満たせば睡眠時無呼吸症候群に対するマウスピース治療は健康保険の適用が可能です。

適用の条件と費用の目安について解説します。

 

保険適用の条件

保険でマウスピース(スリープスプリント)を作製するには、睡眠時無呼吸症候群であるという医師の診断が確定していることが必要です[1]。

具体的には、内科や呼吸器科・耳鼻科など専門医療機関で終夜睡眠検査などの結果からSASと診断され、その診断書・紹介状を歯科に持参することで歯科での装置作製が保険適用となります[1]。

裏を返せば、単なるいびき症(SASではない)の場合や、自分でSASかもと思っているだけでは保険は使えず、まずは医科で正式にSASと診断される必要があります。

 

また、保険適用となる装置の種類は決められており、現在日本の保険診療で認められているのは上下顎一体型の口腔内装置です[1](上下が分離していて前後の微調整が可能なタイプは保険外扱い)。

適用に年齢制限はありませんが、通常自分の歯が20本以上残存している成人であることが望ましいとされています[1](歯が少なかったり小児の場合は適応外となることがあります)。

 

費用の目安

保険適用でマウスピースを作製した場合、自己負担3割の方で**約1万円前後(1~1.5万円程度)**の費用となることが多いです[1]。

装置そのものの技術料はおよそ3~5万円ほどで、残りを保険が負担する形です。比較的安価に作れるため、「いびきが強い軽症の方やCPAPが不要な程度の中等症の方」であればまず保険でマウスピース治療を試みる価値があります。

 

一方、いびき症(SASと診断されない場合)でマウスピースを作りたい場合や、上下分離型の調整機能付きマウスピースを希望する場合は自由診療(自費)となります。

自由診療では歯科医院ごとに費用設定が異なりますが、一般的な上下分離型の高度な装置では10万円以上の費用がかかるケースもあります[1]。

簡易的な一体型装置を自費で作る場合は数万円(おおむね3~5万円程度)ですが[1]、保険適用と比べると患者負担は大きくなります。

 

 

保険適用を受けるには多少手間がかかりますが、まずは医科で正確な診断を受け、その結果をもとに歯科でオーダーメイドの装置を作製するというプロセス自体が、安全で効果的な治療のために重要です。

費用面でも保険適用であれば比較的安価に済むため、SASと診断された方は主治医にマウスピース治療の適否を相談してみるとよいでしょう。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

SASの症状に心当たりがある方(例えば睡眠中の大きないびきや無呼吸、日中の強い眠気など)は、早めに専門医の診断と適切な治療を受けることが大切です。

放置すると高血圧や心疾患、脳卒中など重大な健康リスクにつながる可能性があります。

 

森下駅前クリニックでは、忙しい方でも利用しやすいオンライン診療を通じてSASの相談・診察・検査を受けることが可能です。

自宅にいながら医師の問診を受けたり、必要に応じて簡易検査機器をご自宅にお送りしてSASのスクリーニング検査を行うこともできます。

 

公式ページ(https://morishitaekimae.com/online/)から24時間いつでも予約が可能です。

遠方の方や来院が難しい方でも、オンラインで専門医と繋がることで早期診断・早期治療に踏み出すことができます。

 

早期に適切な対応をとることで、将来的な合併症リスクを減らし、快適な日常生活を取り戻すことが期待できます。

 

少しでもSASの疑いがあれば、ぜひ一度オンライン診療を活用して専門医にご相談ください。

 

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引用文献

[1] 日本呼吸器学会『睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020』2020年
[2] Oral Appliances for Sleep Apnea: Types, Benefits, Risks | SleepApnea.org
[3] Dort L, Remmers J. A combination appliance for obstructive sleep apnea: the effectiveness of mandibular advancement and tongue retention. J Clin Sleep Med. 2012;8(3):265–269.
[4] Ramar K, et al. Clinical practice guideline for the treatment of obstructive sleep apnea and snoring with oral appliance therapy: an update for 2015. J Clin Sleep Med. 2015;11(7):773–827.
[5] Sharples LD, et al. Meta-analysis of randomised controlled trials of oral mandibular advancement devices and continuous positive airway pressure for obstructive sleep apnoea-hypopnoea. Sleep Med Rev. 2016;27:108–124.
[6] Vecchierini MF, et al. Mandibular advancement device use in obstructive sleep apnea: ORCADES study 5-year follow-up data. J Clin Sleep Med. 2021;17(8):1695–1705.
[7] Sutherland K, et al. Treatment usage patterns of oral appliances for obstructive sleep apnea over the first 60 days: a cluster analysis. J Clin Sleep Med. 2021;17(9):1785–1792.

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

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睡眠時無呼吸症候群は遺伝する?原因やリスク、オンライン診療でできる対策を解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は肥満や生活習慣と深く関係する病気ですが、近年では遺伝的な要因も関与している可能性が指摘されています。

実際、家族にSAS患者がいる場合は自分も発症しやすいことが報告されています[1]。

例えば、第一度近親者(親や兄弟姉妹など)にSASの人がいると、自分がSASになるリスクは一般よりも約1.5倍高いとのデータもあります[4]。

 

本記事では、SASの遺伝的要因について、国内外の最新医学エビデンスをもとに詳しく解説し、遺伝的素因があっても取れる対策や治療法について説明します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)は遺伝と関係する?

家族歴と発症リスク

SASは遺伝的素因がある程度関与する疾患と考えられています。

疫学研究によれば、SAS患者の第一度近親者は、肥満や年齢などの要因を調整してもいびきや無呼吸を起こしやすいことが示されています[1]。

ある日本の調査では、SAS患者の親族(第一親等)の約9.1%にSASがみられ、これは一般人の有病率(約1.7%)の4倍以上だったと報告されています[2]。

このように家族歴はSAS発症の重要なリスク指標となりえます。

 

特定の遺伝子の関与

SASに関連する具体的な遺伝子についても研究が進んでいます。

多因子遺伝の典型で、一つの遺伝子が直接SASを引き起こすわけではありませんが、複数の遺伝子変異が発症しやすさに少しずつ影響すると考えられます[4]。

最近の研究から、例えば炎症に関与するサイトカインであるTNF-α遺伝子の多型(-308G/A)を持つ人はSASになりやすいとの報告があります[1]。

また血管の状態を調節するAngiopoietin-2(ANGPT2)遺伝子の変異が、夜間の低酸素状態の程度(SASの重症度指標)に関連することも明らかになりました[1]。

そのほか、ドーパミン受容体遺伝子セロトニン受容体遺伝子、脂肪細胞の機能に関わる遺伝子(例えばLPAR1)など、SASとの関連が示唆された遺伝子候補は複数存在します[10]。

ただし、これらの遺伝子の影響はそれぞれ小さいため、現在のところ特定の遺伝子があれば必ずSASになるというものではなく、遺伝要因はあくまで「なりやすさ」に関与するに留まります。

 

骨格・顔面形態の遺伝的影響

両親や祖父母と顔つきが似るように、頭部や顔面の骨格的特徴も遺伝で受け継がれるため、これがSASの家族内発症に影響するケースがあります[11]。

具体的には、下顎が小さい(小顎・下顎後退)扁桃や舌が大きい気道(喉の奥)が狭い形状といった解剖学的特徴は遺伝的に家族間で共通しやすく、結果として気道が睡眠中に塞がりやすい体質が遺伝する可能性があります[2]。

実際、家系内で同じような顔貌や首まわりの構造を持つ複数のSAS患者が見られた例も報告されています[2]。

 

遺伝と環境要因の相互作用

SASは遺伝要因と環境要因の組み合わせで発症すると考えられています[1]。

遺伝的に「太りやすい」「顎が小さい」などの素因を持っていても、環境要因(生活習慣)が良好であれば必ずしも発症しません。

しかし遺伝的素因に加えて、後述するような肥満・加齢・飲酒喫煙などの要因が重なると、発症リスクが大幅に高まります[4][3]。

例えば、遺伝的に肥満になりやすい人が高カロリーな食生活を送ると重度の肥満となり、その結果SASを発症しやすくなります。

一方で遺伝的素因があっても適切な体重管理をしていればSASを予防できる可能性があります。

このように「遺伝だから必ず起こる」わけではなく、環境要因との相互作用が重要なのです。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)になりやすい人の特徴

SASの発症には上記のように様々な要因が絡みますが、特に以下のような特徴を持つ人はSASになりやすいとされています[5]。

 

家族歴がある人

家族にSASと診断された人がいる場合、自身も発症する確率が高まります。遺伝的に似た体質・骨格を共有するためと考えられ、海外の研究ではリスクが約1.5倍と報告されています[4]。家族にいびきや無呼吸が多い場合は要注意です。

 

骨格的特徴

小顎(下顎の後退)や顎が細いなど、先天的に上気道が狭くなりやすい顔面骨格の人はSASを起こしやすい傾向があります[5][2]。

また、生まれつき扁桃肥大で喉を塞ぎやすかったり、舌が大きめである場合も気道が狭くなる原因になります。

これらは親子で似ることが多いため、家族に同様の顔立ちでいびきをかく人がいる場合は注意が必要です。

 

太りやすい・肥満体型の人

肥満はSAS最大のリスク要因です。体質的に太りやすく、実際に肥満傾向にある人は、首や喉周りに脂肪がついて気道が圧迫され、無呼吸を起こしやすくなります[3]。

肥満度を示すBMIが高い人ほどSAS有病率が高いことがわかっており、肥満者は非肥満者に比べて10倍以上SASになりやすいとの報告もあります[10]。

 

男性

性別では男性が女性より圧倒的にSASを発症しやすいことが知られています。

中年男性では同年代の女性の約3倍もSASが多く報告されています[5]。

これは男性ホルモンの影響や脂肪の付き方の違い、咽頭周囲の筋肉量の差などが関係すると考えられます。

一方、女性でも更年期以降はリスクが上昇し、閉経後にホルモン補充療法を受けていない女性では男性と同程度まで有病率が上がるとのデータがあります[5]。

 

年齢が高い

高齢になるほどSASの頻度は高まります。

加齢に伴い喉や舌の筋肉の緊張が低下したり、舌根が沈下しやすくなるため、気道閉塞が起こりやすくなるためです。

また加齢で体重が増えたり、舌や軟口蓋に脂肪が沈着することも一因です[3]。

一般に40~70歳で多く、特に60歳以上では有病率が急増します[5]。

 

民族的要因

人種・民族によってSASのなりやすさに差があることも指摘されています。

例えば欧米人と比べて日本人を含むアジア人は、肥満度がそれほど高くなくてもSASになる割合が高い傾向があります[10]。

これはアジア人に多い骨格的特徴(相対的に小さな顎や扁桃の大きさなど)が影響していると考えられます。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)になる原因

SASは睡眠中に上気道(鼻から喉にかけて)の通り道が狭くなることによって起こる無呼吸状態です。

その背後には遺伝的要因と環境要因が複雑に絡んでいます。

 

遺伝要因による解剖・生理学的特徴

遺伝的素因を持つ人では、SASを引き起こしやすい体の特徴がみられることがあります。

代表的なのは先述した顔面・気道の構造です。遺伝により顎が小さかったり、咽頭(喉)のスペースが狭い形状の場合、仰向けに寝たときに舌や軟口蓋が気道を塞ぎやすくなります。

また舌の大きさ軟口蓋の長さなども遺伝的に決まり、これらが大きいと気道閉塞のリスクとなります。

さらに筋肉の緊張度合いや神経による上気道筋の制御能力にも個人差(おそらく遺伝要因)があり、睡眠中に喉の周りの筋肉が過度にゆるみやすい体質だと無呼吸が起こりやすくなります。

実際、ダウン症候群など一部の遺伝性症候群では顎が小さい・舌が大きい・筋緊張低下といった特徴のために若い頃からSASを発症することが知られています[3]。

このように、生まれつき備わった体の構造・性質がSASの原因素因となり得るのです。

 

 

環境要因(生活習慣や疾患要因)

SAS発症において、環境要因(後天的要因)も非常に大きな役割を果たします。

なかでも肥満は最大の原因であり、体重増加に伴って首や気道周囲に脂肪がつくと気道が圧迫され無呼吸が起きやすくなります[4]。

 

事実、SAS患者の60~70%は肥満であるとのデータもあり[4]、肥満度が高いほどSASの重症度(無呼吸指数AHI)も高くなる傾向があります[1]。

 

また加齢も原因の一つです。

年を取ると筋力が衰え、睡眠中に喉周りの軟部組織が喉を塞ぎやすくなります。

 

さらに飲酒も要因です。

アルコールは筋肉の緊張を緩める作用があるため、就寝前の飲酒によって喉の筋肉が弛緩し、普段は無呼吸がない人でも息が止まりやすくなります[3]。

 

同様に睡眠薬や鎮静剤の服用も無呼吸を悪化させることがあります。

 

喫煙もリスクです。

タバコを吸うと気道粘膜が慢性的に炎症を起こし腫れるため、気道が狭くなり無呼吸の原因になります[3]。

 

そのほか鼻づまり(慢性的な鼻炎・副鼻腔炎)も鼻から空気を取り込みにくくし、口呼吸になることで喉が塞がりやすくなる要因です。

 

また睡眠姿勢(仰向けに寝ると重力で舌が下がる)や深酒して泥酔状態で寝るなども一時的に無呼吸を引き起こすことがあります。

 

このように環境要因だけでもSASを誘発しますが、多くの場合は遺伝的な形質と環境要因とが重なり合って発症に至ります。

 

 

遺伝要因と環境要因の複合的影響

SASは「遺伝か環境か」ではなく「遺伝+環境」で起こることがほとんどです[1]。

 

例えば、生まれつき顎が小さい人でも痩せていて筋肉がしっかりしている若いうちは発症しないかもしれません。

しかし加齢で筋緊張が低下したり体重が増えたりすると発症する、といった具合に、先天的な要因が下地にあり、後天的な変化が引き金となって発症するケースが多いのです。

 

逆に、家族にSASの人がいて自分もその体型に近い場合でも、体重管理や生活習慣に気をつけてリスク要因を減らすことで発症を防げる可能性があります。

 

つまり遺伝的要因があっても「運命」と考える必要はなく、後天的な対策次第で十分リスクをコントロールできることを覚えておいてください。

 

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遺伝的要因があっても対策可能!睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療

たとえ遺伝的にSASのリスクが高くても、適切な対策や治療によって発症を予防したり症状を軽減することができます。

ここでは主なSASの治療・対策法を紹介します。

 

生活習慣の改善

SASのリスクを下げる最も基本的かつ重要な対策は生活習慣の是正です。

 

特に減量(体重コントロール)は効果的で、肥満のある方は体重を5~10%落とすだけでも無呼吸の程度が大きく改善する場合があります。

高度肥満の方では、食事療法・運動療法に加えて減量手術(胃縮小手術など)を行うとSASが寛解することも報告されています[5]。

実際、肥満患者に対する減量手術後に無呼吸指数(AHI)が正常化しSASがほぼ治ったケースも多く、減量は根本的対策として非常に重要です。

 

また飲酒を控えることも大切です。

就寝前のアルコールは無呼吸発作を誘発・悪化させるので、SAS傾向のある人は禁酒または寝る4時間以上前までに飲酒を済ませるようにします[3]。

 

禁煙も気道炎症を改善し、いびき・無呼吸の頻度軽減につながります[3]。

 

さらに睡眠習慣の見直しも有益です。

十分な睡眠時間を確保し、睡眠薬の乱用を避け、可能であれば横向きで寝る習慣をつけると良いでしょう(仰向け睡眠で無呼吸が悪化する人には、抱き枕の利用などで横向き寝を促す工夫が効果的です)。

生活習慣の改善は遺伝的素因がある人でも発症を遅らせたり軽く済ませる効果が期待できます。

 

 

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)

中等症以上のSAS患者の第一選択治療はCPAPと呼ばれる機械による療法です。

CPAP装置は就寝時に鼻(または鼻口)マスクを装着し、気道に空気を送り込んで内部から圧力をかけることで喉の閉塞を防ぐ機械です。

遺伝的要因で気道が狭い体質の方でも、CPAPを使えば睡眠中ずっと気道が開いた状態を保てます。

症状の改善効果は非常に高く、適切に使用すれば夜間の無呼吸や低酸素状態がほぼ完全に解消されるため、日中の眠気やいびきも劇的に軽減します[9][9]。

 

さらにCPAP治療により血圧が下がったり不整脈や脳卒中のリスクが減少するといった合併症予防効果も報告されています[5]。

重症のSASでは心不全や心筋梗塞など命に関わる合併症リスクが高まりますが、CPAPの継続使用によってそれらの心血管イベントの発生率を低下させることができるのです[5]。

 

CPAP療法は遺伝的素因の有無に関わらずSAS治療の標準であり、特に重症例では生涯にわたり使用する価値のある有効な治療法です。

機器の進歩により携帯性や静音性も向上し、自宅で簡便に行えるようになっています。

 

口腔内装置(マウスピース)

軽症~中等症のSASや、CPAPがどうしても合わない方には口腔内装置による治療も有効です。

これは歯科で作成するマウスピース型の装置で、就寝時に装着すると下顎や舌を前方に押し出す構造になっており、喉の気道スペースを広げて無呼吸を防ぎます。

ただし重症SASでは十分な効果が得られにくいため、重症の場合はCPAPの方が望ましいとされています。

 

外科的治療(手術)

解剖学的な原因が明らかな場合や、他の治療で効果不十分な場合には外科的手術も選択肢となります。

代表的なのは扁桃摘出術鼻中隔・鼻甲介手術です。

 

扁桃(のどの扁桃腺)が大きく気道を塞いでいる場合、その摘出手術によりSASが劇的に改善することがあります。

成人のSAS患者を対象とした研究では、扁桃摘出のみの手術で無呼吸指数(AHI)が平均82%も減少し、95%近くの症例でAHIが半減するなど高い効果が報告されています[7]。

 

特に若年で肥満傾向がある扁桃肥大の男性では、扁桃摘出によりSASがほぼ治癒するケースもあります[7]。

小児のSASにおいても、アデノイドや扁桃の肥大が原因であればその摘出手術が第一選択で、多くの子どもで症状が改善します。

もう一つは顎矯正手術(顎骨前方移動術)です。

これは上顎および下顎の骨を外科的に前方へ移動固定する手術で、結果的に舌や軟口蓋が引き前に出されて上気道が広がるため、SASの根本的治療となります。

大掛かりな手術ですが効果は高く、重度のSAS患者でもこの手術により80~90%の症例で無呼吸が大幅改善したとの報告があります[8]。

 

下顎が小さいことが原因のSASでは非常に有効な治療と言えます。

これらの外科治療は患者さん個々の状態に応じて検討され、適応があれば行われます。

ただし手術にはリスクも伴うため、基本的には他の保存的治療(減量・CPAP・マウスピース等)で効果不十分な場合明らかな解剖学的閉塞がある場合に選択されます。

 

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

「もしかして睡眠中に無呼吸になっているかも」「いびきが酷く日中の眠気も強い」

このようなSASの症状や心当たりがある場合、できるだけ早めに専門医で診断を受けることが重要です。

SASを放置すると日中の居眠りによる事故リスクが高まるほか[4]、高血圧・心臓病・脳卒中・糖尿病など様々な合併症のリスクが上昇することがわかっています[4]。

幸い、現在はオンライン診療を活用して自宅にいながらSASの専門診察・検査を受けることも可能です。

 

森下駅前クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の診察・検査をオンラインで完結できる体制を整えています[9]。

具体的には、スマートフォンやパソコンを使って医師のオンライン問診・診察を受け、その後ご自宅で簡易睡眠時無呼吸検査(携帯用の検査機器を用いた自宅での睡眠検査)を実施します[9]。

検査機器はクリニックから宅配便で貸し出されるため、来院せずとも睡眠中の無呼吸の有無を調べることができます[9]。

医師はオンラインで検査結果を説明し、SASと診断された場合には重症度に応じて適切な治療方針を提案します[9]。

例えばCPAP療法が適応となれば、CPAP装置もご自宅に配送されるので、受け取りのために外出する必要もありません[9]。診察から治療まですべて保険適用で行えます[9]。

 

※※2025年2月現在、保険診療のルール上、CPAP使用開始後に一度、対面診療のための来院の必要性があります。

 

オンライン診療の予約方法は、森下駅前クリニックのウェブサイトから24時間受付が可能です[9]。

 

SASは適切に対処すれば怖くありません。「いびきがひどい」「日中に異常に眠い」などの兆候がある方は、遺伝的要因の有無にかかわらず早めに専門医に相談しましょう。

森下駅前クリニックのオンライン診療(https://morishitaekimae.com/online/)を活用し、快適な睡眠と健康な生活を取り戻してください。

 

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引用文献(出典)

[1] Mukherjee S, et al. The genetics of obstructive sleep apnoea. Respirology. 2018;23(1):18-27.
(The genetics of obstructive sleep apnea – PMC)
[2] 井上雄一ほか「睡眠時無呼吸症の遺伝性に関する研究 – 家系内多発の実態ならびにその要因について」科研費報告(鳥取大学, 1997年).
(KAKEN — 研究課題をさがす | 睡眠時無呼吸症の遺伝性についての研究-家系内多発の実態ならびその要因について- (KAKENHI-PROJECT-08671088))
[3] National Heart, Lung, and Blood Institute. Sleep Apnea – Causes and Risk Factors. (アメリカ国立心肺血液研究所 NIH、2025年更新).
(Sleep Apnea – Causes and Risk Factors | NHLBI, NIH)
[4] MedlinePlus Genetics. Obstructive sleep apnea – Inheritance and Causes. (米国国立医学図書館, 2021年).
(Obstructive sleep apnea: MedlinePlus Genetics)
[5] Blechner A & Friedman N. Diagnosis and Treatment of Obstructive Sleep Apnea in Adults. Am Fam Physician. 2016;94(5):355-360.
(Diagnosis and Treatment of Obstructive Sleep Apnea in Adults | AAFP)
[6] 日本呼吸器学会『睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020』公益社団法人日本呼吸器学会, 2020年.
[7] Huntley C, et al. The Effect of Tonsillectomy Alone in Adult Obstructive Sleep Apnea. Otolaryngol Head Neck Surg. 2015;152(5):969-973.
(The Effect of Tonsillectomy Alone in Adult Obstructive Sleep Apnea | Request PDF)
[8] Vanderveken OM, et al. Maxillomandibular advancement for OSA: Long-term outcomes. J Clin Sleep Med. 2020;16(8):1409-1418.
(The influence of position dependency on surgical success in …)
[9] 森下駅前クリニック「CPAP専門外来(睡眠時無呼吸症候群のオンライン診療)」(2023年).
(CPAP専門外来|睡眠時無呼吸症候群のオンライン診療は森下駅前クリニックへ!)
[10] National Library of Medicine. Genetics of Sleep Apnea (NCBI, 2022年).
(Is Sleep Apnea Genetic?)
[11] レスメド スリープスポット. 閉塞性睡眠時無呼吸は遺伝する?
 (閉塞性睡眠時無呼吸は遺伝する? – ResMed SleepSpot | レスメド スリープスポット)

※上記で示した各文献タイトル横のカッコ内リンクは本文中で[番号]として表記した引用元の詳細です。
本文の文章はそのまま、リンク部分のみを「[番号]」に置き換えております。

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

治療

検査

予防

合併症

症状

原因

傾向

疑い

 

 

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睡眠時無呼吸症候群が日中に及ぼす影響とは?原因から治療まで徹底解説

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に何度も呼吸が止まることで睡眠の質が低下する病気です。

その結果、十分眠っていても日中に強い眠気を感じたり、常に疲労感が抜けない状態になります。

 

仕事や日常生活への悪影響も大きく、集中力の低下や判断力の鈍化、イライラしやすさや気分の落ち込みなどを引き起こします。

これらは生活の質の低下や重大なミス・事故につながるため注意が必要です。

 

本記事では、SASの基礎知識から日中への具体的な影響、原因メカニズム、そして最新の治療法まで、国内外のガイドラインや医学的エビデンス をもとに詳しく解説します。

SASが疑われる場合の対処法についても紹介します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?基礎知識を簡単に解説

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS)は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止(無呼吸)や呼吸低下(低呼吸)を繰り返す疾患の総称です。

原因により大きく2種類に分類され、閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea; OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(Central Sleep Apnea; CSA)があります[1]。

 

OSAは喉や気道の物理的な閉塞によって起こり、無呼吸中も呼吸しようとする努力(いびきなど)が見られるのが特徴です。

一方、CSAは脳の呼吸中枢の働きの低下により呼吸信号が送られなくなることで生じ、無呼吸中に胸や腹部の動き(呼吸努力)が見られない点で異なります。

SASの大部分はOSAであり、本記事でも主にOSAについて述べます。

 

SASの診断基準は、一晩の睡眠あたりの無呼吸・低呼吸の発生回数である無呼吸低呼吸指数(Apnea-Hypopnea Index;AHI)によって決まります。

成人では通常、AHIが5以上でSASの疑いがあり、症状(日中の強い眠気など)が伴えば睡眠時無呼吸症候群と診断します[2]。

 

また症状がなくてもAHIが15以上であれば診断基準を満たします。

AHIが5~15未満を軽症、15~30未満を中等症、30以上を重症と分類するのが一般的です。

SASは決して珍しい病気ではなく、中等症以上(AHI≧15)のOSAは成人男性の約2割、閉経後の女性の約1割にみられるとの報告もあります。

 

日本ではAHI≧15の中等症以上の患者が約940万人(30~69歳人口の14%)に達するとの推計もあり[8]、現代社会において無視できない頻度の疾患です。

肥満や加齢、男性であることがリスク因子で、糖尿病や高血圧など生活習慣病患者では有病率がさらに高いことが知られています。

 

 

SASを放置すると起こり得る健康リスクにも注意が必要です。

睡眠中の低酸素状態や睡眠断片化は全身にさまざまな悪影響を及ぼし、高血圧や心臓病、不整脈など心血管疾患の発症リスクを高めます[8][9]。

 

実際、OSAは冠動脈疾患や脳卒中の独立した危険因子とされ[7]、重症OSAでは心不全や心筋梗塞、脳卒中の発症率が有意に高いとの報告があります。

また認知機能の低下も見逃せません。

 

近年の研究で、OSAによる夜間低酸素血症が認知症や軽度認知障害のリスク要因となりうることが示唆されています[5]。

さらにうつ病や不安障害など精神面への影響も指摘されており、SAS患者では健常者に比べ抑うつ症状の頻度が高いことが多数の研究で報告されています[7]。

このようにSASは全身の健康に関わる重要な疾患であり、早期発見・治療が大切です。

 

睡眠時無呼吸症候群が日中に及ぼす主な影響

眠気と疲労感

過剰な日中の眠気(Excessive Daytime Sleepiness; EDS)はSASの代表的な症状です。

夜間の睡眠中に何度も無呼吸や低呼吸が起こると、そのたびに浅い睡眠や覚醒が生じて睡眠が分断されます。

本人は十分寝ているつもりでも睡眠の質が極端に悪いため、日中に強い眠気に襲われたり、常に倦怠感・疲労感が抜けない状態になります[10]。

 

例えば会議中や食後にウトウトしてしまったり、ひどい場合は信号待ちなど短い停止時間にも眠り込んでしまうことがあります。

睡眠が細切れになることで熟睡感が得られず、朝起きても疲れが取れていない、頭がぼんやりする、といった訴えもよく聞かれます。

慢性的な寝不足状態に陥るため、コーヒーを飲んでも効果がないような強い眠気が一日中続くケースもあります。

 

このような日中の過度の眠気は、患者本人が自覚するだけでなく周囲から見ても異常と分かることがあります。

日本の診療ガイドラインでも、SAS患者では日中の強い眠気がしばしば存在し、治療後も残る場合があると指摘しています[1]。

慢性的な疲労と眠気は生活の質(Quality of Life;QOL)の低下につながり、放置すると仕事の継続や日常活動にも支障をきたすため、早期の対応が必要です。

 

集中力の低下や判断力の鈍化

睡眠不足は脳の認知機能を低下させますが、SASの場合も同様です。

十分な睡眠がとれないことで注意力や集中力が続かなくなり、些細なミスが増えたり物覚えが悪くなったと感じるようになります。

実際に、OSA患者では記憶力や注意力、実行機能(判断・計画能力)に明らかな障害がみられることが多くの研究で報告されています[11]。

 

例えば会話や業務でケアレスミスが増える、人の名前や約束を忘れやすくなる、判断に時間がかかる、といった形で現れます。

これは夜間の低酸素や睡眠分断によって脳へのダメージが蓄積するためと考えられています。

OSAでは海馬や大脳皮質に神経障害が生じ、認知機能全般の低下につながるとの報告もあります[7]。

 

また反応速度の低下も問題になります。

睡眠不足の状態ではとっさの判断や動作が遅れがちです。

スポーツで瞬発力が落ちたり、運転中にブレーキを踏むまでの時間が遅れるなど、素早い対応が要求される場面で能力が発揮できなくなる可能性があります[11]。

 

このような集中力・判断力の低下は、特に仕事で重大な影響を及ぼしかねません。

複雑な作業や高い注意力を要する業務では生産性が下がり、ミスによるトラブルも増えるでしょう。

 

交通事故のリスクや機械操作中のミス

SAS患者にとって最も深刻な日中症状の一つが、居眠り運転による交通事故リスクの増大です。

日中の強い眠気から、運転中につい瞬間的に意識を失ってしまう「マイクロスリープ(瞬間睡眠)」が起こることがあります。

これにより居眠り運転や漫然運転となり、重大な事故を引き起こす危険性が高まります。

 

研究によれば、OSA患者の自動車事故リスクは健常者の少なくとも2倍以上に達するとされ[3]、あるメタ分析では1.2~4.9倍もの範囲で事故率が上昇するとの報告もあります[3]。

実際、SASが原因と考えられる居眠り運転事故の事例も多数報告されており、社会的にも大きな問題となっています。

 

また産業現場での労働災害や医療現場でのヒヤリハットなど、機械操作や注意力が要求される場面でのミスも増加します。

OSAは過度の眠気を引き起こす代表的疾患であり、交通事故の最も重要な予防可能な原因であるとも言われています。

メタ解析では、SAS患者の仕事中の事故リスクは健常者の約2.2倍にもなるとの結果が示されました[4]。

 

特に職業ドライバーや重機オペレーターのような安全に関わる職種では、SASによる注意障害は自他ともに重大な危険を及ぼします。

日本のガイドラインでも、日中の眠気や注意不足は交通事故など様々な事故の原因となり得るため、SAS診療において留意すべき点であると強調されています[1]。

このような背景から、日本呼吸器学会のガイドライン2020ではSAS患者の自動車運転に関する章が設けられ、安全管理の重要性が述べられています。

 

イライラしやすくなる

睡眠不足は精神的な余裕を奪い、些細なことでイライラしたり怒りっぽくなることが知られています。

SASでも夜間の断続的な睡眠不足によりストレスホルモン(コルチゾールなど)の分泌リズムが乱れると考えられ、感情のコントロールが難しくなる傾向があります。

実際に、OSA患者では頻回の覚醒による睡眠分断が「怒りっぽさ」や「情緒不安定」を引き起こすことが報告されています[7]。

例えば家族や同僚に対して些細なことで声を荒らげてしまったり、常に焦燥感・落ち着きのなさを感じるといった形で現れます。

医学研究によれば、睡眠中の断片化と低酸素による慢性的なストレス状態が交感神経を過剰に活性化させ、日中も身体がリラックスできない「戦闘モード」に陥るとされています[9]。

その結果、心にゆとりがなくなり苛立ちやすい精神状態になってしまうのです。また慢性的な疲労と眠気自体がストレス源となり、心身の疲弊から余計にイライラを募らせる悪循環も考えられます[10]。

周囲から「最近怒りっぽい」「感情の起伏が激しい」と指摘される場合、実は背後にSASが潜んでいるケースもあります。

 

気分が落ち込む

SASはメンタルヘルスにも影響を与えます。

慢性的な睡眠不足状態が続くと脳内の神経伝達物質バランスが乱れ、抑うつ症状や不安症状が出現しやすくなります。

実際、OSA患者ではうつ病の併存率が一般人口より有意に高いことが国内外の研究で示されています[7]。

 

あるレビュー研究の結論では、未治療のOSAは感情面に悪影響を及ぼし、放置するとうつ病や不安障害のリスクが高まるとされています[6]。

夜間に繰り返される低酸素状態や睡眠分断が脳の情動を司る領域(例えば扁桃体や前頭前野)の機能に影響し、気分の調整がうまくできなくなる可能性があります。

具体的な症状としては、「何となく憂うつでやる気が出ない」「趣味や仕事に喜びを感じなくなった」「理由もなく不安感が強い」といった形で現れることがあります。

SASと診断されていない段階では、一見するとうつ病や不安障害として扱われてしまうケースもあります。

実際に、SAS患者の中には抑うつ状態のために精神科を受診していたが、精査すると睡眠時無呼吸が原因だったという例も少なくありません[7]。

 

夜間の低酸素や睡眠障害を改善することで抑うつ症状が改善するケースも報告されており、SAS治療はメンタル面の改善にも寄与します。

したがって日中の気分障害が顕著な場合も、SASの有無を確認することが重要です。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)はなぜ日中にこれほど影響が出るのか?

SASがこれほど多岐にわたる日中の悪影響をもたらすのは、主に以下のような生理学的メカニズムによります。

 

睡眠中の低酸素血症と交感神経の過活動

無呼吸によって血中の酸素濃度が下がると、身体は「窒息の危機」と判断して交感神経(いわゆるストレス反応)を活性化させます。

心拍数や血圧が上がり、寝ているにもかかわらず身体が興奮状態になるのです[9]。

この交感神経の過剰な刺激が一晩に何度も繰り返されることで、夜間だけでなく日中も交感神経が亢進しやすい状態(慢性的なストレス状態)に陥ります[9]。

その結果、先述したようなイライラや不安感の増加、高血圧や脈拍数の上昇につながります。

また交感神経優位の状態では脳がリラックスできず、集中力や意思決定力が低下する一因ともなります。

 

覚醒反応の増加による睡眠の断片化

無呼吸や低呼吸が発生すると、脳は酸素不足に対処するため一瞬目覚める(覚醒反応)を起こします。

この覚醒は必ずしも意識的に「目が覚めた」と自覚されるものではありませんが、脳波的には睡眠が浅い段階に引き戻されます。

重症のOSAでは1時間に30回以上も無呼吸が起こることがあり、2分に1回は脳が覚醒している計算になります。

その結果、深い睡眠が維持できず睡眠が細切れ(断片化)となり、身体も脳も休息しきれません[7]。

人間の睡眠は本来、浅いノンレム睡眠から深い徐波睡眠、さらにレム睡眠へと90分周期で繰り返します。

しかしOSAではこうした正常な睡眠サイクルが破壊されてしまうため、熟睡による回復効果が得られなくなります。

結果として日中の強い眠気や疲労感、頭の回転の悪さなどにつながります[10]。

 

深い睡眠(徐波睡眠)の減少

前述の睡眠断片化とも関連しますが、OSA患者では特に深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の割合が減少する傾向があります。

徐波睡眠は脳と身体の回復・成長ホルモン分泌に重要で、記憶の定着や免疫機能の維持にも関与しています[13]]。

この徐波睡眠が十分に取れないと、翌日の肉体的・精神的リフレッシュが不十分になります。

慢性的に徐波睡眠が不足すると、高血圧や糖代謝異常のリスクが上がるとの研究報告もあります。

加えて、夢を見るレム睡眠の障害も指摘されています。レム睡眠は感情処理や記憶整理に関与するとされ、OSAではレム睡眠中にも無呼吸が起こるため夢見が悪かったり頻繁に目が覚めることがあります。

これら深い睡眠段階の障害は、長期的な認知機能の低下や気分障害とも関連している可能性があり[5]、SASが日中に及ぼす影響を一層悪化させる因子となります。

 

 

以上のように、SASは夜間の生理機能に断続的なストレスを与えることで、翌日の覚醒時にまでその悪影響が持ち越されます。

低酸素と睡眠分断の反復という二重の負荷が、身体と脳のコンディションを損ない、様々な日中症状を引き起こすのです。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治すには

SASと診断された場合、症状の改善と合併症予防のために適切な治療を受けることが重要です。主な治療法には以下のようなものがあります。

 

生活習慣の改善

生活習慣の見直しは軽症のSASでは第一選択となり、また他の治療を行う場合でも基礎として重要です。

特に肥満はOSAの最大の危険因子であり、首や喉周りに脂肪が付くことで気道が狭くなる原因となります。

したがって減量はSAS改善に極めて有効です。体重を10%減らすだけでも無呼吸の程度が大幅に軽減するケースがあり、肥満度が高い患者では減量により症状が著明に改善することが期待できます。

実際、肥満を伴うOSA患者には減量療法を併用することが強く推奨されています[1]。適切な食事管理と運動により標準体重に近づけることが目標です。

 

また、飲酒や喫煙の習慣を見直すことも重要です。アルコールは筋肉の弛緩を促し、睡眠中に喉の気道が塞がりやすくなります。

就寝前の飲酒はOSAを悪化させるとの解析もあり、できるだけ控えるべきです。日常的な飲酒習慣がある人はない人に比べ、OSA発症リスクが約1.25倍に増加したとの報告もあります。

喫煙もOSAと関連が指摘されています。

タバコによる慢性的な上気道の炎症や浮腫が気道径を狭め、無呼吸を助長する可能性があります。

1日20本以上の喫煙習慣を持つ人は、OSAの予後を悪化させるとのデータもあり、禁煙が望ましいとされています。

 

さらに、睡眠姿勢や睡眠衛生の工夫も有用です。仰向けで寝ると舌根が喉の奥に沈下して気道を塞ぎやすいため、横向き寝(側臥位)を心がけると無呼吸発作が減少する場合があります。

また十分な睡眠時間を確保し、寝る前のリラックス(深酒や夜更かしの回避、電子機器の使用制限)など質の良い睡眠習慣を整えることも、SAS症状の軽減に役立ちます。

 

CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)

中等症~重症のOSA治療の第一選択となるのがCPAP療法です[8]。

CPAP療法では、就寝時に鼻(または鼻口)マスクを装着し、小型のポンプから空気を持続的に気道へ送り込むことで喉の気道閉塞を防ぎます。

陽圧によって気道が内側から広げられるため、睡眠中の無呼吸・低呼吸をほぼ完全に抑制できます。

適切に使用すれば即座にいびきや無呼吸が消失し、睡眠の質が正常化します。日中の眠気や倦怠感もCPAP開始後から大幅に改善する例が多く報告されています。

 

CPAPの有効性は多数の研究で実証されており、過剰な日中の眠気(EDS)はCPAP治療により著しく改善することが示されています[1]。

またCPAPを毎晩しっかり使用することで、高血圧や心血管イベントのリスク低減効果も期待できます[9]。

無呼吸による酸素不足や交感神経亢進が抑えられるため、夜間の血圧上昇が緩和し、長期的には心臓や脳血管への負担を減らすと考えられています。

さらに、CPAP使用者では交通事故リスクが大幅に減少することも明らかになっており[12]、適切な治療は社会的な安全面でも重要です。

 

CPAP療法の課題は「継続使用の困難さ」です。

マスクや機械の装着に違和感を覚える人もおり、定着するまでに時間がかかる場合があります。

しかし最近の機器は小型軽量化し、静音で自動圧力調整機能も備わるなど使い勝手が向上しています。根気強く慣れることで日中の快適さが得られるため、重症の方ほどCPAPによるメリットは大きくなります[4]。

医療者と相談しながら機器の微調整やマスクフィッティングを行い、できるだけ毎晩の使用を続けることが肝要です。

 

口腔内装置(マウスピース)療法

マウスピースによる治療もOSAに有効な場合があります。

これは歯科で作製する口腔内装置(オーラルアプライアンス; OA)を就寝時に装着し、下顎や舌の位置を前方に固定することで喉の気道を確保する方法です。

 

主に軽症~中等症のOSAや、CPAPがどうしても継続困難な患者に適応されます。

マウスピースはコンパクトで旅行などにも持ち運びやすく、CPAPより装着への抵抗感が少ないという利点があります。

 

外科的治療の選択肢

生活習慣改善やCPAP、マウスピースで十分な効果が得られない場合、外科的治療が検討されることがあります。

SASの外科治療は原因となる解剖学的狭窄部位を改善することを目的に行われ、患者の状態に応じてさまざまな術式があります。

代表的なものの一つが咽頭・口蓋部の手術です。

また小児のSASではアデノイド増殖(咽頭扁桃)の摘出が標準的に行われ、顕著な改善を示します。

成人では、軟口蓋やのどちんこ(口蓋垂)の余剰組織を切除・縮小して気道を広げる口蓋咽頭形成術(UvuloPalatoPharyngoPlasty;UPPP)が行われることがあります。

ただしUPPP単独では十分な効果が出ないケースもあり、慎重な適応判断が必要です。

 

もう一つは顎骨の手術です。

下顎が小さい(後退している)ことで舌が喉を塞ぎやすいタイプのOSAには、下顎骨を前方に移動させる手術(場合により上顎も含めた顎矯正手術)が行われます。

顎骨前方移動術(Maxillomandibular Advancement; MMA)は気道全体を拡大でき、重症OSAにも高い有効性を示す治療法です。

顔貌や歯並びへの影響も考慮しつつ、専門的な評価のもと適応が決定されます。

この他、舌が大きい場合には舌の一部を切除・縫縮する手術や、舌を支える舌骨を前方固定する術式などもあります。

外科的治療は根治的効果を期待できますが、侵襲が大きくリスクも伴います。

そのため基本的には他の治療で効果不十分な場合の最終手段となります。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

上記の症状に心当たりがある場合は、できるだけ早く医療機関でSASの検査・診断を受けることが大切です。

近年はオンライン診療を活用して、自宅にいながら専門医の相談を受けることも可能です。

森下駅前クリニックでは、来院せずにビデオ通話を通じてSASの診察・検査の手配を行っています。

SASが疑われれば自宅で行える簡易睡眠検査(携帯型の睡眠ポリグラフ装置)を手配します。

検査結果に基づいて確定診断や重症度評価を行い、必要な場合は適切な治療(CPAP機器の導入など)につなげます。

オンライン診療を利用すれば、忙しくて受診の時間が取れない方や遠方の方でも早期に専門診療へアクセスできます。

SASは放置すると健康リスクが高まる疾患ですが、治療により日中の眠気や倦怠感は劇的に改善し、生活の質が向上します。

思い当たる症状がある方は一人で悩まず、まずはオンライン診療で専門医に相談してみましょう。

 

森下駅前クリニックのオンライン診療(https://morishitaekimae.com/online/)をご利用ください。

 

早めの対応が、快適な日常と将来の健康を守る第一歩です。

 

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引用文献

[1] 日本呼吸器学会(編)『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』南江堂、2020年

[2] Kapur VK, Auckley DH, Chowdhuri S, et al. Clinical practice guideline for diagnostic testing for adult obstructive sleep apnea: An American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. J Clin Sleep Med. 2017;13(3):479–504.

[3] Tregear S, Reston J, Schoelles K, et al. Obstructive sleep apnea and risk of motor vehicle crash: a systematic review and meta-analysis. J Clin Sleep Med. 2009;5(6):573-581.

[4] Garbarino S, Guglielmi O, Sanna A, et al. Risk of occupational accidents in workers with obstructive sleep apnea: systematic review and meta-analysis. Sleep. 2016;39(6):1211-1218.

[5] Marchi NA, Véronneau M, Massicotte-Marquez J, et al. Obstructive sleep apnoea and 5-year cognitive decline in the elderly population. Eur Respir J. 2023;61(6):2201621.

[6] Vanek J, Prasko J, Genzor S, et al. Obstructive sleep apnea, depression and cognitive impairment. Sleep Med. 2020;72:50-58.

[7] Iannella G, Maniaci A, Lechien JR, et al. Mood, behavioral impairment, and sleep breathing disorders in obstructive sleep apnea patients treated with maxillomandibular advancement: a case series and review of literature. Behav Sci. 2023;13(8):686.

[8] (Associations of diabetes mellitus and hypertension with adherence to continuous positive airway pressure therapy in male patients with obstructive sleep apnea – PMC)

[9] (Impact of Obstructive Sleep Apnea and Sympathetic Nervous System on Cardiac Health: A Comprehensive Review)

[10] (Emotional Stress Evaluation of Patients with Moderate and Severe Sleep Apnea Syndrome – PMC)

[11] (Cognitive deficits in adults with obstructive sleep apnea compared to children and adolescents – PMC)

[12] (Continuous Positive Airway Pressure Reduces Risk of Motor Vehicle …)

[13] (Slow-Wave Sleep: An Overview | Sleep Foundation)

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴とは?見逃しやすい症状と診断・治療のポイント

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まる疾患であり、日常生活に深刻な影響を及ぼします。

 

実際、中等度以上のSASは成人男性の約20%にみられるとの報告もあり[1]、決して珍しい病気ではありません。

 

放置すると高血圧や心疾患など重大な健康リスクを伴うほか、集中力低下による交通事故の原因になることも指摘されています[1][2]。

 

本記事では、SASの基本知識から特徴的な症状、診断方法、そして治療法まで、最新の医学的エビデンスをもとに解説します。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)の基本知識

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)

定義とメカニズム

閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea; OSA)は、睡眠中に上気道(主に咽頭)が物理的に閉塞することで呼吸が停止または低下する状態です。

睡眠時には筋肉の緊張が低下し、舌や軟口蓋などが喉の気道を塞ぎやすくなります[1]。

気道が完全にふさがると「無呼吸」、部分的な狭窄で呼吸が浅くなる状態は「低呼吸」と呼ばれ、いずれも10秒以上続く場合が問題になります[1][3]。

 

主な原因・危険因子

OSAでは肥満が最も重要な危険因子とされており、首回りや舌への脂肪沈着で気道が狭くなることが大きな要因です[1]。

また、下顎の後退や扁桃肥大、アデノイド肥大などの解剖学的要因もリスクを高めます[1]。

一般的に男性に多く、加齢とともに発症リスクは上昇し、就寝前の飲酒や喫煙といった生活習慣も症状の悪化に関与します[1][4]。

一部の研究では、飲酒習慣をもつ人はOSAのリスクが約25%増加するとの報告もあります[5]。

 

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)

定義とメカニズム

中枢性睡眠時無呼吸(Central Sleep Apnea; CSA)は、脳の呼吸中枢からの信号異常によって睡眠中の呼吸運動自体が停止する状態を指します。

気道の閉塞が原因ではなく、呼吸の“指令”が一時的に途絶えるため、OSAのようないびきは通常みられません[3][6]。

脳幹部の呼吸調節が乱れると、無呼吸と過呼吸が交互に現れる「チェーンストークス呼吸(Cheyne-Stokes呼吸)」を呈することがあります[6]。

 

主な原因

CSAは心不全や脳卒中後の患者に多くみられ、特にチェーンストークス呼吸が特徴的です[3][6]。

また、ALSや筋ジストロフィーといった神経変性疾患、頚髄損傷など中枢神経に影響を及ぼす病態でも生じる可能性が指摘されています[6]。

そのほか、慢性腎不全やオピオイド系鎮痛薬の使用もCSAを誘発する要因となり得ます[6]。

実際の患者数はOSAよりも少ないものの、心不全や神経疾患の合併では見逃せない病態です[1][3]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の主な特徴

睡眠中のいびきや呼吸停止

SASの典型的な症状として、大きないびきが挙げられます。

OSAの多くでは激しいいびきを伴い、家族やパートナーが「呼吸が止まっている」と気づくことで発覚するケースが少なくありません[1][2]。

 

本人には自覚がないため、周囲の指摘は重要な診断のきっかけとなります。睡眠中に「無呼吸」や「低呼吸」がくり返し起こり、その頻度(無呼吸低呼吸指数:AHI)が病気の重症度を左右します[1][3]。

1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸が確認される場合にはSASの疑いがあるとされ、中等症以上では20~30回以上を数えるケースもあります[1]。

 

起床時の口渇や頭痛

朝起きたとき、口の渇きや頭痛を感じるのもSASの重要なサインです。睡眠中の口呼吸や低酸素状態によって喉の粘膜が乾燥しやすく、血管拡張により頭痛が起こることがあります[2]。

 

一見すると風邪や寝不足とも思われがちですが、いびきや日中の眠気など他の症状と併せて考えると、SASの可能性が高まります。

 

日中の強い眠気や集中力の低下

頻繁な無呼吸による睡眠分断によって夜間に十分な休息が得られないため、日中の強い眠気集中力の低下が顕著になります[2][7]。

仕事中にボーッとしたり、運転中の居眠りなどは、本人はもちろん周囲にも大きなリスクをもたらします。

特に居眠り運転は重大事故の原因となり、社会的にも大きな問題です[1]。こうした症状が当てはまる場合は、早めに専門医への相談が望まれます。

どれだけ寝ても疲れが取れない

「たくさん寝たはずなのに疲れが抜けない」「熟睡感がない」といった訴えがある場合も、SASの疑いがあります。

夜間に繰り返される無呼吸が深い睡眠を妨げ、非回復性の睡眠に陥ることが原因です[1]。

重症のOSAでは、持続的な低酸素が筋肉や臓器に負荷をかけ、起床時から強い倦怠感やだるさを引き起こすことが知られています[1][2]。

 

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放置すると危険!合併症や健康への影響

合併症のリスク(高血圧、心不全、糖尿病、脳卒中など)

SASを放置すると、高血圧や心不全、糖尿病、脳卒中といった重篤な合併症リスクが高まることが明らかになっています[1][3][8]。

 

  • 高血圧:OSAは二次性高血圧の主要な原因の一つであり、とくに治療抵抗性高血圧や夜間〜早朝に血圧が高いタイプでOSAの合併が疑われます[1]。CPAP治療で血圧が下がる例も報告されており、早期の介入が大切です。
  • 心不全:重症のSASは心臓へ大きな負荷をかけ、心不全の発症・悪化と双方向で影響し合います[3][8]。OSA患者では不整脈の頻度が高い点にも注意が必要です。
  • 糖尿病(2型):OSAはインスリン抵抗性を高め、2型糖尿病のリスクを上昇させる可能性が指摘されています。肥満や生活習慣と切り離しても、OSAそのものが独立した危険因子になり得るという研究結果もあります[1][9]。
  • 脳卒中:OSAによる動脈硬化の進行や血圧変動は脳梗塞・脳出血のリスクにも直結します[2][7]。一度脳卒中を起こした患者がOSAを合併している場合、再発や予後悪化の可能性が高まるため、早期発見と治療が重要です[7]。

 

さらに、冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)、認知機能障害、うつ病などとの関連も報告されており[1][7]、健康長寿のためにSASの放置は禁物と言えます。

 

日常生活や仕事のパフォーマンス低下

SASは日中の強い眠気や注意力散漫により、仕事や家事、学業の能率を大きく下げるだけでなく、本人の安全および周囲の安全にも影響を及ぼします[1]。

致死的な交通事故の15~33%に居眠り運転が関与しているとのデータもあり、OSA患者の場合は特に事故のリスクが高いことが分かっています[1][2]。

また、いびきや睡眠不足がパートナーの眠りを妨げ、家庭内ストレスの原因になるなど、社会生活全般に悪影響を及ぼす点も見逃せません。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療

生活習慣の改善

軽症のSASではまず、生活習慣の見直しが推奨されます。

最も大切なのは減量で、肥満傾向のOSA患者は体重を落とすだけで無呼吸発作が大幅に改善する場合があります[1][8]。

 

また、飲酒は睡眠中の筋弛緩を助長するため節酒や休肝日の設定が推奨されます。

禁煙は上気道の炎症軽減に役立ちます。

仰向けではなく横向きで寝るなどの体位工夫も、いびきや無呼吸を軽減させる可能性があります[1][8]。

あわせて、規則的な睡眠習慣と寝室環境の整備といった“睡眠衛生”の改善も基本的な対策です[1][3]。

 

経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)

中等度〜重度のOSAに対する第一選択治療が、CPAP(シーパップ)療法です。

就寝時に鼻や口を覆うマスクを装着して空気を送り込み、気道に陽圧をかけることで閉塞を防ぎます[1][8]。

多くの患者で、いびきや日中の眠気が劇的に改善し、高血圧のコントロールにも寄与するなど、心血管リスクの軽減が期待できます[1][9]。

日本ではAHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数)が20以上のOSA患者に保険適用が認められており、有効かつ実績のある治療法です[1]。

 

マウスピース治療(口腔内装置)

軽症〜中等症OSAや、CPAPに抵抗がある場合などでは、マウスピースによる治療が選択肢となります[1][8]。

下顎を前方へ固定する装置を就寝時に装着し、喉の気道を確保する方法で、歯科にて個別に製作します。

CPAPほどの効果は期待できないものの、いびきの軽減や眠気の改善に有効な場合があります[1]。

 

外科的治療

扁桃肥大や鼻中隔湾曲など解剖学的な原因が明確な場合には、手術による根治的治療が検討されることがあります。

口蓋扁桃やアデノイドの切除、軟口蓋の一部を切除するUPPP手術、重度肥満に対する減量手術などが代表例です[1][8]。

侵襲が大きいため慎重な判断が必要ですが、適切な症例では長期的な改善が期待されます。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

SASは放置すれば様々なリスクを招くため、少しでも疑いがあるなら早めの検査・治療が望まれます。

しかし、「忙しくて通院できない」「検査入院が大変そう」と受診をためらう方も少なくありません。

そうした場合にはオンライン診療を活用して、早期に相談や検査を受けることがおすすめです。

森下駅前クリニックでは、スマートフォンやパソコンを通じて医師の診察が受けられるため、地理的・時間的負担を大幅に軽減できます[10]。

 

オンライン診療では、初診から自宅で行う簡易検査の指導、検査結果の説明、そして治療方針の提案まで、一連の流れを遠隔で完結させることも可能です[10]。

CPAP療法が必要な場合は機器の送付から使い方の指導までオンラインでサポートするため、クリニックに足を運ぶ機会を最低限に抑えられます[10]。

また、定期的なフォローアップ診察や機器調整もオンライン中心で行えるため、仕事や家庭の事情で忙しい方でも治療を継続しやすくなるでしょう。

 

「最近、いびきがひどい」「起床時の頭痛や日中の眠気が気になる」など思い当たる症状がある方は、放置せず専門医に相談してください。

オンライン診療を含めた多様な受診手段を活用すれば、早期発見と早期治療がスムーズに進められます。

SASに対する適切なケアを行うことで、合併症リスクを下げ、日々の疲れや眠気から解放される可能性があります。

まずはお気軽に、森下駅前クリニックのオンライン診療(https://morishitaekimae.com/online/)をご利用ください。

 

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引用文献

[1] 日本呼吸器学会. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)診療ガイドライン2020.
[2] Mayo Clinic. “Obstructive sleep apnea – Symptoms and causes.”
[3] Jehan S, et al. “Obstructive sleep apnea and stroke.” Sleep Med Disord. 2018;2(5):120-125.
[4] Zhang L, Samet J. “Cigarette Smoking and Sleep Disturbance.” Nicotine Tob Res. 2022;24(11):1697-1706.
[5] Peppard PE, et al. “The impact of alcohol upon breathing during sleep.” Chest. 2007;131(3): 780-791.
[6] Rana AM, Sankari AG. “Central Sleep Apnea.” StatPearls [Internet]. StatPearls Publishing; 2023.
[7] Durgan DJ, Bryan RM. “Cerebrovascular Consequences of Obstructive Sleep Apnea.” J Am Heart Assoc. 2012;1(4):e000091.
[8] Epstein LJ, et al. “Clinical Guideline for the Evaluation, Management and Long-term Care of Obstructive Sleep Apnea in Adults.” J Clin Sleep Med. 2009;5(3):263-276.
[9] Tasali E, et al. “Obstructive sleep apnea and type 2 diabetes.” Chest. 2008;133(2):496-506.
[10] 森下駅前クリニック公式サイト. 「CPAP専門外来|睡眠時無呼吸症候群のオンライン診療は森下駅前クリニックへ!」https://morishitaekimae.com/online/

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)は難病指定されている?病気の実態と治療法を解説

 

近年、「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)」という病名を耳にする機会が増えています。

 

夜間に何度も呼吸が止まるため、日中の過度な眠気や集中力の低下、さらに高血圧や心血管疾患など多くの合併症を引き起こす可能性がある疾患です。

 

国内でも推定患者数は数百万人規模とされ、実は決して珍しい病気ではありません[1]。

 

一方、呼吸が浅くなる「肺胞低換気症候群」という稀少疾患が指定難病に分類されていますが、これもまた睡眠時の呼吸障害と深い関係を持つ病態です。

 

本記事では、SASの基礎知識や難病指定との関係、特に肺胞低換気症候群との関連を中心に、最新の治療法まで包括的に解説します。

 

専門医がエビデンスに基づきながら分かりやすく要点をまとめていますので、SASが疑われる方や、その治療法を検討している方の参考になれば幸いです。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?基礎知識をおさらい

定義と分類

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止や呼吸低下(低呼吸)が繰り返される疾患です。

SASの有無や重症度は、1時間あたりの無呼吸・低呼吸発生回数(無呼吸低呼吸指数:AHI)で判定されるのが一般的で、AHIが5回以上でSAS、中等症は15回以上、重症は30回以上と分類されます[1][2]。

 

SASには主に2つのタイプがあります。

1)閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)
 睡眠中に上気道(鼻や咽頭部)が物理的に狭くなる、またはふさがることで生じます。いびきを伴いやすく、肥満や扁桃肥大、下顎の後退などによる解剖学的狭窄が主な原因です。SASの大部分を占めます。

2)中枢性睡眠時無呼吸(Central Sleep Apnea:CSA)
 脳の呼吸中枢が「呼吸せよ」という指令を出さなくなることで発生します。心不全や脳の器質的疾患、あるいは特定の薬剤の影響などによって起こり得る病態です。OSAよりは頻度が少ないものの、重度の基礎疾患を背景に生じることがあります[3]。

 

症状と潜在患者数

SASの代表的な症状として、夜間のいびき・無呼吸、日中の強い眠気、起床時の頭痛、夜間頻尿、熟睡感の欠如などが挙げられます。

とくにいびきや無呼吸は家族など周囲に指摘されて気づくことが多く、本人には無意識の場合が多いのが特徴です。

 

SASは決して珍しくはありません。

国内では中高年男性の約2割、女性でも数%が中等度以上のSASを有するという報告があり、日本全体の潜在患者数は数百万~数百万人規模とも推定されます[1]。

放置すれば高血圧、糖尿病、心疾患、脳卒中などの合併症リスクが上昇し、生活の質や社会生活にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

近年はSASに伴う交通事故のリスク増大や、生産性の低下なども問題視されており、早期の発見と治療が重要とされています[2]。

 

難病指定とは?睡眠時無呼吸症候群(SAS)は該当する?

指定難病の定義

日本における「指定難病」は、厚生労働省が定める一定の基準を満たした希少疾患で、医療費助成などの公的支援を受けられる対象疾患のことを指します。

難病全体の定義としては、原因不明で治療法が未確立、長期的な療養が必要—といった特徴を持つものが含まれますが、そのうちでも国内患者数が一定数以下(人口の0.1%程度以下)で、客観的な診断基準や重症度分類が確立しているものが「指定難病」に分類されます[4]。

現在、300を超える疾患が指定難病に選定されており、患者さんは所定の要件を満たすことで医療費の助成が受けられる仕組みです[5]。

 

一般的なSASは指定難病に含まれない

では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は指定難病に該当するのでしょうか?

結論からいえば、一般的なSAS(OSAや多くのCSA)は指定難病には含まれていません

国内に多くの潜在患者が存在し、一定程度の治療法(後述のCPAP療法など)が確立されているため、難病の条件である「希少性」「原因不明」「有効な治療法の欠如」には当てはまりません。

そのため、公的医療費助成を要する指定難病には区分されていないのです。

 

もっとも、「睡眠中の呼吸障害」という大きなくくりの中には、指定難病に該当する病態も存在します。

その代表例が「肺胞低換気症候群」と呼ばれる疾患群で、重症肥満低換気症候群(OHS)や中枢性肺胞低換気症候群(CCHSなど)を含む病態が、稀少性や重症度の観点から指定難病に認定されています[3]。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と関係する指定難病「肺胞低換気症候群」とは?

肺胞低換気症候群の定義・分類

肺胞低換気症候群は、睡眠中に換気(空気の出入り)が極端に低下して、二酸化炭素(CO₂)が蓄積(高CO₂血症)する病態です。

生まれつきの遺伝子変異に伴う先天性中枢性低換気症候群(CCHS)や、原因不明の特発性中枢性低換気症候群、肥満による重症肥満低換気症候群(OHS)など、いくつかのタイプに大別されます[3]。以下に代表的な病型を挙げます。

 

1)先天性中枢性肺胞低換気症候群(CCHS)
 遺伝子(PHOX2Bなど)の変異が原因となり、出生時から脳の呼吸中枢が機能不全を起こす極めて稀少な疾患です。別名「オンディーヌの呪い」とも呼ばれ、新生児期から人工呼吸管理が必要になることもあります。

2)特発性中枢性肺胞低換気症候群
 中枢神経系に目立った器質的異常がないにもかかわらず、後天的に呼吸調節障害が生じる病型です。原因が明確ではなく、睡眠中の低換気(高CO₂血症)が著しいため、難治性の場合は生命に関わります。

3)重症肥満低換気症候群(Obesity Hypoventilation Syndrome: OHS)
 高度肥満により、呼吸に必要な筋肉や胸郭の動きが制限されるうえ、呼吸中枢の感受性も低下しやすいことで肺胞換気が極度に低下する病態です。OHSの患者の多くが、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を合併すると報告されています[3]。つまり「肥満に伴う無呼吸」と「低換気」が重複した状態であり、慢性的に高CO₂血症と低酸素血症を呈するケースが少なくありません。

 

病態とリスク

肺胞低換気症候群は、単に「呼吸が止まる」だけでなく「呼吸が浅い」状態が顕著であることが特徴です。

SASの方でも無呼吸発作中は換気が低下しますが、肺胞低換気症候群では全体を通して極度の換気不足が生じるため、重度の高CO₂血症と低酸素血症を招きやすくなります。

 

こうした病態が持続すると、肺高血圧や右心不全を含む重篤な合併症のリスクが高まり、場合によっては昼間もCO₂が高いままになる(慢性化)ことがあります。

特にOHSの場合は、肥満を改善しない限り病態が進行しやすく、結果として生命予後にも大きな影響を及ぼします[3]。

このように、希少性と重症度の高さから、肺胞低換気症候群の多くの病型が指定難病として認定されています。

 

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睡眠時無呼吸症候群の治療方法

1. 生活習慣の改善

SASの治療において第一に重視されるのは、体重管理をはじめとする生活習慣の見直しです。

肥満は閉塞性SASの最大の危険因子であり、5~10%程度の減量でも症状が大幅に改善する例があります[1][6]。

また、就寝前の飲酒や喫煙は気道や呼吸中枢に悪影響を及ぼし、無呼吸を悪化させることが知られています。

鼻炎や鼻づまりがある場合には、鼻洗浄などで鼻通りを良くするなど、小さな工夫でもSAS症状の緩和につながることがあります。

 

2. CPAP(持続陽圧呼吸)療法

中等症以上の閉塞性SASで代表的かつ有効な治療法が、CPAP(シーパップ)療法です[2][6]。

就寝時に専用のマスクを装着し、一定の陽圧をかけた空気を送り込み続けることで、上気道が塞がるのを防ぎます。

気道の「空気の添え木」のような役割を果たし、無呼吸やいびきを劇的に抑制できるため、日中の眠気や合併症リスクを軽減する効果が期待できます。

 

唯一の難点は、マスクやホースを毎晩使用し続ける必要がある点です。

マスクの装着感や空気の送り込みによる不快感、肌トラブルなどが起こる場合もありますが、機器は年々改良が進み、軽量・静音化やリモートモニタリング機能などサポート環境が整備されつつあります。

医療保険も適用されるため、継続的にフォローアップを受けながら使用すると良いでしょう。

 

3. マウスピース(口腔内装置)療法

軽症~中等症のOSA、あるいはCPAPが苦手な患者さんには、歯科で作成するマウスピース(口腔内装置)を就寝時に装着する治療があります[2]。

下顎を前に突き出す構造になっており、舌根が喉へ落ち込むのを防いで気道を広く保つ仕組みです。

個人の顎関節や歯列に合わせてオーダーメイドで作製するため、効果には個人差がありますが、正しく適応されればいびきやAHIの改善が得られるケースも多く報告されています。

 

4. 外科的治療(手術)

扁桃肥大や顎の骨格構造など、解剖学的に明らかな原因がある場合、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)など気道を広げる手術を検討する場合があります[7]。

ただし、手術には一定の侵襲や合併症リスクが伴い、術後の経過や長期的な効果にも個人差があります。

小児のSASでは扁桃摘出やアデノイド切除により著しく改善する例が多い一方、成人例では根治が難しく再発リスクもあるため、CPAPなどの保存的治療を優先するのが一般的です。

 

5. 舌下神経刺激療法

近年、CPAP以外の新たな治療アプローチとして注目されているのが、舌下神経刺激療法(Hypoglossal Nerve Stimulation)です[8]。

鎖骨下にペースメーカー様の装置を埋め込み、睡眠中に舌下神経を電気刺激することで舌筋を前方へ引き寄せ、気道閉塞を防ぎます。

CPAPをどうしても継続できない中等症~重症OSAの患者が対象になるケースが多く、欧米を中心に導入例が増加しています。

日本でも保険適用が始まり、適応基準を満たす患者には新たな選択肢となってきました。

 

肺胞低換気症候群の治療

一方、指定難病である肺胞低換気症候群(OHSや特発性中枢性低換気症候群など)では、非侵襲的陽圧換気(NPPV)療法が重要な役割を果たします[3][5]。

 

CPAPと同様にマスクで気道に空気を送りますが、より換気を補助する機能(BiPAPなど)を備えている装置を用いることで、浅い呼吸を強制的にサポートします。

重症のケースでは、日中も高CO₂血症が続くため、在宅人工呼吸管理が必要となる場合もあります。

特に肥満低換気症候群(OHS)では、体重管理を徹底しながらNPPVで夜間の低換気を補っていくことで、将来的に心不全や呼吸不全へ進行するリスクを下げることが可能です。

先天性中枢性低換気症候群(CCHS)の場合は、新生児期から気管切開下の人工呼吸管理が必要になるケースもあるなど、各タイプで治療戦略は大きく異なります。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

もし「自分はいびきをよくかく」「家族に呼吸停止を指摘された」「日中に異常な眠気がある」「朝起きたときに頭痛や疲労感が強い」などの症状があれば、早めに医療機関へ相談するのがおすすめです。

SASを放置すると、高血圧や糖尿病、心血管疾患、脳卒中などの発症リスクが上昇し、重大な健康問題につながる可能性があります。

 

しかしながら、「忙しくて通院できない」「一晩入院検査が必要なのでは?」といった不安やハードルを感じる方も少なくありません。

近年は医療のデジタル化が進み、オンライン診療を活用して初期相談や問診を受けられる体制が整っています。

 

オンライン診療であれば、自宅や職場など遠方からでも気軽に専門医に相談でき、必要に応じて簡易検査機器を自宅で使用するなどのステップにつなげることが可能です。

疑わしい症状があれば、迷わず専門医の診断を受け、早期に対策を行いましょう。

 

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引用論文・参考資料

[1] 日本睡眠学会編. 「睡眠障害の診断と治療ガイドライン 2017」, 医学書院.
[2] American Academy of Sleep Medicine. “International Classification of Sleep Disorders, 3rd Edition (ICSD-3).” Darien, IL: AASM; 2014.
[3] American Thoracic Society. “Statement on home care for patients with respiratory disorders.” Am J Respir Crit Care Med. 2005;171(12):1443-64.
[4] 厚生労働省. 「難病法及び子ども・子育て支援法の一部を改正する法律(平成26年法律第50号)」.
[5] 日本呼吸器学会. 「慢性呼吸不全診療ガイドライン」. Medical View社, 2021.
[6] Peppard PE, Young T, Palta M, Skatrud J. “Prospective Study of the Association between Sleep-Disordered Breathing and Hypertension.” N Engl J Med. 2000;342(19):1378-84.
[7] Fujita S. “Uvulopalatopharyngoplasty: long-term results.” Otolaryngol Head Neck Surg. 1984;92(5):653-8.
[8] Strollo PJ Jr, Soose RJ, Maurer JT, et al. “Upper-Airway Stimulation for Obstructive Sleep Apnea.” N Engl J Med. 2014;370(2):139-49.

 

睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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傾向

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「寝ているときに目が覚める…」それって睡眠時無呼吸症候群(SAS)の恐れあり!?

 

睡眠中に何度も起きてしまう。

しっかりと睡眠時間を取ったにも関わらず、日中眠くなってしまう。

 

もしかしたら、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。

 

SASは、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気で、放置すると高血圧や心臓病などのリスクが高まります。

 

また日中の眠気は仕事のパフォーマンス低下にも繋がります。

この記事では、寝ている時に目が覚めてしまう中途覚醒を引き起こす原因ならびにSASとの関連についての解説を行います。

 

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寝ているときに目が覚めてしまう原因

不眠症のなかでも眠りについたあと途中で目が覚めてしまう症状は中途覚醒と呼ばれています。

途中で目が覚めると、眠りが浅い、ぐっすり寝た気がしない、昼間眠いなどの症状が問題になります。

 

中途覚醒の原因として

  • 生活習慣・ライフスタイルによる影響
  • 睡眠関連呼吸障害・運動障害の可能性
  • 精神疾患の可能性
  • 更年期障害
  • 泌尿器疾患の可能性
  • 加齢

などが考えられます。順番に見ていきましょう。

 

生活習慣・ライフスタイルによる影響

ストレス・不安

ストレス・不安は、中途覚醒の大きな要因です。

日常生活でのストレス・不安事や緊張状態が続くと、寝つきだけでなく眠りの質にも悪影響が出て、夜中に目覚めやすくなります。

ストレスが続くことでコルチゾールというストレスホルモンが過剰に分泌され、深い眠りを妨げます。

交代勤務・生活リズムが一定しない

交代勤務、特に夜勤がある人に多い理由です。

働いている時間が不規則であると、私たちの体内時計(睡眠覚醒リズム)が、自然の明暗リズムと合わなくなります。

このミスマッチが生じることが、目が覚めやすい理由になります。

アルコール摂取 

アルコールにはリラックス効果があり、寝つきやすくなる一方、睡眠の質に悪影響を及ぼします。

アルコールによる利尿作用により夜中にトイレに行きたくなることで、睡眠が中断されることがあります。

また、アルコールが肝臓で分解されると、アセトアルデヒドという物質が生成され、このアセトアルデヒドが体内に蓄積すると交感神経が刺激されるため、心拍数が増加し体が覚醒状態になりやすくなることも睡眠の質の低下を招きます。

さらに、アルコールは睡眠サイクルを乱し、深い眠りであるレム睡眠の時間を短くするため、結果的に睡眠の質が低下し中途覚醒を引き起こします。

 

睡眠関連(呼吸・運動)障害の可能性

睡眠関連呼吸障害 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に呼吸が一時的に停止するため脳が酸素不足を感じ、何度も目覚めてしまいます。

睡眠関連運動障害

周期性四肢運動障害

周期性四肢運動障害は、睡眠中に四肢(主に下肢)の筋肉が勝手に収縮や弛緩を繰り返すことで睡眠が妨げられ、中途覚醒を起こす疾患です。

しかし、本人には両足が動いている自覚はなく、疾患の発見が遅れがちなのが特徴です。

別名は睡眠時ミオクローヌス症候群でありその英語名Periodic Limb Movement DisorderからPLMDと表記されます。

 

むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群 Restless Leg Syndrome:RLS)は、就寝中に足がむずむずするなどの不快感を感じることで睡眠が妨げられる疾患で、睡眠障害の「睡眠関連運動障害群」に該当します。

 

PLDMおよびRLSともに鉄分が不足する貧血や腎不全との関連が指摘されております。

 

参考資料:国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部

 

精神疾患の可能性

うつ病

うつ病の人は夜中に目が覚めることが多く、再度眠りにつくのが難しいことがあります。うつ病に伴う精神的な疲労感や絶望感が、睡眠の質を低下させる要因とされています。

中途覚醒以外にも、寝付きが悪い(入眠困難)、朝早く起きてしまう(早朝覚醒)などの睡眠障害のパターンやそれぞれが合併したりもします。

 

更年期障害

女性ホルモンの変化(エストロゲンとプロゲステロンの低下)により、さまざまな心身の不調が現れるようになります。

中途覚醒もその症状に含まれ、夜間におけるほてりや発汗といった血管運動神経症状の出現や心理的ストレスなどが原因で、1〜2時間おきに目が覚めるようになるとされています。

また閉経後は睡眠時無呼吸症候群のリスクがあがる傾向があります。

 

泌尿器疾患の可能性

夜間頻尿

夜間頻尿とは、排尿のために1回以上夜間に起きる症状のことで、年齢を重ねると夜間頻尿になる人が増える傾向にあります。

症状が悪化すると中途覚醒が増え、睡眠の妨げになります。

 

参考資料:日本泌尿器科学会

 

加齢

加齢に伴い睡眠周期の変化・質の変化があげられます。

レム睡眠と深いノンレム睡眠が若い人に比べて少なくなるとされており、ぐっすり眠れた感じが減ります。

中途覚醒を減らす方法

中途覚醒の原因にもいろいろあり、複数が重なることもありますが減らす方法はあるのでしょうか?いくつか紹介しますので日常生活で試してみてください。

 1.毎日一定の時間に起きる

 規則正しい睡眠リズムを保つことは、睡眠障害の改善に効果的です。寝る時間よりも起床時間を一定にすることのほうが、体内時計が整います。

 2.日中に適度な運動をする

 日中に適度な運動をすると、睡眠の質が向上します。運動によって体温が上昇した後、体温が下がることで自然に眠りやすくなります。

寝る直前の激しい運動は交感神経を活発にし睡眠の質を下げる可能性がありますので注意しましょう。

 3.ストレスを減らす

日常生活におけるストレス要因を見つけ出し、適切な対処法を見つけることで中途覚醒の改善につながります。例えば、仕事や人間関係のストレスを軽減するために、リラックスできる時間を設けたり、瞑想やヨガなどのストレス解消法を取り入れたりすることが効果的です。  

 4.就寝前の飲食に注意する

就寝前の飲食は、胃腸を刺激し眠りの質を低下させます。消化に時間がかかる脂っこいものは避け、胃腸に負担がかからない軽い食事を心がけてみてください。

コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインには覚醒作用があるため、これらの飲み物は控えましょう。

 5.就寝前のスマホやパソコンの使用を控える

 就寝前は、スマホやパソコンの使用を控えましょう。スマホやパソコンが発するブルーライトは脳を刺激し、眠りを促すメラトニンの分泌を抑制します。

寝つきが悪くなるだけでなく、夜中に目が覚めやすくなります。

 6.就寝前の喫煙を避ける

 タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があるため、カフェイン同様就寝前は控えるのがベストです。

また習慣的に喫煙をしている人は喫煙していない人に比べて睡眠時無呼吸症候群(SAS)の発症率が高くなることが確認されていますので、別の観点ではありますが禁煙が推奨されます。

 

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置するとどうなる?

中途覚醒について睡眠時無呼吸症候群(SAS)も含めて紹介しました。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は睡眠中に呼吸が何度も止まる・呼吸が弱くなる病気です。

 

呼吸が止まりなくなるわけではありませんが呼吸停止中の酸素濃度の低下と呼吸が再開することで酸素濃度が上昇することが身体に(特に血管系に)多大な負担を与え合併症として・・・

 

脳血管障害は健常者の約3倍、狭心症・心筋梗塞は、健常者と比べて約2~3倍、心不全は約4倍、不整脈が約2~4倍高まります。

高血圧については、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が重症であればあるほど高まるとされています。

 

厚生省研究班の調査では、AHI(無呼吸指数)が20以上の場合、治療なしだと5年生存率は84%、裏を返すと5年以内に16%の方が亡くなられると言うことになります。

しかし適切な治療を受けることで健常者と変わらない生存率になるとの報告もありますので、早めに対処を行っていきましょう。

 

睡眠時無呼吸症候群の疑いがある場合はオンライン診療へ

眠りについたあと途中で目が覚めてしまう原因がSASかも知れません。

もし疑わしいと思ったら医療機関で検査を受けてみましょう。

 

「最近、眠りが浅い、、、」

「もしかしたら睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれない、、、」

と感じたら、まずは専門の医療機関に相談してみましょう。

 

忙しい毎日でなかなか病院に行く時間を取れない方もいるかもしれません。

特に、睡眠時無呼吸症候群は、初期症状が自覚しづらいこともあり、受診のハードルが高いと感じている方も少なくないでしょう。

 

そんな方におすすめなのが、オンライン診療です。

オンライン診療であれば、自宅や職場など、場所を選ばずに初診から診察を受けることができます。

検査の結果、中等症から重度の睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、CPAP療法などの治療が開始されます。

CPAP療法は、鼻にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を予防する治療法です。

オンライン診療でも、医師からCPAP装置の使い方や注意点などの説明を受けることができます(※初診から検査結果説明までオンライン診療で完結可。CPAP開始後の初回は対面診療が必要です。)

「もしかして…」と思ったら、まずはオンライン診療で相談してみましょう。

 

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睡眠時無呼吸症候群をもっと詳しく

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について、さらに詳しく知りたい方は各記事をご確認ください。

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